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【水面に浮かぶ膜】水槽の油膜を除去する方法 ー油膜の害、原因、予防法などを徹底解説!ー

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本記事は「水槽の油膜対策」を解説します。

水面に汚らしいに膜のような汚れが出たことはありませんか?

今はキラキラとした水面を楽しむ「フタをしないスタイル」が主流なので油膜があると気になりますよね。

そこで今回は美しい水面が維持できるように「油膜を除去する方法」を解説していきます。

「油膜の害」「油膜の出やすい水槽」「油膜の原因」「油膜の予防法」なども分かりやすく丁寧にご説明いたしますのでぜひご覧ください。

この記事の著者
轟元気

プロアクアリスト

轟元気

とどろきげんき

プロフィール

業界歴19年の中堅。現在は有限会社エイチ・ツーに所属し埼玉県坂戸市にあるアクアリウムショップ「e-scape」の店長をしています。本ブログ、Ordinary-Aquariumでは「水草水槽の知識」を中心に今までの経験を基にした実践的な知識、技術を初心者の方にも分かりやすく解説しています。プロフィール詳細リンク、転載、引用について

油膜とは?

水槽の水面に浮かぶ油膜

油膜とは、水面に浮かんだ膜のことです。

水面のキラキラ感が無くなり汚らしく見えてしまいます。

水面を覆うように広がり、光を反射してなんだか汚く見えますよね。

特にフタをしていない水面を楽しむようなスタイルだと余計に気になります。

元気
元気

「見た目が悪い」というのが1番の害です。生き物の調子には直接の影響はありませんのでその点はご安心ください!

油膜の

見た目が悪い

こちらが油膜の害です。

基本的に油膜が出ていたとしてもお魚や水草に直接の悪影響はありませんからご安心ください。

とはいえ、見た目が悪いと気になりますよね。

そんな時は後ほどご紹介する「油膜を除去する方法」をお試しください!

CO2中毒の危険が高くなるかも

CO2中毒
CO2中毒の症状

CO2を添加している水槽の場合(主に水草水槽)、油膜が水面を覆っているとCO2が空気中にあまり逃げなくなるので「CO2中毒」になる可能性が高くなります。

CO2添加をしている水槽なら、もしもに備えてCO2中毒の対処法を知っておくと良いでしょう。

こちらの記事で詳しく解説しましたので、お時間のある際にぜひご覧ください。

元気
元気

CO2が逃げないということはCO2添加量を節約できるということですので、ある意味ではメリットとして捉えることもできます。

フィルターの無い水槽は酸欠に注意

睡蓮の花

睡蓮鉢やグラスアクアリウムなどのフィルターを使用していない入れ物の場合、水面が油膜で覆われると空気が水中に溶け込まなくなるため酸欠の恐れがあります。

このようなケースの場合は「油膜を除去する方法」を取り入れて対策をすると良いでしょう。

油膜の原因

  • 何らかのバクテリア
  • 何らかの有機物

油膜の原因はこちらの2つが有力候補です。

どちらもフワっとしていますが「この種類のバクテリア」「この有機物」など、特定のバクテリアや物質が原因になっているのでは無く恐らくは複数の要因が重なっていると思われます。

何らかのバクテリアかバクテリアの死骸?

パキッとした回答でなく申し訳ないのですが、経験上、何らかのバクテリアかバクテリアの死骸のようなものが原因では無いかと考えています。

セット初期などバクテリアの養分が豊富な環境では、大量に繁殖するのでその中の一部のバクテリアが油膜となっていると推測しています。

鉄バクテリアとは水中の二価鉄などを食べるバクテリアです。

こいつは通常、水槽の中にたくさんいます。

セット初期(特にソイルを使った水槽)の養分がたくさんある状態だと異常に増えてしまい油膜になることもあるのかな?と考えています。

沼や水溜まりに七色に光る油のようなものが浮かんでいるのを見たことはありませんか?

