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【IAPLC2023出品】水のまにまにの作り方

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本記事では世界水草レイアウトコンテスト2023 (IAPLC2023)に出品した「水のまにまにの作り方を解説します。

本水槽は「世界251位」という結果に終わりました。

正直、もっと良い順位を期待していただけに悔しい結果となりました。

iaplc2023出品水槽 轟元気
タイトル「水のまにまに」

完成した水槽がこちら。

これから制作過程を順を追って紹介していきます。

使用した水草、水槽サイズ、使用機材、メンテナンス、水質データなどは記事後半で解説いたしますので先にご覧になりたい方は目次をご利用ください!

世界水草レイアウトコンテスト

世界水草レイアウトコンテスト(IAPLC)とはアクアリウムメーカーADAが主催している水草水槽のコンテストです。

通常年1回開催され世界中から様々な作品が出品されます。

公式ページでは上位作品を確認できますのでぜひご覧ください。

この記事の著者
轟元気

プロアクアリスト

轟元気

とどろきげんき

プロフィール

業界歴19年の中堅。現在は有限会社エイチ・ツーに所属し埼玉県坂戸市にあるアクアリウムショップ「e-scape」の店長をしています。本ブログ、Ordinary-Aquariumでは「水草水槽の知識」を中心に今までの経験を基にした実践的な知識、技術を初心者の方にも分かりやすく解説しています。プロフィール詳細リンク、転載、引用について

今回のテーマは川の風情を表現すること!

今回は近所の川の風情を表現することにしました!

このテーマは私が何度が挑戦しているのですが、なぜか数年おきに作りたくなるので好きなんでしょうね。

夏休みは毎日川に魚を取りに行くタイプでしたが、今ではちょいちょいその風景をレイアウトしたくなったようです。

この時のインプットが今に繋がっていると思うと、幼少期の経験に立ち返って見るのはレイアウトのアイデアを考えるときに有効かもしれませんね!

魚はゲオファーガスを入れたい!

  • レッドゲオファーガス
  • グローライトテトラ

こちらが今回泳がすお魚です。

最初から決めていました。

川なんだから日本の川魚入れなさいよと言われましたが、魚は魚で入れたいやつを入れたいじゃないですか。

構図素材

今回は使用するのは川石と直線的な流木。

どちらも採取してきたものです。

独創的なレイアウトを作るには?と考えたときにまず頭に浮かぶのは「他人とは違う素材を使う」ということだと思います。

IAPLCは世界中の方が参加するコンテストですから、日本独自の素材を使い方なぁというのが私の考え。

日本独自というよりは日本と同じような気候帯のところで採取できる素材ですが、それでも今流通している流木とは違った風情がありますよね。

採取物ならではの厄介さ(水に沈まない)などはありますが、対策すればどうということはありません。

川と言えば丸い石ですから石も丸いものをメインで集めてみました。

表面がちょっとゴツゴツしているものを選ぶと写真写りが良いですよ。

石、流木の採取について

河川法 第二十五条(土石等の採取の許可)

河川区域内の土地において土石(砂を含む。以下同じ。)を採取しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。河川区域内の土地において土石以外の河川の産出物で政令で指定したものを採取しようとする者も、同様とする。

河川法

河川法 第二十七条(土地の掘削等の許可)

川区域内の土地において土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為(前条第一項の許可に係る行為のためにするものを除く。)又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽易な行為については、この限りでない。

河川法

基本的に河川の石や川砂などの採取は禁止ですが「政令で定める軽易な行為についてはこの限りでない」とあります。

つまり「多少、石・流木拾いをするくらいであれば見逃してやる」ということですね。

軽易な行為とはなんとも抽象的な表現ですが自由使用の原則で考えると良いでしょう。

自由使用とは

河川を一般公衆が自由に使用できることをいい、例えば、魚釣り、散歩などをいいます。そのほか、趣味のための少量の砂利や玉石の採取も自由使用といえるでしょう。

このように、自由使用とは、誰でも河川を自由に使用できることをいいます。

ただし、家庭用水でも、ポンプを使って河川の水を汲み上げたり、自家用の砂利採取をトラックなどにより大量に持ち出すような行為は、自由使用の範囲を超えており、河川法の対象となるので注意してください。 

国土交通省北海道開発局

石を採取するなら事前に各河川を担当している部署に問い合わせてみましょう。

今回の私のケースですと荒川上流河川事務所に連絡してみました。

水槽で使用することを伝えると話がスムーズかと思います。

今のところ、ある程度自由に採取できるのが皆が常識の範囲で活用しているから。

一人でも非常識な奴が出てくると一切禁止になりますので、自己の責任、倫理、道徳の範囲でお楽しみください。

水槽で使った石は川に捨てない!

