本記事は「水草水槽の肥料の使い方」を解説します。
水草を長期に渡りキレイに育てるには肥料を使いこなすことが必要不可欠です。
ですが、肥料添加は水草水槽の管理の中でも特に難しい部分です。
そこで今回は、「肥料を入れる前に」「肥料添加の基本方針」「肥料添加を始める時期」「添加量の目安」「添加スケジュールの例」「おすすめの肥料」など、肥料を使う上で目安となる情報をご紹介します。
いつも通り初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説しています。
長い記事ですので目次を利用して、ゆっくりとご覧ください。
タップする目次
水草はなんらかの影響で「栄養不足」になると画像のように色が薄くなりやがて枯れます。
水槽は閉鎖された環境なので、栄養を追加しないといずれ不足してしまうのです。
そこで肥料を添加して栄養分を補給するというわけです。

肥料を入れるの水槽環境のチェックが終わってから「最後」にしましょう。
というのも、水草は元気が無いと肥料を吸収しないので無駄になってしまうからです。
- 水温が低い
- 光が足りない
- CO2添加量が少ない
- 水質が合っていない
特にこのような事情から水草が調子を崩している場合が多いですよ。
調子を崩した水草はあまり肥料を吸収しません。
余った肥料から藻類が大量発生なんてことにならないためにも、環境チェックを終えてから肥料添加を始めましょう!
こちらから詳しくチェックできますので、肥料添加の際にご利用ください。

現状、藻類でお悩みでしたら肥料添加はストップして藻類対策に集中しましょう。
肥料添加と藻類対策を同時進行することは確かにできるのですが難易度が高いです。
まずは藻類を少なくしてから肥料を始めた方が無難ですよ。
藻類対策についてはこちらの記事で詳しく解説しましたので、お悩みの方はぜひご覧ください。
足りないものを補充する
これが基本方針です。
余った養分は藻類の発生につながることが多いので、「足りない栄養素は何か?」という事を意識して肥料を入れましょう。

入れ過ぎは厳禁です!少なめ少なめに入れるのがコツですよ。
初めて肥料を使う!
何を入れてよいか分からない。。
という方は、まずは「カリウム」「微量元素」が含まれる肥料から使うことをおすすめします。
他の肥料は「水槽に肥料を入れる」ということに慣れてからでも遅くはありません!
こちらの記事で初心者の方に向けて、カリウム肥料、微量元素肥料の使い方を解説しました。
初めて肥料を入れるという方はぜひご覧ください。
水槽セット後、2週間~1ヶ月目あたりを目処に肥料を入れ始めましょう。
- 砂利、砂を使った水槽 ⇒ 2週間目程度から
- ソイルを使った水槽 ⇒ 1ヶ月目程度から
このように底床が「砂利、砂」「ソイル」なのかによって肥料を入れるタイミングを分けると良いでしょう。
水草はある程度環境に馴染んでから肥料吸収を始めるので、最初期から養分が大量にあってもあまり意味がありません。
まずは環境を落ち着かせることを優先して、その後から肥料を入れるのでも遅くはありませんよ。



水草が勢いよく成長を始めることを俗に「スイッチが入る」と言います。肥料を入れるのはスイッチが入ってからにしましょう!
毎日添加
「何がベストか?」と聞かれたらこう答えています。
水草がその日に使う栄養をその日に添加する。これがベストです。
とはいえ、その判断はとても難しいのである程度遊びを持たせて添加するのが現実的です。
一概に言えるものでは無いのですが添加例を後ほどご紹介しますので、参考までにご覧ください。
いいえ。そんなことはありません!
あくまで理想のお話ですので、毎日添加していないからと言って素敵な水草水槽が作れないわけではありませんよ。



