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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は「イオン交換樹脂を使って自作の軟水器を作る方法」を解説します。
硬度が高い環境はPHが下がらず、水草が綺麗に育ちづらくなってしまいます。
そこで硬度を下げる施策が必要になるのですが、硬度を下げる方法は比較的コストが高いものが多く継続するのが大変です。
そこで、なるべくコストを抑えるために自分で軟水器を作ったのでその方法をご紹介します。
- 外部式フィルターからの配管を分岐する
- なるべく余っているものを流用する
こちらを踏まえた内容です。
ご自分で軟水器を作られる場合は、状況に合わせて調整してくださいね。
- 石を多用している水槽
- 水道水の硬度が高い地域にある水槽
このような環境の場合、硬度が高くなりがちなので水質の影響から水草の育ちが悪くなる傾向があります。
そのため、今回ご紹介する軟水器が有用かもしれません。
石を多用した水槽は硬度が高くなりがちです。
石の種類によっては硬度があまり上がらないものもありますので、初心者の方はそのような石を使うほうが無難です。
お住まいの地域によっては水道水の硬度が高いため、自然と水槽の硬度も高くなってしまうところがあります。
このような地域にお住まいの方は硬度対策をしないと水草が綺麗に育たないかもしれません。
こちらで日本中の水道水の硬度をまとめて簡単に探せるようにしましたので、お悩みの方はチェックされることをおすすめします。
硬度とは、水に溶けている「カルシウム」「マグネシウム」の総量のことです。
硬度が高い水を硬水、低い水を軟水と呼びます。
水草水槽は基本的に軟水でないと調子を崩してしまうことが多いです。
硬度(mg/L) | 硬度(GH) | 水草の育てやすさ |
---|---|---|
10以下 | 1以下 | ☆ |
20以下 | 約1 | ◎ |
50以下 | 約2.5 | ◯ |
80以下 | 約4 | △ |
100以下 | 約5 | ▲ |
100以上 | 5以上 | × |
目標としては50以下(GH2.5以下)が望ましいですが、なかなか難しいケースが多いですので80以下(GH4以下)を目指すと良いでしょう。
水草水槽における硬度を下げる理由は「水草が好むPHにするため」です。
硬度が高い環境では硬度を構成するカルシウムやマグネシウムが邪魔をしてPHが下がらなくなってしまいます。
そこで、硬度を下げるというわけです。
弱酸性の軟水
こちらが水草水槽に最適な水質です。
水草はPHが高いと「CO2の吸収効率が悪くなる」「養分の吸収効率が悪くなる」などの弊害があります。
高性能のライト、フィルター、CO2添加キットなどを揃えた水槽でも水質が合っていないと調子良く水草が育ちません。
こちらの記事で水草水槽の水質について詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
完成イメージはこんな感じです。
簡単に言うと、外部式フィルターからの排水を分岐して「イオン交換樹脂」を通して水槽に戻すという流れです。
ちょっと不格好ですが目立たない位置に設置すれば問題ないかと!
イオン交換樹脂とは、主に0.5~1mm程度の大きさの球状をしたものです(タラコの中身みたいな感じです)。
簡単に言うと、イオン交換樹脂にはそれぞれ好きなイオンがあり、それとぶつかると今手に持っているイオンを離して、好きなイオンを捕まえます。
これがイオン交換と呼ばれる所以です。
水草水槽で使う場合は、カルシウムやマグネシウムを吸着してナトリウムを放出するタイプを使用します。
いくつかタイプがあるのですが、水草水槽で使うのは軟水にできる「カチオン交換樹脂」と呼ばれるものです。
ある程度の期間であれば「再生」して再利用できますので経済的です。
硬度をチェックしてあまり下がらなくなったら交換してます!
