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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「世界水草レイアウトコンテスト2018出品水槽の作り方」をご紹介します。
本水槽は「世界27位」「山崎美津夫特別審査員賞」を受賞した思い出深い作品。
途中、画像を撮り忘れているところもちらほらありますが、隠すこと無く技術を公開しています。
水草レイアウトに興味のある方はぜひご覧ください。
世界水草レイアウトコンテスト(IAPLC)とはアクアリウムメーカーADAが主催している水草水槽のコンテストです。
通常年1回開催され世界中から様々な作品が出品されます。
完成した水槽がこちら。
使用した機材、管理方法などを先にご紹介します。
水槽 | 120cm×60cm×60cm |
ろ過 | エーハイム2217 1台 2215 1台 底面フィルター直結 |
ライト | ADA ソーラーRGB 2台 12時間点灯 |
CO2 | 自作ミキサーにて1秒/4滴 |
底床 | ソイル:プラチナソイル 化粧砂:エクストラホワイトサンド |
素材 | 乱形石、アンバークォーツ |
肥料 | オリジナル肥料をほぼ毎日 |
- 換水
- トリミング
- フィルターの掃除
- 点灯時間
- CO2添加量
- 立ち上げ時:週/1回50%
- 1か月~:2週/1回50%
ちょっと思うところがあって、最近はあんまり換水をしないで管理するようにしています。
水換/少、水換/多、両方の管理をしたら換水のメリット、デメリットが見えてきました。
水草レイアウトは水換えが一番!と言われていますが、どうやら時と場合によるようです。
今現在の私の思うところをこちらでまとめましたので興味のある方はぜひご覧ください。
- 2週間に1度バッサリ切る
- 3~4日に1回微調整
このようなルーチンでやっていました。
撮影2週間前くらいからは毎日手を入れて微調整してました。
日頃からルーチンを守ってトリミングしていると、狙ったタイミングで茂みサイズをコントロールできるようになります。
この辺りは経験が必要なので、日頃からガンガントリミングして感覚を掴みましょう。
制作期間中は1度も掃除しませんでした。
私はマメにフィルターを洗う方ではありません。
その方が調子が良いので(笑)。
マメに洗ってしまうといつまで経っても生物ろ過が成熟しないです。
【ろ過バクテリアの働き】生物ろ過を詳しく解説 ー白濁、臭いの無い水槽を目指してー
12時間点灯です。
水草を綺麗に育てるために長めに設定しています。
今回は制作期間中、点灯時間は変えませんでした。
特に赤系水草は長い時間ライトを当てた方が発色が良いのでおすすめなのですが藻類には注意しましょう。
もし長時間点灯するならコツは最初から12時間点灯することです。
12時間点灯するということを前提としてバランスを取るとあまり藻類に悩まされないと思います。
自作のCO2ミキサーにて1秒/4滴入れています。
制作期間中はだいたいこれくらいを添加していました。
添加量が足りず水草が綺麗に育っていないという方は結構多いので添加量には気をつけましょう。
- 水温 28℃
- pH 6.0~6.5
- GH 3以下
- TDS 50~150ppm
12月に立ち上げたので28℃くらいの高めに設定していました。
ろ過バクテリアや水草の活性を高くして立ち上げが早く済むようにするためです。
夏場なら26℃で立ち上げたと思います。
水草水槽は特に底床内の水温が重要なので、冬場はちょっと高めの水温にすると良いです。
私が作る水草水槽は大体この範囲に納めるようにしています。
CO2の効果、肥料効率等を考えるとPHは5.5~6.5の間に収めると良いです。
あんまり下げるのも大変なので、6.0~6.5くらいで管理するようにしていますよ。
一部の水草を除いて3以下にしておけば大体OKです。
もっとGHが高くても全然水草は大丈夫なんですが、GHが高いとpHがアルカリよりになったりと他の部分で不具合が出てくるので低くキープしたほうが良いですよ。
要は水の中に電気を通すものがどれだけあるかということを数値にしたものです。
基本的には低くキープしたほうが水草を綺麗にキープしやすいです。
導電率は水の中にどんなものがあるかまでは分からないので、あくまで参考数値ですが、、、
私は常に複数のレイアウト水槽案が頭にあるのですが、具体的になっているかというとそうでもありません。
- 遺跡みたい感じで~
- 廃墟のような~
- ビオトープアクアリウムを取り入れたい~
- ダッチアクアリウムを取り入れたい~
- 洞窟っぽいやつ~
- 大型魚を入れて「ヌシ」みたいな感じを出したい~
などなど、思い立ったことをメモしてある程度です(メモらないことの方が多いですが)。
また、読書が趣味ということもあり本からインスピレーションを得ることが多いです。
今回はなんとなく遺跡っぽい雰囲気でいきたいなぁと考えていました。
私は絵が描けません。その代わりにイメージを言葉にして紙に書き殴ってまとめるようにしています。絵心0でもレイアウトはできますよ!
