本記事は「水草水槽のエアーレーション」について解説します。
Aeration(エアーレーション)とは直訳すると空気を通すこと。
いわゆる「金魚のブクブク」「酸素のヤツ」などと呼ばれるもののことですね。
水草水槽にエアーレーションは必要なのでしょうか?
答えは「必ず必要では無いけれど、できればしたほうが良い」です。
そこで今回は「エアレーションをする理由」「エアレーションに必要なもの」「エアーストーンの設置場所」「エアレーションをする時間」などを初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。
エアレーションは水草水槽の管理を一歩前に進めるトピックですので、興味のある方はぜひご覧ください。
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エアレーションとはこんな感じに水槽の中で泡をブクブクさせること。
水の中に空気を入れる効果があります。
泡が立ち上る際に水流が発生するので、フィルター内に水を循環させるためにも利用されています。
- 油膜の予防
- CO2中毒の予防
こちらの2つが水草水槽でエアレーションをする理由です。
どちらも必ず必要なものではありませんが、美観や管理面で有利なので余裕があるならエアレーションをすると良いでしょう。

油膜とは水面に浮かぶ汚れのような膜のこと。
CO2添加をしていると自然発生的に出てきます。
エアレーションをすることで泡を水面で弾けさせ油膜を予防できます。
油膜対策には大きく分けると4つの方法があるのですが、エアレーションはその1つです。
油膜除去についてはこちらで詳しく解説しましたので、お困りの方は方はぜひご覧ください。

- CO2添加器具の誤使用
- CO2添加器具の誤作動
- 余ったCO2が溜まり続ける
CO2添加をしている水槽は、このような事情から生体が「CO2中毒」になることがあります。
エアレーションをすることで「水中に溶けている気体」が空気中に逃げていきます。
CO2は水に溶けやすく、逃げ出しやすい性質があるので、これを利用して水槽からCO2を取り除く効果がありますよ。

こちらは余ったCO2が溜まり、どんどん蓄積される様子をグラフにしたものです。
このように添加したCO2は「水草に消費されない分」「空気中に逃げなかった分」が蓄積されていきます。
そして生体の限界を超えると「CO2中毒」が起きるというわけです。
CO2の消費量は日々変化するので、毎日丁度よく添加することは至難の技ですよ。
- たくさんの水草が茂っている水槽
- 水面が動いていない水槽
特にこのような水槽はCO2が余りやすい傾向があります。
そのため、エアレーションの設置をおすすめしますよ。
このような有茎草をたくさん茂らせた水槽は添加量が多くなる傾向があるので、何かの拍子にCO2が余るのことがあります。

まったく水面が動いていないと、ほとんどCO2が逃げないので余る可能性が高くなります。
今までの経験上「水面が動いていない+フタが閉まっている水槽」は特に注意した方が良いですね。
直ちに80%換水をしましょう。
換水をすることで、溜まったCO2を排出し水道に含まれる新鮮な空気を水槽へ入れることができます。
CO2中毒への対処法はこちらの記事で詳しく解説しましたので、もしものために予習しておきましょう。
- エアーポンプ
- シリコンチューブ(エアーチューブ)
- 逆流防止バルブ
- エアー調整コック
- エアーストーン
- ジョイントグラス
- キスゴム
- タイマー

エアーポンプとは空気を送り出すポンプです。
水草水槽用のエアーレーションならパワーの弱いもので十分ですよ。
なるべく「静かな」ものを選ぶのがポイントです。

エアーチューブとはエアーポンプに繋いで使う導管のこと。
作業のしやすさ、寿命の長さから絶対にシリコン100%のチューブをおすすめします。
普通のエアーチューブと比べて作業効率、メンテナンス性が段違いですよ。
エアーチューブを探す際は必ず原材料「シリコン100%」であることを確認してください!

その名の通り、逆流防止バルブとは水の逆流を防ぐ弁です。
水面より下にエアーポンプを設置する場合、ポンプがストップすると水が逆流してくることがありますので必ず付けましょう。
使えないこともないのですが、中には強い圧力が無いとエアーが吐出できないものもあります。
ご利用の際はエアーでも使えるものか確認することをおすすめします。

このようなコックを取り付けることでエアーの出る量を調整できるようになります。
泡が弾ける時に飛沫が飛ぶので、エアー量を弱く調整してあまり飛沫が飛び散らないようにしましょう。

エアーストーンとは、水槽の中に設置して泡を細かくする石のことです。
水草水槽に使用するなら小さなもので十分です。

必ず必要なものではありませんが、使うと配管をスッキリとまとめる事ができます。
配管はなるべくコンパクトにまとめて見切れないようにすると美観が良いですよ。

このようにジョイントグラスを使うことで配管をスッキリとまとめることができます。
シリコンチューブは急な角度で曲げてしまうと潰れてしまって空気が出なくなってしまいます。
そのため、カーブさせるところは大きく迂回させる必要があるので、美観がよろしくありません。
そこでジョイントグラスの出番ですよ。
設置の際は水槽の「ガラス厚」よりも大きなものを使わないと設置出来ないので注意してください。
サイズはADAのHPにて確認できますのでご購入の際はチェックしてみてください。

