本記事では「世界水草レイアウトコンテスト2018出品水槽の作り方vol1」を解説します。
vol1は構図組からコケの活着までをご紹介です。
本水槽は「世界27位」「山崎美津夫特別審査員賞」を受賞した思い出深い作品。
途中、画像を撮り忘れているところもちらほらありますが、隠すこと無く技術を公開しています。
水草レイアウトに興味のある方はぜひご覧ください。
私は常に複数のレイアウト水槽案が頭にあるのですが、具体的になっているかというとそうでもありません。
- 遺跡みたい感じで~
- 廃墟のような~
- ビオトープアクアリウムを取り入れたい~
- ダッチアクアリウムを取り入れたい~
- 洞窟っぽいやつ~
- 大型魚を入れて「ヌシ」みたいな感じを出したい~
などなど、思い立ったことをメモしてある程度です(メモらないことの方が多いですが)。
また、読書が趣味ということもあり、本からインスピレーションを得ることが多いですよ。
今回はなんとなく遺跡っぽい雰囲気でいきたいなぁと考えていました。

私は絵が描けません。その代わりにイメージを言葉にして紙に書き殴ってまとめるようにしています。絵心0でもレイアウトはできますよ!
前々から目を付けていたこちらの石を段々にしたら遺跡っぽくなるかもと思い、とりあえず取り寄せてみることにしました。
乱形石というオシャレなマンションとかのエントランスに使われている石です。
遺跡っぽい感じだと「灰色」だとか「黒」などの色彩の石の方が雰囲気が出そうですが、なんだかつまらない感じがしたので明るい赤色にしてみました。
特に大きな変化はありませんでした。
生体、水草ともに問題無く育成できましたよ。



普段から新しいレイアウト素材を探しています。色々な素材を試してみるのは面白いですよ!


イケるかどうか、まずは適当に置いてチェックしてみます。
「おぉーなんかイケそうだ」と感じたらそのその素材は当りですね。
うん。
なんだか面白そうなのでコレでいってみることにします。


まずは発砲スチロール、レンガで土台を作ります。
ガラスに直接レンガを置くのに抵抗があったので発泡スチロールを下に引いています。
理屈の面から言うと無くても大丈夫なのですが、ここは気持ちを優先させていますよ。


ザッと勢いで組んでみたのがこちら。
今回の構図は左右にボリュームを出し、中央に空間を作る凹型構図で制作することにしました。
真ん中の空間には「道」を作りますよ。
道部分にはあまり水草を植えないので、最初からレンガで土台を作っています。
中央の背の高くなっているところが道になるところです。
凹型で作る場合、左右のバランスが50/50になってしまうと自然な雰囲気になりません。
「60/40」「70/30」くらいの割合で左右の比重を分けましょう!


う~ん。のっぺりしていてイマイチですね。
何パターンか試してみます。














なんとなく形が見えてきました。
右奥にもう1つ石の山を作ってバランスを取ってみました。
また、左側の石は手前に大きくせり出すようにして影を作ってみました。
影は水景に深みを出してくれる重要ポイントです。



ちなみに影のチェックをする時は画像を「白黒」にすると分かりやすいですよ。


思った以上に荒々しい印象になりました。
石のジェンガみたいだったのですが、思った以上にバランスが良く仕上がったので接着して固定するのは止めました(接着が面倒だったというのは秘密)。


う~ん、荒々しくて素敵。
ちなみにこのあと水草を植えて隠れてしまい、荒々しさが消えてしまいます。今回の反省点です。


私の定番テクニックである「ニッソースライドベースフィルターを外部式フィルターの給水口に接続」する方法。
底床内の温度対策&パイプを隠す目的です。
盛り土をする場合、フィルター配管の取り回しに苦労しますがこれなら底床の中に隠せるので便利ですよ。
ちなみにこの底面には呼び径13の塩ビパイプがすっぽり入ります。
こちらの記事で詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。


こちらも定番テクニック。
左右の石の後ろは、「軽石を洗濯ネットに入れたもの」でさらに底上げしています。
かれこれ4年くらい使いまわしている軽石です。
ソイル節約&底床バクテリアの種として機能しますよ。
ネットに入れておけば移動が簡単なので、水槽セット、片付けどちらの時にも便利です。
レンガと合わせて用意しておくとレイアウト制作がさらに便利になりますよ。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。




このように石は割って形を調整しています。
この石は目に沿って割れるようでしたので、その雰囲気を活かしてレイアウトしてみました。
中央の道部分に使っているのは、割れる際に出た破片を使っています。


ソイルを入れる前にしっかり土留めをします。
今回は白い化粧砂を使う予定なのでソイル漏れは厳禁です。
漏れる穴はしっかりと塞いでいきましょう。
上記の画像は石組みを後ろか撮ったものです。
左右の後景部分には一番高いところで40cmくらいソイルを盛る予定なので、余った石を使って隙間を埋めました。


ソイルを入れつつ、ウールマットで隙間部分を覆っていきます。
今回は石の裏側が壁のようになったので前面にウールマットを広げています。
このような場合ではソイル自身の重みで石に張り付くようにウールを入れると良いでしょう。
こちらの記事でオーソドックスな「盛土レイアウトの作り方」をご紹介しています。
「土留の方法」なども動画付きで丁寧に解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。




漏れに注意しつつ少しづつソイルを足していきます。
左右に山になるようにソイルを盛っていきますが、土留めが無いと崩れてしまいます。
かと言って水草を植えたい場所なので、石などではスペースが無くなってしまいます。
そこで便利なのが「1mm厚のプラスチック板」です。
適当な大きさにカットしてソイルに刺すようにすると土留になりますよ。
このような薄い板なら水草の植栽スペースを確保しながら土留をすることができます。
厚さ1mm程度ならハサミでカットできますので、レイアウトを進めながらちょちょっと作って使えますよ。



ホームセンターで簡単に手に入ります。安い!そしてずっと使えます!!


ソイルを盛り、化粧砂を敷いたら「構図組」は終了です。
最前面の化粧砂は厚さ5mmくらいで敷いています。
一番手前が厚いと見た目が悪いので、なるべく頑張って薄くするようにしましょう。
化粧砂についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
簡単な「ソイルと化粧砂の敷き分け方」なども動画付きでご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。


構図を終わったのでこれからコケを配置していきます。
まずは下準備として全体に霧吹きをします。
- 接着剤代わりに水草をくっ付ける
- 水草の乾燥を防ぐ
霧吹きにはこのような効果があります。
本当の接着剤みたいに固定する訳ではありませんが断然馴染みやすくなりますよ。
手でシュコシュコするタイプは大変なので、圧力を溜めて半自動で霧吹きできるものを使っています。
手が腱鞘炎になりそうなくらい霧吹きするので、蓄圧式の霧吹きがあると楽ですよ。



僕が使っているのはミスターオートですが、60cm以下なら「マイスター」がおすすめです!




まずは南米ウィローモスを石の上に置いていきます。
モスの仲間は重なると下の株が枯れてしまうので、1枚づつ貼り付けるようなイメージで乗せていきます。
今回は活着するまでミスト式で管理するので固定しませんでした。
ミスト式での管理なら接着剤、糸などで固定しなくても活着させることができます。
こちらの記事で詳しく解説していますので興味のある方はぜひご覧ください。


少し成長して色味が出てきました。
ミスト式の場合、順調ならコケの仲間は10日程度で活着しますよ。
vol2では水草の植栽から完成カットまでをご紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください!