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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は「テラリウム水槽の作り方」をご紹介します。
テラリウムには様々なスタイルがありそれぞれで育てられる植物が違いますが、今回ご紹介するのは水槽の上部に陸上植物を配置するスタイルです。
水に強い観葉植物を使うことで育成しやすく維持もそこまで手間がかかりません。
植物と水辺を一度に楽しめるスタイルですのでお部屋の中が一気にボタニカルな雰囲気になりますよ!
「必要な機材」「使用する植物」「レイアウト手順」などを詳しく解説していきます。
初心者の方にも分かりやすく画像多めで進めていきますのでぜひご覧ください。
テラリウムとは、半分が水中、半分が陸地などに別れてデザインされている水槽のこと。
水中と陸地のバランスは水槽により様々ですが、陸上部分をメインにするレイアウトが多いです。
- アクアリウム⇒ 水中
- テラリウム⇒ 水中と陸地
- パルダリウム⇒ ほとんど陸地
このように区別されることが多いですが線引きは曖昧です。
その水槽の主役がどこなのかで呼び名が変わることも多いです。
「水辺も陸地もあるけどメインは水中⇒アクアリウム」みたいな感じですね。
普段は枠組みに囚われずレイアウトを楽しんだ方が良いと考えていますが、コンテストなどに出品する際は線引きが決まっていることもありますのでご注意ください。
作者が「これはテラリウムです」って思っているならそれはテラリウムで良いと思っています!
水槽 | 90×45cm(手前側の高さ30、奥側50cm) |
ライト | 天井より2000lm程度のライトを3台使用 |
フィルター | 外部式フィルター |
ヒーター | 300W |
底床 | 1cm程度の大きさの硅砂 |
今回制作したのでこちらの水槽です。
90cmサイズなので大きめの観葉植物を大胆に配置してデザインしました。
大きめの流木で陸地を作ることで大きな観葉植物でも安定して固定することができます。
大きなシダなどを配置するとジュラシック感が出て素敵ですよ。
お客様宅の水槽なので最大限にメンテナンス性を考慮しています!
- 明るいライトを使う
- コケは少なめにする
本記事でご紹介するスタイルのテラリウムはこちらを意識して作ることで失敗が少なくなります。
室内で育成できる観葉植物は比較的暗めの環境でも育成しやすいのですが、根が常に水に浸かっている環境では根腐れしやすくなります。
明るい環境では根腐れしづらくなりますのでなるべく明るいライトを使いましょう。
「テラリウム=コケを育てる」というイメージが強いかもしれませんが今回ご紹介するスタイルでコケを綺麗に育てるのは難しいです。
観葉植物をメインにしてコケは少なめに配置すると育成しやすいです。
今回はリセット作業の記録です。
リセットとは、水槽を一度空にしてもう一度作り直す作業のこと。
植物の1部を再利用していますので新規で作るのとちょっと違いますが基本的な流れは一緒です。
4年ぶり?くらいのリセットでした!
- 水槽
- ライト
- フィルター
- ヒーター
- 水を回すポンプ+エアーチューブ
- 底床
などなど、基本的に普通の水草レイアウトを作るのと変わりません。
高い位置からライトを当てたほうが良い、目詰まり対策が簡単なフィルターを選ぶなどポイントがありますので機材選びの際は注意しましょう。
テラリウムは2本目、3本目の水槽でチャレンジされることが多いので余っている機材で工夫するのも楽しいです!
今回使用したのはこんな形をした水槽です。90×45cmサイズの水槽で手前側の高さは30cm、奥側は50cmの特注サイズです。
ある程度水量も稼ぎつつ背景側に植物をたくさん配置するなら上記のような形状の水槽が向いています。
しかし、市販品があまり無いのが残念。
テラリウムはそこまで人気のあるレイアウトスタイルでは無いのでメーカーサイドも本格的に水槽を制作していないという事情があります。
現在(2023年7月)は上記の商品がありますので、こちらの水槽を利用すると手軽です。
画像の水槽はプレコの特注サイズです。1cm単位でオーダーできますのでご相談ください!