僕は毎日添加することは稀です。理由は大変だからです(笑)
規定量の30~50%程度
これくらいを目安にしましょう。
肥料添加は足りないことよりも多く入れすぎてしまうことのダメージの方が遥かに大きいです(藻類の大量発生など)。
そのため、肥料は少なめに入れて様子を見ながら使いましょう。
規定量の10~20%程度
CO2を入れていない水槽は水草の活性がそこまで高くなりません。
そのため、かなり少なめに添加しましょう。
やはり肥料が余ってしまうと藻類の発生など嫌なことの原因になりますのでご注意ください。
また、CO2無添加でもしっかりと育つ種類を植えることが大切です。
こちらの記事で私がおすすめする「CO2無添加でも育つ水草」をご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。




肥料はその形状からこちらの2タイプがあります。
基本的にはどちらも「水中に成分が広がり水草に吸収される」ということは一緒です。
水草に吸収するまでの過程が違うだけです。
どちらがより優れているという訳ではないので、使いやすいものを使うでOKです。
こちらの記事で詳しく液体、固形肥料の違いについて解説しました。
興味のある方はぜひご覧ください。



おすすめの肥料は後ほどご紹介します!
肥料の添加の頻度、量は同サイズの水槽で合っても状況により大きく異なります。
とはいえ、それではイメージしずらいですよね。






- 陰性水草中心のレイアウト
- 陽性水草中心のレイアウト
- 上記2つの中間のレイアウト
そこで、イメージしやすいようにサンプルとしてこちらの3タイプの水槽をご紹介します。
どれも同じサイズの水槽のレイアウトですので、「内容でここまで肥料が変わるのか」という良い目安になるはずです!
陰性水草とは、ミクロソリウムやアヌビアス、クリプトコリネなどのある程度暗い環境でも育つ水草のことです。「丈夫な水草」に分類される水草が多いのが特徴ですね。
陽性水草とは、絨毯のように育つ前景草やロタラ、ルドウィジア、パールグラスなどトリミングを繰り返して茂みを作る水草をなど成長の早い水草のことです。
明るい色味をしている水草が多く、本格的な水草レイアウトに使われる多くの水草は陽性水草です。


こちらはウィローモスを中心としたレイアウトです。
ウィローモスは陰性水草なので、あまり養分を必要としません。
そのため、肥料添加はカリウム、微量元素を中心としたものをメインに使用しました。


底床に肥料の含まれていない川砂を使用しましたが、固形肥料などは追加していません。
つまり肥料無しでスタートしています。


初期肥料を入れていないことから、2週間目と通常よりも早いタイミングで添加をスタートしています。
- カリウム
- マグネシウム
- 微量元素(鉄、ホウ素)
こちらは週2~3回程度を目安に添加していました。
- リン
- 窒素
こちらは月に2~3回程度水草の調子を見ながら少量添加しました。


こちらは成長の早い有茎草をたくさん使用したレイアウトです。
「成長が早い=たくさん養分を消費する」ということですから、その分肥料添加の量も多くなります。
そのため、水槽内で不足しがちな栄養素を総合的に添加して育成しました。


底床にソイルを使用しました。
ある程度養分の含まれていソイルなので、固形肥料などは追加しませんでした。


ある程度水草が調子良く成長を始めたタイミングで肥料添加をスタートしました。
ソイルを使用している場合、セット後1ヶ月程度は肥料添加をしなくてもある程度水草を育てることができます。
- 窒素
- リン
- カリウム
- マグネシウム
- 微量元素(鉄、ホウ素)
こちらが含まれている肥料を週2~3回程度を目安に添加していました。
水草の成長に従って規定量よりも多く入れるタイミングもありました。


こちらのレイアウトは陽性水草メインの作品よりも養分を必要としませんが、スイレンの仲間であるガガブタ、根からの栄養吸収が大切なシペルス・ヘルフェリーなどを使用したので部分的に固形肥料を使いました。
ガガブタ、シペルス・ヘルフェリーには固形肥料を与えて、他の水草のは液体肥料を施すようなイメージで肥料を使い分けています。


底床にソイルを使用しました。
ある程度養分の含まれていソイルなので、固形肥料などは追加しませんでした。


ある程度水草が調子良く成長を始めたタイミングで肥料添加をスタートしました。
ソイルを使用している場合、セット後1ヶ月程度は肥料添加をしなくてもある程度水草を育てることができます。
- カリウム
- マグネシウム
- 微量元素(鉄、ホウ素)
こちらは週2~3回程度を目安に添加していました。


