どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は「水草のスイッチの入れ方」を解説します。
水草が調子良く成長を始めることを俗に「水草のスイッチが入る」と呼びます。
綺麗な水草水槽を作るには、より素早くスイッチを入れることが肝要なのですが、同じように管理していてもスイッチの入り方にバラツキがありますよね?
そこで今回は私が普段からスイッチ入れる際に注意していることをご紹介します。
「水草のスイッチが入るとは?」「水草が元気よく成長を始める条件」「早くスイッチを入れるコツ」「スイッチを入れるまでのタイムリミット」などを分かりやすく丁寧に解説していきます。
興味のある方はぜひご覧ください。


水草のスイッチが入るとは、「水草が元気よく成長を始めること」を指します。
水草が調子よく成長をすることで、水中から養分をより多く吸収するようになります。
そのため、加速度的に貧栄養化が進むため「藻類の増殖量が減る」「水の透明度が上がる」などの効果が期待できますよ。
スイッチが入るとは、ようするに「水草が持つ水質浄化能力の本領が発揮される状態」ということですね。

なるべく早くスイッチを入れることが綺麗な水草水槽を作るポイントです!
- 水草が動かないこと
- 機材が揃っていること
- 水質が合っていること
こちらの3点が最低限必要です。
綺麗な水草水槽を作りたいなら、どれもしっかり押さえておきましょう!


水草は「体が固定されて動かないこと」が新しい葉、芽を展開する条件です。
どれだけ素晴らしい環境を用意しても、水草がフラフラと動いてしまう環境では成長を始めません。
まずはきっちり水草が動かないように固定することを意識しましょう。
- 根を張る
- 糸、ビニタイ、接着剤などで活着させる
こちらの2つが主な固定方法です。
ロタラやルドウィギア、ハイグロフィラの仲間などの有茎草、アマゾンソードやクリプトコリネなどのロゼット型の水草は根を張ることで体を固定しますので、ピンセットなどでしっかり植え込んであげましょう。
ウィローモス、ウィーピングモスなどのコケの仲間、ミクロソルム、ボルビティスなどのシダの仲間などは糸、ビニタイ、接着剤などで活着させて固定すると良いでしょう。
植え方、活着方法に関しては詳しく解説した記事がありますので、興味のある方はぜひご覧ください。
[leaf title=”浮草は例外”]マツモやアマゾンフロッグピットなどの浮草の仲間はプカプカと漂うように生活しているので、体を固定していなくても成長します。[/leaf]
- ライト
- CO2添加セット
- 底床(ソイル、砂利など)
- フィルター
などなど、水草が育つ環境を揃えることが必要です。
設備投資にはある程度の予算が必要ですが、水草は揃えた環境によって育つ育たないが決まります。
そのため、「水草水槽で使える機材」を揃えたいものです。
「水草レイアウト入門カテゴリー」では水草水槽に必要な機材などを順を追ってご紹介しています。
実際にご紹介した機材を使った制作過程などもご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
[leaf title=”MEMO”]あまり明るくないライト、CO2無添加でも育つ「丈夫な水草」もありますよ。[/leaf]

pH5.5~6.5
こちらが、水草水槽に最適な水質です。
pHが高い環境(7.0より高いほど)では、「CO2の吸収効率」「肥料の吸収効率」が悪くなってしまいます。
そのため、CO2を添加していても、肥料がたくさんある環境でも水草があまり吸収できないため、調子よく成長できなくなってしまうのです。

水質がボトルネックになってスイッチが入らないケースはとても多いです!

- ミスト式で立ち上げる
- 予めしっかりとした機材を用意する
- 肥料を入れない
- pHを下げる工夫をする
こちらの4つが早く水草のスイッチを入れるコツ。
すべての場合で有効なものではありませんが、積極的に取り入れることで水草の成長を促すことができますよ。

ミスト式とは、水槽を温室のように使い「水を張らずに水草を育てる方法」のことです。
水草が底床に根を張ってから水を入れることで、水を張った直後からスイッチを入れることができますよ。
水を張らなければ、「水を交換する」「藻類が生える」などの手間やトラブルが無くなりますので、何かと大変なセット初期の水槽管理を楽にしてくれる方法です。
こちらの記事でミスト式を使った水槽の立ち上げ方を詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

各機材とも各メーカーより様々なものが出ていますが、水草水槽に合ったものを選びたいですね。
お魚飼育用としては優秀だけど、水草水槽には不向きなんてものも多いのでご注意ください。
こちらの記事で種類別におすすめの機材をまとめています。
私が実際に使って効果を確認したものばかりですので、水草育成用の機材をお探しの方はぜひご覧ください。





- ソイルを使用 ⇒ セット1ヶ月間
- 砂利・砂を使用⇒ セット2週間
こちらの期間は肥料を入れないようにしましょう。
水草用ソイルには養分がある程度含まれているので、セットから1ヶ月程度は肥料を使わなくても水草がしっかりと育ちます。
養分が含まれていない砂利・砂系の底床でも最初は水草があまり養分を消費しないので、セット2週間程度は入れなくても大丈夫ですよ。

過度に肥料を入れてしまうと、意味が無いばかりか藻類の増殖原因になってしまいます。
水草が藻類に覆われてしまうと光が当たらなくなってしまうため、スイッチが入らなくなってしまうのです。
肥料添加は少し後からでも問題無いので、まずは水草のスイッチを入れることに集中しましょう。

長期間スイッチが入らない場合は肥料添加が必要になってきます。その分管理が難しくなるので、なるべく早くスイッチを入れたいですね!