水槽上部に大きく植物が出るように配置するのでできることなら天井からライトを当てるように工夫すると良いでしょう。
ライティングレールにスポットライト用のソケットを付けるのがおすすめです。
電球は植物育成用のものを使うと良いでしょう。
などがおすすめです。
今回の水槽サイズ(90cm)なら2台使えば十分な明るさが確保できます。
- 外部式フィルター
- 底面式フィルター
- 内部式フィルター
など、テラリウムに使われるフィルターには様々なタイプがありますがおすすめは外部式フィルターです。
テラリウムの場合、植物の根がフィルター配管に詰まるケースが多いのですが外部式フィルターなら配管を取り外しやすいので詰まってしまったときのメンテがやりやすいです。
水槽サイズに合ったものを選ぶと良いでしょう。
おすすめの外部式フィルターは別記事でご紹介していますのでご覧ください。
配管を外しやすいようにレイアウトするのもポイントです!
通常の水槽と同様に水量に合ったものを選べばOKです。
ヒーターは空気中に露出させて使用すると危険ですので、水位が低くなりがちなテラリウムは注意して設置しましょう。
なるべく水槽の底に近い位置にセットするのがおすすめです。
おすすめのヒーターは別記事でご紹介していますのでご覧ください。
流木の高い位置などに水を回して植物を配置できるようにするためのポンプです。
必須ではありませんのでレイアウト合わせて用意しましょう。
ポンプから出る水をエアーチューブを使って色々なところから出るようにします。
陸上部分に植物を配置するなら水を供給する必要があります。
そこでポンプを利用して水を回します。
上記の画像のポンプは
- エーハイム コンパクトオン300
- ニッソー ハイドロテラリウム専用分水器
- 内径12mmのホース
こちらを組合せたものです。
水槽での活用方法は後ほどご紹介します。
テラリウムは配管の工夫が楽しい水槽です!
今回は明るめの砂利を選びました。
底床は水草育成に適した物の中からお好みで選ぶと良いでしょう。
テラリウムは上部に茂らせた植物の影で水槽の中が暗くなる傾向があります。
明るい色彩の砂利や砂なら影でもある程度明るく見えますのでテラリウムに向いていると私は考えています。
おすすめの底床は別記事でご紹介していますのでご覧ください。
- フィロデンドロン
- ブレクナム ‘シルバーレディ’
- ネフロレピス ‘ツデー’
- ガジュマル
- ポトス ‘ライムグリーン’
- ネフロレピス ‘ダッフィー’
- フィカス プミラ
- 南米ウィローモス
今回配置したのはこちらの8種の植物です。
どれもテラリウムで育てやすいので初心者の方にもおすすめです。
本記事で紹介しているテラリウムではコケ類を美しく育てるのが難しいため、コケは陸上で育成しやすい南米ウィローモスのみにしています。
観葉植物は水槽に入れる前に下処理が必要です。
下処理方法は後ほどご紹介します。
フィロデンドロンとは中南米を原産とするサトイモ科の植物です。
観葉植物として古くから親しまれており多くの品種があります。
大型になるものが多いので90cm以上の水槽に向いています。
基本的にテラリウム向きですので気に入った葉姿のものを選ぶと良いでしょう!
大きな葉を展開するシダの仲間。
本種1つでジュラシック感のある雰囲気に作れる私のおすすめの1種。
根が水に浸かるように配置しましょう。
横に這うような芽をどんどん展開するシダの仲間です。
成長が早くボリューム感があることから私はテラリウムでヘビーユースしています。
水槽上部を覆い尽くすくらいに成長するので適度にハサミを入れて間引きましょう。
根の部分が面白い形をしている木です。
沖縄に自生しているので知らないうちに見たことがあるかもしれません。
今回は以前から植えてあった大きくなった株を再利用しています。
お馴染みの観葉植物ポトスの改良品種。
テラリウム向きの植物は葉が濃いグリーンをしているものが多いですが本種は明るいグリーンをしています。
ツル状に伸びて壁などに張り付いて成長します。
成長が緩やかなシダの仲間。
手前側など大きな植物を配置すると圧迫感が出てしまうところに配置すると良いでしょう。
大きくなりますが成長が緩やかなので小型水槽でも扱いやすいです。
流木に張り付いてツルのように成長するゴムの木の仲間。
斑入りタイプ(葉が白いタイプ)が多く流通していますがおすすめは基本種のほうです。
緑の葉が自然感があり美しいです。
成長が遅く綺麗に育つまでに時間がかかりますが流木を覆うようになった姿は必見です。
魔女の家の壁に生えてる雰囲気です!
