どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「オススメのバクテリア剤」と「正しい使い方」について解説します。
アクアリウムを楽しんでいるなら「バクテリア剤を使いましょう」というのを聞いたことがあるでしょう。
これって本当に必要なんでしょうか?
結論から言うと「必ず必要ではないけれど、1部有効な場面がある」です。
バクテリアは目に見えませんし、影響を与えるのはこれも見えない水質です。
なので、バクテリア剤を使っても良い効果があったのか疑問に感じた方も多いはず。
バクテリア剤は名前の通り「生きたバクテリア」が入っているので、適した環境下で使わないと効果を発揮しません。
飼育スタイルによっては不要なので、ご自分の飼育スタイルと相談して使うか決めると良いでしょう。
初心者の方にも分かりやすく解説していきますので、ぜひご覧ください。
バクテリア剤とは「水槽の水をキレイにしてくれる生きたろ過バクテリアが封入、もしくは休眠状態で含まれているもの」です。
形状として「液体タイプ」「粉タイプ」があります。
種類として「有機物分解菌」「硝化菌」がありますよ。
キレイな水槽を作るには「ろ過バクテリア」を十分に繁殖させる必要があります。
予め生きたバクテリアを投入することで、増殖を促し、安定した環境を作りやすくなるというのがバクテリア剤を投入する目的です。

「正しく使えば水槽がキレイになるもの」と思っていただければOKです。


バクテリア剤を使わなくても、放っておけば水槽内にバクテリアは繁殖していきます。
ですが、バクテリアと一言でいっても膨大な種類があり、有益なものも害のあるものもいます。
水槽の中でどれが優勢になるかはやってみないと分かりません(現状、僕の実力ではハッキリとご説明できないのです、、、)。
なので、ある程度、有益なバクテリアが増えるのか、有害なバクテリアが増えるのかはギャンブルになってしまいます。
そこで、有益なバクテリアが含まれているバクテリア剤を使うことで、このギャンブルを有利に進めることができますよ。

優秀なバクテリア剤を正しく使ったとしても、有益なバクテリアが必ず増えるかというとそうでもないのが現状です。
冒頭でも書きましたが、「必ず必要ではないけれど、1部有効な場面がある」というのが今の所の答えです。
じっくり「水槽を立ち上げる」なら入れる必要は無いのかもしれませんし、すぐにたくさんのお魚を飼育するならバクテリア剤を添加したほうが良いかもしれません。
私がバクテリア剤が必要だと考えている場面と、不必要だと考えている場面は後ほど詳しく解説します。
今の水槽に当てはめてみて、必要そうなら添加をしてみても良いでしょう。
新しく水槽作ることを「立ち上げる」と表現します。
ろ過バクテリアが十分に繁殖して安定してお魚を飼える環境になった状態を「水槽が立ち上がった」などと呼びますよ。
バクテリア剤を使ったからいってすぐに安定した環境ができるのかというと微妙です。
使っても使わなくても水槽の立ち上げには1~2ヶ月程度かかりますよ。
バクテリアが増殖し、生物ろ過が成熟する過程はこちらの記事で詳しく解説しました。
興味のある方はぜひご覧ください。


優秀なバクテリア剤を正しく使ったとしても、有益なバクテリアが必ず増えるかというとそうでもないのが現状です。
こちらの3つが今のところのおすすめです。
液体、粉タイプとそれぞれ特徴がありますので、ご紹介する3つのバクテリア剤で多くの飼育スタイルに対応可能です。

