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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では世界水草レイアウトコンテスト2022 (IAPLC2022)に出品した「車輪水槽」の作り方を解説します。
本水槽は「世界967位」と不甲斐ない結果に終わりましたが廃自転車を構図素材にするという挑戦をしました。
完成した水槽がこちら。
制作過程を順を追ってご紹介していきます。
使用した水草、水槽サイズ、使用機材、メンテナンス、水質データなどは記事後半で解説いたしますので先にご覧になりたい方は目次をご利用ください!
世界水草レイアウトコンテスト(IAPLC)とはアクアリウムメーカーADAが主催している水草水槽のコンテストです。
通常年1回開催され世界中から様々な作品が出品されます。
頑張って探した打ち捨てられた自転車。
折りたたみ式の小さなものというのがミソ。
なぜ自転車を水槽の中に入れようと思ったのかはもう忘れてしまいましたが、きっと去年の作品と同様に廃墟感のある作品を作りたかったのでしょう。
捨てられている自転車なんてそこら辺にいっぱいあるだろうと思っていたけど、いざ探すとなるとぜんぜん見つかりませんでした。
毎日グーグル・マップのストリートビューで探し回ったのですがまったく見当たりません!
日本は超綺麗です。
埒が明かないので休みの日に近所を車でグルグルすることにしました。
田舎の家の庭にはよく使われなくなった自転車が放置してありますからそれを狙ったわけです。
休みの度に車でグルグルすること2週間くらい。
隣町の民家の庭先に良い感じに朽ちた自転車があるのを見つけました!
こんにちは!撮影(水槽の)で使う捨てられた自転車を探しているのですがお庭の自転車譲っていただけませんか!
、、、、、、いいですけど。
みたいなやり取りの末、無事に自転車を手に入れることができました。
良い素材を手に入れるには足を使って探すのが大切ですよ。
正直なところ感覚がつかめないのでまずは試しに自転車を入れてみました。
ちょっと大きすぎて入らないので金鋸で切ることにしました。
画像は真ん中くらいでカットした自転車を試しに入れてみたときのものです。
なんとか入りましたね。
サイズ感の確認ができたら実際に構図を組んでいきます。
構図組を始める前にまずはレンガと軽石で土台を作ります。
レンガや軽石を使いかさ増しをすることでソイルの使用量を節約できるだけでなく、素材を高く積み上げやすくなります。
リセットする際もソイルをスコップなどで出すよりも簡単に取り出せますからぜひレイアウトを作る際は取り入れてみてください。
フィルターは今回も底面式フィルターと外部式フィルターを直結して使うことにしました。
ちなみに下に敷いてる白い板は発泡スチロールです。
重たい素材を使う時は気持ち的に安心するので1番下に敷くようにしています。
浮力がとても強いので重たいものをしっかり上に載せないと浮き上がってしまうので注意してください!
ざっと組んでみたのがこちら。
組み合わせたのは去年も使用したコンクリと鉄管。
コンクリは水に入れるとPHと硬度を大きく上昇させるのでコーティングスプレーをしています。
去年スプレーしているものは何もせず、今年新しく使用するものだけコーティングをしました。
先にコンクリと鉄管を組んでからタイヤを左右に配置しました。
素材が特徴的なのでシンプルに凹型構図にして中央に空間を作っています。
ちょっとコンクリの印象が弱めなので追加していきます。
計画通りに組んでいるように見えますが、実際は適当に置いてみたら格好良かったものを採用していたりして結構行き当たりばったりですよ!