モコモコとした質感が美しいコケの仲間。
コケ類を陸上栽培で美しく育てるにはいくつか条件があるのですが、本記事で紹介するテラリウムの作り方はそれを満たしていません。
ですが南米ウィローモスならある程度綺麗に維持することができます。
適度に水分を供給するのがコツ。
今回は「ADA 佗び草マット 南米ウィローモス」を使用しました。
僕の知る限り最も陸上栽培向きのコケだと思います!
- 土を綺麗に洗い流す
- 半日程度水につけておく
テラリウムに観葉植物を植える場合はこちらの2つの下処理を行いましょう。
鉢を入っている観葉植物は土を綺麗に洗いましょう。
根に絡まっているので流水で洗い流すと簡単です。
土が残っていると濁りの原因になります。
土を洗い流し終わったら半日程度水に漬けておきましょう。
葉や根に付いている虫などを除去することができます。
水槽を水平な場所に設置して機材類をセットします。
今回は見た目がスッキリするように外部式フィルターの配管を黒い塩ビ管に交換しています。
ヒーターの設置位置もこのタイミングで決めておくと良いです。
この水槽の設置位置は右奥に壁がくるので、右奥に機材を集中して設置しています。
機材類は1番目立たない位置にセットするようにすると見栄えがよくなります。
陸上部分に水を回す水中ポンプをセットします。
こちらも目立たないように右奥にセットしました。
陸上に水を回すポンプは目詰まりすることが多いので取り出しやすいように工夫すると維持管理がちょっと楽になります。
ついでに底床を入れてしまいましょう。
少し傾斜をつけて奥側が高くなるように盛ると立体感が出ます。
流木を組んで陸地を作っていきます。
水面よりも高くする必要があるので立てるように配置するのがポイントです。
塊状のタイプの安定するのですが水の中が狭くなってしまうので薪のような形のものを複数組合せると良いでしょう。
この水槽で大小合わせて10個程度の流木を使用しています。
「大きめサイズ」で探すのがコツですよ。
※流木を大量に使う場合は予めアク抜きをすると良いでしょう。
STEP.2でセットした水中ポンプにエアーチューブを接続します。
使わないところはエアーチューブを縛って止水しましょう。
分水器はすべて使うとかなり水流が弱くなるので2~4箇所くらい止めたほうが使いやすいです。
水中ポンプから伸びているエアーチューブをビニタイで縛って固定します。
今回は南米ウィローモスを配置したい中央のアーチの部分に水を回しています。
水を張りポンプの電源を入れて水流の向きや強さを確認します。
エアーチューブの長さや本数を調整しましょう。
エアーチューブが水槽の外に出てしまうと水漏れしてしまうので注意してください。
流木の隙間に挟み込むように植物を配置します。
根が長いものは根をボール状にまとめると作業しやすいです。
植物の根がが水につくように配置しましょう。
「大きなもの⇒小さなもの」この順番で配置すると作業しやすいです。
隣り合う植物の葉姿がなるべく違うものを配置することでメリハリのあるデザインになります。
中央のアーチ部分に南米ウィローモスを配置していきます。
コケはピンセットで摘むようにして配置すると作業しやすいです。
コケの周囲にはフィカス プミラを配置します。
どちらも配置した部分を覆うように成長するので自然な雰囲気を表現できます。
フィカス プミラは成長がかなりゆっくりなので気長に成長を楽しみましょう。
これで完成です!
最後に機材類のスイッチを入れるのをお忘れなく。
もし水が濁っているなら換水をしましょう。
- テトラの仲間
- コイの仲間
- メダカの仲間
- ナマズの仲間
などなど、様々なお魚を飼育することができます。
基本的に蓋ができないので「飛び出しやすいお魚」は不向きです。
それ以外のお魚は通常の水槽と同様に飼育できますので水槽サイズ、水量と相談しながら選ぶと良いでしょう。
- ラスボラ ヘテロモルファ
- テトラ オーロ
- ヒドジョウ
リセット前からの住人をもう一度入れました。
テラリウムは水中部分の高さが低いので底にいる魚を入れると面白いです。
ドジョウやコリドラスなどを入れると似合いますよ。
陸上部分で影がたくさんできますので影に隠れるようなお魚も似合います!