こちらの2パターンをご紹介します。
どちらも効果は変わりませんのでお好きな方で作ってみてください。
こちらの方が見た目がちょっとダサいですが加工が簡単です。
後ほど紹介する浄水器ケースを使うものと効果はあまり変わりませんので、好みで選ぶと良いでしょう。
必要なもの
外掛け式フィルター
今回は家に余っていた「簡単ラクラクパワーフィルター M」を本体にすることにします。
こちらは外掛け式フィルターの中でもろ材容量が多いので、イオン交換樹脂用に丁度よいかもしれません。
イオン交換樹脂はあまり量を使わないので、1Lもあればしばらく保ちます。
使用量としては概算になりますが「50Lあたり50~100cc程度」で十分に軟水にできると思いますよ。
エーハイム 給水パイプ(φ12/16用)
こちらも使っていないものが余っていたので流用します。
このパイプでないとダメというものではありませんので、使えそうなものを流用すると良いでしょう。
エーハイム ダブルタップ(φ12/16用)
こちらも余っていたものの流用です。
流量調整とメンテナンス時に取り外しできるようにする重要アイテム。
L字パイプ
外部式フィルターからの配管を分岐する際に利用します。
配管の取り回し方によっては必要ありませんので、適時調整しましょう。
T字ジョイント×2
こちらを使って配管を分岐します。
もう一つは吐出口につけて2箇所から排水しイオン交換樹脂に効率よく水が回るようにしてみました。
シリコンホース(φ12/16)少々
こちらも余っていたシリコンホースを流用しました。
外部式フィルターなどに付属する12×16mmのホースでも代用できますが、同様に加工するなら簡単に接続できるシリコンホースをおすすめします。
耐圧ホースでは無いので、力がかかる場所はグネっと曲がってしまいますが抜群に接続しやすいです。
場所によって耐圧ホースと使い分けると配管がグンとやりやすくなりますよ!
作り方
今回は使わないので付属のパイプは取っちゃいます。
ざっくりフィルターの真ん中くらいに給水パイプをセットしてみます。
位置は適当でOKです。
フィルターの底にくるようにT字パイプを給水パイプに接続します(接続にはシリコンホースを使用)。
給水パイプの長さはパイプカッターなどで調整してください。
フタを当てて穴を開けるところに印をつけます。
※フタを使わないならこの作業は不要です
今回は手早く簡単に作業したかったのでカッターをコンロで熱して切りました。
フタがちゃんと閉まるか確認します。
予め配管をカットして接続するところを決めます。
今回は簡単に分岐できる水槽サイドのところから分岐することにしました。
T字パイプ、L字パイプ、ダブルタップをそれぞれシリコンホースで接続します。
STEP8で作った分岐パーツを接続します。
フィルターの電源を止め、水が溢れないようにしてからホースを切断しつなぎました。
外掛け式フィルターと接続します。
ホースがたるまないように長さは調整してください。
イオン交換樹脂を入れます。
量は適当にフィルターケースの半分くらいまで入れました。
※入れ過ぎると水槽へ漏れてしまうのでほどほどにしましょう。
まずはダブルタップが閉まっている状態からスタートして、徐々に開いていきましょう。
少し水を流すくらいが丁度よいですよ。
完成です!
実際の硬度変化は後ほど詳しく解説します。
設置イメージ
簡単に作れた割にそんなに見た目は悪くないでしょう。
緑のパイプをなんとかすれば、もっとスッキリとしたものにできそうです。
水流の感じ
こんな感じでゆっくりと動く程度で十分機能しますよ。
あまり勢いが強いとイオン交換樹脂が水槽へ漏れてしまうので注意しましょう。
見た目は外掛け式フィルターを使うよりも良いですが、加工の難易度がちょっと高いです。
水の流れ方から外掛け式フィルターを使うよりも効率が良いのですが、こちらほうが目詰まりしやすいためメンテナンス回数が増えます。
パーツの問題で少し水漏れリスクがあるので、DIY慣れした方向けです。
僕は現在こちらを使用しています!
