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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「IAPLC2019に出品した水槽の作り方」を解説します。
水草レイアウトの一連の流れを紹介しているブログは少ないですから皆さんの参考になれば幸いです。
コンセプト、構図組みから水草の植栽、完成まで余すことなくご紹介します。
最終的に応募したのがこちらの作品。
これからこちらの作品を空の状態から順を追って解説していきます。
順位は312位と振るいませんでしたが、これが今の僕の実力なのでしょう。
せっかくなので制作過程を皆さんと共有したいと思います。
水槽 | 120cm×60cm×60cm |
ろ過 | エーハイム2217と2215 |
ライト | ADA ソーラーRGB 2台 12時間点灯 |
CO2 | 自作ミキサーにて1秒/3滴 |
底床 | 川砂、川石 |
肥料 | オリジナル肥料を2~3日毎に適量 |
水温 | 18℃ ⇒ 22℃ |
PH | 6.0~6.5 |
GH | 3以下 |
KH | 3以下 |
TDS | 50~100ppm |
川底の風景&採取した流木を使う
これが今回のコンセプトです。
今回は泳がせる魚を最初から決めてます。
アラバマレインボーシャイナーを群泳させたいのです!
なのでレイアウトも魚に合うように「川の流れ」を特に意識して作ります。
そして「採集した流木のみでレイアウトする」これも今回やってみたかったこと。
海外産の流木はエキゾチックで素敵なものが多いですが、日本の川で採れる流木にフォーカスして作ってみます。
せっかく日本に生まれ住んでいるのですから、日本の川にある素材を使いたいと考えるようになりました。
IAPLCは国際的なコンテストだけに逆にその気持が強くなりましたね。
なので、今回使う流木は僕が地道に拾い集めたものだけです!
名前の通り、アメリカ原産のコイの仲間です。
雰囲気が日本産淡水魚にそっくりですね。
アブラハヤやウグイの色違いといった感じです。
温帯域の魚は「ある時期だけ激しく発色する」種類が多いのですが、こいつも同じで、発情するとメタリックピンク&ブルーになります!
こちらのISAAC SZABOさんの写真で見て以来、いつか泳がせようと思っていました。
ちなみに自然写真ならMaxwelさんも素晴らしいので一緒にお楽しみください。
ここから構図を組んでいきます。
石は何を使うか悩みましたが直線的な流木と相性の良い川石にしてみました(川石は自宅にたくさんあるし)。
洗濯ネットに軽石を入れたもので底上げ。今回は大量に使いました(100Lくらい)
前景となる川石を入れます。
手前から、「大きい川石 ⇒ 小さな川石」としてゆくことで遠近感を演出できます。
なので、ここでは大きめの川石から入れていきます。
今回のメインとなる流木を仮置してみます。
高さを出したかったので、洗濯ネットin軽石を枕のようにしています。
グリグリと流木を動かすと中の軽石が動いて安定させることができますよ。
その際に洗濯ネットが破れないように注意してください!
一旦、流木を取り出して、今回一番大きい川石を入れます。
入れる場所は先程の流木の手前。
大きな川石を入れたあとは、周りにさらに川石を追加しました。
先程の流木と組み合わせます。
大きな川石に流されてきた流木が引っかかっているイメージです。
シャックルとつなぐため、流木にヒートンをつけます。
流木がもろくなって外れてしまうと怖いので、念の為、3箇所つけました。
結束バンドでシャックルとヒートンをつなぎます。
この流木の場合は輪っかをいくつか連ねるようにしてつなぎました。
要は流木が浮かないようになればOKなので、状況に合わせてつなぎ方は工夫してくださいね。
シャックル、結束バンドは見切れてしまうと格好悪いので、石で隠します。
流木に重りをつけたら、準備完了。
一気に背面を盛っていきます。
ここからが、今回の構図組で一番時間の掛かったところ。
川で採集した細い流木を組み合わせていきます。
うーん、、
しっくり来ませんね。
もう一度採集に出かけて、もっと細いヤツをいれてみることにしました。
なんとなくまとまってきましたね。
ある程度、形がまとまってきたところで、流木を結束バンドで縛って固定します。
それぞれが確実に浮かぶので、最初に重りを付けた流木に固定していきます。
なんだか、右奥の盛り方が気になってきました。
そこで、思い切って右側の後ろ側をスッキリさせることにしました。
盛りを少なくすると底面に繋いだパイプが目立ってしまうので、取り外して違うタイプに変えます。
色を黒に変えて、間にコネクタを入れます(HIソケット)。
コネクタを入れることで、撮影時にパイプを取り外しできるようにしました。
右奥を大きく変えたので、流木のバランスや石組みなど細かく調整していきます。
最終的にできたのがこちら!
