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【水草水槽】コケ(藻類)の生えない水槽はできるのか?

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本記事は「コケ(藻類)の生えない水槽はできるのか?」というアクアリストの永遠の問いを水草水槽管理の視点から解説いたします。

先に答えから言うと「無理」というのが現時点での私の結論です。

水草水槽の場合、水草という植物を育てる環境を整える必要があることから、同様の環境を好むコケ(藻類)も育ちやすい環境になります。

とはいえ、藻類の少ない水槽はやはり美しいですからなるべく生えないようにしたいものです。

そこで今回は「藻類が増える理由」「藻類と上手に付き合う方法」「なるべく藻類を少なくする」「藻類を0にする方法」などをご紹介します。

初心者の方にも分かりやすく丁寧に進めていきますのでぜひご覧ください。

すでに藻類でお悩みの方

すでに藻類でお悩みの方は本記事はあまりお役に立たないかもしれません。

藻類対策はこちらの記事で詳しく解説していますので先にこちらをご覧ください。

この記事の著者
轟元気

プロアクアリスト

轟元気

とどろきげんき

プロフィール

業界歴19年の中堅。現在は有限会社エイチ・ツーに所属し埼玉県坂戸市にあるアクアリウムショップ「e-scape」の店長をしています。本ブログ、Ordinary-Aquariumでは「水草水槽の知識」を中心に今までの経験を基にした実践的な知識、技術を初心者の方にも分かりやすく解説しています。プロフィール詳細リンク、転載、引用について

水草水槽で藻類が増殖する5つの理由

水草水槽の場合、水草を育てるための要素を揃える必要があることから、同時に藻類が育つ環境と言い換えることができます。

逆に藻類が育たないように水温を下げれば水草の成長が鈍り、暗くすれば水草も枯れ、養分を少なくすれば水草も育たないという具合です。

元気
元気

水草が育つ環境を揃えると同時に藻類も育つ環境ができるわけです。

適度な水温

水槽用ヒーター
水槽用ヒーター
冷却ファン
冷却ファン

(18℃)22℃~28℃(30℃)

これくらいの水温が水草の適温です(カッコ内は一応の下限と上限です)。

水温を極端に下げる(上げる)ことで藻類の増殖を抑えることができますが、同時に水草の成長も阻害します。

水草を綺麗に育てるために適温を維持すると同時に藻類もよく育つ水温になります。

適度な光量

サイズ丈夫な水草本格水草水槽
30cm350lm程度700lm程度
45cm1000lm程度2000lm程度
60cm1500lm程度3000lm程度
90cm3000lm程度6000lm程度
120cm4000lm程度8000lm程度
180cm6000lm程度12000lm程度