必要なもの
フィルターケース
こちらが安かったので試してみることにしました。
安価ですが、若干ネジ部分がゆるいのでシールテープを厚めに巻いて水漏れを防いでいます。
イオン交換樹脂
こちらの場合でもイオン交換樹脂はあまり量を使わないので、1Lもあればしばらく保ちます。
使用量としては概算になりますが、「50Lあたり50~100cc程度」で十分に軟水にできると思いますよ。
ホースニップル×2
ホース径に丁度合うものが中々無くて、結局ステンレスのものにしました。
本当は樹脂製のものがよかったのですが妥協しました。
管固定バンド(今回は未使用)
こちらを使うとフィルターケースをキャビネットなどにビスで固定できます。
今回は結果として使いませんでしたが、状況により設置すると良いでしょう。
エーハイム 給水パイプ(φ12/16用)
外掛け式フィルターと同様、余っていたエーハイムの給水パイプを流用しました。
設置場所の都合上、パイプカッターで短くカットして使用しています。
エーハイム ダブルタップ(φ12/16用)
こちらも外掛け式フィルターの場合と同様です。
流量調整とメンテナンス時に取り外しできるようにする重要アイテムです。
L字パイプ
外部式フィルターからの配管を分岐する際に利用します。
配管の取り回し方によっては必要ありませんので、適時調整しましょう。
T字ジョイント
こちらを使って配管を分岐します。
フィルターケースを使う場合は1つで十分でしょう。
エーハイム ホース(12/16用)少々
今回はホース部分に重さがかかるので、シリコンホースよりも丈夫なこちらを使うことにしました。
ステンレスニップルにはシリコンホースではブカブカだったというのも理由の1つです。
フィルターケースのネジ部分、ステンレスニップルの接続部分に使用します。
今回の場合、シールテープを使わないと100%水漏れするので必須です。
作り方
フィルターケースにネジ部分にシールテープを巻きます。
結構ブカブカだったので、5周くらい巻いて調整しました。
ステンレスニップルのネジ部分にシールテープを巻きます。
こちらは1周程度で十分でした。
上下に付属の仕切りをセットしてイオン交換樹脂を入れます(300ccくらい入れました)。
※2021年2月25日追記、目詰まりが酷かったので仕切りは使わないことにしました。
入れたらフィルターケースのネジをしっかり締めましょう。
シールテープの具合にもよりますが、ちょっと力がいる作業です。
※締めすぎるとケースが割れるので注意してください
ステンレスニップルはレンチを使ってしっかり締めましょう。
ここが緩いと水が漏れます。
※締めすぎるとケースが割れるので注意してください
こんな感じでフィルターケースをギュッと挟めます。
管固定バンドをキャビネットなどにビスで固定すればフィルターケースを保持することができます。
※今回は上からパイプで吊ることにしたので未使用です
フィルターケースに接続したステンレスニップルにエーハイムホースを接続します。
分岐したパーツは外掛け式フィルターの時と同じなので割愛します。
念の為、ホース接続部分は結束バンドでギュッと締めて固定しました。
ホースバンドを使用しても良いでしょう。
水槽に引っ掛けて設置したら試運転をします。
ダブルタップを少しづつ開いて水を出しましょう。
しばらく時間を置いて、各接続部分から水が漏れてないかチェックしましょう。
今回は上部のステンレスニップル接続部分から漏れてきたので締め直しています。
完成です!
実際の硬度変化は後ほど詳しく解説します。
設置イメージ
外掛け式フィルターを使うよりスッキリとしますが、少し水漏れが怖いですね。
作業スピードとコストを重視して余っていたエーハイムパイプをこちらも流用しましたが塩ビパイプなどで配管するほうがスッキリしますね。
水流の感じ
こんな感じです。
あまり流量を多くすると水漏れの原因になるのでご注意ください。
現在はもう少し水流を弱くしています。
今回は2つの軟水器をご紹介しましたが、どちらも軟水効果はあまり変わりませんでした。
なので作る難易度や水漏れリスク、メンテナンス性、配管の都合などお好みで使い分けてみてください。
外掛け式フィルターを加工
- 加工が簡単
- 水漏れリスクが低い
- メンテナンスが楽
- 目立つ
- 軟水化効率がちょっと悪い
浄水器用ケースを加工
- 軟水化効率が良い
- 配管がスッキリする
- 加工が面倒
- 水漏れリスクがある
2021年2月25日現在、中の仕切りを外して使用しています。
すぐに目詰まりしてしまって管理が面倒でした。
2021年2月25日現在、中の仕切りを外して使用しています。
すぐに目詰まりしてしまって管理が面倒でした。
仕切りを外すと水槽へイオン交換樹脂が漏れやすくなってしまうので、イオン交換樹脂の量をフィルターケースの60%くらいの量にしました。
