本記事は水槽で利用する「フィルターの種類と特徴」を解説します。
結局のところ「このフィルタータイプがベスト!」というものはありません。
どのフィルターでも使いこなせばキレイな水槽を作ることができますよ。
「水槽サイズ」「レイアウト」「飼育スタイル」などの違いから適したフィルターが変わってきます。
そこで今回は「フィルターの種類と特徴」「メリット・デメリット」を分かりやすく解説していきます。
自分の水槽に合ったフィルターが選べれば、さらに自由にアクアリウムを楽しめるようになりますのでぜひご覧ください。
ちなみに水草水草のフィルターをお探しの方はこちらにまとめましたので、ぜひご覧ください。

タップする目次
- 外掛け式フィルター
- 投げ込み式フィルター
- 外部式フィルター
- 底面式フィルター
- 加藤式フィルター
- 上部式フィルター
- 背面式フィルター
- オーバーフロー式フィルター
現在、出回っているフィルターはこちらの8タイプに大別することができます。
それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
水槽に引っ掛けるだけで簡単に設置できるフィルターです。
小型水槽セットに含まれていることが多く、現在、一番普及しているタイプです。
30cmクラスの水槽には十分なろ過能力を持ち、メンテナンスも簡単なので「初心者の方にもおすすめ」のフィルターです。
ろ材量が少ないため45cm以上の水槽には不向きです。
また、水槽に引っ掛ける構造上、背面かサイドにスペースが必要です。ちょっと悪目立ちしちゃいますね。
- 設置が簡単
- メンテナンスが簡単
- 比較的安価
- 美観があまり良くない
- 設置スペースが必要
- 大型水槽には適さない



小型水槽におすすめ!
- エアリフト式
- モーター式
投げ込み式フィルターはさらにこちらの2つのタイプに分けることができます。
空気の力(ブクブク)で水を循環させるタイプと電気の力で水を循環させるタイプです。

昔ながらのブクブクフィルターです。
金魚水槽のフィルターと言えばこれをイメージする方が多いのではないでしょうか。
お魚なメインの小型水槽なら十分な能力がありますよ。
フィルター本体を水槽に全部入れる構造のため、どうしても見映えが悪いのが欠点です。
石や流木などで上手く隠すと良いのですよ。
こちらは「スポンジフィルター」と呼ばれるものです。
こちらも主にお魚飼育がメインの水槽で使うタイプです。
特にテトラ「ブリラントフィルター」はかなりろ過能力が強いのでグッピーやアピストグラマ、レッドビーシュリンプなどのブリーディングによく利用されます。
また、店舗のお魚水槽にも良く使われるプロ御用達フィルターですよ。
こちらもフィルター本体が丸ごと水槽に入るので美観は良くありません。
45cm水槽くらいまでなら十分カバーできるろ過能力がありますよ。
モーター式なので電源を入れるだけで可動できます。
そのため初心者の方でも簡単に取り扱えますよ。
45cm以下なら十分にろ過出来ますので、小型水槽用のフィルターとしておすすめです。
こちらもフィルター本体が丸ごと水槽に入るので美観は良くありません。
構造的に隠しやすいので「コーナーカバー」などを利用すれば美観を良くすることは出来ますよ。
- 設置が簡単
- 比較的静か
- 比較的安価
- 美観が良くない
- 水槽内が狭くなる
- 4大型水槽には適さない
- モーター内蔵タイプ
- モーターが水槽内に入るタイプ
投げ込み式フィルターはさらにこちらの2つのタイプに分けることができます。
モーター部分がフィルターに内蔵されているか、モーターを水槽の中に設置するタイプです。
現在、水草水槽に一番おすすめのフィルターです。
フィルター本体を「水槽の下」に設置するため水槽内を広く使うことができます。
水槽とはパイプやホースを使って接続するだけなので美観も良いですよ。
フィルターと水槽をホースで接続することから、正しくセットしないと水漏れリスクがあります。また可動方法、メンテナンスなど多少の知識が必要なので中級者以上の方におすすめですよ。
コーナーカバー内へ配管をまとめることで、さらに美観を良くすることが出来ます。特に盛り土をする場合は必須ですよ。
簡易タイプの外部式フィルターです。
水槽内にモーターを設置するので、その分、美観はあまりよくありません。
設置や作動時の操作が簡単なので、初心者の方でも扱いやすい外部式フィルターです。
モーターパワーが弱い機種が多いので45cm以下の水槽向けです。
「小型水槽」だけど「外部式フィルター」にチャレンジしてみたい。そんな時におすすめですよ。
パワーの関係で設置場所は「水槽の横」が良いです。
水槽下にスペースが無いなど、モーター内蔵タイプの外部式フィルターが使えない際に「妥協案」として採用することもあります。
- 美観が良い
- 比較的静か
- 比較的ろ材量が多い
- 設置がやや難しい
- 比較的高価
- 水漏れリスクがある


