どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「水草を格好良くレイアウトする心得」を9つご紹介します。
水草を「どこに」「何を植えるか」ということを「配植」と呼びます。
水草はある程度ルールを守って配植することで、見栄えの良いレイアウトを作ることができますよ。
ご紹介するテクニックは普段より私がレイアウトに取り入れているものですので、きっとお役に立つはずです。
初心者の方にも簡単に取り入れることができるよう、工夫してまとめました。
9つ解説していきますが、一度に取り入れる必要はありません。
「今、作っている作品に使えそうだな」というところから試してみてくださいね。
ちなみに、今回のテクニックを使って制作した水槽は、カテゴリー「コンテスト」にて詳細記事を公開しています。興味のある方はこちらもご覧ください!
- コントラスト
- 有茎草は群生させる
- 前景、中景、後景を意識
- 水草の種類数
- サイドに植える水草に注意
- 構図素材には水草を活着させる
- 赤い水草は全体の30%を上限に
- 丸葉は細葉と組み合わせて
- 中間色を使いこなす
① コントラスト
隣り合う水草は「色」「形」がまったく違う種類にしましょう。
一見すると同じように見える水草が隣り合うようにあると、乱雑な印象になってしまいますよ。
「細葉」「丸葉」「茂みになる草」「赤色」「黄色、オレンジ」など特徴の違う水草同士を組み合わせることでコントラストの効いたメリハリのある水景になります。
「直感で選ぶ水草図鑑」なら色と形から探すことができますので、レイアウトを考える際にぜひご利用ください!

水草はたくさんの姿、形がありますから、楽しみながら組み合わせてくださいね!
② 有茎草は群生させる
有茎草とは「茎のある草」のことです。
有茎草は1本1本離して植えてしまうと不自然です。
必ず「このエリアには10本」というように群れで植えるようにしましょう。
有茎草1本1本は小さいので見栄えがしません(種類によりますが)。
まとめて植えることで、ボリューム感が出て見応えのある水景になります。

「原っぱ」「山」などの自然を見てみてください。種類ごとにある程度まとまって生えているはずです!
③ 前景、中景、後景を意識
「前景 → 中景 → 後景」と連続する一つの風景となるように配置しましょう。
「10cm×10cm程度の面積を1ブロック」とし、1ブロックにつき1種類の水草を植えましょう。
1ブロックに植える本数(株数)は「有茎草」などボリュームの少ない水草なら「10~30本」、「ロゼット型」などボリュームのある水草なら「1~5株」程度を目安にするとよいです。
10cm×10cmというのはあくまで感覚をお伝えするためのものです。
実際には「ナナメ」「三角形」「円」などをイメージして植えると綺麗に見えます。
また、単純に3つのエリアに分けるだけでなく、「前景 → 前景と中景の間 → 中景 → 中景と後景の間→ 後景」という具合にさらに細かく意識することで、より複雑で奥深い印象の水景になりますよ。
各水草がどのように成長するかするかを把握するには、実際に育ててみないと感覚が掴めません。
まずは見た目の気に入ったものからチャレンジしてみてくださいね。

様々な水草の共演をお楽しみください!
④ 水草の種類数
種類を多く植えたほうが華やかな印象になりますが、数が多すぎると乱雑な印象になりやすいです。
水槽サイズ別に目安となる種類数を表にしてみました。参考までにご覧ください。
大きな水槽ほどたくさんの種類を使うことができますが、120cmで30種類使うことは稀です。
あくまで「MAXでこれくらいの種類数が使える」という認識でOKですよ。
水槽サイズ | 種類数の目安 |
---|---|
30cm | 6種類を上限に |
45cm | 12種類を上限に |
60cm | 15種類を上限に |
90cm | 25種類を上限に |
120cm | 30 種類を上限に |
- レイアウトに合わせて調整してOK
- 種類数が多いほど、レイアウトをまとめるのが難しい

20種類くらいまでが使いこなしやすい数です!
⑤ サイドに植える水草に注意
ガラス面に水草の葉が過度に触れていると不自然です。
特に水槽サイドに触れると、不自然に葉が曲がっているのが見切れてしまうので見苦しくなってしまいますよ。
「センタープラント」「ロゼット型」「シダの仲間」に分類される水草は、大きく葉を広げるものが多いです。
そのため、サイドに配置するのに向いていない種類が多いので注意しましょう。
逆に「細葉」「茂みになる水草のうち葉が小さなもの」はサイドに向いているものが多いです。
サイドに植える水草は「脇役」になることが多いのですが、気を抜かずに選んでくださいね。

