どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は水草水槽における「黒髭苔対策」を解説します。
正直なところ、黒髭苔には一言で説明できる対策法はありません。
しかし、水草水槽の場合は「水草を元気に育てること」にフォーカスすることである程度黒髭苔の増殖を抑えることができます。
長めの記事ですが「増える原因」「除去方法」「予防のコツ」などを丁寧にご説明していきます。
歯切れの良い解説では無い部分もありますが、これが現在私がご紹介できる精一杯の内容ですので、黒髭苔でお困りの方はぜひご覧ください。
こちらの記事では私の藻類対策方法をまとめています。
水槽内で増える11タイプの藻類(黒髭苔を含む)の特徴や藻類対策の心構えなどをご紹介していますので、藻類でお困りの方はぜひご覧ください。


一点からボンボン状に生えてくる髭状の藻類です。
5mm程度の長さで黒っぽい色をしているのですが、場合によっては赤っぽい色や灰色がかることもありますよ。
固くしっかりとくっ付いているのでお掃除屋さんもあまり食べず、手で取るのも大変です。
ある程度管理に慣れていくると自然と気にならなくなりますが、初心者の方のとっては「壁」だと思いますよ!

海外では「Blackbeard algae」と呼ばれています。
結局のところ、予防を続けて大量発生させないのが1番の黒髭藻類対策です。
とはいえ
それができれば苦労しないよ!
というのが本音。
水草水槽においては「軟水をキープ」して水草の成長に焦点を当てることで黒髭藻類を強く抑制できます。
しかし、「こうしたら黒髭藻類が消える。」「黒髭藻類が増えなくなる」というように一言で説明できるものでもありませんし、黒髭藻類の増えづらい環境はすぐにできませんので気長に付き合っていきましょう。

水草が元気に育てられるようになると自然と黒髭藻類に悩まなくなりますよ!
大量の黒髭藻類がある場合、いくら環境を改善してもすでに生えている黒髭藻類がどんどん増殖するのでなかなか減りません。
その場合は面倒でも1度大掃除をして黒髭藻類の量を減らしましょう。
除去方法は後ほど詳しく解説します。
- 硬度が高い
- 養分過多
- 餌の量が多い
まずは黒髭藻類の増える原因から見ていきましょう。
1つ1つ意識して取り組むことで黒髭藻類の増えづらい環境になりますよ。

詳しい予防方法は後ほど解説しますので、まずはざっくりと黒髭藻類が増えやすくなる条件を知りましょう!
黒髭藻類や斑点藻類など「硬い藻類」は硬度の高い環境で増えやすい傾向があります。
- 硬度の上がる石を多用している
- 硬度の上がるろ材を使っている
- 換水過多(水道水の硬度が高い場合)
このような環境で特に黒髭苔が増えやすくなってしまいます。
また、硬度の高い環境ではpHが下がりづらくなり水草の育ちも悪くなりがちです。
そのため、水草の調子がイマイチだと「水草の水質浄化能力が弱まりさらに黒髭藻類の生えやすい環境になる」という悪循環が発生しますよ。
硬度原因から水草の調子が上がらず結果として黒髭藻類が増えてしまうケースは多いので、硬度を下げることは重要な黒髭藻類対策です。
硬度とは、水の中にどれだけ「カルシウム」「マグネシウム」などがあるかという指標です。
たくさんある水を「硬水」、少ない水を軟水と呼びます。
pHとは、水素イオン指数のことでピーエイチ、ペーハーなどと読みます。
pHが低い=酸性、pHが高い=アルカリ性と呼びます。
また数字で表記することもあります。
7.0を中性として7未満が酸性、以上がアルカリ性です。

- 養分の多いソイルを使用している水槽のセット初期
- 肥料の過剰添加
このように水中の養分が多すぎると黒髭藻類が増える原因になります。
初心者の方は「吸着系ソイル」など養分量が少ないものを使うことで黒髭藻類が増えづらくなります。
吸着系ソイルであってもセット1ヶ月程度は肥料添加をしなくても水草を元気に育てることはできますので、まずは肥料を使わずに管理することをおすすめします。


経験上、餌の量と黒髭藻類の発生量は比例していると感じています。
特に残り餌が発生している状況では、かなり黒髭藻類の増殖スピードが増しますので注意が必要ですよ。
お魚の状態にもよりますが「片目の大きさ程度の量」が餌の目安です。
残り餌に注意して与えすぎないようにしましょう。