- エアリフト式
- モーター式
底面式フィルターはさらにこちらの2つのタイプに分けることができます。
水をエアリフト(ブクブク)で循環するか、モーターで循環させるかという違いです。

ソイルや砂利、砂など「底床」をフィルターとして使うタイプです。
そのため「水槽セット時」にしか設置することができません。
「安価」で「高いろ過能力」を持つことから店舗のお魚水槽用として広く使われています。
エアリフト式はエアーの量によって水流を細かく調整でき、底面式フィルターのポテンシャルを引き出すことができます。
そのためお魚、エビなど生体中心の水槽向きです。

店舗のお魚水槽はほとんどがコレです!
ソイルや砂利、砂など「底床」をフィルターとして使うタイプです。
そのため「水槽セット時」にしか設置することができません。
「安価」で「高いろ過能力」を持つことから店舗のお魚水槽用として広く使われています。
水草水槽におすすめできるフィルターの1つです。
CO2ロスが少ないので水草水槽の場合はモーター式がおすすめ。
モーターが水槽内に入るのでちょっと美観が悪いです。石や流木を使って上手く隠しましょう。

- ろ過能力が高い
- 比較的安価
- 長期維持が難しい
- 後から設置できない
最低でも3cm、煙突付近は5cm以上欲しいですね。
底床の美観を考えると最前面はなるべく薄い方が良いのですよ。
煙突付近はもっと盛っても問題ないので「山岳レイアウト」にも使えます。
こちらで紹介している「ソイル」「砂利」はすべて底面式フィルターで使用可能です。
底床選びにお悩みの方はぜひご覧ください。

