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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では水槽の「生物ろ過」を解説します。
生物ろ過の効いた水槽は臭いの無いピカッと透明な水になります。
水が透明な水槽はそれだけでも見ていてスカッとして心地が良いものですよね。
そこで今回は生物ろ過を担うろ過バクテリアについて詳しくご紹介していきます。
最終的には感覚で掴んでいかなければならない事柄と思っているのですが、なるべく客観的に分かりやすく解説していきますのでぜひご覧ください。
ろ過バクテリア(有機物分解菌、硝化菌、原生動物)ごとに詳細記事もありますので、本記事と合わせてご覧になるとより理解が深まります!
生物ろ過とは簡単に言うと「有機物分解菌、硝化菌、原生動物などのろ過バクテリアによって行われる汚れの分解過程のこと」です。
ようするに目に見えない小さな生き物たちが水槽の水を綺麗に保つ働きということです。
有機物分解菌が発生、増殖
バイオフィルムを形成
硝化菌、原生動物が定着
綺麗な水槽!
こちらが簡単な流れ。
有機物分解菌は「ふん」「残りエサ」「水草の枯葉」などを分解して小さな有機物にしバイオフィルムを形成します。
硝化菌は「アンモニア→亜硝酸→硝酸」と毒性の強いアンモニアを毒性の弱い硝酸に分解します(硝化作用)。
原生動物は「浮遊している白濁の原因菌」「病原菌」など他の不要なバクテリアを食べてくれます。
- 生体とともに
- 水草とともに
- 自然発生
などなど、基本的に水槽を新しくセットして時間が経過すれば何もしていなくてろ過バクテリアが発生、増殖していきます。
お魚を導入すればお魚に付着しているものが、水草を導入すれば水草に付着するものが増殖します。
水槽に水を張って放置するだけでも自然発生的に何らかの微生物が増殖することから、空気を介して移動するするものもあるようです。
- 時間経過
- ろ過バクテリアのご飯を増やす
- バクテリア剤の活用
- ろ材を過度に洗わない
- ろ材を使い回す
- 底床材を使い回す
- 水温を高くキープする
こちらの7つがろ過バクテリアを増やす方法です。
良し悪し、スピードを別にすれば時間さえかければどんな水槽でもろ過バクテリアは増えていきます。
あまり難しく考えずに参考程度にご覧ください。
いずれにしても時間はかかりますので気長に向き合ってください!
- 有機物の多い環境⇒ 3ヶ月程度
- 有機物の少ない環境⇒ 5ヶ月程度
どのような水槽であれ、これくらいの時間があれば大なり小なりろ過バクテリアは増殖します。
ろ過バクテリアは分裂で増えていきますので、一気に増やすことは難しいです。
1~2日程度では大きな変化はないかもしれませんが、1~2週間単位で見ていくと変化が実感できるはずです。
気長に向き合いましょう。
- 腐葉土のような成分(腐植)
- 残り餌
- 生き物のフン
- 水草の枯れ葉
などなど、ろ過バクテリアのご飯となる有機物が多い環境ほどろ過バクテリアは増えやすいです。
残り餌、フン、枯れ葉が多い環境=汚れの多い環境ということですので、ろ過バクテリアのためにあえて増やす必要は無いと考えています。
自然に管理しながらそこから発生する汚れを食べて増やすイメージでOKです。
水草用の養分の多いソイル(土)を使うとろ過バクテリアが増殖しやすいので、水槽スタイルによってはソイルを活用するのは「アリ」です。
パイロットフィッシュ
パイロットフィッシュとは、水槽のセット初期などろ過バクテリアの少ない環境に入れてろ過バクテリアの成熟を促すお魚のこと。
お魚の入れることで、餌を与える⇒フンをすることからろ過バクテリアのご飯を増やすというわけです。
ある程度不安定な環境に入れることから丈夫なお魚をパイロットフィッシュとして入れることが多いです。
おすすめのパイロットフィッシュについてはこちらの記事をご覧ください。
優秀なバクテリア剤を使うことでセット初期の水槽でもある程度ろ過バクテリアが増えている状態を作ることができます。