具体的にどのような水槽におすすめなのかは後ほどご紹介します!
硝化菌が入った「SUPER BICOM 78」と有機物分解菌が入った「 SUPER BICOM 21PD」のセット。
液体タイプなので、簡単に水槽に入れることができるので初心者の方にも使いやすいですよ。
2つを同時に投入することで、 有機物分解菌が有機物を分解、バイオフィルムを形成しそこに硝化菌が定着するようになります。
欠点は消費期限があること。
生きたバクテリアが封入されているので早めに使い切りましょう。
※淡水、海水用があるので買い間違えにご注意ください
生物ろ過バクテリアの「バイオダイジェスト」とアンモニア中和剤である「ストップアンモ」のセットです。
こちらも硝化菌と有機物分解菌がセットになっています。
ガラス製の小型アンプルに入っており、少ない本数からでも購入できるので高性能のバクテリアでありながら安価なのが嬉しいです。
また、アンプルの中にはアルゴンガスが封入されているので酸化の心配が無く、事実上製品寿命がありません(20年くらい経つと2%程度性能が落ちるようです)。
※封を開けたら早めに使い切りましょう
主に有機物分解菌が含まれている粉タイプのバクテリア剤です。
主に底床の下に振りかけるように入れると効果的なので、水槽セット時に使うと良いでしょう。
底床の下に入れるなら換水で流出しないため、換水を多用する飼育スタイルでも有効に活用できます。
底床内に有益なバクテリアがいることは水草の成長に大きく影響するので、水草水槽を作るならぜひとも使いたいですね。
とてもコスパの良いバクテリア剤です。
これ1本あれば数年単位で使うことができますよ。
※淡水専用です
ここでは私が考えているバクテリア剤が有効な場面とそうでない場面をご紹介します。
バクテリア剤には大きく分けると「有機物分解菌」「硝化菌」の2つがありますので、それぞれ有効なバクテリア剤もご紹介します。
バクテリア剤使用の基準としてご活用ください。

水草用のソイル(土)など最初から養分が含まれている底床を使用する場合は、セット初期にバクテリア剤を使用することで、セット初期に発生する「白濁」「藻類の増殖」などをある程度予防することができます。
より養分が多いほど、セット初期に不安定になりやすいのでよりバクテリアの重要性が増します。
逆に養分の少ないソイルほどバクテリア剤の重要性が低くなります。
有機物分解菌タイプがおすすめ


- 急にお魚を飼うことになった
- 今の水槽でトラブルが発生したので、急遽、新しい水槽で飼育しなければならない
などなど、急に新しい水槽で飼育する場面もあるかもしれません。
このような場合も、バクテリア剤を使うと良いでしょう。
水槽で飼育するお魚の数の目安はこちらの記事をご覧ください。

有機物分解菌、硝化菌がセットになっているものがおすすめ

白濁がなかなか消えない原因がバクテリアにあることもあります。
有益なバクテリアがフィルターの中にたくさんいないと、どうしても水槽水の透明度は高くなりません。
もし、白濁が続いているなら一度フィルターを掃除してバクテリア剤を添加すると改善するかもしれません。
白濁にはいくつか原因がありますので、お困りでしたらこちらの記事をご覧ください。

有機物分解菌、硝化菌がセットになっているものがおすすめ

病気が蔓延した後は水槽を大掃除したほうがよい場合もあります。
また、魚病薬の中にはろ過バクテリアにダメージを与えるものもありますので、本水槽で薬浴をした場合はバクテリアが減ってしまっていることもあります。
このような場合は、一度大掃除をした後にバクテリア剤を入れて仕切り直しましょう。
有機物分解菌、硝化菌がセットになっているものがおすすめ

- ブラックウォーターに生息しているお魚
- 低PH環境に生息しているお魚
- 頻繁な換水で管理されていたお魚
このように、バクテリアが少ない環境(良い意味でも悪い意味でも)で生活していた魚をバクテリアが多い環境に入れると調子を崩すケースがあります。
このようなお魚の場合、徐々にバクテリアの多い環境に慣らしていく方法がオススメです。
そのため、バクテリア剤を使った立ち上げ方法は不向きですよ。
- アルタムエンゼル
- 一部のアピストグラマ
- 一部のワイルドベタ
- ベタ(ブリード)
- 国産グッピー
などなど
このように、いきなりバクテリアの多い環境に入れると調子を崩してしまうお魚は意外と多いです。
せっかくバクテリア剤まで使って丁寧に立ち上げたのに調子を崩してしまうと悲しいので注意しましょう。

「問屋→店舗」と流通するうちに徐々に普通の水槽環境(つまりバクテリアの多い環境)に慣れていきます。在庫期間の長いお魚の方が死にづらいのはこのあたりも影響していますよ。

