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【IAPLC2025出品】オールドスクールの作り方

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本記事では世界水草レイアウトコンテスト2025 (IAPLC2025)に出品した「オールドスクールの作り方を解説します。

本水槽は「世界544位」という結果に終わりました。

まぁこんなもんでしょー

順位はともかく気に入っている水槽ですので制作過程をぜひご覧ください!

タイトル「オールドスクール」

完成した水槽がこちら。

これから制作過程を順を追って紹介していきます。

使用した水草、水槽サイズ、使用機材、メンテナンス、水質データなどは記事後半で解説いたしますので先にご覧になりたい方は目次をご利用ください!

世界水草レイアウトコンテスト

世界水草レイアウトコンテスト(IAPLC)とはアクアリウムメーカーADAが主催している水草水槽のコンテストです。

通常年1回開催され世界中から様々な作品が出品されます。

公式ページでは上位作品を確認できますのでぜひご覧ください。

動画も見てみる

本水槽は完成カットを写真撮影した直後に動画でも撮りました。

YouTubeで公開していますのでぜひご覧ください!

この記事の著者
轟元気

プロアクアリスト

轟元気

とどろきげんき

プロフィール

業界歴19年の中堅。現在は有限会社エイチ・ツーに所属し埼玉県坂戸市にあるアクアリウムショップ「e-scape」の店長をしています。本ブログ、Ordinary-Aquariumでは「水草水槽の知識」を中心に今までの経験を基にした実践的な知識、技術を初心者の方にも分かりやすく解説しています。プロフィール詳細リンク、転載、引用について

今回のテーマ

IAPLC2025出品水槽

水草だけでレイアウトを作る

これが今回のテーマ。

水草だけで作るレイアウトはダッチアクアリウムが有名ですが、クラシックなダッチスタイルは何と言いますか窮屈な印象があってあまり好きではありません。

そこで私の好きなネイチャーアクアリウムの要素も取り入れたスタイルにすることにしました!

レイアウトは好きに作ってなんぼだと思っているので勝手に色々と楽しみながら取り入れるのが私のスタイルです。

ダッチスタイルは昔ながらのスタイルなのでタイトルは「オールドスクール = 古き良き」にしました!

魚はクラシカルに!

などなど、お魚は昔ながらの熱帯魚を入れると決めていました。

エッセンスを取り入れたダッチアクアリウムはクラシカルなスタイルなので、泳がせるお魚も古くから流通している種にしました。

私は水草レイアウトの主役はそこに住まうお魚などの生物だと考えているのですが、他の作品と被ってしまうのがつまらないのでちょっとクセのある選択にしています。

泳がせた生体については後ほど詳しく解説します。

レイアウトの設計図

レイアウトの設計図

こちらが今回書いてみた設計図。私は絵が描けないのでいつもこんなもんか描かないにですが、水草だけでレイアウトするとなるとアウトラインをはっきりさせる必要があったので作りました。

通常は石や流木で構図を組み、それをレイアウトの骨組みにします。

今回は水草だけで作るので水草植栽の指針となる構図がないため頭がこんがらがりそうでした。

そこでレイアウトのラインとなる部分を書き出したというわけです。

実際にどのように水草をラインを作ったのかは水草の植栽をご覧になると分かりやすいです。

機材のセッティング

私の定番スタイル「外部式フィルター+底面フィルター」で今回も回します。

  • 強力な物理ろ過を外部式フィルターにプラス
  • 撮影時にパイプを外さなくて良い
  • 底床内に循環が生まれる

というのが主な採用理由。

外部式フィルターと底面式フィルターを接続する方法は別記事で詳しく解説しています。

興味のある方はぜひご覧ください。

ヒーターはコーナーカバー内に収納

ヒーターはコーナーカバーの中に格納して正面からは見えないようにしました。

向かって左奥に設置しました。

ヒーターは水草レイアウトの必須アイテムの一つですが見た目は超絶邪魔ですよね。

そこで活躍するのがコーナーカバーです。

簡単な加工で作れますからヒーターを隠してしまい方はぜひ試してください!