「バクテリア剤はどのような水槽でも必ず使う必要があるのか」と聞かれたら、それはNOです。
有効に使える水槽、使い方がありますのでスタイルに合わせて導入するか決めると良いでしょう。
おすすめのバクテリア剤、使い方についてはこちらの記事をご覧ください。
フィルターの中のろ材を頻繁に洗浄してしまうと「バイオフィルム」が崩れてしまうので、いつまで経っても「成熟した生物ろ過」になりません。
フィルターのお掃除は、目詰まりするギリギリくらいのタイミングが良いですよ。
あまり神経質にならず「放って置く」くらいが丁度良いです。
有機物の蓄積
ろ過バクテリアの増殖
バイオフィルムが発達
水が綺麗になる
という順序なので、ろ過バクテリアの増殖前に有機物を取り除いたり、バイオフィルムが発達する前にフィルターを洗ってしまうと最初からやり直しになってしまいます。
「溜まった有機物」「バイオフィルム」は見た感じただの汚れなので取り除きたい気持ちは分かるのですが、ある程度ないと何時まで経っても綺麗なお水になりませんよ。
良い意味で洗わないというのがろ過成熟のコツだと思っています!
他の水槽で使用していたろ材を流用すると早くろ過バクテリアを増殖させることができます。
要は、ろ材に着いていたろ過バクテリアを引っ越しさせるといことです。
今まで他の水槽で活躍していたわけですから、新しい水槽に来てもある程度活躍してくれることが期待できます。
水槽を作り変える際はフィルターの中のろ材をあまり洗い過ぎないようにしましょう。
水槽で使用していた底床材。
ろ材と同様に底床(ソイルや砂利のこと)を流用することでろ過バクテリアを移植することができます。
水槽の新規セット時にしかできない方法ですが簡単かつ強力な方法です。
底床の1部または全てを使用済みのものを流用しましょう
砂、砂利の場合は洗って何度でも使うことができますがソイルの再利用には色々と手間がかかります。
ソイルを種ソイルに使用する場合は少しだけ使うようにしましょう。
28~30℃
など、水温が高い状態の方がろ過バクテリアの増殖スピードが早くなります。
水槽セット初期など、一時的に水温を高くしてキープするとろ過バクテリアの成熟を早めることができます。
特に冬期は底床内の温度が低くなりやすいことからヒーターを利用して水温を高くキープして成熟を待つ方法が有効です。
とはいえ、無理に高水温にする必要はありませんので、早く水槽環境を安定させたいときの裏技として覚えておくと良いでしょう。
セット直後から安定するまでの「生物ろ過の成熟過程」を解説していきます。
ろ過バクテリアは「有機物の量」によって増殖スピードに差が出ます。
そこで有機物量の多いソイル系底床、少ない砂利、砂系底床を使用した場合のケースに分けてご紹介します。
- ソイルに含まれる有機物を使いろ過バクテリアが発生、増殖する
- 水の透明度が低い、匂いがある
- 藻類が多く発生する
水槽の管理で一番難しい時期です。
ここで「有益なろ過バクテリアを優勢にできるか」が今後の水槽コンディションを決めます。
この時期は何か問題が発生した場合は換水にて対処するのが無難です。
頻繁にフィルターを洗ってしまうといつまで経ってもこの先へ進まないので注意 しましょう!
- 有機物の減少に伴い、ろ過バクテリアの増殖スピードも落ち着く
- バイオフィルムが安定し汚れが分解され水の透明度が高くなり始める
ここまでくれば一安心。
ひとまずお魚の飼育、水草の育成ができる環境です。
環境が徐々に安定していることを実感できるはず。
藻類も落ち着き、お魚、水草も調子良くキープできます。
でも、フィルターを過度にイジってしまうと次に進まないので注意 。
- 有機物量の減少に伴い、ろ過バクテリアの増殖が停止する
- 汚れが自然と分解され少なくなる(完全には無くなりません)
- バイオフィルムの凝集吸着作用が高くなる
ここまでくると「 水が入って無いように見えるくらい透明な水 」 になります。
どんな種類のお魚も水草も育てられるんじゃないか?と感じるくらい調子が良い はずです!
