本記事は「水草水槽に最適な水質」について解説します。
水の質と書いて「水質」です。
目に見えないので見過ごされがちですが、水草を育てる上でとても重要です。
- ほとんどの水草が育てられる
- 藻類の少ない水槽を作れる
水草に適した水質が維持できるなら、こんな感じで簡単にキレイな水草水槽がキープできるようになります。
特に水質は「CO2」と「肥料」に深く関係しており、水質がコントロールできればより効率よくCO2、肥料を扱えるようになりますよ。
ということで今回は、「水草水槽に最適な水質」「水質をチェックする方法」「要注意の水槽」「水道水の水質にも注意」など、水質に関わることを解説いたします。
どなたでも簡単に理解していただけるよう、丁寧に進めていきます。
初心者の方にこそ知って欲しい内容ですので、ぜひご覧ください。
タップする目次
弱酸性の軟水(pH 5.5~6.5)
こちらが水草水槽に最適な水質です。
いきなり水質とか言われると難しい感じがしますが、他のことはとりあえず気にせず、pHを5.5~6.5以内にするのがコツですよ。
水草は水質が合っていないと、「CO2」「養分」が効率良く吸収できません。
CO2を添加しているけれど水草の調子が悪い、、、
肥料を入れたけど、藻類ばかり増える
こんな状況の場合は水質をチェックしましょう。

「pH 5.5~6.5」こちらは目安ですので、厳密に守らなくてもOKです!
- pH
- 硬度
こちらの2つの指標が水草水槽では特に重要です。
それぞれ簡単に解説しますので、この機会に覚えてしまいましょう。
pHとは、「水素イオン指数」のことです。
大体0~14までの数値で表し、7を中性として、7以下を酸性、以上をアルカリ性と呼びます。
アクアリウムにおいて水槽環境の指標としてよく使われますよ。
硬度とは、水の中にカルシウム、マグネシウムがどれだけあるかということです。
全硬度の高い水を「硬水」、低い水を「軟水」と呼びます。
GHはドイツの指標で「ジーエイチ」、THはアメリカの指標で「ティーエイチ」と読みます。
どちらも全硬度を表したものです(総硬度とも呼ばれます)。




適した水質下ではこのようなサイクルが回り初めます。
つまり、水草水槽における水質調整の意義は
水草のスイッチを入れること
にあります。
水質をpH6.5以下を目指して維持できれば、様々な要因が水草に有利に働くようになるので水草のスイッチが入ります。
1度スイッチが入り、良いサイクルが回り始めれば、水草自体が硬度を下げてくれるので自然とpHが下がりやすい環境になりますよ。


硬度を構成するカルシウムとマグネシウムは「水草の必須栄養素」です。
そのため、pH6,5以下にし、CO2を使いやすく、肥料の吸収効率をすることで水草自身が「カルシウム」と「マグネシウム」をより吸収するようになります。
その結果、硬度が低くなることでさらにpHが下がりやすくなります。
そして、より水草自身が生活しやすい「CO2を使いやすい」「肥料の吸収効率の良い」水質になるというわけです。





水草のスイッチが入ると、加速度的に環境が改善されるのはこのためです。調子の良い水槽はトコトン管理が楽なのですが、調子の悪い水槽は何をしてもダメなのはこのサイクルが回っていないからです!
水質が合っていない(pHが高い)場合、下記のような不具合が出ます。
- CO2不足から調子を崩す
- 肥料が吸収できず養分不足になる
- 余った肥料が原因で藻類が増殖する
水質が合っていない場合、いくら優秀なライトを使っても、CO2を添加してもキレイに育たなくなってしまいます。
水草用品たくさん揃えてるけど育たない、、、
なんて時は、水質をチェックしましょう。
水草の種類によっては育たなかったり、養分不足の症状が出ます。
とはいえ、弊害は少ないのでpHが高いよりずっとマシですよ。


現状、水草の調子が悪いのなら、もしかしたら原因は水質にあるのかもしれません。
まずは1度水質を計ってみましょう。
- まずはpHを計る
- pH6.5以下 ⇒OK!
- pH6.5以上 ⇒水質調整が必要かも
このようにまずはpHをチェックするのがおすすめです。
pHが6.5以下ならとりあえずOKです。
以上なら、硬度も高い可能性が高いのでチェックしましょう。
こちらが私のおすすめする水質チェックアイテムです。
お持ちで無い方はこの機会に手に入れましょう!
- テトラ テスト ペーハートロピカル試薬(5.0ー10.0)
- マーフィード エコ・ペーハーDUO
- テトラ テスト 総硬度試薬
- ADA パックチェッカーTH(全硬度)
- 共立理化学研究所 ドロップテスト(全硬度)
- マーフィード エコ・TDSメーター


付属の試験管に水槽の水と試薬を入れて色の変化でみるpHをチェックします。
アバウトに酸性~弱酸性~中性~弱アルカリ性~アルカリ性と測れます。
水質検査のエントリーモデルですね。
「初心者の方が水質を測るという感覚を掴むためのもの」という認識です。
しっかりと計るなら下記で紹介する「エコ・ペーハーDUO」がおすすめ。


デジタル体温計のような要領で、pHを0.1刻みで測ることができます。
試薬タイプより簡単に計測でき、かつ正確な数値がでるので持っていて損は無いですよ。
計測結果を10回まで記憶しておけるので、「この間はどうだっけ?」みたいなタイミングで重宝します。
ついでに水温も測れますよ。


付属の試験管に水槽の水と試薬を入れて色の変化でみる硬度をチェックします。
このあと紹介する「ADA TH測定キット」の方が簡単かつ正確に測定できますが、こちらの方がコスパは良いです。
どちらも「全硬度」を計ることに変わりはありませんのでお好みで選ぶと良いでしょう。
こちらで計測した場合、GH1~5程度であれば問題無いでしょう。


パックチューブの中に水槽水を入れて色の変化でチェックします。
試験管と見るタイプよりも簡単に作業ができるので初心者の方にもおすすめです。
その分、コスパが悪いので、「作業の手間」と「コスパ」を天秤にかけて選ぶと良いでしょう。
こちらで計測した場合、TH100以内(できれば50以内)であれば問題無いでしょう。
正直なところ、通常の水槽管理ではここまでのものは必要ないかもしれません。
高いですが、その分、正確かつ簡単に硬度を計ることができます。
私は「石」の水質変化を調べるために使いました。





水質チェックに興味のある方はチャレンジしてみるのも面白いと思いますよ!