- ライトのオン・オフ
- 餌やり
- 肥料添加
- 換水
- 植物のトリミング
- ガラス面の清掃
ライトの点灯時間の目安⇒ 8~10時間
これくらいを目安にライトを点灯しましょう。
手動で毎日ライトの電源を管理するのは大変なのでタイマーを導入すると便利です。
スマートタイマーならスマホ、AIスピーカーなどでコントロールできるので毎日の管理が楽になります。
スマートタイマーの使い方はこちらの記事でご紹介していますのでぜひご覧ください。
基本的に1日に1回お魚に餌を与えましょう。
与える量は「お魚の片目程度の量」を目安にすると給餌量が多くなりすぎないですよ。
水草と比べると陸上の植物は多くの養分を必要とするので観葉植物用の肥料を少量使うのがおすすめです。
マグァンプK小粒、ネクスコートバラ用は粒状の肥料なので、水槽の後ろの方など目立たない場所に撒くように入れると目立ちません。
1~2週間毎に30~50%程度の量を交換しましょう。
テラリウムは流木を多用することから「流木のアク」で水が茶色くなりがちです。
アクが悪影響を及ぼすことはあまりありませんが見た目に気になる場合はマメに換水すると良いでしょう。
植物が繁茂した様子。
月に1回程度を目安に植物を剪定しましょう。
温かい時期ほど成長が早くなります。
夏場はマメにカットしましょう。
1~2週間程度を目安にガラス面を清掃しましょう。
メラミンスポンジやスクレーパーを使うと簡単です。
通常の水草水槽のように水草を配置することもできます。
水中に水草を配置するなら水中までしっかり光が届くように工夫しましょう。
などは比較的低光量でも育成しやすいのでテラリウム水槽に向いています。
CO2添加をすることでさらに水草の選択肢が広がりますので予算と相談しながらどこまで広げるか決めると良いでしょう!
- テラリウムにおすすめの水槽サイズは?
- 小さな水槽から大きな水槽までテラリウムを楽しむことができますが、作りやすさ、機材の揃えやすさなどを考えると30~60cm程度の大きさがチャレンジしやすいです。
- テラリウムでカエルなどを飼育できますか?
- 本記事で紹介しているようなスタイルのテラリウムでは無理です。
蓋ができない形状のためカエルが逃げてしまいます。
カエルを飼育する場合はカエルの生態を中心に考えたテラリウムを作る必要があります。
- テラリウムに向いている季節はありますか?
- 本記事で紹介している作り方なら通年楽しめます。
あえて言うなら気温が安定している春、秋が向いています。
- テラリウムは臭いますか?
- 水槽のコンディションが悪いと臭いが気になることがあります。
換水をする、フィルターに活性炭を入れるなどの対処をしてから臭いの原因を解決すると良いでしょう。状態の良い水槽は臭くありません。
- テラリウムで苔をたくさん綺麗に茂らせたいです。
- 本記事で紹介しているスタイルの水槽では苔を綺麗に茂らせるのは難しいです。
苔を綺麗にするなら苔を中心にした機材をセッティングする必要があります。
- テラリウムにホコリが入っても大丈夫?
- 基本的に心配する必要はありません。蓋が無いのでお部屋のホコリなどが入っていると思いますが何か問題が出たことはありません。
今回はテラリウム水槽の作り方を解説しました。
テラリウムと一口に言っても様々なスタイルがあります。
色々とチャレンジしたくなりますが、スタイルに合った植物を選ぶことで管理しやすくなりますよ。
本記事でご紹介した内容なら「観葉植物をメインにする」みたいな感じですね。
ぜひ葉姿の違う観葉植物を集めてジャングル感のある水槽を作ってください!
観葉植物を大きく育ててボタニカルなお部屋にしてください!
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