- 生体の排泄物、残り餌、枯葉等の蓄積により水槽内の有機物が徐々に増える
- 蓄積した有機物を使い微生物が徐々に増殖する
- 有機物が少ない分、汚れの発生も少ない
真っ新な状態からのスタートは汚れも無いので思っているほど問題が起きません。
なんだ、簡単じゃん♪と油断しがちなので注意しましょう。
- 蓄積した有機物を使いろ過バクテリアが発生、増殖する
- 水の透明度が低い、匂いがある
- 藻類が多く発生する
※ここからは、上記ソイルの場合と一緒です。
水槽の管理で一番難しい時期です。
ここで「有益なろ過バクテリアを優勢にできるか」が今後の水槽コンディションを決めます。
何か問題が発生した場合は換水にて対処するのが無難です。
頻繁にフィルターを洗ってしまうといつまで経ってもこの先へ進まないので注意 しましょう!
- 有機物の減少に伴い、ろ過バクテリアの増殖スピードも落ち着く
- バイオフィルムが安定し汚れが分解され水の透明度が高くなり始める
ここまでくれば一安心。
ひとまずお魚の飼育、水草の育成ができる環境です。
環境が徐々に安定していることを実感できるはずです。藻類も落ち着き、お魚、水草も調子良くキープできます。
でも、フィルターを過度にイジってしまうと次に進まないので注意 。
- 有機物量の減少に伴い、ろ過バクテリアの増殖が停止する
- 汚れが自然と分解され少なくなる(完全には無くなりません)
- バイオフィルムの凝集吸着作用が高くなる
ここまでくると「 水が入って無いように見えるくらい透明な水 」 になります。
どんな種類のお魚も水草も育てられるんじゃないか?と感じるくらい調子が良い はずです!
一長一短なので一概にどちらが良いと決めることはできませんが私は下記のようにおすすめすることが多いです。
初心者の方は「吸着系ソイル」「砂利、砂」を使うと失敗が少ないです。
本格的なレイアウト水槽を作るなら「栄養系ソイル」がおすすめです。
- 有機物の量が多い=ろ過バクテリアの発生量が多い
- 立ち上げ時不安定(特に養分の多いソイル)
- 有機物が溜まるまでバクテリアは多く発生しない
- 立ち上がるまでの時間が長い
- 立ち上げ時のトラブルが少ない
- ろ材
- 底床
こちらの2つが主な増殖場所です。
実際のところはろ過バクテリアは水が接触しているところならどこでも増えます。
美観や管理のことを色々と考えるとろ材、底床の2箇所で増やすとしまった方がシンプルに考えられますよ。
ろ材はフィルターの中に入れて使用するわけですが、生物ろ過に向いたフィルターを使用することでより強力な生物ろ過を作ることができます。
生物ろ過に向いたフィルターは後ほどご紹介します。
- 生体メインの水槽⇒ 薄め(5mm~3cm程度)
- 水草メインの水槽⇒ 手前1cm、奥6cm程度(レイアウトによって変わる)
目安はこちら。
ろ過バクテリアのことを考えると厚く敷く方が増えるのですが、底床のお掃除の手間が増えることもあり必ずしも有用ではありません。
私は生体メインの水槽の場合は薄く敷き、水草水槽の場合は状況に応じて厚みを変えています。
底床の厚みに関してはろ過バクテリア以外の事情を優先して決めると良いでしょう。
生体メインの水槽でも水草を植える場合はちょっと厚く敷きましょう!