フィルターの出水側など水の流れが早いところの方が発生量が多い傾向にあります。
とはいえ、「流れを緩やかにすれば増殖スピードが遅くなるのか」といえばそんなことはありません。
流れを緩やかにしても環境として黒髭藻類が増えやすいならあまり変わりませんので、そこまで強く気にしなくてもよいでしょう。

僕はそこまで水流は気にしないです!
- ブラシでこする
- 熱湯をかける
- 木酢液を塗る
- お掃除屋さんに食べてもらう
大量に増えてしまった黒髭藻類はこちらの4つの方法を駆使してなるべく量を減らしましょう。
藻類対策はまずは藻類の量を減らすことが大切ですよ。
このような金ブラシ(ワイヤーブラシ)でこそぎ落としましょう。
黒髭藻類は固いので歯ブラシなどでは落とすのが大変です。
ホームセンターなどで安価で売られていますので作業の際は用意してくださいね。
後述する「熱湯」「木酢液」と合わせて作業することで黒髭藻類がさらに落ちやすくなります。
状況に応じて組み合わせて作業しましょう。

石・流木など黒髭藻類の付いているものが取り出せるなら取り出してください。その方が作業が簡単です。
レイアウト上、取り出せないようなら水槽の中でブラシでこすりましょう。

頑張ってこすりましょう。
作業中、取れた黒髭藻類が周りに飛び散るのご注意ください。
金ブラシで表面を削り取るようなイメージで作業すると良いでしょう。

残っている黒髭藻類の破片を洗い流しましょう。
水槽に入れてしまうとまた黒髭藻類が生えてきてしまうので丁寧に洗い流すようにしてくださいね。
水槽の中でブラシを使った場合は、水中に黒髭藻類が舞っているはずです。
なるべくホースで吸い出して再発を予防しましょう。

水槽に戻して完了です!
熱湯をかけることで黒髭藻類を対処することができます。
熱湯をかけただけでは黒髭藻類の死体は残ってしまうので見た目はあまり良くなりませんが、増殖は止めることができますよ。
死んだ黒髭藻類は「ブラシでこする」「お掃除屋さんに食べてもらう」ことで取り除くことができます。

基本的に熱湯を使う場合は水槽外で作業する必要があります。
そのため、水槽から取り出せるもの限定の方法です。

沸騰させた水をかけましょう。
全体にかかるようにゆっくりとかけるのがコツです。
※火傷しないようにご注意ください!

このように熱湯をかけると変色する場合もあります(白くなる、緑になる、赤くなるなど)。
見た目は悪いですが熱湯をかければ黒髭藻類は死ぬのでこれ以上増えなくなります。
※すぐにキレイにするならブラシでこすりましょう。



死んだ黒髭藻類はサイアミーズフライングフォックスやヤマトヌマエビ、石巻貝、カノコ貝の仲間が好んで食べてくれます。
黒髭藻類に木酢液を塗ることでも対処することができます。
熱湯と同様、黒髭藻類の死体は残るので「ブラシでこする」「お掃除屋さんに食べてもらう」ことで取り除くことができますよ。
木酢液の使い方についてはこちらの記事で解説していますのでご確認ください。




- サイアミーズフライングフォックス
- ヤマトヌマエビ
- 石巻貝、カノコ貝の仲間
これらのお掃除屋さんは黒髭藻類をある程度食べてくれます。
キレイに食べて尽くしてくれるわけではありませんが、入れておくことで増殖をある程度防ぐことができます。
黒髭藻類が増えだす前に水槽サイズに合った数を入れると効果的ですよ。


黒髭藻類へのお掃除屋さんの効果は限定的です。あまり過信しないようにしましょう。
「熱湯」「木酢液」を使う方法は状況に応じて使い分けると便利です。
それぞれメリットデメリットがありますので、水槽に合った方法で対処しましょう。
- 効果が高い
- 水槽から取り出す必要がある
- 細かく塗り分けられる
- 臭い
黒髭藻類を駆除するには熱湯の方が効果が高いのですが、作業の都合上、水槽から黒髭藻類が付いたものを外へ取り出す必要があります。
また、水草を活着させている場合、熱湯がかかると枯れてしまいます。
木酢液は水位を減らして石、流木などに塗ることができるため水草を避けて作業をすることができますよ。
どちらでも黒髭藻類に対処できますので、作業しやすい方法でOKです。
10~14日程度で溶けてなくなります。
熱湯や木酢液で対処した黒髭藻類は、すぐに無くなる訳ではありませんが時間が経つと溶けるように無くなります。
一応は「ブラシでこする」「お掃除屋さんに食べさせる」などしなくてもキレイなりますよ。
とはいえ、大量の黒髭藻類が一度に溶けると水質が悪くなるので注意しましょう。