今回は前々から目を付けていたこちらの石を使ってみることにしました。
段々にしたら遺跡っぽくなるかもと思い、とりあえず取り寄せてみることにしました。
乱形石というオシャレなマンションとかのエントランスに使われている石です。
遺跡っぽい感じだと「灰色」だとか「黒」などの色彩の石の方が雰囲気が出そうですが、なんだかつまらない感じがしたので明るい赤色にしてみました。
普段から新しいレイアウト素材を探しています。色々な素材を試してみるのは面白いですよ!
イケるかどうか、まずは適当に置いてチェックしてみます。
「おぉーなんかイケそうだ」と感じたらそのその素材は当りですね。
うん。なんだか面白そうなのでコレでいってみることにします。
水槽の中に入れてみないと実際のところは分かりません。必ず組んでみましょう!
まずは発砲スチロール、レンガで土台を作ります。
ガラスに直接レンガを置くのに抵抗があったので発泡スチロールを下に引いています。
理屈の面から言うと無くても大丈夫なのですがここは気持ちを優先させて発泡スチロールを敷いています。
レンガや軽石などを底床の下に入れることで、構図素材を組む際の土台となるだけでなくソイルの使用量を節約することができます。
構図組みとは石や流木などでレイアウトの骨格を形作ることを言います。
そして、ザッと組んでみたのがこちら。
今回の構図は左右にボリュームを出し、中央に空間を作る凹型構図で制作することにしました。
真ん中の空間には「道」を作ります。
道部分にはあまり水草を植えないので、最初からレンガで土台を作っています。
中央の背の高くなっているところが道になるところです。
う~ん。のっぺりしていてイマイチですね。
何パターンか試してみます。
なんとなく形が見えてきました。
右奥にもう1つ石の山を作ってバランスを取ってみました。
左側の石は手前に大きくせり出すようにして影を作ってみました。
影は水景に深みを出してくれる重要ポイントです。
ちなみに影のチェックをする時は画像を「白黒」にすると分かりやすいですよ。
思った以上に荒々しい印象になりました。
石のジェンガみたいだったのですが、思った以上にバランスが良く仕上がったので接着して固定するのは止めました(接着が面倒だったというのは秘密)。
う~ん、荒々しくて素敵。
ちなみにこのあと水草を植えて隠れてしまい荒々しさが消えてしまいます。
今回の反省点です。
私の定番テクニックである「ニッソースライドベースフィルターを外部式フィルターの給水口に接続」する方法。
底床内の温度対策&パイプを隠す目的です。
盛り土をする場合、フィルター配管の取り回しに苦労しますがこれなら底床の中に隠せるので便利ですよ。
ちなみにこの底面には呼び径13の塩ビパイプがすっぽり入ります。
こちらの記事で詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
こちらも定番テクニック。
左右の石の後ろは「軽石を洗濯ネットに入れたもの」でさらに底上げしています。
かれこれ4年くらい使いまわしている軽石です。
ソイル節約&底床バクテリアの種として機能しますよ。
ネットに入れておけば移動が簡単なので、水槽セット、片付けどちらの時にも便利です。
レンガと合わせて用意しておくとレイアウト制作がさらに便利になります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
このように石は割って形を調整しています。
この石は目に沿って割れるようでしたので、その雰囲気を活かしてレイアウトしてみました。
中央の道部分に使っているのは、割れる際に出た破片を使っています。
ソイルを入れる前にしっかり土留めをします。
今回は白い化粧砂を使う予定なのでソイル漏れは厳禁です。
漏れる穴はしっかりと塞いでいきましょう。
上記の画像は石組みを後ろか撮ったものです。
左右の後景部分には一番高いところで40cmくらいソイルを盛る予定なので、余った石を使って隙間を埋めました。
ソイルを入れつつ、ウールマットで隙間部分を覆っていきます。
今回は石の裏側が壁のようになったので前面にウールマットを広げています。
このような場合ではソイル自身の重みで石に張り付くようにウールを入れると良いでしょう。
こちらの記事でオーソドックスな「盛土レイアウトの作り方」をご紹介しています。
「土留の方法」なども動画付きで丁寧に解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
漏れに注意しつつ少しづつソイルを足していきます。
左右に山になるようにソイルを盛っていきますが、土留めが無いと崩れてしまいます。
かと言って水草を植えたい場所なので、石などではスペースが無くなってしまいます。
そこで便利なのが「1mm厚のプラスチック板」です。
適当な大きさにカットしてソイルに刺すようにすると土留になります。
このような薄い板なら水草の植栽スペースを確保しながら土留をすることができます。
厚さ1mm程度ならハサミでカットできますので、レイアウトを進めながらちょちょっと作って使えます。
最低でも5cm程度は底床に刺すようにすると安定します。
ホームセンターで簡単に手に入ります!