コーナーカバーの作り方は別記事で詳しく解説しています。

底床のセッティング

軽石で底床を底上げする様子

ここからがレイアウトスタート。

ますは底床のセッティングから。

私はいつも軽石やレンガ等でかさ増しして底床を作るのですが、今回は石・流木などの構図素材を使わないので底上げ材も少なめに使用しました。

今回は軽石を洗濯ネットに入れたものを2つ使用しました。

どちらも10L程度の軽石が入っているでしょうか。

軽石やレンガで底床を底上げする方法はこちらの記事で紹介していますので、レイアウトを作る方はぜひご覧ください。

実験的に水草堆肥を使用

水草で作った堆肥
お古のソイルを再利用

トリミングで際に余った水草などで作った堆肥を実験的に使用しました。

使い古しのソイルと混ぜて底床の1番下に敷いています。

結果論ですが、水草堆肥だけだと底床内のPHが低くなりがちだったので海藻粉などを混ぜるべきだったなと思いました。

使用する底床材との相性もあると感じましたが何かでPHを少し上げてから使うほうが色々と具合が良さそうです。

堆肥自体の効果は実感できるものでしたし、何より自分で作った堆肥ということで愛着のようなものもあるので今後は水草堆肥を使っていこうと思っています。

堆肥の作り方については余った水草の活用法の記事で解説していますのでぜひご覧ください。

底床を敷く

コトブキ エナジーソイル
JUN プラチナソイル スーパーパウダー

使用したソイルはこちらの2つ。

コトブキ エナジーソイルはADA アクアソイル アマゾニアの後継となるソイルということで試しに使いたかったのでチョイス。

JUN プラチナソイル スーパーパウダーはサブのソイルとして使いやすいので選びました。

プラチナソイルは養分含有量が少ないので1番上に敷くことで下に敷いているものの養分流出をある程度防ぐことができます。

今回の場合は水草堆肥とエナジーソイルのことですね。

水草堆肥を入れた様子

まずは水草堆肥とお古のソイルを混ぜたものを敷きます。

その上にエナジーソイル ⇒ プラチナソイルの順に敷いていきます。

バクテリア剤を撒く

ADAバクター100
ADAバクター100を敷いたところ

今回は底床にADAバクター100を撒きました。

数あるバクテリア剤の中でも水草水槽におすすめの1つ。

底床に撒くだけなので手軽なのも嬉しいですね。

今回は水草堆肥とお古のソイルの上に撒きました。

おすすめのバクテリア剤はこちらの記事で紹介していますのでぜひご覧ください。

底床作り完了

底床を作った様子

これで底床作りは完了。

エナジーソイルの上にプラチナソイル スーパーパウダーを1~2cm程度の厚さで敷いています。

底床は水草水槽の大地となる部分なので今後の良し悪しを決める大事な工程です。

妥協せずじっくり作ると良いでしょう。

土留も使わずに結構な角度の斜面にしてみましたが水草をたくさん植栽したからか、最後まであまり崩れてきませんでした。

今回使った水草リスト

こちらが今回最終的に使った水草達です。

途中で植え替えたりもしているので制作途中のものとは違いますがこちらに落ち着きました。

水草の名前をタップすると水草図鑑の各ページに飛びますので興味のある方はぜひご覧ください。

植栽

水草を植えた様子

まずは一発目の水草を植栽した様子。

全スペースに水草を植えようとするとかなりの量が必要になるので1回の仕入れだけだと種類が集まりませんでした。

水草だけでレイアウトを作る場合は斜めを意識して植えるようにする格好良くなります。

元気
元気

石や流木を配置するときに角度をつけると格好良く見えるのと同じ要領ですね!