水槽に対して、お魚の数が少ない場合はフィルターにかかる負担が少ないので、バクテリア剤を添加するメリットがその分少なくなります。
広々とした水槽でゆったりと飼育するのなら添加せずとも良いかもしれません。


フィルターを使わないで管理するのであれば、=水を交換することで管理することになりますので、バクテリア剤は要らないと考えています。
小さなボトルを使った水槽などなら添加せずとも良いでしょう。

頻繁に換水をして管理(2~3日に1度50%換水するなど)するならバクテリア剤は不要かもしれません。
汚れが溜まる前に換水をすることで取り除くことができますし、定着していないバクテリアが流出してしまいますので添加してももったいないです。
換水をマメにしつつバクテリア剤も使いたいなら「バクテリアを吸着するろ材」を使いましょう。
こちらの5つがバクテリア剤を正しく使うコツです。
それぞれ解説していきますのでご覧ください。

バクテリア剤を使う場合、用量をしっかり守りましょう。
バクテリアも生き物なので酸素を消費します。
入れすぎてもバクテリアが増えやすくなるわけでもないので、酸欠のリスクが増すだけです。
用量はしっかり守りましょう。
液体タイプバクテリア剤は換水をマメにしてしまうと、せっかく入れたバクテリアを捨ててしまうことになります。
そのため、バクテリア剤投入後、1~2週間程度は換水を少なめにした方が良いです。
もし換水を多くするなら「バクテリアを吸着するろ材」を使いましょう。
定着していないバクテリアが殺菌灯を通過する際に死んでしまうので、投入後2週間程度は作動させないようにしましょう。
「バクテリアを吸着するろ材」を使うなら投入後1~2日程度稼働させても良いでしょう。

添加したバクテリアはアンモニアや有機物を分解して増えていきます。
そのため、ある程度汚れが無いと増えることができません。
ですが、急にたくさんの汚れを分解出来る量まで増殖する訳ではありません。
初めは少量のお魚(パイロットフィッシュ)を入れて、バクテリア増殖に合わせて徐々に魚の数を増やしていきましょう。


硝化菌はアンモニアを硝酸にする過程で酸素を消費します。
フィルターが問題無く稼動している環境ではあまり酸欠になることは無いのですが、心配な方はエアレーション(ブクブク)をしておくと良いでしょう。
バクテリアがろ材などに定着するには、まずは有機物分解菌がバイオフィルム(ヌルヌル)を作りそこに定着していきます。
そのため時間がかかるのですが、バクテリアを吸着する作用のあるろ材を使うことで時間を短縮することができます。
バクテリア剤を使用する際は予めフィルターに入れておくと効果的です。
- 稼働中の水槽から底床を移植
- 稼働中の水槽からろ材を移植
現在稼働中の水槽からバクテリアを移植することでバクテリア剤の代わりにすることができます。
バクテリア剤を使うよりも結果が良いことが多く、コストも安いですので、現在水槽を管理しているならぜひ実践しましょう。
水槽リセットのタイミングなど、古い水槽の底床を「ひとつかみ程度」新しい水槽へ移植しましょう。
入れ過ぎてもあまり効果は変わりませんので、あまり欲張らないように!
古い底床は濁りの原因になりますので、底床の一番下に入れましょう。

稼働中の水槽のろ材を「洗わずに」新しい水槽のフィルターに入れましょう。
最初にちょこっと汚れなどが出ますが、我慢して洗わずに使うと良いですよ。

私は現状、ほとんどバクテリア剤を使うことなく水槽を立ち上げています。
イベント時など、短期間で水槽を作らなければならないときなどにたまに使うくらいです。
現在稼働させている水槽が複数ありますので、そこから移植できるというのもあまり使わない理由の1つです。

「なぜ?」と聞かれても、「慣れたから」としか答えられないですが(笑)。
今回は「オススメのバクテリア剤」と「正しい使い方」について解説しました。
バクテリア剤はどのような水槽環境でも有効に働くわけでは無いので、手放しではおすすめできません。
有効に使えばなにかと難しい「水槽の立ち上げ」を楽にしてくれますので、ご自分の水槽スタイルに合っているなら便利ですよ。

初心者の方は詳しい方のアドバイスの元で使うことをおすすめします。