  • 水槽内の生物流出する恐れ
  • 水槽内の植物流出する恐れ
  • 水槽内の細菌流出する恐れ

などなど、本来その環境にいなかった動植物を拡散してしまう恐れがありますので、水槽で使用した石は元の河川に絶対に戻さないでください!

これも現状、強く禁止されていないのは各個人の常識に任せているから。

自己の責任、倫理、道徳の範囲できっちり最後まで処分しましょう。

ヒーターはコーナーカバー内に収納

ヒーターはコーナーカバーの中に格納して正面からは見えないようにしました。

向かって左奥に設置しました。

ヒーターは水草レイアウトの必須アイテムの一つですが見た目は超絶邪魔ですよね。

そこで活躍するのがコーナーカバーです。

簡単な加工で作れますからヒーターを隠してしまい方はぜひ試してください!

コーナーカバーの作り方は別記事で詳しく解説しています。

外部式フィルターは底面フィルターに接続

私の定番スタイル「外部式フィルター+底面フィルター」で今回も回します。

  • 強力な物理ろ過を外部式フィルターにプラス
  • 撮影時にパイプを外さなくて良い
  • 底床内に循環が生まれる

というのが主な採用理由。

外部式フィルターと底面式フィルターを接続する方法は別記事で詳しく解説しています。

興味のある方はぜひご覧ください。

土台組み

レンガ
軽石

ここからがレイアウトスタート。

ますはレンガと軽石で土台組みです。

今回は丸い石を使うので軽石を洗濯ネットに入れたものを枕のようにして石を安定させます。

大きな石を使う場合は角度調整がとても大変なので軽石&洗濯ネットは重宝しますよ。

軽石やレンガで底床を底上げする方法はこちらの記事で紹介していますので、レイアウトを作る方はぜひご覧ください。

1番下には発泡スチロール板を敷きました

1番下には発泡スチロール板を敷きました。

かなりの重量の石を配置するので一応の配慮です。

大きな石を配置しない中央部分は逆算して配置していません。

構図を組む

まずは石を入れてざっと構図を組んでいきます。

今回は頭の中で結構イメージが固まっていたので下書きのイラストなどは使わずにいきなり水槽で組みました。

中央に谷を作る凹構図での石組みです。

石の向きは水の流れを意識して右奥から左手前に向けて傾けています。

底床に入れた細かな石は

  • 手前⇒ 粗め
  • 奥⇒ 徐々に細かく

このように撒いています。

手前から石を少しづつ小さくすることで遠近感を強調する狙いです。

流木を追加する

大水の時に流れてきた流木が石にひっかかったイメージで流木を配置しました。

直線的な流木はあまり人気が無いのですが、流れを意識した水景デザインにはぴったりだと思っています。

個人的には。

今回拾ってきたのは恐らく杉などの針葉樹です。

鬼の持っている棍棒みたいになっている気の先端部分を探すのに苦労しました。

このゴツゴツ感が素敵だと思いませんか?

直線的な流木を活かすなら平行に並べてみるのがおすすめです。

今回は石の向きと合わせてみました。

右奥から左手前を意識した感じですね。

MEMO

日本の川だと売っている流木みたいなのは全然ありません。

流木を固定する

採取した流木は100%浮きます(そう考えたほうが無難)。

流木の上に大きめの石を配置して重しにしています。

かなりの浮力なのでがっちりと組合せて配置しました。

今回は接着剤を使いませんでしたが、レイアウトによっては接着剤も活用して固定すると良いでしょう。

石を抱かせる

手前の小さな流木は上に石を乗せると不格好なので下側に石を固定して重しにしました。

結束バンド(インシュロック)を使うと作業効率が良いのでおすすめ。

バンド部分が見切れると格好悪いので水草を活着させるか底床に埋めて隠しましょう。

ガラス面に石が接触するところ

背面、サイドなど石がガラス面に接触する場所にはプラダンを切って噛ませました。

ガラス面への傷予防と気持ち的に安心する効果があります。

見切れると格好悪いので、圧がかかっていない部分で見えちゃうところはカッターなどで切り取ると良いです。

隙間を潰す

これから盛り土をするために隙間を潰していくわけですが、なんと画像を撮るのを忘れてしまいました。。

申し訳ないです。。。

  • 隙間に大きめの砂利を詰める
  • 細かな隙間にはウールマットを細かくしたものを詰める
  • 最後に細かな砂利をかけるようにして詰める

言葉で説明するとこんな感じです。

盛り土のテクニックを紹介する記事でも解説していますのでぜひご覧ください。

ソイルを盛る

アオコ
グリーンウォーター

左右の奥をメインにソイルを入れました。

入れながら斜面に小さめの石を追加しています。

中央の部分は迷ったのですが小さな石をまくことにしました。

水草の植栽

植栽をして水を張ったところ。

水草はセット直後から植えることようにしていましたが、セット初期から植えると溶けてしまうものがあるので次回は空回ししてから水草を植えようかと考えていますが、今回はセット直後に植えました。

