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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「水草水槽のCO2の適正量」を解説します。
ところで、どのくらいの量のCO2(二酸化炭素)を水槽に添加していますか?
実はCO2はただ添加すれば良いわけではありません。
「適正量」を添加して始めて効果が発揮されます。
CO2添加キットを使っているけど水草の調子が悪い。。
なんて方はCO2の添加量が足りないのかもしれません。
せっかく高価なCO2添加システムを購入したのに、水草が育たないなんてもったいないです!
そこで今回は「CO2の添加量」「添加量の計り方」「添加時間」などを初心者向けに丁寧に解説します。
また、上級者向けに「正確なCO2適正量を知る方法」「CO2とpHの関係」なども詳しくご説明していきます。
興味のある方はぜひご覧ください。
CO2添加をする目的は「水草に光合成」をしてもらうためです。
水草は光合成をすることで、水とCO2からエネルギーを得ています。
その副産物として「酸素」が水槽に放出されます。
閉鎖された環境である水槽は水草が光合成をするとすぐにCO2が足りなくなってしまいます。
そこで、CO2添加が必要になるというわけです。
- 高圧ボンベ式CO2添加
- 発酵式CO2添加
- 化学式CO2添加
- 簡易ボンベ式CO2添加
こちらの4つがあります。
私は確実にCO2添加ができる事、メンテナンス性、コスパの良さから「高圧ボンベ式CO2添加」をおすすめしています。
こちらの記事でCO2添加キットの組み立て方や実際に水槽で使用する方法などを解説していますので、ぜひご覧ください。
水量 | 添加量(陰性水草メイン) | 添加量(陽性水草メイン) |
---|---|---|
15L | 3秒/1滴 | 2秒/1滴 |
30L | 2秒/1滴 | 1秒/1滴 |
60L | 1秒/1滴 | 1秒/ 1滴 ~ 2滴 |
100L | 1秒/2滴 | 1秒/ 2滴 ~ 3滴 |
150L | 1秒/3滴 | 1秒/ 3滴 ~ 4滴 |
300L | 1秒/4滴 | 1秒/ 5滴 ~ 7滴 |
650L | 1秒/8滴 | 1秒/ 9滴 ~ 15滴 |
こちらが水量別にCO2添加量をまとめた表です。
まずはこちらを頼りに添加量を調整してみてください。
こちらの量を添加してしっかりと水草が育つのなら問題ありません。
そのまま、水草育成をお楽しみください!
もし、育たないという方は水質をチェックをしてみましょう。
ミクロソルムやアヌビアス、クリプトコリネなどのある程度暗い環境でも育つ水草を中心にした水槽の添加量です。「丈夫な水草」に分類される水草を中心に植えるならこちらの添加量を参考にしてください。
絨毯のように育つ前景草やロタラ、ルドウィギア、パールグラスなどトリミングを繰り返して茂みを作る水草を 中心にした水槽の添加量です。本格的な水草水槽を作るならこちらの添加量を参考にしてください。
適切なCO2の適正量を知るにはまずは計測方法を知りましょう。
計測するのはとっても簡単。
CO2添加キットに付属する「CO2カウンター」を見るだけ。
「~秒間に泡がいくつ出ているか」というようにカウントします。
よく雑誌などで見かける表現「1秒/1滴」はこれを表しています!
CO2添加の時間は基本的にライトの点灯時間に合わせます。
ライトの点灯時間の目安は(5時間)8時間~10時間(12時間)程度なので同じ時間添加しましょう。
※()内は下限と上限です。目安なので多少前後しても大丈夫です。
ライトがOFFの時間はCO2添加もストップしましょう!