現在「GEX」に在籍している加藤さんが開発したユニークなフィルターです。
一言で表すと「水槽の横にもう一つ水槽を用意してそれをフィルターにする」みたいな感じです。ちなみに「連通管」の原理を利用していますよ。
ヒーターやCO2配管など見苦しいものをフィルター部分へ収納することができるのでとても美観が良いです。
また、水漏れリスクが無い作りになっているので初心者の方でも安心して使うことができますよ。
構造上、水槽とのセットで流通させるしか無く、現在はGEXから発売されている「AQUA-U」のみとなっています。今後の展開に期待です!
DIYが好きな方はご自身で工夫してみるのも面白いと思います。加藤さんが色々と公開していますので興味のある方は、見てみてくださいね。
- 取り扱いが簡単
- 配管、配線を隠すことができる
- 水漏れリスクが無い
- 1機種しか無い
60cmレギュラー水槽にセットで組み込まれていることが多く、かつては一番普及してたフィルターです。
構造が単純なので初心者の方でも十分に使いこなすことができます。
ろ材量が比較的多いのでろ過能力も高いですよ。
構造上、水槽上部を専有してしまうので「ライトが増設出来ない」「美観が悪い」という欠点があります。
ライトの能力に縛られないお魚中心の水槽に向いているフィルターですね。
- 取り扱いが簡単
- 比較的ろ過能力が高い
- メンテナンスしやすい
- 美観が悪い
- ライトを増設できない
水槽を区切って一部分をフィルターとして機能させるタイプです。
水槽内は狭くなってしまいますが、ろ過槽部分ヒーターやCO2配管などを隠すことができるので美観が良いです。
ライトやタイマー以外はすべて水槽内で完結する「オールインワン」タイプなので水槽内だけで無く、水槽周りもスッキリさせることができます。
予め水槽に加工しなければならず、あまり商品が無いのが欠点です。
- 配管、配線を隠すことができる
- 比較的ろ過能力が高い
- 水漏れリスクが無い
- 水槽内が狭くなる
- 拡張性が無い
- メンテナンス性が悪い
水槽の下にもう1台を水槽を置いてそれフィルターにしてしまうというダイナミックなシステムです。
群を抜いてろ材を入れることができるので、超大型水槽や大型魚、海水魚など高いろ過能力が必要な場面で活躍します。
ろ過槽内に機材類をまとめることができるので、水槽内に無駄なものを入れる必要が無く美観が良いです。
濾過槽内から水槽へ水をポンプで送り、溢れる水が濾過槽へ帰ってくる仕組みです。
構造上、水の落下音がするので静音性は低いです。
また、仕組みを良く理解していないと水漏れリスクがあるので玄人向きのフィルターですよ。
- 配管、配線を隠すことができる
- ろ過能力が高い
- 大型水槽ほど割安
- 水の落下音がする
- システム全体の理解がいる
- 小型水槽ほど割高
タイプ | 美観 | 排熱 | 静音 | ろ過能力 | コスパ | 扱いやすさ | メンテナンス性 | 水草水槽適正 | 生体水槽適正 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外掛け | △ | ◯ | ◯ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ |
投げ込み | × | ◯ | ※1 | ◯ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ |
外部 | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ | △ | △ | △ | ◎ | ◯ |
底面 | ◯ | ◯ | ※1 | ◎ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | ◎ |
加藤 | ◎ | △ | ◯ | ◯ | △ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ |
上部 | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | × | ◎ |
背面 | ◎ | △ | ◯ | ◯ | △ | △ | △ | ◯ | ◯ |
オーバーフロー | ◎ | ◯ | × | ◎ | ※2 | △ | △ | △ | ◎ |
◎ | 高評価 |
◯ | まあまあ |
△ | ちょっと不満 |
× | 良くない |

僕の独断と偏見によるフィルターの印象です。参考までにどうぞ!
※1 静音性はエアーポンプに左右されます
※2 大型水槽ほどコスパが良い
水槽内に配管が入らない、ろ過槽に機材をまとめられるものは高評価です。水槽内に入る部分が大きいものは低評価です。
モーターが水から離れているものは高評価です。モーターからの熱の影響が大きいものは低評価。特にモーターが水中にあるタイプは水温上昇の原因になります。逆に冬場はメリットになるので、考え方しだいですね。
シンプルに「静か」なものは高評価です。企業努力によりどのタイプもかなり静かになったと思います。大きなモーターを使っているものほど音が大きいので、大型水槽ほどうるさいです。
他と比較してみてろ材の入る量が多いものは高評価です。どのタイプも適正サイズを守れば十分飼育できますので参考までに。
単純に高いものは低評価にしました。高いものほどろ過能力が高くなる傾向がありますので予算と水槽スタイルと合わせて考えると良いです。
セッティングが簡単なものほど高評価です。配管を組むなど作業が必要なものは低評価です。初心者の方はここ評価を参考にしてフィルターを選ぶと良いかも。
簡単にメンテナンスできるものは高評価です。時間や労力が必要なものほど低評価です。低評価のものを頻繁にメンテナンスが必要な水槽(魚が多い、カメ水槽など)に使うと大変なので注意しましょう。
生物ろ過と相性が良い、CO2ロスが少ないものは高評価です。基本的に上部式フィルター以外はなんとかなると思うので参考程度にお考えください。
生物ろ過との相性。メンテナンス性の高いものは割と高評価です。基本的にどのフィルターも生物飼育を念頭において開発されているのでなんとかなります。
今回は「各フィルターの特徴」を解説しました。
ろ過能力はろ材に棲む「ろ過バクテリア」の状態に大きく左右されます。
「透明な水」にするにはバクテリアのことを知る必要がありますよ。
こちらで詳しく解説しましたのでお時間のある時にぜひご覧ください。
アクアライフの参考になれば幸いです!