こちらは水草水槽に必要な光量をまとめた表です。

水草をしっかりと育成するには光の強さが重要なのですが、高光量のほうがより藻類も増えやすくなってしまいます。

2021年現在、ライトの光量はインフレ気味なので「その水槽ならもっと暗くてもいいのにな」というケースが増えています。

「とにかく明るいほうが水草が育つ」と一概には言えませんので、水槽に合わせて使いやすいものを選ぶことが大切です。

別記事で私のおすすめするライトをご紹介していますので、ライト選びでお悩みの方はぜひご覧ください。

適度な養分

正常な水草
健康的な水草
白化した水草
養分が不足している水草

水草が綺麗に成長するためには適度な養分が欠かせません。

水草水槽でよく使われるソイル(水草用の土)にはメーカーよって差がありますがある程度養分が含まれています。

ソイルを使うことである程度養分のことを考えなくても水草を育てることができるのですが、その養分が余ってしまうと藻類増殖の原因になります。

余らないように管理をすれば藻類をそこまで増殖させずに管理をすることができるのですが、それは至難の技です。

どうしても水草を元気に育てようとすると多少の養分余りが出てしまうのが現状です。

とはいえ、まったく養分を添加せずに綺麗に水草を育てるのも難しいので適度に肥料を追加する必要があります。

おすすめの肥料、使い方等はこちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

元気
元気

肥料は闇雲に入れても藻類が増えるだけですから注意してください!添加するなら「肥料を入れる前にチェックすること」をクリアしてからにしましょう。

適度な水質

弱酸性の軟水

こちらが水草に適した水質です。

水草はこちらの水質に合わせることで本調子になるのですが、藻類は様々な種類がいるため藻類全体で見るとかなり広い水質でも増殖します。

そのため水草の好む水質になっていない水槽はより藻類が増殖しやすいです。

特に硬度が高い地域にお住まいの方は黒髭苔」「サンゴ苔などのやっかいなタイプが増えやすいので軟水化対策をすることをおすすめします。

元気
元気

当ブログの「水道水の硬度を簡単チェック」では日本中の水道水の硬度を確認できます!

藻類の守備範囲の広さ

とろろ昆布状の藻類

私は藻類対策をご説明する際に藻類を11タイプに分けて解説をするのですが、実際のところは30~50種類程度が水槽内で増えていると言われています(もっと多いかもしれません)。

藻類にも環境の好みがありますので、水槽によって増殖する藻類が異なります。

たくさんの種類があることから守備範囲が広く、どのような水槽環境であれ適応できる藻類が増えてしまいがちです。

当ブログでは、藻類のタイプ別に対策方法を紹介しています。

こちらのページでまとめていますのでお困りの方はぜひご覧ください。

藻類と上手に付き合う4つの方法

こちらの4つが藻類と上手に付き合う方法です。

藻類は絶対に生えてきますから「食べてもらう」「生えてくる量を減らす」という考えで水槽に向き合うと失敗が少ないです。

お掃除屋さんを入れる

ヤマトヌマエビ

ヤマトヌマエビは水草水槽藻類対策の要。必ず藻類の増殖量よりも食べる量が多くなるように入れるのがポイント!

お掃除屋さんは水槽の大きさに合わせて数を調整しましょう。

ポイントは「藻類の増殖量よりもお掃除屋さんが食べる量を多くする」ということ。

食べる量が少なければ藻類は増殖を続けてしまうのでいつまで経っても綺麗になりません。

大量に藻類が増殖している場合はお掃除屋さんも大量に必要になりますので、なるべく藻類が少ないときにお掃除屋さんを入れるのがおすすめです。

下記の表は水槽サイズ別にお掃除屋さんをまとめた表ですのでご活用ください。

水槽のお掃除屋さんリスト
お掃除屋さんリスト
MEMO

・予防 ⇒藻類が0なら綺麗に維持しやすい数
・駆除 ⇒ある程度藻類が増えているときに必要になる数
・SフライングF ⇒シルバーフライングフォックスのこと

※藻類の増殖状況により、もっとたくさんのお掃除屋さんが必要になることも多いです
※お掃除屋さんによって食べる藻類が異なります

元気
元気

お掃除屋さんが藻類を食べないことはまずありませんので、綺麗にならないならお掃除屋さんを追加しましょう。

藻類を持ち込まない

組織培養水草

藻類、貝の混入が無い、無農薬というのが組織培養水草の大きなメリットです。

なんにもしていなくても藻類は生えてくるのですが、わざわざ水槽内に持ち込む必要はありません。

「組織培養水草」を使えば藻類の混入を0にできますので、安心して水草レイアウトを作ることができます。

水草に強い店舗でないと在庫していないことも多く手に入れづらいですが、藻類の混入が無いというのは大きなメリットですので初心者の方こそ組織培養水草を使っていただきたいです。

元気
元気

組織培養水草を使った水槽の作り方を「水草レイアウト入門」で公開しています!