CO2電磁弁と呼ばれる機材をタイマーに接続することでCO2添加を自動で行うことができます。
タイマーを使えばライトの点灯時間も同時に自動で管理できるようになるので、規則正しく水草水槽の管理ができるようになります。
不規則な時間で管理すると
- ライトの点灯時間、CO2の添加時間が短すぎる⇒ 水草が綺麗に育たない
- ライトの点灯時間、CO2の添加時間が長すぎる⇒ 藻類が大量に増殖するかもしれない
このようなトラブルが起きるかもしれませんので毎日規則正しくライトの点灯、CO2の添加を行いましょう。
CO2添加キットを購入する際は、ぜひとも「電磁弁」「タイマー」も予算に入れてください。
タイマーはスマートプラグを使うのがおすすめ!
高硬度が原因のCO2不足で調子を崩すキューバパールグラス
こちらの表のように、しっかりと添加していても水草が育たない場合、ひょっとすると水質が合っていないのかもしれません。
実はCO2は「PH」が高いと水草があまり利用できなくなってしまいます。
CO2を添加しているけど水草の育ちが悪いという方は水質をチェックをすると原因が分かるかもしれません。
弱酸性の軟水(PH6.5以下、GH3以下)
こちらが水草に適した水質の目安です。
こちらから大きくズレている場合、CO2を十分に添加しても水草の調子が良くならないことが多いです。
CO2添加と同時に水質調整をして環境を整えましょう。
水草水槽の水質については別記事で詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
水草が養分不足になると画像のように色が抜けてきます(白化と呼びます)。
しかし、水草の好む水質になっていないと肥料を入れたとしてもあまり水草が利用しませんので無意味なばかりか、余った養分が藻類増殖の原因になりかねません。
CO2添加をしているけれど水草が育たないからとりあえず肥料を入れよう。
というのは止めましょう。
必ず水質チェックを優先してから肥料を検討してください。
PHとCO2の関係については後ほど解説します!
小型高圧ボンベでCO2を添加する様子
今までの経験上、単純にCO2添加量が少ないことが原因で水草が調子を崩しているというご相談が多いです。
ちゃんと添加しているよ!
という場合であっても、ちょこっと添加量を増やして様子を見てみましょう。
意外とそれだけで改善することもありますよ。
増やしても改善しない場合はCO2添加量では無く水質や肥料に問題があることが多いです。
「~秒/~滴」
こちらの表記は巷でよく目にするかと思いますが、なにを基準にしているかというとADA社の記載をそのまま参考にしているケースが多いです。
そのためADA社の提唱するシステムにおいて適当とされる添加量です。
具体的に使用機材を説明するとこんな感じです。
- 底床⇒ パワーサンド+アクアソイル
- CO2添加システム⇒ ADA社のCO2添加システムにて計測、添加する
同じような機材で管理している方はADAの提唱する管理法通りにやれば水草が綺麗に育つと思います。
水草が流行りだした当初はあまり器材の選択肢も無く、ADAの機材を使用していた方が多かったのであまり問題にもなりませんでした。
時は流れて現在では様々なメーカーからソイルやCO2関連器具が発売されるようになりました。
この点は水草の世界が広がって良い時代になったと思いますが、各商品ごとに違いがあるため、できる水質が異なり、添加量も泡の大きさがまちまちなので、同じ1秒/1滴で添加したとしてもCO2濃度に違いがでるようになりました。
そのため、一見、同じように管理している水槽でも水草の調子に違いがでるようになってしまったのです。
CO2中毒になった熱帯魚(グローライトテトラとブラックネオンテトラ)。
CO2添加量が多すぎると生き物が「CO2中毒」になるので注意しましょう。
CO2中毒とは、その名の通り多すぎるCO2が原因で起きる中毒症状のことです。
見た目には「酸欠」とほとんど同じように見えますが、水草がしっかりと酸素の泡を出している状況で酸欠になる可能性は低いので、画像のような仕草を水槽の中の全ての魚がするようになったら要注意です。
