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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「ダッチアクアリウム」を解説します。
ダッチアクアリウムとは、古くからあるレイアウトスタイルの1つ。
水草をふんだんに使ったそのスタイルは、かつて水草レイアウトのスタンダードでしたが、今ではその座をネイチャーアクアリウムやハードスケイピング(ジオラマレイアウト)に譲っています。
しかし、たくさんの水草を使ったレイアウトは今でも水草の魅力を存分に味わうことができますよ。
水草を使いこなさないことにはできないので、ダッチアクアリウムを作っていると自然と水草に詳しくなります。
今回はそんなダッチアクアリウムについて解説していきますよ。
水槽レイアウトに興味のある方はぜひご覧ください。
ダッチアクアリウムとは「水草の配置と成長」に焦点を置いたレイアウトスタイルです。
石、流木など構図素材をほとんど使わないところに特徴があります。
見た目の印象は水中に作った花壇といった感じでしょうか。
自然を模したものというよりは「水中庭園」という言葉がしっくりきます。
1930年頃よりオランダで人気で博し、NBAT(オランダ水族館協会)によって定義がまとめられました。
これにより「ダッチ= オランダ」アクアリウムと呼ばれています。
AGAコンテストとは「Aquatic Gardening Association Contest」の頭文字をとったもの。
アメリカのAquatic Gardeners Associationが主催する世界で最も長い歴史を持つ国際レイアウトコンテストです。
本記事で解説に使う画像は「AGAコンテスト ダッチアクアリウム部門」より引用したものです。
各画像はタップ(クリック)するとコンテストページへ飛びますので、作品の詳細を見ることができます(英語です)。
- 水草の密度
- 水草のグループ
- 水草のコントラスト
- 水草の種類数
- テラシング
- ストリート
- 三分割法
- 三角形を意識
- サイドの水草
- 背面のガラス面を隠す
- 構図素材は1種のみ
- 機材類を隠す
こちらの12点がダッチアクアリウムのポイントです。
色々と決まり事が多いのもダッチスタイルの特徴。
柔軟に1部だけ取り入れるのがまずはおすすめですので、固く考えずに興味のあるところからチャレンジしてみてください!
「底床面積の70%以上に水草を植栽する」
これがダッチアクアリウムのルールです。
正に「水草の配置と成長」に主眼を置いたレイアウトと言えるでしょう!
水草は種類ごとにグループで植えます。
1つの種類を1株づつ離して植えると、密度が下がりスカスカした印象になってしまいます。
まとまった印象となるように、同じ種類の水草は一箇所に植えましょう。
隣合う水草は「色」「形」「葉の質感」が違うものにします。
お互いがそれぞれを引き立て合うように配置し、印象を強調しましょう。
また、隣り合う水草とは「高さ」を変えることも重要です。
これはどんなレイアウトにも応用できるので取り入れやすいです!
水槽幅10cmに対して「1種」
というのがトラディショナルなルールです。
60cm水槽なら6種ということですね。
「限られた種類の水草でいかに水景を作るのか?」という技量が問われます。
- 後景→ 背の高い水草
- 中景→ あまり大きくならない水草、水草を絶えずトリミングし高さをキープ
- 前景→ 大きくならない水草、水草を絶えずトリミングし高さをキープ
ダッチアクアリウムの奥行き感演出は水草を使います。
棚田のようなイメージで、前、中、後と水景を3つに区切り水草を配置していきます。
中景、前景に成長の早い(大きくなる)水草を使用した場合、ハサミを入れることで高さをコントロールします。
通常では背が高くなる水草でも、カットして植え戻すことで前景、中景に使うのはダッチアクアリウムの大きな特徴です。
ストリートとは「水草で作った道」のことです。
手前から順に背を高くすることで、奥行き感を演出するように配置するのがコツです
ロベリア・カージナリスなどがよく使われます。
これはダッチアクアリウムを代表する手法で、前景から連なった風情はインパクトがありますよ。
三分割法とは、画面を縦横にそれぞれ3つに分割し、画面を9個のマスに分けて要素を配置する考え方です。
要素を線上や交点に配置するとバランスよい見た目になります。
ダッチアクアリウムでは、線上や交点にポイントとなる水草を配置することが多いです。
など、インパクトのある見た目の水草が好まれます。
意識的に三角形を形作るように水草を配置します。
頂点にくる水草は三分割法と同様、インパクトのある水草が好まれます。
特に赤系水草を使い、三角形を形作ることが多いですよ。
ダッチアクアリウムでは「水草を使い構図を作る」と意識すると良いでしょう。
などを配置し、サイドのガラス面が見えないようにするテクニックもあります。
サイドのガラス面は水草を反射させることでさらに広がりのある水景にすることができますが、ダッチアクアリウムではより箱庭感がでるよう、ガラス面を隠してしまうこともあります。