実はこちらの3つのレイアウトで使用した液体肥料は私のお手製です。
肥料を開発したいという考えがあり、どうしても実験データが必要なので市販品は「OKOSHI」のみ使用しています。



いつか使いやすい肥料を作って販売したいです!
現在、アクアリウム業界で販売されているおすすめの肥料をご紹介します。
どれも私が試してみて「使いやすい」と感じたものばかりです。
肥料でお悩みでしたらこちらの中からお選びください!
- ADA ブライティK
- ADA グリーンブライティ・ニトロ
- ADA グリーンブライティ・ミネラル
- カミハタ OKOSHI
- テトラ イニシャルスティック
- ADA パワーサンド


- カリウム
おそらく私が一番多く使用している肥料です。
「カリウムは水槽内で不足しやすい」「藻類の発生原因になりにくい」ことから初心者の方におすすめの肥料です。
まずはこちらから肥料添加をスタートすると失敗しずらいですよ。


- 窒素
窒素だけを選択して添加できる珍しい肥料です。
陽性水草メインの水槽などは窒素が欠乏しがちなので割と使用頻度が高いです。
窒素は入れすぎると藻類の発生につながりやすいことから、「窒素のみ」を調整して入れることのできるこちらの肥料はとても使いやすいですよ。


- マグネシウム
- 微量元素
微量元素に合わえて水槽内で不足しがちなマグネシウムが添加できるのがポイントの肥料です。
ブライティKと合わせて初心者の方におすすめしたい肥料ですね。


- 窒素
- リン
- カリウム
- マグネシウム
- 微量元素
一通りの栄養素が含まれている総合固形肥料です。
独特のツブツブは水に触れてしばらく経つと結合がとれてバラバラになります。
底床の上にバラけた粒が転がっていると見苦しいのでしっかり底床に差し込むのがポイントです。


- カリウム
- 微量元素
かなりの知名度を誇る古くからある肥料。通称「イニ棒」です。
カリウムと微量元素メインの肥料ですが、有機物原料のためなのか多少窒素、リンの補充にもなっている気がします。
水に触れるとすぐにグズグズと崩れてしまうことから、最初のセッティング時に底床に混ぜるか、追肥で使用する場合は、水槽の後ろのほうに撒くようにして添加することが多いです。


- 窒素
- リン
- カリウム
- マグネシウム
- 微量元素
などなど詳細は不明ですが、様々なものが含まれています。
軽石に腐葉土などの有機成分と無機栄養をブレンドした肥料です。
水槽セッティング時に一番底に敷いて使います。
かなりの量の養分を秘めているので、こちらを使えば半年程度はまったく肥料添加をしなくても水草が育つほどです。
その分、セット初期に肥料過多になりやすいので万人にはおすすめしづらいアイテムですよ。
成長の早い水草をたくさん使いたい!
でもあまり肥料添加はしたくない!
というような場面で有用ですね。
パワーサンドの使い方はちょっと特殊ですので、ご利用の際はこちらの記事で使用方法などをご確認ください。


水草用ソイルなら大なり小なり肥料が含まれているので、あえて固形肥料を追加しなくても良いでしょう。
特に肥料に慣れていない方は、無闇に足さない方が良いですよ。
ちなみにこちらの記事で水草水槽におすすめのソイルなどをご紹介しています。
底床選びに迷ったらぜひご覧ください。


見た目にはたくさんの栄養素が含まれてる肥料の方が優秀に見えますが、実はそうでもありません。
「足りない栄養素を補充する」というのが肥料添加の基本です。
そのため、たくさんの成分が含まれるものは「こっちの成分は足りないけど、こっちの成分は余る」なんてことになりがちです。
そのようなアンバランスな状況が続くと、「藻類が出る」「白濁する」などのトラブルが発生しやすくなりますよ。
そのため、様々な成分の含まれている総合肥料はベースとして使用して、足りない分を「単一の栄養素だけを含む肥料」で補うというイメージで使うと失敗しづらいですよ。