CO2中毒になる濃度は水温や溶存酸素量に左右されるので、夏場の高水温が続くような時期は特に注意しましょう。
CO2添加をするなら、CO2中毒への対処法を予習しておくに越したことはありません。
もしもCO2中毒が発生したらすぐに換水をして対応しましょう。
こちらの記事で詳しくまとめましたので、ぜひご覧ください。
基本的に問題ありません。
エアレーションをすると多少は添加したCO2が空気中に逃げてしまうので、ちょっともったいないですね。
光合成をたっぷりしている水草水槽なら基本的に酸素はたくさん水中にありますので、酸素供給を目的としたエアレーションにはあまり意味がありません。
- セット初期で油膜がヒドイ
- 演出として泡のポコポコ感が欲しい
などの理由がない限り夜間エアレーションのみで良いでしょう。
基本的に変わりません。
CO2の添加量はあくまで「水量」「水質」「水草の種類」に左右されます。
- 様々な水草をモサモサと茂らせた水槽
- シンプルに1種の水草だけでデザインした水槽
どちらの場合であっても、同じ水量ならCO2の適正量はほとんど変わりません。
詳しくはこちらの記事で解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
私のおすすめの添加方法は「高圧ボンベ」を使った添加方式です。
添加量の調整もしやすく、安定して添加できることがその理由です。
- 大型ボンベ(通称ミドボン)にする
- 複数の水槽にCO2を分岐する
などの拡張性もありますので、ビギナーから上級者までおすすめできますよ。
自宅ではミドボンを使ってCO2を添加しています。
こちらの「ADAドロップチェッカー」を使えば簡単にCO2の適正量を知ることができます。
丸い玉のような部分に薬液を入れると、CO2添加量に応じて「青、緑、黄」と色が変化します。
水槽にセットしておけば直感的にCO2の適正量を把握できますので、とっても便利ですよ。
便利なので愛用しています!もし緑(適正量)なのに水草の調子が悪いのなら水質を疑いましょう。
実際のところ、こちらの表と同じくらい添加すればほとんどの水草を綺麗に育てることができますが後学のために正確なCO2適正量を知る方法も解説していきます。
専門的なお話になりますが、興味のある方はぜひご覧ください。
こちらは私がPHとKHの相関図から作った「CO2添加早見表」です。
これはよくある相関図の計算式を私の経験を加え修正したものです。
私はCO2を多めに添加したほうが結果が良いと考えているので、一般に知られているものよりも一段階多めの設定にしてあります。
見慣れないものですので、ちょっと戸惑うかもしれませんが順を追って説明していきます。
表の黄色がPH、青色がKH、それぞれが交わるところがCO2濃度です。
CO2濃度は下記のような形で表していますよ。
- (緑) 適量
- (紫) 丈夫な水草なら大丈夫
- (白) CO2不足
- (赤) CO2過剰
厳密にKHとは炭酸水素イオンと結合するカルシウムイオンとマグネシウムイオン濃度のことです。
計測することが難しいのでKH試薬は炭酸水素イオン(HCO-)+αを計測して炭酸カルシウム(CaCO3)の量として置き換えたものをドイツ硬度(dH)として表しています。
アルカリ度とは色々なアルカリ成分を炭酸カルシウム(CaCO3)に置き換えて、水中に炭酸カルシウムがどれだけあるかということです。
アクアリウムの世界ではKH(=アルカリ度)はPH変化の緩衝能力と思っていればOKです。
つまり
- アルカリ度が高い=緩衝能力が高い=PHが下がりずらい
- アルカリ度が低い=緩衝能力が低い=PHが下がりやすい
ということです。
水草水槽なら1~4くらいと思っておけば大丈夫ですよ。
ややっこしいですが日本の水道水の場合ほとんどの地域で問題無い数値ですのでそこまで気にする必要はありません。
pHメーター、KH測定キットなどを使い水質を計測します。
計った pHとKHからCO2濃度を割り出します。
緑のところにきていればベストです。
