どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「パイロットフィッシュ」を解説します。
水槽をセットしてまず初めに入れるお魚のことをパイロットフィッシュと呼びます。
セット直後は環境がまだ不安定なので、丈夫なお魚を少しだけ入れて様子を見るということですね。
今回は「丈夫なお魚」と言われる数多くのお魚の中から、「特にパイロットフィッシュに向いているもの」をご紹介します。
また、「パイロットフィッシュの条件」「入れるタイミング」「入れる数の目安」なども詳しく解説していきます。
初心者の方にも分かりやすく丁寧に進めていきますので、ぜひご覧ください。
餌を食べ、フンをさせることでバクテリアの増殖を促すために入れるお魚の総称です。
まだ環境が不安な水槽セット初期に環境を安定させるために入れる、いわば「お試し部隊」ですね。
そのため「テストフィッシュ」と呼ばれることもありますよ。
基本的に「丈夫なお魚」はすべてパイロットフィッシュとして活用できます。

生き物が元気に育つ水槽とは、「ろ過バクテリア」が十分にいる水槽と言えます。
ろ過バクテリアとは、簡単にいうと「残り餌」「排泄物」などの汚れを食べてくれる小さな生き物のこと。
水槽をセットしてしばらくするとろ過バクテリアが徐々に増えていくのですが、パイロットフィッシュはその増殖をスピードアップさせることができます。
「生物ろ過」についてはこちらの記事で詳しく解説しました。
初心者の方には、ちょっと難解なお話かもしれませんが、大切なことですのでぜひ目を通してみてください。
- 丈夫
- 流通が安定している
- 手に入りやすい
「丈夫であること」がパイロットフィッシュの1番大切な条件です。
水槽環境が不安定な時期から入れるわけですから、丈夫でないと務まりません。
「水槽環境に馴染みやすいかどうか」
ということが丈夫なお魚の条件です。
種としてタフであるというよりも、「水槽」という環境により適正のあるお魚が丈夫と言われています。
- 流通量
- 輸入時の状態
- 売れ行き
これらの条件が揃ったお魚は、常時安定した健康状態、数を店舗が維持しやすいです。
そのため、結果として「丈夫」な状態で販売できるためパイロットフィッシュ向きに仕上がりますよ。
多くの方に情報をお届けする以上、広く一般的に手に入りやすいお魚を紹介する必要があると考え条件に含めました。
基本的に丈夫であればパイロットフィッシュになりますので、購入する店舗にて「現在、状態が安定しているお魚」から選ぶようにすればOKですよ。

お店の方に今ならどれが良いか聞いてみましょう!
- グローライトテトラ
- ブラックネオンテトラ
- レッドテトラ
- チェリーバルブ
- ラスボラ・ヘテロモルファ
私がおすすめするパイロットフィッシュを5種ご紹介します。
パイロットフィッシュとはいえ、見た目にもこだわりたいですよね。
こちらの5種は「見た目」「流通状況」など様々な観点から考えて、パイロットフィッシュとして使いやすいので、きっとお役に立つと思います。
5種とも丈夫さはあまり変わりませんので、見た目に気に入った子を選んでくださいね。

僕がパイロットフィッシュとして頼りにしている奴らです!
淡いピンクオレンジのラインが綺麗なテトラの仲間。
比較的地味な体色なのでイマイチ人気が無いのですが、1番最初に入れるお魚としておすすめです。
じっくりと長い時間をかけて色合いが綺麗になるタイプなので、「色が揚がる」という体験も味わえますよ。
黒と白銀、2色のラインが綺麗なテトラの仲間。
「ネオン」と名前に入るテトラの中で最も丈夫です。
大人しく群泳させやすいので、思い切って本種だけを泳がせてみるのも面白いですよ。
全身がオレンジレッドに染まる小型テトラ。
大きくなっても全長2cm程なので小型水槽のパイロットフィッシュにピッタリですよ。
店舗によっては「ファイヤーテトラ」の名前で販売されています。
こちらも飼い込むことで色が揚がるお魚です。
最初はうっすらと赤いだけかもしれませんが、徐々に赤みが濃くなりますよ。
鮮やかな赤色が綺麗なコイの仲間。
オス、メスで体色が大きく異なり、真っ赤に育つのがオスです。
水槽内でも繁殖させやすいお魚なので、オス、メスを揃えて飼育することで卵を生みますよ。
小さなエビの興味を持ち、突いてしまうことがあるので「ミナミヌマエビ」「チェリーシュリンプ」「ビーシュリンプ」などの小型シュリンプの飼う予定があるなら注意が必要です。
水槽内で発生するスネールの赤ちゃんを食べてくれます。
最初から入れておくことで、スネール予防の効果が期待できますよ。
水槽で増える貝(スネール)を駆除する方法 ー原因、予防法も詳しく解説!ー
渋めのオレンジの体色に独特の紺色の模様が入るコイの仲間。
紺色の模様部分が三味線のバチに似ていることから業界では「バチ」と呼ばれています。
「ラスボラ」と名前がつくお魚の中で1番丈夫なので、ラスボラ入門種としておすすめです。
群泳させやすく、群れると映える体色なのでぜひ10匹単位で飼育したいですね。
「水槽立ち上げ後3~7日程度」を目安に入れましょう。

