どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は「水草水槽の水温」を解説します。
あまり注目されない要素ですが、水温は水草の代謝スピードを決める大切な要素です。
ヒーターや冷却ファンなど、水温をコントロールする機材を使って、どの季節でも「水草の適温」をキープできるようにしましょう。
「水質」「肥料」などと比べると簡単なので、この記事を見てサクッと覚えていただければ大丈夫です。
初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説していきますので、ぜひご覧ください。


(18℃)22℃~28℃(30℃)
※()内は一応の下限と上限です
こちらが水草水槽の適温です。
これ以下、でも以上でも、すぐにダメになるわけではありませんが無理なく管理できるのはこれくらいの範囲内です。
水草によって対応温度の幅にかなりの差があるので一概には言えないのですが、上記温度内で管理していれば今流通している水草のほとんどを問題無く育成することができます。
代謝スピードがかなり低下するので成長速度が低下します。
代謝スピードが上昇するので、より多くの光、養分、CO2を必要とします。

ヒーターを使い「25℃程度」にキープ
水は冷ますより温める方が簡単です。
そのため冬場の温度管理は簡単ですよ。
ヒーターを設置して電源を入れれば設定した温度まで温めてくれますので、水量に合ったヒーターをセットしましょう。


難しく考える必要はありません!

冷却ファンなどを使いできるだけ「30℃」を超えないようにする。
冬場は簡単ですが夏は大変です。
特に最近は尋常じゃないくらい暑い日があるので、油断できません。
冷却ファン、水槽用クーラー、エアコンなどを駆使して乗り切りましょう。
高水温対策についてはこちらの記事で詳しく解説しましたので、お困りの方はぜひご覧ください。

- 藻類が増えた
- 水草の調子が悪い
などなど、夏場になるとこのようなご相談が増えます。
高水温によって水草の代謝が上がるという事は「藻類」の代謝も上がるということです。
水温の上昇と共に発生量が増えることを経験している方は多いはず。
ここに水草水槽における「夏場の難しさ」があります。
夏場の難しさをイメージするとこんな感じです。
水温上昇
代謝上昇
増殖スピード増
「点灯時間を短く」「肥料を少なくする」「お掃除屋さんを増やす」などで対応
水温上昇
代謝上昇
各要素の要求量増
「 CO2添加量を増やす」「肥料を増やす」などで対応
水草に焦点を当てて考えると「代謝が増す→各要素の要求量増大に対応して各要素を増やす」という方向性が有効です。
しかし、藻類に焦点を当てて考えるとコレは逆効果にですね。藻類が増えます。
逆に藻類を少なくすることに集中すると「各要素を少なくする必要」がありますよ。
↑を続けると高水温で弱っている水草がさらに弱ります。
夏場に限らず水草水槽の永遠のテーマですが「藻類は少ないけど水草は元気」というところに各要素のバランスを調整する必要があるという事です。

夏場は「バランスの遊びの幅が狭くなる」と覚えておきましょう!

- 光
- CO2
- 水質
- 肥料
- 温度
水草の成長はこちらの5つの要素のバランスで決まります。
どれかが多すぎても少なすぎてもキレイに育たなくなってしまいますよ。
温度の場合だと、「水温が低すぎてもダメ」「高すぎてもダメ」ということですね。
「5つの要素のバランス」は水草育成の基本となる事柄です。
こちらの記事で分かりやすく解説しましたので、初心者の方はぜひご覧ください。

- 温度に合わせて他の要素を増やす
- 水温を下げる(おすすめ)
夏など水温が高い時期はこちらの2つの方向性でバランス調整をしましょう。
基本的には水温を下げることでバランスを取る方が簡単ですよ。
特に「CO2添加量を増やす」「肥料を増やすこと」が重要です。
バランスを取るのが難しいので、合わせて「水温」を下げる方向も考えましょう。



30℃以下まで水温を下げよう!
普段どおりの水温(例えば25℃)まで下げられれば、いつも通りの管理で大丈夫です。
とはいえ、真夏に25℃まで下げるのは大変なので、30℃以下にするのを目指すと良いでしょう。


エアコンを使えば冬でも夏でも対応することができます。
水槽1台の水温調整のためにエアコンを稼働させると電気代が割高ですが、
- 超大型水槽
- 水槽が複数台ある
- 他のペットがいる
などの状況では、エアコンを効率良く利用できるのではないでしょうか。
場合によっては、水槽毎に温度管理をするよりも維持費が安くなるかもしれませんよ。
エアコンを使用した場合の電気代についてはこちらの記事で目安となるものをまとめました。
興味のある方はぜひご覧ください。


高水温による藻類の発生量増大にはお掃除屋さん達を増やすことで対応するのが吉です。
点灯時間を短くしたり、肥料を少なくするのは「短期間」にして水草の調子を崩さないようにするのが夏場のコツ。
水草の元気が無くなってしまうと美しくないですし、なによりさらに藻類が増えてしまいます。
藻類予防の最良の方法は「元気な水草そのもの」ですよ。
こちらの記事で私が普段から行っている藻類対策をまとめてあります。
藻類でお困りの方はぜひご覧ください。


高水温時はお掃除屋さんの活性が鈍ります(特にエビ)。いつもより藻類を食べる量が少なくなりますので場合によっては追加して対応しましょう!