コンクリを追加して完成した構図がこちら。
強すぎるタイヤの印象も和らぎ、中央の奥行き感も嫌味が無い程度には強調できていると思います。
左側のコンクリを大きなものに変更してみました。
今回の構図組は自転車を使うということでまったく検討がついていなかったのですが、手を動かしているうちになんとか形になったのでホッとしました。
廃自転車入れた割に無難な形になったと思いませんか(笑)
構図が組めたらソイルを入れていきます。
今回は化粧砂を使わずに全面ソイルにしました。
最初は前景を化粧砂にしようかと考えていたのですが廃墟感が強くなってしまう&水草たくさん植えたかったので止めました。
土が入るだけでかなり柔らかな印象になりますよね。
今回は「JUN マスターソイルネクストHG スーパーパウダー 8L」を6袋使用しました。
ホームセンターで売っていたヤシガラの鉢を切って土留に使うことにしました。
見た目が自然なので見切れても見た目に気になりづらいのと安いのが良いですね。
時間経過で微生物に分解されてボロボロになるのが欠点です。
こんな感じに隙間にギュギュッと詰めていきます。
今回はパイプやらタイヤやらで隙間が大きく開いているところが多いので大きめにカットして土留にしています。
ホームセンターにある園芸用品やDIY用品などは工夫すればアクアリウムで利用できるものも多いです。
などは工夫すればアクアリウムで利用できるものも多いです。
お近くにホームセンターがある方はぜひ時間のある時に覗いてみてください!
素材と素材の隙間にもしっかりソイルを入れるのがポイントです。
隙間が埋まっていないと水を張った時に隙間にソイルが崩れていくので構図が壊れたり水が大きく濁る原因になるので注意しましょう。
ソイルを高く盛る場合は土留を入れながら少しづつソイルを追加すると崩れづらいです。
構図組み、ソイルを入れ終わったら水を入れていきます。
ソイルに勢い良く水をそそぐと濁りが強く出てしまうので注意が必要です。
水を濁らせずに注水する方法は動画でもご紹介していますのでぜひご覧ください。
ホースで注水できるように道具を工夫するのも大切ですので、これからの管理を楽にするためにも時間を作って換水用のホース、パイプを準備することをおすすめします!
特に問題無いと考えているからスタートしているのですが、水質によって育てられる水草の種類が変わるので一応確認しました。
PH6.0に調整した水を張って1週間程度放置して水質変化をチェックします。
- PH 6.0 ⇒ PH7.5
- 硬度 40mg/L ⇒ 80mg/L
こんな感じで変化しました。
去年のコンクリ水槽とほとんど同じ変化だったので軟水器があれば問題無しと判断しました。
石をレイアウトに使う場合、硬度を大きく上昇させてしまうものはそれだけ水草を育てることが難しくなります。
こちらの記事で石ごとの水質変化などをまとめてありますので、石をレイアウトに使う際はぜひご覧ください。
今回のDIYで作った軟水器を使いました。
こいつがあれば硬度の高い素材だって強気で使えちゃいます。
「イオン交換樹脂」を使って硬度を下げます。
イオン交換樹脂の再生処理という手間は発生しますが硬度を確実に下げることができるので、今回のような硬度を大きく上昇させてしまう状況では重宝しますよ。
軟水器の作り方は別記事でまとめましたので興味のある方はぜひご覧ください。
今回使用したのはこちらの10種です。
この他に後景に熱帯姫スイレンを追加で入れています。
廃自転車+コンクリの存在感に負けないように野性味の強いものを選びました。
軟水器を使うとはいえコンクリの影響により硬度が高くなるので硬度が高くても育てやすい水草を中心に選びました。
セット初期はアラグアイアレッドシャープリーフハイグロ、エリオカウロン キネレウムも植えていたのですがダメになってしまいました。
当ブログでは簡単に水草を探すことができる図鑑を用意していますので、水草選びに迷ったらぜひご利用ください!
水草植栽直後の様子がこちら。
前景と後景だけ植えました。
アンブリア、カルダミネ リラタ、アマゾンチドメグサ、タイワンガガブタ、ハイグロフィラ ピンナティフィダ、ペルー赤マツモは後ほど追加しています。
水草の配置の仕方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください!
こちらは中景に水草を追加して1ヶ月程度経ってから撮影した様子です。
思いっきりハンガーが写り込んでいるのは秘密。
中景はコンクリと廃自転車で植えるところが無いので鉛巻きにした水草を配置することにしました。こんな感じで3本1束程度しました。
水草は「動かなかれば」成長を始める特性を持つものが多いです。
アンブリア、カルダミネ リラタ、アマゾンチドメグサ、タイワンガガブタは鉛巻きにしてコンクリの間に配置。
ハイグロフィラ ピンナティフィダはコンクリの間にはさむように固定しました。
要は動かなければOKなのでレイアウトに合わせて色々と工夫してみましょう。
養分は水中から吸収するので底床に根を下ろしていなくても大丈夫ですよ!