- 硝化作用を確認する
- 「水」を見る
こちらの2つの方法でチェックすることができます。
残念ながら、生物ろ過全体の働きを客観的に数値でチェックする方法はありません。
硝化菌の働きである「硝化作用」は具体的に数値で確認できます。
硝化作用をチェックすることでで間接的に生物ろ過全体の立ち上がりを知ることができます。
硝化作用が十分に機能している
バイオフィルムに硝化菌が定着している
バイオフィルムはある程度成熟している
こんな感じですね。
生物ろ過全体を見るには「水」を見るしかありません。
これは水の透明度に現れるので慣れてくると次第に分かるようになりますよ。
硝化作用をチェックする方法は硝化菌の記事で詳しく解説していますので、お時間のある際にぜひご確認ください。
- 底面式フィルター
- 上部式フィルター
- 外部式フィルター
- オーバーフロー式
水槽のフィルターには様々なタイプがありますがこちらの4タイプは特に生物ろ過と愛称が良いです。
生物ろ過を重視する水槽ならこちらのタイプのフィルターを使うと良いでしょう。
「マメに掃除をすると生物ろ過は成熟しない」
これを踏まえると生物ろ過に向いているフィルターは頻繁に目詰まりしない「ろ材容量の大きいもの」が良いと言えます。
フィルターの種類やフィルターに入れて使うろ材については別記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
- 生体の数を過度に多くしない(お掃除屋さんを除く)
- 汚れづらいエサを使う
- エサは少なめに
- 物理ろ材に頼りすぎない
こちらの4点を意識することでフィルターの「目詰まり」を少なくすることができます。
フィルターが目詰まりしたらさすがにお掃除をしなければなりません。
ろ材をお掃除すると、どんなに丁寧にお掃除したとしてもバイオフィルムが壊れてしまうのでろ過能力が低下してしまいます。
生物ろ過の成熟のためにも「なるべく目詰まりさせない工夫」が必要です。
生体の数を過度に多くしない
生体の数は適正量を守って入れましょう。
もし、生体をたくさん入れたいなら、「水量を増やす」「フィルターを増やす」などしましょう。
水槽で飼育できる魚の数を解説した記事もありますのでぜひご覧ください。
汚れづらいエサを使う
水槽内で発生する汚れの多くは餌に由来します。
汚れづらい餌を使うことで、汚れそのものを少なくすることが可能ですよ。
おすすめの餌をご紹介している記事もご用意しましたのでぜひご覧ください。
エサは少なめに
残り餌は強力に水を汚します。
なるべく残り餌が出ないように注意しながら与えましょう。
お魚に与える餌の量などを解説した記事もありますのでぜひご覧ください。
物理ろ材に頼りすぎない
ろ材の中で最も目詰まりしやすいのは物理ろ材です。
物理ろ材とはウールマットなどの大きな汚れを濾し取るろ材のことです。
特に掃除の大変な外部式フィルターは物理ろ材と相性が悪いので注意しましょう。
外部式フィルターのろ材セッティングに関してはこちらの記事で詳しく解説しましたのでぜひご覧ください。
- 立ち上げから数ヶ月経っている
- 水槽に見合ったフィルター、ろ材を使用している
- フィルターもあまりいじっていない
それでも水が透明にならない、、、、
それはもしかしたら「悪玉菌」が優勢になっているのかもしれません。
そんな時は「バクテリアを全滅」させるくらいのイメージでしっかりと洗うか、新しいろ材に変えてしまいましょう。
もう一度、ろ過バクテリアを増やし直すイメージですね。
バクテリア剤を使って有益なバクテリアを入れるのも効果的ですよ。
今回は「生物ろ過」について解説しました。
まるで水が無いかのように見えるほど透明な水槽、、、
憧れますよね!
これを作るにはろ過バクテリアの力を借りた「生物ろ過の成熟」が不可欠です。
目に見えない部分の動きなので最初はなんのことだか分からないかもしれませんが「1本の水槽を初めから、終わりまで管理する」ということを何度か繰り返すうちに徐々に感じ取れるようになりますよ。
諦めずにチャレンジしてください!
フィルターをお掃除しすぎないことがコツです!
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