もし適正値になっていないようであれば、水質、添加量を調整して適正値になるようにしましょう。
以下、STEP1より繰り返しです。
今まで通りやっているのに水草の調子が悪くなるようなら、水質をチェックする癖を付けると良いでしょう。多くの場合、pHが高くなってCO2を水草が吸収できなくなっていることが多いです。
- PH6.8、KH3ならCO2濃度は18mg/ℓ → CO2添加量不足
PH6.5~6.6くらいになるまでCO2添加量を増やそう。
- PH7.0、KH8ならCO2濃度は30mg/ℓ → CO2量は十分、水質が合っていない
PH、KHが共に高いからCO2が光合成に利用できていないのでPH、KHを下げよう。
例えばこんな感じで、CO2添加早見表を使えばCO2の適正量を知ることができます。
一般的な水草水槽なら
- PH= 6.0~6.5
- KH= 1~4
このあたりを目安にすれば大丈夫ですよ。
割とCO2添加量が不足している方が多いのが現状です。
「水草の成長が悪い」と感じている方は添加量を調整してみてくださいね。
水道水のKHは大体3程度です(関東の場合)水換えを繰り返すうちに水質は水道水に近づいていきますよ。
これを知っているかで、水質についての意識が変わると思います。
もっと言うと水草が育てるのが格段に上手になりますよ。
先に結論を書くと
PHを下げることでCO2を水草が利用しやすくなります。
「水草の好きな水質=弱酸性」と言われるのはこのためですね。
それではもう一度、CO2添加早見表を見てみましょう。
PH6.7以降、CO2濃度がしっかりあるのにの値がなぜ紫かというと、それはCO2の持つ性質のためです。
水中に溶けたCO2は、「遊離炭酸(CO2)」と「炭酸水素イオン(HCO3-)」に分かれます。
その割合を左右するのがPHです。
水草が光合成に利用するのは遊離炭酸です。
ということは、PHが高いと「いくらCO2を添加しても水草が光合成に利用できない」のです。
遊離炭酸と炭酸水素イオンの割合をグラフにするとこんな感じです。
- 青い棒グラフ⇒ 遊離炭酸
- 赤のライン⇒ 炭酸水素イオン
- 縦軸⇒ %
- 横軸⇒ PH
こちらを表しています。
遊離炭酸と炭酸水素イオンはPH6.37でちょうど半々になり、PHが上がるとどんどん遊離炭酸の割合が少なくなります。
つまりPHが高いとたくさんCO2を添加していても、水草は光合成に利用できないという事なんです。
PH7.0では遊離炭酸の割合は20%程度ですが、PH6.0では70%程度が遊離炭酸として利用可能です。
50%も差がありますね!
このような事情から、「水草は弱酸性を好む」と言われています。
PHを下げて遊離炭酸の割合を増やせば添加量そのものを少なくすることも可能です。ガス代が節約できてお財布に優しくなりますよ!
- PHを下げる
- 硬度を下げる
水草水槽の水質調整は主にこちらの2つです。
本記事を読んで水質調整に興味を持ったのなら、ぜひこちらの記事もご覧ください。
水草水槽向けに水質調整をまとめてありますので、きっとお役に立つはずです。
今回は「CO2の適正量」について解説しました。
CO2の添加を始めたらこの表を元に添加量を調整しましょう。
水量 | 添加量(陰性水草メイン) | 添加量(陽性水草メイン) |
---|---|---|
15L | 3秒/1滴 | 2秒/1滴 |
30L | 2秒/1滴 | 1秒/1滴 |
60L | 1秒/1滴 | 1秒/ 1滴 ~ 2滴 |
100L | 1秒/2滴 | 1秒/ 2滴 ~ 3滴 |
150L | 1秒/3滴 | 1秒/ 3滴 ~ 4滴 |
300L | 1秒/4滴 | 1秒/ 5滴 ~ 7滴 |
650L | 1秒/8滴 | 1秒/ 9滴 ~ 15滴 |
しっかりとCO2添加をしているのに水草が綺麗に育たないようなら水質をチェックしましょう。
あとは水草の調子を見ながら加減すればOKです!
CO2添加量はちょっと多めくらいが丁度よいです!
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