ソイルを盛り、化粧砂を敷いたら「構図組」は終了です。
最前面の化粧砂は厚さ5mmくらいで敷いています。
一番手前が厚いと見た目が悪いのでなるべく頑張って薄くするようにしましょう。
化粧砂についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
簡単な「ソイルと化粧砂の敷き分け方」なども動画付きでご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
構図を終わったのでこれからコケを配置していきます。
まずは下準備として全体に霧吹きをします。
- 接着剤代わりに水草をくっ付ける
- 水草の乾燥を防ぐ
霧吹きにはこのような効果があります。
本当の接着剤みたいに固定する訳ではありませんが断然馴染みやすくなりますよ。
手でシュコシュコするタイプは大変なので、圧力を溜めて半自動で霧吹きできるものを使っています。
手が腱鞘炎になりそうなくらい霧吹きするので、蓄圧式の霧吹きがあると楽ですよ。
僕が使っているのはミスターオートですが、60cm以下なら「マイスター」がおすすめです!
まずは南米ウィローモスを石の上に置いていきます。
モスの仲間は重なると下の株が枯れてしまうので、1枚づつ貼り付けるようなイメージで乗せていきます。
今回は活着するまでミスト式で管理するので固定しませんでした。
ミスト式での管理なら接着剤、糸などで固定しなくても活着させることができます。
ミスト式で水草水槽を立ち上げる方法はこちらの記事で詳しく解説していますので興味のある方はぜひご覧ください。
少し成長して色味が出てきました。
ミスト式の場合、順調ならコケの仲間は10日程度で活着するものが多いです。
南米ウィローモスがある程度落ち着いたので、続いて前景を植えていきます。
まず、植えたのはへランチウム テネル厶です。
雑然とした雰囲気にしたかったのでまずはコイツをチョイスしました。
バランスを見てへランチウム ラチフォリウスも追加しました(画像無し)。
道部分に植えたのはこちらの3種。
まずは道部分の石にはプレミアムモスを活着させます。
サイズ感の小さいコケなので「南米モス→プレミアムモス」と視線を誘導することで奥行感演出を狙います。
また、化粧砂部分にはショートヘアーグラス、キューバパールグラスを植えました。
多種を混ぜて植えることで「雑然」とした自然観を作ることができますよ。
前景に植えたへランチウム テネルム、へランチウム ラチフォリウスよりも小型種を植えることでここでも奥行感演出を狙います。
石の上には最初に配置した南米ウィローモスのほかにこちらの2種も活着させて配置します。
草木に飲み込まれた遺跡のような雰囲気を出すのが狙いです。
僕はゲーム好きなので「遺跡」とかのワードを聞くとワクワクしちゃうんですよね!