熱湯、木酢液で処理した黒髭藻類はお掃除屋さんに食べさせるのがおすすめ!
- 軟水化
- 活性炭の活用
- 換水はほどほどに
こちらの3点が黒髭藻類の予防のコツです。
特に「軟水」をキープすることが重要ですよ。
硬度を下げ軟水をキープすることで黒髭藻類が増えづらい環境になります。
水草用ソイルを使い、流木だけを使用したレイアウトなどは硬度を上げるものが無いので軟水をキープしやすい傾向にありますが、石を多用した水槽などは硬度が上がりやすいの注意しましょう。
レイアウトに使う石についてはものによって水質変化が大きく違います。
水質変化のデータなど、こちらの記事にまとめましたので興味のある方はぜひご覧ください。
また、軟水化する方法も別記事にて詳細に解説していますのでぜひご覧ください。



活性炭には水中の「有機物」を取り除く効果があります。
黒髭藻類に直接の効果はありませんが、「有機物が減る=養分が減る」ことから増殖スピードを抑える効果がありますよ。
キョーリン「ブラックホール」シリーズなど強力な活性炭を用量の3倍程度入れるのがおすすめです。


常時3倍入れるのでは無く、「黒髭藻類増えそうだな」というタイミングで入れるのがポイントです!

「藻類が出ているときはマメに換水をする」
藻類対策においてこれは大切なポイントなのですが、換水は藻類対策の決定打にはなりません。
また、日本の水道水はほとんどの地域で「弱アルカリ性の中硬水」です。
そのため、頻繁な換水は硬度を上昇させてしまうため逆効果になりかねません。
換水は週1回程度など通常管理で十分ですので、その他の対策に力を注いだ方が良いでしょう。
どうしてもマメに換水したい方は「浄水器」を使って換水するのがおすすめです。
ADA「NAウォーター」などの浄水器にはカチオンフィルターと呼ばれる軟水化作用のあるカートリッジを装着することができます。
このようなアイテムを使うことでマメに換水しても硬度を気にしなくてよくなりますよ。
- 軟水=ミネラル分が少ない
- 軟水ではpHが下がりやすく水草の調子が良くなりやすい
こちらの2点が大きく影響しています。
黒髭藻類はミネラル分を好むのですが、「軟水=ミネラル分が少ない水」ですので黒髭藻類が増えづらくなります。
また軟水下ではpHが下がりやすくなり、弱酸性を好む水草が育ちやすくなりますよ。
水草は成長時にカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を必要とするので、それらをどんどん消費します。
そのため、水草の成長とともにミネラル分が減少するので水質は軟水に傾きます。
軟水になることでさらに水草に適した水質になるため、さらに水草の調子が良くなる。。。
このようなサイクルが回るようになると水草の調子が加速度的に良くなりますよ。
水草が成長する
水中のミネラル分を消費する
軟水になる
水草の調子が良くなる
さらにミネラル分を消費する
さらに軟水になる
以下ループ
結果、より軟水になり、水草が水中の余分な養分を吸収することから黒髭藻類が増えづらくなりますよ。
この辺りはややっこしいお話しなのですが、こちらの記事で解説していますのでお時間のある際にぜひご覧ください。

- フィルター
- パイプ
- ヒーター
などなど、機材類に黒髭藻類が付いたらキッチンハイターなどの漂白剤で浸け置き洗いするのがおすすめです。
ちょこっと黒髭藻類が付いているくらいなら歯ブラシなどでお掃除したほうが簡単ですが、びっしりと黒髭藻類がついていると手でお掃除するのは大変です。
浸け置き洗いなら「浸けておくだけ」でキレイになるので楽ちんですよ。


ハイターの使い方は別記事でまとめましたのでぜひご覧ください!
今回は水草水槽における「黒髭藻類対策」を解説しました。
ここまで書いてきてあれなのですが、水草水槽なら黒髭藻類に対応するというよりは「水草を元気にすること」に注力することで結果として黒髭藻類を減らすことができます。
今まさに黒髭藻類に悩んでいるなら、一旦、黒髭藻類のことは気にしないようにして水草の調子を良くすることに力を注いでみてはいかがでしょうか?

「軟水化」がキーポイントです!