あくまで目安ですので、水槽のお水が透明になっていたらいれても良いと思います!
「5Lに1匹程度」を目安に入れましょう
数が多すぎると汚れが増えすぎてしまい環境がより不安定になってしまいます。
かと言って、少なすぎるとろ過バクテリアの増殖に時間がかかってしまうので、これくらいを目安にすると良いでしょう。

餌を与え、フンをさせることでろ過バクテリアのご飯になり、増殖を促します。
ですが、餌を与えすぎてしまうと汚れがたくさん出てしまいますので逆効果です。
量は「お魚の片目」を目安に、1分程度で食べきる量を与えましょう。
おすすめの餌、与える量の目安などはこちらの記事で詳しく解説しました。
興味のある方は、ぜひご覧ください。
【プロが選んだ】小型熱帯魚におすすめの餌
【お魚に餌を与える方法】与える量、回数、バランスの目安
概ね「1ヶ月程度」です。
水槽により微妙に異なりますが、1ヶ月程度あれば環境として落ち着いてくるでしょう。
最初は意外と問題が起きません。
10~14日目あたりが1番環境が不安定なので注意しましょう。
換水は基本的に週1回50%程度です。
5L/1匹程度の数であれば、週1回の換水で問題無いかと思いますが調子が悪いと感じたら換水をしましょう。
生きたろ過バクテリアが含まれている「バクテリア剤」を使うことで、水槽が立ち上がるまでの期間を短く、安定させることができます。
おすすめのバクテリア剤、使い方などはこちらの記事で詳しく解説しました。
興味のある方はぜひご覧ください。
【水槽を綺麗に!】おすすめのバクテリア剤と正しい使い方 ー濁り、臭い予防に効果的!ー
土を焼き固めた底床材である「ソイル」を使っている場合、パイロットフィッシュは必要ありません。
ソイルの中にはろ過バクテリアの餌となる有機物が含まれているため、お魚を入れなくても徐々に増殖していきます。
【2023年版】水草水槽におすすめのソイル、砂、砂利 ープロが選んだ水草の育つ底床ー
- 頻繁に換水をする
- フィルターを使わない
このような飼育スタイルの場合、「ろ過バクテリアが定着する前に流出してしまう」「汚れが少ない」ためバクテリアがあまり増えません。
むしろ、汚れが少ないため、ろ過バクテリアをあまり必要としていない環境と言えます。
「換水に頼った管理」「生体をあまり入れない」ようなスタイルの場合、パイロットフィッシュは必要無いでしょう。

例えば「ベタ」の水槽などはパイロットフィッシュは必要ありません。
【ベタ水槽の作り方】ベタをシンプルに飼う方法 ー必要機材、セット方法、日常管理を詳しく解説ー
今回は「パイロットフィッシュ」について解説しました。
お魚を購入する店舗で「今現在、状態が落ち着いているお魚」を導入することが大切です。
見た目のお好みもあるでしょうから、「どんな水槽にしたいのか」「これからどんなお魚を入れたいのか」などを勘案して選んでみてくださいね!

言い方は悪いですが「売れ残り」の方が在庫期間が長いので状態が安定していることが多いです(笑)