サイドに気を配りましょう。それだけでスッキリとした印象になります!
⑥ 赤い水草は全体の30%を上限に
真っ赤になる水草は印象が強いので、多く使ったとしても全体の30%程度を上限ににしましょう。
また、水景の中で最も赤い水草は重心の位置にくるよう配置するとバランス良く見えます。
重心とは「一番重たい場所のこと」です。
一言でいうと、一番大きな構図素材が重心になります。
一番大きな石、流木の後ろあたりに配置するようにしましょう。

赤い色は印象が強いので、控えめに使うのがポイントです!
【水草が赤くならない方必見!】水草を真っ赤に育てる方法 ー照明時間、CO2添加量、肥料バランスがポイント!ー
⑦ 構図素材には水草を活着させる

ここちょっと格好悪いな。。という石、流木があったら活着水草で隠しちゃいましょう!
水草を活着する方法を徹底解説! ー糸、ビニタイ、ボンドの使い分けー
⑧ 丸葉は細葉と組み合わせて
「丸葉」の水草は可愛らしく、インパクトがある反面、他の水草と組み合わせづらい面があります。
そこで「細葉」の水草と組み合わせて配置することで、印象を和らげ違和感無く水景に溶け込ませることができますよ。
特にレイアウトに取り入れるのが難しい大きな丸葉の水草は「テープ状」+「細葉」というように直線的な葉を持つ水草を複数組み合わせることで水景への馴染みが良くなります。

この一手間が水景の完成度を左右しますよ!
⑨ 中間色を使いこなす
「黄色」「オレンジ」「茶色」など中間色は他の水草を際立たせます。
緑色をより緑色に、赤色をより赤色に見せてくれるので、脇役として取り入れることでより深みのある水景になりますよ。
「緑70%、中間色20%、赤色10%」
これくらいの割合で組み合わせるとバランスを取りやすいです。

水草は種類ごとに微妙に色彩が異なります。また環境によっても色が変わりますよ!
さらに上を目指す方はこちらで紹介するテクニックも取り入れてみてください。
より見栄えの良い作品になるはずです!

手前から葉の大きさを徐々に小さくすることで、奥行き感を強く演出することができます。
大きさは大胆に変えることで、より強い遠近感を演出することが可能です。
「赤 → オレンジ → 黄色」
「深緑 → 緑 → 黄緑」
このように手前から奥にかけて、葉色を徐々に淡くすることで「遠近感&色彩の一体感」を演出できます。
多数の色を使うことになりますので、自然と華やかな印象の水景になりますよ。

「葉の大きさを徐々に小さくする」テクニックと組み合わせるとさらに有効です!
水槽の一番奥(消失点などと呼びます)の左右に同じ水草を配置することで門の役割を持たせることができます。
ディズニーランドやUSJなどでは各エリアの境界が門のようになっているはずです。
これは門という存在が「世界と世界を分ける境界である」と人の心理に強く働きかけるため。
また、「暖色は前に出て見える」「寒色は奥に引っ込んで見える」という視覚トリックと組み合わせることでさらに奥行き感を演出することができますよ。
そのため、門に使う水草は暖色系で葉の細かなものが向いています。
門のテクニックを使うならバックスクリーンは「ブルーグラデーション」など寒色系のものがおすすめですよ。
- 門は境界を強く意識させる
- 暖色系の水草が向く
- ブルーグラデーションのバックスクリーンと好相性

「葉の細かな赤、オレンジ、黄色の水草で作る門」+「ブルーグラデーションのバックスクリーン」が人気なのはこれが理由です!
あえてルールを破っている作品はインパクトがあり、目を引きます。
ただし、「ルールを破る際のルール」を守らないと、ただ奇をてらっただけになってしまうので注意しましょう。
- 真っ赤な草を水槽全体に使う
- あえて構図素材に水草を活着させず、素材の強い印象を活かす
このようにルールを守るなら大胆に破りましょう。
「作者はあえてルールを破っている」と見た人に伝わらないと、「ん?間違えちゃったのかな??」と誤解されてしまいます。
また、一つの作品につき、ルールを破るのは一つだけにするのがおすすめです。
その方がよりインパクトが出ますよ。

ルールを知らない人にルールを破ることはできません!
良い作品のアイデアはどんどん真似してみましょう。
今回ご紹介した内容を踏まえて他の方が作った作品を見てみると、新しい気付きが得られると思いますよ!
今回は「水草を格好良くレイアウトする心得」を9つご紹介しました。
水草レイアウトは基本的に自由にデザインして楽しむものだと思いますが、格好良い作品にしたいならある程度ルールに従って作る必要がありますよ。
今回ご紹介したものが全てではありませんが、意識して作ることでまとまった印象の作品になるはずです。
水草の姿や色彩は環境によっても微妙に変化します。
何度もレイアウト制作にチャレンジして水草のクセを掴んでくださいね!

慣れてきたら、自分オリジナルのルールや法則を作って遊んでみてください!