ソイルは総合肥料として考えましょう。
使えます。
ただし使いこなすのが難しいです。
基本的に園芸用肥料は水草用と比べて成分が濃いので、入れ間違えると藻類まみれなんてことも少なくありませんからご注意ください。
こちらの記事で、私が使っている園芸肥料を紹介していますます。
興味のある方はぜひご覧ください。
大量に入れすぎなければ問題ありません。
メダカ、ベタ、金魚、熱帯魚、エビなど基本的に大量に入れすぎなければ問題ありません。
規定量を入れている程度ではまず問題は起きませんのでご安心ください。
何かの事故で入れ過ぎてしまったら80%程度換水しましょう。
すぐに換水すれば特に問題は起きないはずですよ。
現在販売されている水草用肥料はほとんどが無機肥料にあたるのでそこまで重要なお話ではありませんが、一応の知識としてご紹介します。興味のある方はぜひご覧ください。
鉱石や空気などを原料に化学合成した肥料です。
精製したものなので成分のムラが無く、植物がすぐに吸収できるようになっているので即効性があります。
狙った元素を入れられるため施肥をコントロールしやすいです。
しかし、決まった成分しか入っていないため、使い方を間違えると水槽内の肥料バランスが崩れやすいという欠点があります。
そのため症状を見極めて各種肥料を使い分ける必要がありますよ。
水草用の肥料として販売されているものはほとんどが無機肥料です。
- 即効性がある
- 添加しやすい(水槽に入れるだけで効果がある)
- コントロールしやすい
- 過剰に入れた場合すぐに藻類の発生につながる
- きちんと肥料バランスを見て使う必要がある
- 無機肥料だけを使い続けると土が痩せる(ソイルの寿命が短くなる)
腐葉土や鶏糞等の生き物から出来たものを原料にした肥料です。
バクテリア(有機物分解菌)が分解することで始めて植物が吸収できるようになります。
元々生物の体を構成していたものが原料なので生物が必要とする成分が満遍なくかつ、バランス良く含んでいることが多いです。
また、有機物は土壌にいるバクテリアのエサにもなるので、土壌内の環境が良くなるという効果も期待できます(=ソイルが長持ちする)。
バクテリアに分解して貰わなければ水草が吸収できる養分にならないので、効果で出るまでに時間がかかります、その分、分解は緩やかに進むので、長期間効果を発揮しますよ。
- ゆっくり効くので極端な肥料過多になりづらい
- 長期間肥料として効果を発揮する
- 土壌内のバクテリアが活性化する
- バクテリアが分解しないと肥料として効果を発揮しない
- バクテリアの状態に効果が左右される
- 生き物を原料としているため成分にバラつきがある
残念なことに水草用の有機肥料はほとんど無く、ADA「パワーサンドシリーズ」、テトラ「イニシャルスティック」など、極一部の商品があるのみです。
肥料としては無機肥料の方が使いやすいのですが、有機肥料には土壌内の環境を良くしてくれるというメリットがあります。
- 有機肥料がしっかり効いている環境だとまず微量元素欠乏にならない
- 土壌内の環境が良いとソイルが崩れにくくなる = ソイルが長持ちする
このような効果が期待できます。
養分コントロールが難しいので肥料と考えると無機肥料に軍配が上がりますが、「底床内の環境を整えるもの」と考えると有機肥料も使いたくなりますよね。



自分で商品考えてみようかな、、
今回は「水草水槽の肥料の使い方」を解説しました。
肥料添加は奥が深く、私もまだ研究途中です。
ちょっとした環境の違いで効果に差が出るのが難しいところですので、少しづつ実験して効果を確かめています。
いきなり、たくさんの肥料を使うのは難しいですから、初心者の方はカリウム、微量元素系肥料から試してみてくださいね!



上手くいかなくてイラっとすることも多いですが、それも楽しむようにしています!