横から見ると

横から見るとこんな感じ。

ちょっとやりすぎかな?と思うくらい斜めに植栽していくほうが結果としてメリハリが出ます。

ちなみに水草の配置は隣り合う種の葉の形・色などが違うものを並べるようにするのがコツです。

配植のコツについては別記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

トロロ昆布状の藻類

トロロコンブ状の藻類が生えてきた様子

注水から約1週間後の様子。

水草を追加しつつ様子を見ていましたがトロロ昆布状の藻類が生えてきました。

この藻類は栄養豊富な環境でないと生えてこないタイプです。

ということはエナジーソイルは栄養豊富なソイルということですね(水草堆肥の影響もあると思いますが)。

藻類が増える

水槽が藻類まみれになる様子

注水から約2週間目の様子。

なかなかインパクトのある姿になりましたね。

トロロ昆布状の藻類は見た目は激しめですがヤマトヌマエビなどを投入するとあっという間に食べられてしまうタイプなので駆除は簡単です。

水面に膜のようなものが出ていますがこちらは藍藻らんそう

藍藻は様々なタイプがあるのですが、こんな感じで水面に膜のように出るタイプもあります。

少しづつ落ち着いてくる

トロロ昆布状の藻類が増えている水槽

注水から約3週間目の様子。

徐々に落ち着いてきました。

トロロ昆布状の藻類で分かりませんが水草の成長は今のところ順調です。

ここまでの管理としてはセットから2週目までは2日に1回程度藻類を吸い出すように換水、3週目からは週に1~2回程度換水をしています。

ここまでトロロ昆布状の藻類が長引いたことは今までに無い経験でした。

通常はセットから2週間程度で落ち着くのですが、他の水槽にエナジーソイルを試した際はもっと早く落ち着いたので、もしかしたら水草堆肥の影響かもしれません。

1回目のトリミング

トリミング前
トリミング前
トリミング後
トリミング後

藻類が落ち着いてきたのでトリミングをしました。

シンプルに中央が低くなるようなデザインを最終的には作るつもりなので、左右の奥に大きな水草を多めに配置しています。

そこを重点的にカットしています。

まずは一安心

注水から約2ヶ月後の様子。

アオミドロ等、最初の頃とはまた違う藻類が増えてきていますが、環境が安定して水草が元気に伸び始めています。

まずは水槽が立ち上がり水草のスイッチが入ったと判断してよいでしょう。

ここからは繰り返しです。

伸びる⇒トリミング⇒伸びる⇒トリミングを繰り返して茂みを形作っていきます。

アヌビアスを追加

アヌビアス・ナナ・プチを追加した様子

前景にアヌビアス ナナ ‘プチ’ を追加しました。

前景に重めの色が無いとのっぺりして見えるなと感じたので入れてみました。

結果、グッと引き締まって見えて前景⇒後景との連なりから奥行き感が出たので正解だったと思います。

アルテルナンテラに変更

アルテルナンテラ レインキー ミニを追加する様子

斜めのラインを作るのに使用していた水草を交換しました。

真っ赤な斜めのラインがビシッと欲しかったのですがロタラ ロトンディフォリア ‘グリーンレッド’ をビビットな赤色に仕上げられず断念。

代わりにアルテルナンテラ レインキー ‘ミニ’ を植えました。

元気
元気

結果から見るとこの変更は大当たりでした!

完成が見えてくる

注水から約4ヶ月後。

徐々にお魚を入れ始めています。

この水槽は9ヶ月程度育成してから完成カットの撮影をしているのですが、ここから約5ヶ月程度かけて生体も仕上げていきます。

撮影直前に入れる手法もあるのですが、本来の色味が出ない、水槽に馴染んでないと動き方が不自然なので私はある程度時間をかけて仕上げるようにしています。

元気
元気

お魚が泳いでこその水草レイアウトだと思っています!

今回選んだお魚リスト

メインで泳がせたのはこちらの7種。

サーペ、ブラックテトラ、ブルーテトラ、ハセマニアは50匹づつ入れてごちゃついた感じをあえて狙ってみました。

ブルーテトラは気が強いので小型水槽だと1番強いやつが生き残るまでバトルロワイヤルになりがちですが、大きな水槽で悠々と泳がすとあまり喧嘩しなくなります。

さらに気が強めのサーペ、ブラックテトラと合わせているので特に問題なく飼育できました。

撮影をして気がついたのですが、ブラックテトラはめちゃくちゃ群れで泳がせやすいです。

ギュッと詰まった群れで泳ぐのでこれからも撮影でお世話になる予感がしています。

ブルーテトラはバラバラッと泳ぐお魚なので「映え」は期待していなかったのですが、ハセマニアと同じように泳ぐことが分かって勉強になりました。

撮影時に追うとハセマニアと混じって群れを形成したので、これまた素敵な組み合わせを発見しました。

普段の様子

熱帯魚が泳ぐ様子

普段の様子はこんな感じでした。

そこそこの数を入れていますが水草の茂みの中に隠れる子もいるので少なめに見えますね。

ちなみに餌やりは午前中1回だけでキープしてました。

気が強いのが多いのでお腹が空くと喧嘩するかな?とも思ったのですがあまり気にならなかったので1回でキープできました。

完成!

IAPLC2025出品水槽

これで完成です!

魚がちょっと多かったかなと思いましたが、これくらい泳いでる作品が1つくらいあってもいいでしょう!

水草だけで組みましたが思ったよりも散漫にならず、私の好きな雑然とした感じも出せたので可能性を感じました。

このスタイルでもう3本くらい作れば完成度をグッと上げられそうです。

全体としては今まで作ってきた作品の中でもお気に入りの作品ができました!