最初に植えた水草

ヘアーグラス類の植栽

背面⇒ ロングヘアーグラス

中央⇒ ヘアーグラス

手前⇒ ショートヘアーグラス

背の順に奥から植えています。

エキノドルス マヨールの植栽

エキノドルス マヨール(ラッフルソード)は左右に合わせて3箇所程度に配置。

大きくなる水草は奇数箇所に植えるとバランスが良いです。

ジャイアント南米ウィローモスの活着

ジャイアント南米ウィローモス(スパイキーモス)は糸で流木に活着させました。

ボンドでも作業できますがコケの仲間はなるべく糸で巻いたほうが仕上がりが綺麗です。

今回は直線的な流木なので簡単に巻けました。

水草を追加

ちょっと寂しかったのでへランチウム ボリヴィアヌム ‘ラチフォリウス’を手前側に追加しました。

藍藻禍

藍藻
アオコ

今回はセット初期より藍藻らんそうに悩まされました。

アオコとは水面に浮かぶタイプの藍藻です。

原因としては採取した流木に付いてきたのかな?と考えています。

藍藻臭かったし(ブルーチーズみたいな臭い)。

今回は換水で吸い出しつつオキシドールで対処しました。

それぞれの藻類対策は詳細記事がありますのでこちらをご覧ください。

いろんな藻類も増える

実験的に試作の肥料(秘密)を試したら、まぁたくさんの藻類が増えること。

うーん。内容を考え直さなきゃだなぁ。

こんな感じで自宅の水槽なので仕事先の水槽では試しづらい実験をしています。

幸い柔らかい藻類ばかりなので対処が簡単なので助かりました。

主に増えているのは茶苔トロロ昆布状の藻類です。

こちらも対策記事がありますのでぜひご覧ください。

MEMO

ある種の有機酸や腐食が多すぎるとこんな感じになるようです。また一つ勉強になった。

注水から1ヶ月後

  • 換水して藻類を吸い出す(週1回程度)
  • 藍藻にオキシドールをかける
  • シナヌマエビを投入

こちらの対応で綺麗になりました。

大量に投入した試作肥料のお陰で水草はぐんぐん成長しています。

シナヌマエビは川で採取してきました。

綺麗な川なら割とたくさんとれる外来種です。

藻類対策におすすめですので川遊びが好きな方はついでに捕まえると面白いですよ!

早めにお魚を入れて仕上げたかったのでグローライトテトラを投入しています。

MEMO

水槽に入れたシナヌマエビを再放流するのは絶対にダメです。色々と環境に影響を与える可能性があります。

セットから4ヶ月目

注水から4ヶ月後の様子。

間隔が開いたのはモチベが下がっていたから。

手前側の左右を見てもらえれば分かりますが、実はこの水槽は終盤まで藍藻に悩まされ続けました。

「モチベが下がる」なんてプロ失格の言い訳ですが人間そんなもんです。

仕事が忙しいと余暇で水槽触る余裕がなくなります。

元気
元気

ん?てことはブラック企業絶滅したらアクアリウム人口増えるかな?

ジャイアント南米ウィローモスのトリミング

ジャイアント南米ウィローモス(スパイキーモス)を中心にがっつりとトリミングしました。

これは撮影の約1ヶ月半くらい前です。

これくらいのタイミングから撮影を意識してトリミングしていきます。

コケの仲間は成長速度と活着力を考えて思い切ってカットするのがコツです。

手で剥がすように

活着力の強いモスは手で引っ張って剥がすようにトリミングすると自然な雰囲気に仕上がります。コケがしっかり活着しているところだけを残すイメージでバサッと取っちゃいましょう!

などの活着力の強いモスは手で引っ張るトリミング方法が向きます。

活着力が弱いモスは引っ張ると取れてしまうので注意してください。

ウィローモスのトリミングは別記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

MEMO

しっかり活着してるか確認してから引っ張りましょう!