チューブを固定するために使用します。
こちらも必ず必要なものではありませんが、配管の美観をよくするためにあると便利ですよ。
タイマーを使うことでエアレーションをする時間をコントロールできます。
水草水槽の場合、常時エアレーションをする必要はありませんので、必要な時間だけ電源が入るようにしましょう。
こちらのようなスマートプラグを使えば、スマホからON/OFFがコントロールできるのでとても便利ですよ。
エアレーションをする時間は後ほど詳しく解説します。

こちらがエアーレーションのセッティング例です。
電源側から順にご紹介すると下記のようになります。
タイマーを接続するので嵩張って邪魔な場合は延長タップをご利用ください。
エアレーション時間をコントロールできるタイマーをまずは電源に接続しましょう。
仕組み上「振動」するものが多いので「ゴム板を下敷きにする」とさらに静かになります。
エアーポンプの直ぐ側に設置するとメンテナンス性が良いです。
こちらもエアーポンプの側が良いですね。
水槽内にシリコンチューブをキスゴムで固定して配管をスッキリとまとめると美観が良いですよ。
- 水槽角
- 水槽中央付近
こちらの2つがおすすめのエアーストーン設置場所です。
レイアウトスタイルに合わせてお好みでお選びください。

簡単に設置でき、取り外しも簡単なのでメンテナンス性が良いです。
基本的に水面直下に設置すれば十分に機能しますよ。

設置は大変ですが「飛沫が水槽外へ出ない」というメリットがあります。
レイアウト製作時にソイルや砂利に埋めて配管するとキレイに設置できますよ。
砂利系底床の場合はエアーストーンを埋めるようにすると、泡が砂利の中から出てきて面白いですよ(ソイルだと濁りが出るので止めましょう)。

一番の違いは「飛沫の飛ぶ範囲」です。
「水槽角」に設置した場合、飛沫が水槽外へ出るので注意が必要です。
- 設置は簡単だけど飛沫が飛ぶ ⇒ 水槽角
- 設置は大変だけど飛沫が水槽の外へ出ない ⇒ 水槽中央付近
という中での選択ですね。

ちなみに飛沫が飛ぶとこんな感じになってしまいます。
水が蒸発すると含まれていた「カルシウム」が残り白くこびりつきますよ。
ライト点灯、CO2添加していない時間に設定するのがおすすめです。
- ライト点灯、CO2添加 ⇒ 10:00~20:00
- エアーレーション ⇒ 20:00~10:00
例えばこのようにタイマーを使いコントロールすると良いでしょう。
CO2添加時間とは逆にエアレーションをすることで、CO2が過度に溜まるのを予防することができます。
ライトの点灯時間など、水草水槽の光についてはこちらの記事で詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。

ライト点灯、CO2添加と逆の時間にエアレーションをすることを「夜間エアレーション」と呼びます!


エアーレーションとは「空気を通すこと」なので、ブクブクさせることだけが方法ではありません。
例えば画像のように水槽の水と空気が混ざればそれがエアーレーションになりますよ。
もちろん油膜対策にもなりますので、ブクブクでエアレーションをできない場合はフィルターの水流を利用すると良いでしょう。


水草水槽ではエアーレーションに「酸素の供給」を期待していません。
というのも、CO2を添加すると水草がたくさん光合成をして酸素をたくさん出すからです。
- 水草の光合成 ⇒ 純粋な酸素
- エアレーション ⇒ 空気
空気の大部分は窒素ですから、純粋な酸素を供給する光合成には負けてしまうのです。
基本的に問題ありません。
しかし、エアレーションをすると多少添加したCO2が空気中に逃げてしまうので、ちょっともったいないですね。
光合成をたっぷりしている水草水槽なら基本的に酸素はたくさん水中にありますので、酸素供給を目的としたエアレーションにはあまり意味がありません。
- セット初期で油膜がヒドイ
- 演出として泡のポコポコ感が欲しい
などの理由がない限り夜間のみで良いでしょう。
そこまで神経質にならなくても大丈夫です。
エアレーションの泡が水草に当たることはストレスになりますが、そこまで強く気にしなくても良いでしょう。
夜間エアレーションするくらいなら水草の茂みの中からエアレーションしても大丈夫ですよ。
常時エアレーションをする場合、ずっと葉に泡が当たり続けることになるので設置場所を工夫して水草に当たらないようにしたほうが良いでしょう。
今回は「水草水槽のエアレーション」を解説しました。
エアレーションは必ず必要なものではありませんが、油膜、CO2中毒を予防できるのでとても便利です。
後からでもセットできますが、水槽を作る際に組み込んだほうがキレイに配管できますのでご予算に余裕があるなら最初からセットすることをおすすめします!



CO2中毒はまずエビから死んでしまうので「エビ減少 ⇒ 藻類がでちゃう」なんてコンボを予防することができますよ。