こちらを本作品の構図とします。
採集流木はかなりアクが出ることがあるので、植栽前に念のため、水に晒します。
「3日漬ける ⇒ 換水」を2回行いました。
かなり出るかと思ったんですが、ぜんぜん出ませんでした。ラッキー!
排水して植栽に移ります。
ここのところ、ウィローモスを巻く、接着するのでもなく、「塗る」ようにして活着させることが増えました.
小さな容器に水とモスを入れてハサミでみじん切り ⇒ ハケで水ごと塗っていきます。
※ミスト式で立ち上げる場合限定の活着方法です
塗るとこんな感じになるはずです。
モスの量はレイアウトイメージに合わせて調整してくださいね。
この活着方法、勝手に「モスペインティング」と呼んでいます。
このままミスト式で管理をすると「1週間~10日程度」で活着しますよ。
今のところ、ウィローモスでしかやったことが無いのですが、活着力の強いモスなら同様にできるはずです!
粗目の川砂なので、ニューラージパールグラスは植えずに石に巻きつけました。
ショートヘアーグラスは石の隙間に挟む感じです。
大丈夫です。これでもちゃんと育ちますよ。
広がって成長するので、ある程度感覚を空けて並べます。
ヒロハノエビモを石の隙間に配置するします。
植えられるスペースが無いので、鉛巻きにしておくことにしました。
鉛巻部分が見切れると格好悪いので、見えないように配置します。
このタイミングでミスト式を切り上げて水を張っています。
川辺りに生えている雑草(名前分からず)を植えてみることにしました。
こんな感じのやつを引っこ抜いてきました。
秋に獲ったのであまり綺麗じゃないですが、夏場は爽やかな雰囲気で素敵なんですよ。
※後にハイコヌカグサという草だと知りました。
植えるというよりは流木の上に置いた感じです。
1週間くらいで芽が出てきました。
イメージ通りに育つのか楽しみです。
これは夏に撮った近所の川。
こんな感じになるのを想定しています。
1ヶ月も経たずにこんな感じに茂りました。
ソーラーRGB直下ということもありますが、育成は簡単ですね。
ほんとに川辺りに生えているただの雑草なんですが、川岸の雰囲気を演出するのにピッタリの植物でした。
これからどんな成長をみせるのか楽しみです。
特に藻類が発生することも無く、順調に育っています。
石に巻いただけのニューラージパールグラス、石の隙間に差し込んだだけのショートヘアーグラスですが、順調な生育をしていますね。
水草は体がしっかりと「固定」されていれば、問題無く育てることができます。
水上部分は放っておくと、すぐにこんな感じに茂ってしまいます。
今回、トリミング回数が一番多かったのは、この草でしたね(名前分からず、、)。
下から見上げるとこんな感じ。
実際に川に潜っているような雰囲気になりました!
このあとは伸びたらトリミング、伸びたらトリミングの繰り返しなので、撮影まであまり代わり映えしません(笑)
ある程度水草が茂ったら、アラバマレインボーシャイナーを投入です。
飼い込まないと色の出ないお魚なので、じっくり育てることにしました。
水槽に入れたのは2018年12月半ばごろ。こちらの画像はたしか1月頃に撮ったものですね。
早く成長させたかったので、餌は1日3回あげていました。
日中は仕事に出ているので、3食ともエーハイムオートフィーダーを使っています。
結局、締切ギリギリまで成長させて色の出るのを待っていましたよ。
ショートヘアーグラスがかなり繁茂してしまったので、ガッツリ取り除きました。
ソイルは使わず、川砂だけしか使っていないのですが、液肥を毎日添加していたのでかなりの成長速度水草が繁茂してしまいます。
ショートヘアーグラスを取り除く作業は、撮影までに何度も行いました。
なんだかんだでこちらが完成カット。
毎日餌をあげる、水草が伸びたらトリミング。
基本的にはこれの繰り返しで撮影を迎えました。
水景の大筋は2018年12月半ばまでには完成していたので、そこから撮影までの5ヶ月半くらいは育成に費やしましたね。
かなり水草の量が多くなってしまったので、大きくトリミングをして撮影を迎えました。
結果は312位と振るいませんでしたが、勉強になった作品でした。
クッソ!次回はもっとマシな順位を獲ってやる!!