このように背面ガラスを見えないように水草で隠すテクニックを使うこともあります。
多くはウィローモスなどコケの仲間を板状のものに巻きつけて使用することが多いですね。
最近では「サイドの水草の項」で紹介したAGAコンテスト2014の作品のように、オーストラリアンクローバーなどを使うケースも増えています。
石、流木などの構図素材は1種に絞って使いましょう。
同じ流木であっても、「枝流木」「塊状の流木」など、質感、形の方向性に差があります。
使うなら1種に絞り効果的に配置しましょう。
水草グループの間仕切りとして取り入れるのがおすすめです。
ダッチアクアリウムには構図素材を入れたらダメ!というのは間違いです。水草が主役の中で効果的に使えればOKです。
ダッチアクアリウムでは機材類は普段より「見えないこと」が重要です。
ヒーターやフィルター配管などが見切れてしまうと、ちょっとがっかり感がありますよね。
水槽サイズが比較的小さい日本では後景草を上手く使って隠すと良いでしょう。
コーナーカバーを使うのもおすすめです。
こちらの記事でコーナーカバーの作り方と使い方を詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
大型水槽の多いヨーロッパではバックボードを工夫して隠すことが多いです。
このようなリアルな擬岩を使ったバックボードもあります。
水槽サイズに合わせてオーダーすることもできますので、興味のある方は「AQUADECOR社」のHPをご覧ください。
こちらはAGAコンテスト2019ダッチアクアリウム部門のトップ作品です。
ポイントを複数組み合わせて取り入れることで「ダッチアクアリウム」らしい作品になります。
無理やりルールをねじ込むのでは無く「いかに限られたルールの中でまとまりのある作品を作るか」ということが大切ですよ。
水草の配置と成長がダッチアクアリウムの本質だとするならば、作品を作るうえで最も重要なのは「水草の知識」と「育成技術」でしょう。
- 成長後、どのような姿形になるのか
- 成長スピードはどれくらいか
- 水質管理
- 肥料管理
などを詳しく知り、かつ実際に水草を育て上げる技量が必要と言えます。
水草と向き合えるレイアウトスタイルと言えるでしょう!
- 大きな葉を持つ水草
- テープ状の水草
- 赤、オレンジ、黄色など色味の派手な水草
ダッチアクアリウムにはほとんど全ての水草が使われます。
他のレイアウトスタイルと比べてみると「大振りな葉を持つ」「色味が派手」など、より水草そのものの美しさが際立っているものが多く使われる傾向がありますよ。
特に「三角形」を形成するために使われることの多い赤系水草は印象的ですね。
ダッチアクアリウムが廃れた原因の1つとして「ルールが厳格であること」が大きく影響していると私は考えています。
私は結局のところ、綺麗にまとまったレイアウト水槽ができるなら方法論はどうでも良いです。
もちろん、真っ白な地図を頼りに先へ進むのは難しいのである程度の指針はあるべきだと思います。
しかし、新しいユーザーの妨げになり、ユーザー数が減少してしまうくらいなら厳格なルールに意味は無いと考えています。
なので、「こんなレイアウトの作り方もあるんだぁ」くらいの緩いスタンスで、ダッチアクアリウムのテクニックを取り入れて貰えたら嬉しいです。
そして、本格的に興味が出てきたらがっちりルールに則って作ってみてくださいね。
アクアリウムは趣味です。楽しくないと意味ないと思います!
私も水草水槽を始めた頃よりダッチアクアリウムから配植テクニックを学んでいます。
こちらの記事で私が普段から意識している配植のポイントをまとめましたので、興味のある方は今回の記事と読み比べてみてください。
似ているところも、全然違うところもあります。
水草レイアウトには様々なテクニックがあり、何が正解かは場合によって大きく変わります。
色々なテクニックを知ることで、より自由にレイアウトを作れるようになりますので、もっとアクアリウムが楽しくなりますよ!
様々なダッチアクアリウムが見れます。
コンテストルールはそのままダッチアクアリウムを作る際のポイントとして利用できますよ。
上手に作品ができたなら、ぜひコンテストに応募しましょう。
私が読んだ中で一番分かりやすくダッチアクアリウムのことを解説しています。
英語なので翻訳しやすいのがポイントですね(オランダ語の記事が多いので)。
ベース部分の作り方なども載っていますので、実際に作る前に読んでおくことをおすすめします。
今回は「ダッチアクアリウム」について解説しました。
水草をふんだんに使ったレイアウトはそれだけで楽しいものです。
そこまで強くルールにこだわらなくても良いので、水草を育てる楽しみを知っていただけたら幸いです。
1つ1つの水草はそれだけで美しいものです。まずは1つの水草を綺麗に育てることから始めましょう!
この記事が参考になったら感想を教えてもらえると嬉しいです。
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