エキノドルス マヨールが枯れる、、、

エキノドルス マヨールとへランチウム ボリヴィアヌム ‘ラチフォリウス’が突然枯れてしまいました、、

急激な養分不足が原因と思われます。

セット初期に入れた試作肥料の効果が切れたことが原因だと思われますが、、

セット初期の藻類と合わせて改良点が多いなぁ。

こんな感じで対応しました。

手前の方で泳いでいるのはちょっと前に入れたレッドゲオファーガスです。

主役を入れる

4月半ば頃、今回の主役であるレッドゲオファーガスを3匹入れました。

私は中型のシクリッドが好きなのですが、イマイチ水草と相性が悪いんですよね。

水草水槽に入れられるようになるともう少し人気が出ると思っているのですが、、

  • 小型魚との混泳には注意が必要
  • エビを食べる
  • 底床を掘る

ゲオファーガスにはこんな感じの特徴があるので正直言って水草水槽とは相性が悪いです。

綺麗なお魚なのでそれでも今回は入れてしまいました。

最後のトリミング

撮影の2週間前くらいに背面側のロングヘアーグラスを根本からカットしました。

ヌケ感が無くて重たい印象だったのでトリミングして光が入るようにしました。

大幅なトリミングはこれが最後。

ジャイアント南米ウィローモスをちょっと取り除くなどの細かなトリミングは撮影当日まで行いますが、大きなトリミングは撮影の2週間前くらいにはやっておきましょう。

水草の成長速度によってはもっと余裕を見たほうが良いですね。

最後の微調整

アオコ
グリーンウォーター

中央の1番奥の部分に細かな砂と川石の細かなものを追加。

遠近感をさらに強調します。

最奥に白いに近い砂を配置するだけでもかなり奥行き感が出ますのでお試しください。

かなり作為的な作戦なので賛否両論ある手法なのですが、私は作品によって取り入れるか決めています。

今回みたいな作風のレイアウトには合うと思っています。

完成!

iaplc2023出品水槽 轟元気

これで完成です!

3匹入れたレッドゲオファーガスとグローライトテトラの群れが良い感じです。

結果は251位とあまりありませんでしたがやり切ったので後悔はありませんでした。

今回も知見を深められたので次回の作品に活かしたいと思います!

今回の反省点

  • エキノドルス マヨール
  • へランチウム ボリヴィアヌム ‘ラチフォリウス’

こちらが枯れてしまったことが反省点です。

正直なところ、どちらも簡単な種類と侮っていました。

元気
元気

慢心ダメ絶対!

水槽データ

水槽120cm×60cm×60cm
ろ過エーハイム2217 2台 底面フィルター直結
ライトADA ソーラーRGB 2台 12時間点灯
CO2自作ミキサーにて1秒/4滴
底床JUN マスターソイル ネクストHG スーパーパウダー
素材採取した流木、川石
肥料オリジナル肥料を月に2~3回程度

管理データ

換水

  • 立ち上げから2週間:週/1回50%
  • それ以降:2週間/1回50%

今回のフィルターセッティング、底床ならマメな換水は必要無いのであまり換水をしませんでした。

最近ではこれくらいの換水間隔で管理することが多いです。

お住まいの地域の水道水の水質によってはマメな換水が逆効果になることもありますので、換水を頻繁にしない管理も時には有効ですよ。

換水頻度が少ない方が管理が楽ですから、楽できるところは楽をしてレイアウトに集中した方が良いというのが私の考えです。

トリミング

  • 伸びてきた葉を時々カットする

今回使用した水草はマメにカットするものが少なかったので時々伸びたものをカットする程度でした。

1番マメにカットしたのはジャイアント南米ウィローモスです。

コケの仲間はマメにトリミングしないと綺麗な茂みにならないので意外と手間がかかります。

フィルターの清掃

制作期間中は1度も掃除しませんでした。

私はマメにフィルターを洗う方ではありません。

マメに洗ってしまうといつまで経っても生物ろ過が成熟しないので本調子にならないからです。

生物ろ過の仕組みについては別記事で詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。

ライトの点灯時間

  • 12時間点灯

を製作期間中ずっと続けました。

水草の成長速度が早いこと、水草の発色が良いことから私は12時間点灯で管理することが多いです。

管理途中から12時間に延長するとバランスが崩れて藻類が増殖してしまうことがありますが、最初から12時間で管理すると案外悩まされずに管理できますよ。

水草水槽の点灯時間や光のことについてはこちらの記事をご覧ください。

水質データ

  • 水温:26℃
  • PH:6.0~6.5
  • GH:3~5
  • TDS:60~120

特に水質に影響を与えるものを入れていないのでずっと問題の無い数値で推移しました。