養分の少ない底床を使う

JUN マスターソイル ネクスト
JUN マスターソイル ネクスト

程よく養分を含みつつ決して多くは無い使いやすいソイル。初心者の方におすすめです。

養分の多い底床(水槽の底に敷く砂利、砂、ソイルなど)の方が水草が育ちやすいのは間違いありません。

ですが、余ってしまった養分は確実に藻類増殖の原因になります。

養分の多い底床ほど水槽管理の難易度が高くなりますので、私は養分の少ない底床をおすすめすることが多いです。

養分の少ない底床であっても後から肥料などを追加することで補うことができますので、まずは藻類を増やさずに水槽を管理できることを優先するべきだと考えています。

こちらの記事で水草水槽におすすめの底床をご紹介していますのでぜひご覧ください。

水草を元気に育てる

IAPLC2021出品水槽

水草を元気に育てるようにすれば自然と藻類の少ない水槽になります。

ここまで書いてきたように藻類と水草の育成環境は重なっている部分が多いので、ともすると藻類の増殖を招いてしまうのですが水草が繁茂すれば藻類は少なくなります。

水草(多くの植物)には自分以外を排除するような働きを持っているので、元気な水草には藻類が付着しづらくなります。

そのため、元気な水草で水槽を一杯にすれば、その分藻類を少なくすることができます。

ムブ
ムブ

それが難しいの!

と思う方も多いかもしれませんが、水草水槽において「水草を元気にすること」が藻類対策の近道であるということを覚えておきましょう。

アクアリストの間では水草が元気に育ち始めることを「スイッチが入る」と表現します。

水草のスイッチを入れる方法はこちらの記事で紹介していますのでぜひご覧ください。

なるべく藻類を少なくしたいなら

こちらの2つの施策が有効です。

藻類を0にすることができませんが水槽に合わせて取り入れることで藻類の増殖を減らすことができます。

成長の早い水草を植える

などなど、成長の早い水草を繁茂させることで水中の養分を減らし結果として藻類を少なくすることができます。

水草が茂るわけですから見た目も良くなるので一石二鳥です。

なるべく養分を少なくする

などの減らす施策をすることで、水中の養分を減らし結果として藻類の増殖を少なくすることができます。

今ある藻類にはあまり効果はありませんが予防効果はありますので、普段から意識することで藻類の少ない水槽にすることができます。

それぞれ詳細記事がありますのでぜひご覧ください。

藻類を0にする2つの方法

どちらも藻類対策としてとても効果が高いのですが水草にもダメージがあります。

薬品は水草水槽で活用するのは難しい面がありますが、遮光は短期間行うことで水草水槽の藻類対策にもなります。

藻類を駆除する薬品を使う

日本動物薬品 ニューモンテ

水槽水が緑色になってしまうアオコやガラス面に付着する緑藻類に効果大です。

こちらのニューモンテなどを水槽に入れることで藻類の光合成を阻害して枯らすことができます。

投入後、2~4週間程度効果が持続するので安価ながら高い藻類駆除能力があります。

生体メインの水槽なら使いやすいですので、藻類でお悩みならお試しください。

注意

水草も枯れてしまいます。水草水槽には使えません。

遮光する

before画像 after画像

水槽を新聞紙やダンボール覆って遮光することで藻類を枯らすことができます。

藻類は光を浴びて光合成をして養分を作っているので暗くすることで枯らすことができます。

私は短期間行うことで水草水槽の藻類対策に取り入れています。

水草へのダメージはありますが上手に取り入れることで強力な藻類対策になります。

遮光をして藻類対策をする方法はこちらの記事でまとめていますのでぜひご覧ください。

まとめ

今回は「コケ(藻類)の生えない水槽はできるのか?」を解説しました。

正直なところ、水草は枯れず、中の生体にも悪影響が無く、藻類だけ駆除できるものが開発されないかなーと日々思っています。

現状ではそれはまだ開発されていませんので、上手に藻類と付き合っていくというのがベターな考え方だと思います。

藻類がたくさん増えてしまうと嫌な気持ちになりますから、早め早めのタイミングでお掃除屋さんを投入して対策してくださいね。

元気
元気

慣れると藻類も嫌いじゃなくなりますよ(笑)