TDS( 総電解物質 )を1刻みで計ることができるデジタルメーターです。
厳密には硬度を計るものではありませんが、代用することができます。
ざっくりとした目安ではありますが、TDS100以内を目指すようにすると、pHが下がりやすくなりますよ。
弱酸性の軟水(pH 5.5~6.5)
こちらの水草に適した水質と違う場合、調整が必要かもしれません(キレイに育っているなら不要です)。
水草水槽の水質調整の場合、以下のように進めると効率が良いですよ。
pHが下がらない⇒ STEP.3へ
ポイントはpHを先に調整してみてダメだったら硬度を調整することです。
硬度が高い場合、いくらpHを下げようとしても下がらないケースが多いので、
pHが全然下がらないよ!!
という場合は硬度を疑いましょう。
水草水槽の水質調整については、別記事で詳しく解説しました。
興味のある方はぜひご覧ください。




石を多用した水槽は石の影響により硬度が高くなりやすいです。
そのため、「高硬度⇒pHが下がらない⇒水草の調子が悪い」という悪循環に陥りやすいので注意しましょう。


- 龍王石
- 青龍石
- 昇竜石
- 青華石
特にこちらの石は硬度を強く上昇させるので、レイアウトでたくさん使うなら硬度対策は必須ですよ。
水質を調整しながらの水草育成は大変なので、初心者の方は流木をメインにしたレイアウトの方が良いかもしれません。
水槽で使う石の水質変化などはこちらの記事で詳しく解説しました。
1つ1つ実験して水質変化を記録しましたので、きっとお役にたつはずです!


水質調整をするのは大変なので、いっそのこと「今の環境でも育つ水草にする」という選択肢もあります。
水草は成長する過程で、カルシウム、マグネシウムを必要とするので元気に育つ水草があれば、少しづつ吸収して硬度は下がっていきます。
まずは現環境で育つ水草を植えて、ゆっくりと水質調整を水草自身にしてもらうというもの有効ですよ。




水槽に液体肥料(液肥)を入れる様子
「水草が育たないから、肥料を入れよう」
これはある意味では正解です。
水草が養分不足で調子を崩すこともありますから。
しかし、水質が合っていない場合、添加した肥料を水草が吸収できず余ってしまい藻類が大量に増えてしまうなんてトラブルも多いですよ。
そのため、肥料にチャレンジするのは諸々のチェックが終わってから最後にしましょう。




Ordinary-Aquariumでは30秒で診断できる水草育成チェックツールをご用意しています。
もし、水草がキレイに育たないことでお悩みでしたら、1度お試しください。
回答記事では簡単な対処法を解説しています。


正直にお話しすると、日本の水道水は「場所によっては」とっても優れているので水質調整をしなくともキレイな水草水槽を作ることができます。
しかし、地域によって水質に差がありますので、まずはお住まいの地域の水道水を調べてみると良いでしょう。
こちらの記事で、日本中の浄水場のデータをまとめて都道府県別に簡単に調べられるようにしました。
水道水の水質によって水草の育てやすさが大きく変わりますので、ぜひご利用ください。


新宿の水道水 | 数値 |
---|---|
pH | 7.5 前後 |
GH | 3 前後 |
※東京都は概ね同じような水質です
※場所、日によって微妙に異なります
例として新宿の水道水を例にしてみましょう。
pHは最適な数値(5.5~6.5)よりも高いですね。
これくらいなら、あまり気にする必要な無いでしょう。
とある場所の水道水 | 数値 |
---|---|
pH | 8 前後 |
GH | 8 前後 |
このように地域によって、pH、GHともに高い場合があります。
このような地域の場合、水質調整が大変です。
こちらの記事を参考に硬度を下げたうえでpH調整にチャレンジすると良いでしょう。


水道水の水質に恵まれない方は、換水をすると逆に水草が育たなくなる場合があります。
換水をする毎に水草に適さない水質になってしまうからです。
そこでおすすめするのが水槽用の「浄水器」の利用です。
画像のADA社の浄水器はカートリッジを「カチオンフィルター」に交換することで、軟水にすることができます。
水槽に入れる水道水の硬度成分を直接取り除けるので、換水するだけで硬度を下げることができますよ。





おすすめの硬度対策です!


Ordinary-Aquariumでは、私が今まで培ってきた水草育成の技術、知識を初心者の方にも分かりやすく解説しています。
どれも、実勢で試して有効なものばかりを厳選してまとめていますので、水草をもっと上手に育てたい方は、他の記事もぜひご覧ください。
今回は 「水草水槽に最適な水質」について解説しました。
弱酸性の軟水(pH 5.5~6.5)
こちらが水草水槽に最適な水質です。
これだけはぜひ覚えておいてください!
そして、pH調整をしてもpHが下がらないなら硬度を計ってみてくださいね。
適した水質になれば、ほとんど水草が育てられるようになります。
藻類にも悩まされず、マメなメンテに追われるような事も無くなるでしょう!



pH 5.5~6.5
しつこいようですが、覚えておいてください!