今回使った接着剤は「デルフィス クイックジェル」です。
- プレミアムモス
- ハイグロフィラ・ピンナティフィダ
- ニューラージパールグラス
今回はこちらの水草の活着に接着剤を使用しました。
接着剤は活着水草の新しい使い方を切り開くアイテムだと思いますので、興味のある方はぜひ使ってみてください。
こちらの記事にて水槽で使える接着剤を詳しく解説しましたのでご覧ください。
ここから前景に水草を追加、後景に様々な水草を植えたのですが写真を撮るのを忘れました。。
こちらは植える直前の状態です。
横から見るとこんな感じです。
こちらが今回使用した水草のリストです。
名前をタップすると水草図鑑へジャンプしますので水草の詳細が知りたい方はご確認ください。
水草を植えた直後に注水してから10日後、すぐにこうなってしまいました。
ここまで酷い油膜も珍しいなと思わず写真を撮ってしまいました。
立ち上げ失敗です。
どうやら自作の肥料が濃すぎたようです。
調子に乗って入れすぎてしまいました。
ここからリカバリーしていきます。
出ている藻類はセット初期に頻出する「トロロ昆布状」の藻類。
ルックスはインパクトありますが対処の簡単な藻類です。
柔らかいのでオトシン、エビ双方がたくさん食べてくれます。
今回はシナヌマエビ200匹を投入することにしました。
投入後、1週間でここまで綺麗になりましたよ。
まだ水の濁りが多少ありますが良しとしましょう。
藻類対策はスピードが大事です。
- 藻類取り生体の投入量
- 水換え等の手間
なるべく早く対応することで上記のような藻類取りのコストを少なくすることができます。
藻類が落ち着き水草が育ってきました。
ここからトリミングで形を整えていきます。
前景が単調でつまらなかったので「白い小石」を追加してみました。
う~んイマイチですねー。
1回目のトリミング直後です。
もう何となく完成形が見えてきましたね。
有茎草の醍醐味はトリミングで形を作っていく過程にあるでしょう!
丸くカットするとなんだか可愛くないですか?
道部分はすっかりショートヘアーグラスに覆われてしまいました。
トリミングをして道を露出させます。
道の周りはマメにトリミングをしないと埋もれてしまうので注意しましょう。
3回トリミングしたものがこちら。
あんまり変わり映えしませんが、よく見ると茂みの密度が上がっています。
手前の石は赤色のものを混ぜてみました。
構図素材にした石と色味があって自然に見えます。
うん。良い感じ。
追加したのはこちら。
透明感のあるキラキラとした感じは一見すると不自然に見えますが、ガーデニングに使われる石、砂利は基本的に水草と見た目の雰囲気が合いますよ。
メインの構図素材と相性の良い色彩のものを選ぶのがポイントです。
水質はチェックしましたが水草水槽で問題無く使えるものでした。
先程からちらほらバックを青にして写真を撮って試していますが、今回のバックは青にすることにしました。
青いアクリル板を水槽裏にセロテープで貼っています。
撮影時はこちらの後ろからストロボを当てることで「青のグラデーション」にします。
完成形が見えてきたあたりで撮影時のバックの色を考えるようにしています。
貼るタイプのバックスクリーンと違って簡単に付け替えれるのが「アクリル板」の長所です。
色別に用意しておくと撮影時に便利です。
私ははざいやさんでサイズを指定して頼むことが多いですよ。
- オデッサバルブ
- アフリカンランプアイ
撮影に備えて魚を入れます。
今回はこちらの2種類にしました。
結果から言うともう少し数を入れれば良かった。。反省点です。
撮影直前に入れても魚の色が出ないので余裕を持って魚は泳がせましょう。
ストック水槽をお持ちの方はそちらで仕上げてから移動しても良いですよ。
最後のトリミングをしました。
あとは適度に伸びたら撮影です。
- 撮影機材を揃える
- 撮影技術を磨く
- 撮影のストレス
上記のことから解放されたいので撮影はプロに依頼しています(有料)。
そして何よりも重要なのが「写真のクオリティーが段違いだ」ということです。
それはもう順位が変わるくらい違います。
皆さんもこれだ!という作品ができたら依頼してみたらいかがでしょうか?
私はいつも仕事でお世話になっている月刊アクアライフ専属カメラマンさんにお願いしています。
プロカメラマンはたくさんいますが、レイアウト水槽を撮り慣れているプロの方はそういないと思います。
値段は張りますがいつも頼んでよかったと思えるクオリティーの写真になりますよ。
これで完成です。
1月に水を張って5月に撮影をしました。
有茎草は成長が速いので、どんどん水景ができ上がって見ていて楽しいですね。
本水槽は「世界27位」「山崎美津夫特別審査員賞」を受賞した思い出深い作品です。
こうして制作過程をご紹介できて嬉しく思います!
この記事が参考になったら感想を教えてもらえると嬉しいです。
記事作成の励みになります!