今回の反省点

  • うまく育てられなかった水草
  • 肥料の使い方
  • レッドデビルエンゼルを投入したタイミング
  • 広角レンズを考慮するべきだった

うまく育てられなかった水草

こちらが今回うまく育てられなかった水草達。

リシア以外は底床が酸性過ぎたのが原因だと思います。

恐らくはエナジーソイルと水草堆肥の組み合わせ方だと思うので次は何か方法を考えようと思います。

水草だけでレイアウトするということは、なるべく多くの水草を育てられないと表現の幅が狭くなってしまいますから、様々ある水草の好みを把握して調整できるようになりたいものです。

リシアは藻類対策としてオキシドールを使用したら全部沈水葉になってしまいました、、、

これはこれで綺麗なんですがライトグリーンのリシアを合わせたかったな、、、

肥料の使い方

今回もオリジナル肥料を使用したわけですが様々な実験をした結果、調子を崩す場面がありました。

まいどまいどのことですが肥料の実験は実際のレイアウト水槽を管理する上で使わないと意味が無いのでこの仕事をしている限り毎回反省することになるのでしょう。

レッドデビルエンゼルを投入したタイミング

完全に遅かったです。

今回はエンゼル入れる予定は無かったのですが大きなお魚も入れたくなって急遽入れました。

なので撮影時の動きがぎこちなかったです。

やはり最低でも3ヶ月前には入れるべきでした。

そしてサイズももう一回り大きく仕上げるべきでしたね。

広角レンズを考慮するべきだった

今回の先品は広角レンズで撮影しました。

広角レンズでの撮影は色々と不具合があるのですが、本作品のように水草をわっさり茂らせているとデメリットを誤魔化しやすいです。

ということで本番の撮影も広角レンズにしたのですが、それなら作る時から考慮するべきでした。

広角で撮影すると広く映るので水槽を大きく見せることができるのですが、魚のインパクトが弱くなりがちです。

前述のエンゼルはもっと大きくするべきでしたね、、、

水槽データ

水槽120cm×60cm×60cm
ろ過エーハイム2217 2台 底面フィルター直結
ライトADA ソーラーRGB 2台 12時間点灯
CO2自作ミキサーにて1秒/4滴
底床コトブキ エナジーソイル パウダー、JUN プラチナソイル スーパーパウダー
素材無し
肥料オリジナル肥料3種を週に2~3回程度

管理データ

換水

  • 立ち上げから2週間:週/1回50%
  • それ以降:2週間/1回50%
  • 立ち上げから2週間:週/2~3回80%
  • 3~4週目:1週間/1回80%
  • それ以降:1~2週間/1回80%

今回は底床の栄養たっぷりでしたので立ち上げ初期の換水はマメにしました。

立ち上がり後は通常の管理に戻しています。

生体数が多かったので私の水槽にしてはマメに換水した作品でした。

お住まいの地域の水道水の水質によってはマメな換水が逆効果になることもありますので、換水を頻繁にしない管理も時には有効です。

換水頻度が少ない方が管理が楽ですから、楽できるところは楽をしてレイアウトに集中した方が良いというのが私の考えです。

トリミング

  • 2週間に1度

今回はたくさん水草を使用しているのでマメにトリミングしました。

水草の茂みでレイアウトを形作っていますので形が崩れる=レイアウトラインが崩壊することを意味していますのでマメなカットが必要でした。

フィルターの清掃

制作期間中は1度も掃除しませんでした。

私はマメにフィルターを洗う方ではありません。

マメに洗ってしまうといつまで経っても生物ろ過が成熟しないので本調子にならないからです。

生物ろ過の仕組みについては別記事で詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。

ライトの点灯時間

  • 8~12時間店頭

を製作期間中ずっと続けました。

水草の成長速度が早いこと、水草の発色が良いことから私は12時間点灯で管理することが多いです。

管理途中から12時間に延長するとバランスが崩れて藻類が増殖してしまうことがありますが、最初から12時間で管理すると案外悩まされずに管理できます。

今回は何回か藻類が増えるタイミングがありましたので照明時間を短くして対応しました。

水草水槽の点灯時間や光のことについてはこちらの記事をご覧ください。

水質データ

  • 水温:26℃
  • PH:6.0~6.5
  • GH:3~5
  • TDS:60~120

特に水質に影響を与えるものを入れていないのでずっと問題の無い数値で推移しました。

他の作品も見てみる

当ブログのコンテストカテゴリーでは私が今まで作ってきた作品を公開しています。

制作過程も公開していますので興味のある方はぜひご覧ください。