水草用ソイル(水槽の底に敷く土)や「テトラ PH/KHマイナス」などのpH降下剤を使うことで水草が成長しやすい水質にすることができます。
ソイルなら水槽に敷くだけで、pH降下剤は換水時に使用することで簡単に水質を調整することができますよ。
水草はしっかり根を張っているのに、、、、
しっかり機材を揃えたのに、、、、
という方はこれらを使って水質を調整してみましょう。

- 石をたくさん使っている水槽(石の種類による)
- 水道水の硬度が高い
などの理由で水槽が硬度の高い環境になっている場合は、いくらpHを下げる努力をしても下がりません。
そのような場合は硬度を下げる工夫が必要です。
硬度とは水の中の「カルシウム分」と「マグネシウム分」のことです。
「リバース・グレイン ソフト6.8」などの硬度を下げるろ材をフィルターに入れたり、「ADA NAウォーター」などの浄水器にカチオンフィルターなどの軟水化フィルターをセットすることで水からカルシウム分、マグネシウム分を取り除くことができます。
pHが下がらない場合はこれらを使って硬度を下げましょう。



- 藻類の予防
- 水の透明度アップ
- 「水草自身」が水草の好む水質を作る

水草が調子良く成長しているということは、水中の養分をより多く消費するということです。
増えると見苦しくて嫌な藻類は「余分な養分」を元に増殖するケースが多いです。
そのため、なるべく早く水草のスイッチを入れることで余分な養分が減り、藻類の増殖を予防することができますよ。


水草が調子よく成長している水槽というのは自然と水の透明度が高くなります。
それは前述の藻類の予防と同様、余分な養分が少なくなるから。
透明な水はそれだけで美しいものです。
水草を元気に育てることで、美しい水草の茂みだけで無く透明な水が手に入りますよ。


水草が成長するためには養分が必要なのですが、その中には「カルシウム」「マグネシウム」が含まれています。
カルシウムとマグネシウムが少なくなると硬度が下がり、pHが下がりやすくなります。
pHが下がると「CO2の吸収効率が良くなる」「肥料の吸収効率が良くなる」ため、さらに水草の成長が良くなるのです。

水草は必須栄養素であるカルシウムとマグネシウムを水中から吸収することで、さらに水草が育ちやすい水質を作るということです!

セット後1ヶ月以内
こちらを意識することで、水草水槽の立ち上げはずっと簡単になります。
1ヶ月を超えてスイッチを入れることもできるのですが、時間がかかればかかるほど難しくなるので、なるべく早くスイッチを入れるに越したことはありません。
ちなみに、こちらが難しくなる理由。
- 藻類に負けやすくなる
- 肥料を使いこなす必要が出てくる

時間が経てば経つほど、強力な藻類が出てくるのでその分対処が大変です。
しかも、調子の良くない水草には藻類が付きやすいので
- 藻類が水草に付く ⇒ 水草が調子を崩す
- 藻類が増える ⇒ さらに水草が調子を崩す
という悪循環に陥りがちです。
そのため、藻類に負ける前に水草のスイッチを入れてしまいたいのです。
このパターンにハマってしまった場合は、まずは藻類対策を優先して藻類を抑えてから水草の育成に集中するようにしないと中々上手くいきません。


セットから時間が経つにつれ、水草に肥料を与える必要が出てきます。
水草用ソイルを使っているのなら1ヶ月程度(砂利・砂なら2週間程度)は肥料を入れなくても大丈夫なのですが、徐々に肥料不足になってしまいます。
肥料添加は水草育成の中でも難しい作業なのですが、これを水草のスイッチが入っていない状態(本調子では無い状態)で行うことはとても難しいです。
水草の調子が良いのなら多少肥料を入れ過ぎてもあまり問題にはなりませんが、調子が悪いとちょっと入れ過ぎただけでも、藻類が大量に増殖してしまうなんてことになりかねません。
そのため、肥料を入れるにしても少しづつ入れて様子を見るようにしましょう。

肥料を使うときは「カリウム肥料」「微量元素肥料」から使うようにすると失敗が少ないですよ!


残念ながら長期間水草にスイッチが入らないのなら、いっそのことリセットした方が簡単かもしれません。
「リセット」とは、水槽を空にしてもう1度作り直す作業のこと。
セット直後から水草のスイッチを入れて、水草自身に水質を浄化、調整してもらいながら水槽を立ち上げていく方が簡単ですので、思い切ってリセットしてしまうのも1つの方法ですよ。
もう1度、水槽を作るなら「スイッチを入れるコツ」を意識して作りましょうね。

特に石をたくさん使っている水槽は硬度が高くなりがちなので、スイッチを入れるのが大変ですよ!
今回は「水草のスイッチの入れ方」を解説しました。
水草にスイッチが入ってしまえば、水草自身が水質調整をしてくれますので加速度的に環境が良くなるのが実感できるのですが、スイッチが入らないととても大変です。
水草水槽の立ち上げは水草にスイッチが入る、入らないで大きく難易度が変わりますので、まずは水草のスイッチを入れることに注力しましょう!

自在にスイッチが入れられるようになると水草水槽が本当に楽しくなりますよ!