徐々に形になってきましたね。
車輪が隠れてしまいましたがこれはこれで良しとしましょう。
水面にアクセントとしてペルー赤マツモを追加しました。
浮草系はレイアウト水槽ではあまり使われませんが野性味のある姿が素敵なので入れてみました。
赤い葉が良いアクセントになって良かったと思いますよ!
色々と悩んだ結果、今回のお魚は「コバルトブルーアカラ」にしました。
本当はネオランプロローグス ブリチャージの子育て風景を写真にしたかったのですがタイミングが合わず土壇場で断念しました。
MAX12cm程度の中型シクリッドです。
縄張り意識が強いので混泳には向きませんが見てくださいこの青色を!
めっちゃ綺麗だと思いませんか?
ちなみに周りを泳いでいるのが幼魚です。
今回も撮影は月刊アクアライフでお馴染みのMPJの専属カメラマン石渡俊晴さんにお願いしました。
写真のクオリティーが段違いなので私はいつもこの方にお願いしています。
値段は張りますがいつも「頼んでよかった」というクオリティーの写真になりますよ。
これだ!という1本ができたら撮影をお願いしてみてはどうでしょうか?
撮影のご依頼は石渡俊晴さんのTwitterアカウントからどうぞ!
これで完成です!
2匹入れたコバルトブルーアカラが丁度良い感じで中央に来た写真を応募しました。
結果は967位と良くありませんでしたがやり切ったので後悔はありませんでした。
今回も知見を深められたので次回の作品に活かしたいと思います!
- 車輪が見えないよ!
苦労して拾ってきた廃自転車なのに車輪が見えないじゃないか!
というのが反省点でしょうか。
出オチ感のある素材なので連発できませんが機会があったらまた自転車使ってレイアウトしてみようと思います!
毎回水草育てすぎてるな、、
水槽 | 120cm×60cm×60cm |
ろ過 | エーハイム2217 2台 底面フィルター直結 |
ライト | ADA ソーラーRGB 2台 12時間点灯 |
CO2 | 自作ミキサーにて1秒/4滴 |
底床 | JUN マスターソイル ネクストHG スーパーパウダー |
素材 | コンクリートブロック、鉄管、廃自転車 |
肥料 | オリジナル肥料を週2~3回程度 |
- 立ち上げから2週間:週/1回50%
- それ以降:1ヶ月/1回50%
今回のフィルターセッティング、底床ならマメな換水は必要無いのであまり換水をしませんでした。
最近ではこれくらいの換水間隔で管理することが多いです。
お住まいの地域の水道水の水質によってはマメな換水が逆効果になることもありますので、換水を頻繁にしない管理も時には有効ですよ。
換水頻度が少ない方が管理が楽ですから、楽できるところは楽をしてレイアウトに集中した方が良いというのが私の考えです。
- 伸びてきた葉を時々カットする
今回使用した水草はマメにカットするものが少なかったので時々伸びたものをカットする程度でした。
アンブリアはかなり成長が早いので10日に一度程度のペースでカットしていましたが、他の草は2~3週間に一度程度の間隔でいした。
前景に植えたショートヘアーグラスはもう少し管理期間が長かったらバッサリとトリミングしていたと思います。
制作期間中は1度も掃除しませんでした。
私はマメにフィルターを洗う方ではありません。
マメに洗ってしまうといつまで経っても生物ろ過が成熟しないので本調子にならないからです。
生物ろ過の仕組みについては別記事で詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
- 12時間点灯
を製作期間中ずっと続けました。
水草の成長速度が早いこと、水草の発色が良いことから私は12時間点灯で管理することが多いです。
管理途中から12時間に延長するとバランスが崩れて藻類が増殖してしまうことがありますが、最初から12時間で管理すると案外悩まされずに管理できますよ。
水草水槽の点灯時間や光のことについてはこちらの記事をご覧ください。
- 水温:26℃
- PH:6.5~7.5
- GH:3~10
- TDS:80~250
コンクリの影響により、大きくGHとTDSが変化しています。
GH(硬度)が上昇し始めたら軟水器の中のイオン交換樹脂の再生処理をして対応している感じですね。
軟水器で対応すれば硬度が激烈に上がる素材でもなんとかなります。
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