ミスト式で管理する場合、気温が「15~30℃以内」で無いとキレイに水草が育ちません。
ミスト式は水草水槽を簡単に立ち上げがことができるのが最大のポイントだと思うのですが、ちらほらとこんなご相談を受けます。
水草が育たない、、
水草が枯れる、、
これは温度が原因の場合が結構あります。
生き物の代謝は体温で決まるように植物の代謝も温度で決まります。
温度が高ければ代謝も高く、低ければ代謝も低くなりますよ。
そのため、室温が平均10℃くらいならほぼ成長はストップしますよ。
また、夏の暑い時期では水草が蒸れて溶けるように枯れてしまうこともあります。
ミスト式で立ち上げるなら、4月~6月、9月~11月くらいがおすすめです。
冬場、夏場など極端な気温の時は「エアコン」を使いましょう。



できれば20℃以上が望ましいです!
寒さに強い水草なら、冬場にヒーターを使わなくてもある程度育てることができます。
しっかりと育てるならヒーターの使用をおすすめしますが、メダカ水槽などヒーターを未設置の水槽で水草を育てる際はこちらの記事を参考に水草を選ぶと良いでしょう。


これは今のところ検証中のお話です。
興味のある方はクリックして開いてご覧ください。
遥か太古の昔、ラインヒーターという商品がありました。
電熱線を水槽底面に張り巡らせ、断続的に電源を入れることで底床内に対流を起こして底床内の微生物や根の働きを助けるものなんですが、寒冷地で水道が凍らないように配管に巻き付けるヒーターみたいな感じです(私は使ったことがありません)。
もう日本では流通していないと思いますが、ヨーロッパではまだあるのかな??
ダッチアクアリウムでは定番のアイテムでした。
冬場に底床内の水温が下がることで起こる弊害を何とかするためにあるシステムなんですが、日本はドイツ、オランダよりも温暖なので、冬季における底床内の温度低下はそれほど問題になりませんでした。
なので徐々に無くなってしまいました。
時は流れて現代、最近は盛り土をしたレイアウトが増えました。
ADAのレイアウトコンテストに合わせて作る方が多いので、あまり長期維持を考えてセッティングすることは少ないですが、厚く敷いた底床は長期維持を考えた場合、底床内の水の循環や温度管理を考えないと崩壊する危険があります。
長期間、底床内に水の動きが無いと、このようなことが起きます。
- 底床内が嫌気になって腐る
- 嫌気化により有益な土壌微生物が死ぬ
- ソイルの場合、崩れて泥状になる
こうなってしまうと環境を一から作り直す方が簡単なのでリセットする流れになります。
長期維持どころではないですね。
また、底床内の温度が低いと前景草の成長が鈍ったりします。
冬場に前景草が調子を崩した場合、底床内の温度が低いことが原因かもしれません(あんまり無いとは思いますが)。
根張りが悪かったりするのは土壌内の微生物の活性が悪くても起こりえます。
私はセット初期に微生物の増殖を促すために28℃くらいにして立ちげることが良くありますが、冬場は立ち上がった後もそのまま28℃でキープすることが多いです。
高水温で代謝がいいから調子が良いのか、底床まで温まるから良いのか微妙ですが、、
ちなみに確認したところ28℃だと底床内の温度は20℃くらいでした(冬場に底床に水温計をぶっさしてみました)。
経験的に夏場に25℃くらいでキープするのが水草水槽にとって一番良い気がするので底床内もある程度水温が高い方が土壌微生物達の活性が上がって調子が良くなるのでは??
と考えています(夏場は底床内の温度は25℃くらいでした)。
盛り土をしたレイアウトを長期維持する場合「底床内を好気的に保つことはかなり重要なのでは??」と考えていますよ。
そのめ最近は温度で循環させるのでは無く底面フィルターを外部式フィルターの吸水部分に使用することでもっと直接的に水を循環させています。
ちなみに、こちらで紹介している水槽は「底面フィルターを外部式フィルターの吸水部分に使用」していますよ。


また別記事で「外部式フィルターと底面式フィルター、外掛け式フィルター」を繋ぐ方法も解説しています。
興味のある方はぜひご覧ください。



Ordinary-Aquariumでは、私が今まで培ってきた水草育成の技術、知識を初心者の方にも分かりやすく解説しています。
どれも、実勢で試して有効なものばかりを厳選してまとめていますので、水草をもっと上手に育てたい方は、他の記事もぜひご覧ください。
今回は「水草水槽の適温」を解説しました。
冬場はヒーターをセットするだけので簡単ですが、夏場は工夫が必要です。
電気代を考えなければ、エアコンで管理してしまえばそれで全て解決します。
部屋ごと「暖めるor冷やす」ようにしてしまえば、底床内の温度も一緒に管理出来るので色々考えずに済みますね(笑)。
小型水槽は個別に管理したほうが安上がりですが、大型水槽ユーザーの方、水槽本数が多い方はまとめてエアコンで管理したほうが安いかもしれません。
ぜひ、一度エアコンの導入もご検討ください。

ヒーターが無い水槽は見栄えも良いですよ(笑)。