- コントラストが無い
- ウィローモス多すぎ
- 魚が少なく見える
こちらの3つが今回の主な反省点。
それぞれ自分なりに良くする方法を考えてみました。
石、流木、空間、影などそれぞれ別々のファクターの境界が曖昧で同じ「一つの塊」に見えてしまっています。
特に左背面が重たい印象になってしまったので、川の爽やかな風情が失われていますね。
- 強く影を作る
- ウィローモスを活着させるところにメリハリをつける
- 思い切って空間をあける
などの思い切った施策が必要でした。
水草植栽前の時点では、川の流れを連想させる荒々しさがもっとあったのですが、、、
水草の成長が与える水景の変化を上手くコントロールできませんでした。
コントラストが無いとかぶりますが、石と流木に対して全体的にウィローモスを活着させた結果、石なのか流木なのか曖昧になってしまいました。
結果論ですが、今回のレイアウトなら石には活着させない方が良かったですね。
ウィローモスを細かく切って塗る活着スタイルの「モスペインティング」は綺麗になるまで時間のかかる方法なのですが、その分、しっかりと活着します。
もっと少ない量でよかったみたいですね。。
まだ、そこまで回数をこなしていない活着方法なので読みが甘かったようです。
そもそも、そもそもですよ!
アラバマレインボーシャイナーが見せたいレイアウトだったのに、魚が全然目立っていない、、
アップで見ると良い感じなんですけどねー。
今回は50匹入れましたが、100~150匹くらい入れるべきでしたね(予算がすごいことになりますが)。
1年くらいかければMAXサイズまで成長するはずなので、それから撮影するなら50匹でも良いかもしれません。
発色も本気を出したらこんなもんじゃ無いんですが、今回の育成期間ではこれが精一杯でした。
もしかしたらアラバマレインボーシャイナーもタナゴなどと同様に「冬⇒春」のような水温変化から発情して発色するのかもしれませんね。
冬場は無加温の別水槽で育成して、春になったら本水槽へ移す、そして発情したら撮影なんてパターンが良いのかも?
撮影時だけお魚を入れる手法は嫌いなので、この方法にチャレンジすることは無いでしょうが、一応今後のために頭の片隅に入れておくことにします。
- 換水
- トリミング
- フィルターの掃除
- 点灯時間
- CO2添加量
- 立ち上げ時:週/1回50%
- 1か月~:2週/1回50%
ちょっと思うところがあって、最近はあんまり換水をしないで管理するようにしています。
水換/少、水換/多、両方の管理をしたら換水のメリット、デメリットが見えてきました。
水草レイアウトは水換えが一番!と言われていますが、どうやら時と場合によるようです。
今現在の私の思うところをこちらでまとめましたので興味のある方はぜひご覧ください。
- 2週間に1度バッサリ切る
- 3~4日に1回微調整
このようなルーチンでやっていました。
撮影2週間前くらいからは毎日手を入れて微調整してました。
日頃からルーチンを守ってトリミングしていると、狙ったタイミングで茂みサイズをコントロールできるようになります。
この辺りは経験が必要なので、日頃からガンガントリミングして感覚を掴みましょう。
制作期間中は1度も掃除しませんでした。
私はマメにフィルターを洗う方ではありません。
その方が調子が良いので(笑)。
マメに洗ってしまうといつまで経っても生物ろ過が成熟しないです。
【ろ過バクテリアの働き】生物ろ過を詳しく解説 ー白濁、臭いの無い水槽を目指してー12時間点灯です。
水草を綺麗に育てるために長めに設定しています。
今回は制作期間中、点灯時間は変えませんでした。
特に赤系水草は長い時間ライトを当てた方が発色が良いのでおすすめなのですが藻類には注意しましょう。
もし長時間点灯するならコツは最初から12時間点灯することです。
12時間点灯するということを前提としてバランスを取るとあまり藻類に悩まされないと思います。
自作のCO2ミキサーにて1秒/4滴入れています。
制作期間中はだいたいこれくらいを添加していました。
添加量が足りず水草が綺麗に育っていないという方は結構多いので添加量には気をつけましょう。
水温の調整だけアラバマレインボーシャイナーの発色を促すために、変えてみました。
水温 18℃ ⇒ 22℃
お魚を入れた当初は18℃で管理していました。
これは水草の成長速度を考えるとギリギリのライン。
今回使った水草達ならもっと低い水温でも枯れないのですが、成長速度がかなり遅くなってしまいます。
真冬だったので、クーラーを使わず、ヒーターを18℃設定で作動させるだけなのでお手軽でした。
しばらく18℃で管理をして、季節が春に近づくにつれ、自然の気温の上昇に合わせて変わるのに任せていましたよ。
4月くらいからは設定温度を22℃にして管理をしていました。
結論
4℃くらいの温度変化では効果なし
アラバマレインボーシャイナーをがっつり発情させるなら、もっとダイナミックな水温の変化が必要?
18℃⇒22℃程度の変化なら、無くても発色に影響無さそうなので、水草の育成にフォーカスして25℃くらいに管理したほうが良かったかも?
もしかしたら日照時間に長さも発情に影響しているかもしれません。「冬場⇒短い点灯時間」から徐々に長くしていくような管理も有効かもしれませんね。
いつかもう一度チャレンジしたいお魚です!
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