本記事では「水槽レイアウトに使える石」を解説します。
レイアウト水槽の素材といえば「石」「流木」ですが、今回は石について掘り下げてご説明いたします。
「加工のしやすさ」「水質変化」など、特に水草レイアウターの方が気になる情報をしっかり調べてみました。
水草育てやすい石、育てにくい石などが分かる内容ですので、きっとお役に立つはずです。
初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説しますのでぜひご覧ください。

数あるレイアウト素材の中でも石は特に印象の強い素材です。
それは1つの石ができるまでに途方も無い時間がかかるからだと私は考えています。
道端のころんと落ちている石も数万年かけてそこにあるんだと思うと、なんだか浪漫を感じませんか?
レイアウトに1つ石を取り入れるだけでも雰囲気が出るのは、それだけの時間を内包しているからだと思います。
こちらがアクアリウムで使える主な石の種類です。まずはざっくり表にまとめました。
各石の詳しい解説は後ほど行いますのでさらっとご覧ください。
種類 | 色 | 質感 | 加工 | pH変化 | 硬度変化 | TDS変化 | 水草適正 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
青龍石系 | 寒色 | ゴツゴツ | △ | +1.9 | +40mg/L | +51ppm | △ |
黄虎石系 | 暖色 | 穴がある | ◎ | +1.1 | 変化無し | +18ppm | ◎ |
万天石 | 暖色 | ゴツゴツ | △ | +1.7 | +5mg/L | +23ppm | ◯ |
山谷石 | 黒 | ツルッと | △ | +1.5 | 変化無し | +12ppm | ◎ |
木化石 | 暖色 | ゴツゴツ | ◯ | +1.6 | 変化無し | +12ppm | ◎ |
赤木化石 | 暖色 | ザラザラ | ◎ | +0.9 | 変化無し | +17ppm | ◎ |
溶岩石 | 黒 | ザラザラ | ◎ | +1.2 | +5mg/L | +12ppm | ◯ |
川石 | 色々 | ツルっと | △ | +1.5 | +15mg/L | +26ppm | ◯ |
乱形石 | 暖色 | ザラザラ | ◯ | +1.5 | 変化無し | +10ppm | ◎ |
流通名の中からメジャーなものをチョイスしています。
同じ石でも販売元が違うと流通名が変わってしまうので、多くの名前を持つものは「~系」としています。
ざっくりと寒色、暖色、黒と分けました。
ものによっては微妙に色彩が異なるので選ぶ際は実際のレイアウト画像などでチェックしたほうが良いでしょう。
手にとった時の第一印象です。
ゴツゴツ、ザラザラとしている=表面に凹凸があるものはより、「迫力のある作品」「複雑な形状を活かす作品」に向きます。
凹凸の少ないツルっとしたものは「水の流れを表現する作品」「脇役」に向いているでしょう。
- ◎ 加工しやすい
- ◯ 加工できるけど、形が限られる
- △ 加工が難しい
加工のしやすさからこちらのように分けました。
◎の石は「タガネ」「かなづち」を使うことで、狙った形に加工しやすいです。
◯は割れやすいのですが、石の目に沿って割れてしまうなど加工は限定的です。
△は硬くて割れづらい石です。割れても格好良く割れないかもしれません。


- pH:6.0
- 全硬度(CaCO3換算):40mg/L
- TDS:54ppm
- ↑この水に72時間浸す
水草用ソイルの使用を想定し、こちらの条件で水質変化を記録しました。
検査に使用した水は自宅の水道水をpH6.0に調整したものです。
3日後に計測して変化した数値を基準値から引いたものを記載しました。
より変化の少ない石の方が水草が育ちやすいと考えてOKですよ。
水質チェックに使用した道具を後ほどご紹介します。
- ◎ 大量に使っても水草を育てやすい
- ◯ ほとんど場合で問題無く水草を育てられる
- △ 大量に使う場合は水質調整が必要
水草の育てやすさからこのように分類しました。
というか青龍石系の石以外は水草育成の邪魔にはならないでしょう。
ジオラマレイアウトなどで青龍石系の石を大量に使う場合は、硬度が大きく上昇してしまうので水質調整が必要になります。



- 龍王石
- 青龍石
- 昇竜石
- 青華石
など様々な流通名があります。
青灰色をした爽やかな印象の石です。
ゴツゴツとした複雑な形状の中に時折、白い筋が入る姿が格好良く人気がありますよ。
各メーカーより販売されていますが、中でも「ADA 龍王石」はクオリティーが高くおすすめです。
草原レイアウトや、ゴツゴツ感を活かした迫力あるレイアウトに向きますが、硬度を上げてしまうため、上級者向きの石と言えます。


- 黄虎石
- 松皮石
- 気孔石
などの流通名があります。
独特の穴が空いたようなユニークな形が面白いですね。
明るい茶色をした色彩は水草と相性が良く、優しい雰囲気の作品に似合います。
柔らかく加工しやすいのでジオラマレイアウトに向いています。