仕切りが無いと、イオン交換樹脂がどんどん下に落ちてしまうのですが、そこはダブルタップのON/OFFを工夫して水流そのものを使って中でキープするようにしています。
ダブルタップは最初はOFFにしておいて、フィルターの電源を入れて水流が流れてから徐々にダブルタップを開くようにすると調整しやすいです。
日数 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | 8日目 | 9日目 | 10日目 | 11日目 | 12日目 | 13日目 | 14日目 | 15日目 | 16日目 | 17日目 | 18日目 | 19日目 | 20日目 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
硬度 (mg/L) | 70 | 40 | 35 | 30 | 30 | 45 | 45 | 55 | 50 | 45 | 40 | 30 | 45 | 40 | 45 | 40 | 35 | 25 | 30 | 30 |
PH | 7.2 | 7.0 | 6.7 | 6.5 | 6.4 | 7.0 | 7.0 | 7.1 | 7.1 | 6.7 | 6.5 | 6.4 | 7.0 | 6.7 | 7.0 | 6.7 | 6.7 | 6.4 | 6.5 | 6.5 |
備考 | 再生 作業 | 足し水 | 再生 作業 |
20日間の水質変化はこんな感じです(この間換水はしていません)。
設置することで劇的に硬度を下がっているのがわかります。
現在設置している水槽の場合は、7~10日ぐらいで軟水作用が無くなるので再生作業をしています。
ちなみに、この期間はTDSもチェックしていましたが、TDS120~140の間を行ったり来たりでした。
テストに使用したのはこちらの通称コンクリ水槽。
レイアウト素材に廃材のコンクリートをしようした作品です。
コンクリは強力に硬度を上昇させるので水草水槽には不向きな素材ですが、軟水器のお陰でしっかり水草を育てることができました。
制作の様子はこちらの記事で紹介していますのでぜひご覧ください。
硬度はこちらを使いチェックしました。
アクアリウム系の硬度チェッカーよりも高価ですがその分しっかり測れるので気に入っています。
PHをチェックしたのはこちらです(正確にはこちらの前機種ですが)。
簡単かつ正確にPHをチェックできるので便利です。
10%濃度の塩水で洗い流す
というのが簡単です。
厳密に再生させる場合は、ゆっくりと新鮮な塩水をかけ流しにするのが有効なのですが面倒なので洗っています。
具体的な手順は下記をご覧ください。
イオン交換樹脂は理想的な環境で使い続ければ半永久的に利用できるのですが、水槽環境ではそこまで長持ちしません。
複雑な化合物をイオン交換してしまうと再生が上手くできないようで、様々な要素のある水槽内で使用しているといずれ硬度が落ちなくなりますよ。
硬度を下げる力が弱くなったら新しいものに交換しましょう。
流木のなどから出るアクがある環境では特に長持ちしないかもしれません。
私はまだ数値としては未確認なのですが、一応、注意したほうが良いでしょう。
こちらの3つが考えられるデメリットです。
水草水槽においては硬度が高すぎる環境の場合、こちらのデメリットよりも軟水化することのメリット方が圧倒的に大きいのでそこまで強く気にすることはありませんが、頭に入れていくと良いでしょう。
今回の軟水化で使用したイオン交換樹脂はカルシウム、マグネシウムと交換してナトリウムを水槽内へ放出します。
恐らくはナトリウムは過剰にあると水草の害になるのですが、今のところ、その弊害は確認していません。
2~3週間毎程度に換水していれば、そこまで大きな問題にはならないのではないでしょうか?
カルシウム>マグネシウム>カリウム>ナトリウム
簡単に書くと水槽の軟水化で使うイオン交換樹脂はこのような優先順位でイオン交換を行います。
場合によっては肥料として入れたカリウムも吸着してしまうので、一応頭に入れておくと良いでしょう。
とはいえ、硬度が高い状況の方がデメリットとしては遥かに大きいので、そこまで気にしなくても良いと思います。
カルシウムやマグネシウムは水草の必須栄養素でもあるので、少なすぎることはそれはそれで問題になります。
そこまで硬度が高く無い状況でイオン交換樹脂を使用するとカルシウムやマグネシウムなどのミネラル不足から水草が調子を崩してしまいますので注意しましょう。
今回は「イオン交換樹脂を使って自作の軟水器を作る方法」を解説しました。
DIY慣れしている方なら割と簡単に作業できると思います。
継続して再生、イオン交換樹脂の交換をすれば軟水を維持できますので、硬度がかなり高い環境でも水草を綺麗に維持できるようになりますよ!
自宅でヘビーユースすることになりそうです!
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