ADAのみ取り扱いのある日本の銘石。
なかなか実物を見ていただいても良さをお伝えしづらいのですが、妙に写真映えします。
流通量が少なく高価なこともあり、数を揃えるのが大変なのですが石組みレイアウトを作るなら1度は使いたい石ですね。
山で取れる石なのでゴツゴツしています。
荒々しい雰囲気を活かした迫力ある石組みが似合う石ですよ。


ツルっとした質感は癖が無くどんなレイアウトにも合わせやすいです。
「水草を活着させる土台」「石の土台」「石の角度を固定する用途」などレイアウトするよりも脇役としての出番が多い石です。
ほとんどが握り拳よりも小さなサイズです。大きなサイズはあまり流通しません。
安価なこともあり大量に確保しやすいのでジオラマレイアウトにも向きますよ。


名前の通り木の化石。
色合いもなんだか木を連想させる温かみのある茶系です。
層状になっており、四角い形をしているものが多いですね。
自然な雰囲気を作るというよりも、層状なことを活かして階段状に組むなどしたほうが面白いレイアウトになります。


木化石よりも赤みが強いものが多いことから通称「赤木化石」と呼ばれている石。
「紅木化石」と表記されることもあります。
こちらも層状になっているのでそれを活かしてレイアウトしたいところ。
柔らかいため加工しやすく目に沿って割れるため形を整えやすいですよ。
縦長のものが多いので、石を立てたデザインのレイアウトに向きます。


マグマが固まってできた石。
大きく分けると黒みが強いものと赤みが強いものがありますよ。
比較的安価に揃えやすいことから「水草を活着させる土台」「石の土台」「石の角度を固定する用途」などレイアウトの土台としても使いやすいです。
ゴツゴツとした質感は複雑な景観を作るのに向いており、表面の形状から積み上げやすいです。
柔らかく加工しやすいので、ジオラマレイアウトに向いています。


流れによってある程度角が取れた丸い石。
こちらのみ様々なタイプの石が混じるので混じった状態で水質変化を記録しました。
丸い形状は「水中感」を強く演出するので流れを感じさせるレイアウトに向いています。
ツルツルしているので石を積み上げるときは注意しましょう。



今回チェックした乱形石はこちら。
ピンク色に近い色をした明るい色味が特徴です。
薄っぺらい板状なので、基本的に積み上げるようにレイアウトすると良いでしょう。
縦に割るのは簡単なのですが、薄くスライスするのはとても難しいのが難点です。
ユニークなレイアウトを作りたい方におすすめです。

- 種類を揃える
- 形を揃える
- 色味を揃える
こちらが石選びのコツです。
基本的には1レイアウトにつき、1種類の石を使うようにしましょう。
複数の石を使用はバランスを取るのがとても難しいですよ。
また、同じ石であっても形、色彩が微妙に違うのでそこも揃えることでより完成度の高い作品になります。

とにかく量が必要です。
形をあまり気にしなくて良いのでとにかく量を確保しましょう。
- 黄虎石系
- 赤木化石
- 溶岩石
- 乱形石
こちらの石は加工しやすく比較的安価、そして水草育成の邪魔をしないのでジオラマレイアウトに向いていますよ。
加工して理想のレイアウトに仕上げるのがジオラマ系の特徴です。

形よりも量です!
- 割る
- 接着する
こちらが主な加工方法です。
道具さえあれば簡単にできちゃいますので、自由にレイアウトしたい方はぜひチャレンジしてみてください。
加工方法、接着剤については別記事をご用意しましたのでご覧ください。


レイアウトで石や流木を配置することを「構図を組む」と言います。
構図には基本的となる「凸構図」「凹構図」「三角構図」の3つがありますよ。
こちらの記事で簡単に解説していますので、興味のある方はご覧ください。

水草に適した水質は「弱酸性」「軟水」です。
水質が合っていないと「CO2の効きが悪い」「養分をあまり吸収しない」などの弊害が出ますので注意しましょう。
水草水槽の水質についてはこちらで詳しく解説しました。
興味のある方はぜひご覧ください。


石をたくさん使ったレイアウトを作る場合は特に問題になりやすいですよ!
- テトラ PH/KHマイナス
- マーフィード エコペーハー
- マーフィード エコ・TDSメーター
- 共立理化学研究所 ドロップテスト(全硬度)

私がpHを下げる時に使っている薬品はこちら。
塩酸と硫酸が主成分なので、しっかりとpHを下げることができます。

同機種を学生時代から使っています。
高価ですが高精度、故障が少ないことから愛用しています。

学生のころよりTDSを計る際はこちらを使っています。
TDSを計る機会はあまり無かったのですが、自作肥料の効果を探るときなどここのところ使用頻度が増してきています。
より詳しく硬度の変化を記録したかったのでこちらを使いました。
テトラGHテストなどよりも詳しく計れるので興味のある方は試してみてください。
今回は「水槽レイアウトに使える石」を解説しました。
しっかり調べてみると青龍石系の石以外は特に問題無く水草水槽で使えることが分かりました。
私は木化石をずっと硬度が上がる石と思っていたのですが、ただの思い違いだったようです。
データ取って比べることはやはり大切ですね(笑)。

少しづつ石の種類を増やしていきます!