それの原因もコイツです。

何らかの有機物

くくりが大きすぎて投げやりな感じですが、有機物が多く含まれるソイル(水草用の土)を使うと油膜が出やすいので恐らくは原因の一つだろうと考えています。

通常、有機物はバクテリアのご飯になります。

そのため、バクテリアが繁殖した環境では有機物量が少なくなります。

「ろ過が安定したら油膜が消えた!」というのはこの辺りが理由なんだと考えています。

油膜の発生しやすい水槽

  • CO2添加している水草水槽
  • 海水水槽

こちらの2つのアクアリウムスタイルは基本的に油膜が発生します。

このような水槽を管理するなら予め油膜対策をすることで綺麗な水面を保つことができますよ。

CO2添加している水草水槽

120cm水槽
水草水槽
  • CO2(二酸化炭素)が炭素源となってバクテリアが元気になる
  • 水草水槽はソイルを使うことが多い

こちらの2つの要因が重なることが多いためCO2添加をしている水草水槽は油膜が出やすいです。

特に養分が豊富なソイルを使っている水槽ほど油膜が出やすい傾向があります。

海水水槽

海水水槽

お魚をたくさん入れているなど、富栄養化した海水水槽ほど油膜が出やすい傾向があります。

海水水槽で発生する油膜は茶色の藻類と合体していることが多いので、主にセット初期に強く発生します。

油膜対策のコツ

  • 油膜は発生するものと考える
  • 「油膜が出る=悪い環境」では無い
  • 油膜を除去する方法を取り入れる
  • 油膜の出ない水槽になるには時間がかかる

こちらの4点が油膜対策のコツです。

よほど安定した水槽で無い限り、基本的にいつ油膜が発生してもおかしくはありません。

油膜には大きな害はありませんから(見た目は悪いですが)あまり思い詰めずに肩の力を抜いて油膜に向き合いましょう!

油膜は発生するものと考える

水槽の水面に浮かぶ油膜

環境の安定した水槽であっても繁殖するバクテリア、有機物の量などのバランスであっさり油膜は出ます。

油膜が出ていても大きな害になることは少ないですから慌てずに対応しましょう。

元気
元気

僕は油膜対策を後回しにすることが多いですよ!

「油膜が出る=悪い環境」では無い

ゴミが散らかる様子

油膜が出ているからと言って、その水槽が悪い環境であるということではありません。

お魚が元気で水草は調子良く成長している水槽であっても油膜が出ることはよくあります。

過度に心配する必要もありませんし、管理が悪いなどとガッカリする必要もありません。

油膜を除去する方法を取り入れる

フィルターの水流で水面を動かす様子

油膜は基本的に発生するものですから、水槽に合わせて「油膜を除去する方法」を取り入れましょう。

そうすれば綺麗な水面を日常的に保つことができます。

油膜を除去する方法は後ほど詳しく解説します。

油膜の出ない水槽になるには時間がかかる

120cm水槽

油膜のほとんど発生しない本当の意味での安定した水槽になるには長い時間がかかります。

  • 最短で3ヶ月程度
  • 半年~1年程度かかることはよくある
  • 場合によっては1年以上かかる

これくらいの時間の感覚でいると良いでしょう。

なるべく早く油膜の出ない水槽にするには「油膜を予防する方法」を取り入れると良いでしょう。

油膜を除去する5つの方法

油膜を除去する方法は大きく分けるとこちらの5つです。

状況に応じてこちらの中から2~3つくらいを常時取り入れると基本的に油膜で悩むことは無くなるでしょう。

油膜取りを使う

  • エーハイム スキマー350
  • ADA ブッパⅡ

などの油膜取りを使えば確実に、かつ素早く油膜を除去できます。

油膜対策として最も効果が高いので、ご予算や設置スペースが許せるなら油膜取りを使うのが確実です。

基本的に水槽サイズを問わず、1台設置すれば油膜はすぐに無くなります。

メリット
  • 確実に油膜を除去できる
  • 即効性がある
デメリット
  • 設置スペースが必要
  • 美観が悪くなる

エーハイム スキマー350

スキマー350

私が最も活用している油膜取りです。

コストパフォーマンスがとっても良いので様々なシーンで活躍します。

メンテナンス性も良いので初心者の方でも簡単に扱えますよ!

MEMO

海水水槽にも使えます!

元気
元気

イチオシの油膜取りです!

ADA ブッパⅡ

ブッパ2

油膜退治をスタイリッシュに行うならこちらがおすすめです。

お値段もなかなかなので「油膜取り」として考えると躊躇しちゃいますが格好良さは抜群ですね。

「エーハイム スキマー350」よりもゴミが詰まりづらい構造なので、メンテナンスの間隔を伸ばすことができます。

MEMO

こちらは海水水槽では使えません。

水面を動かす

フィルターの水流で水面を動かす様子

このようなイメージで水面を混ぜるように動かすと油膜が気にならなくなります。

油膜を消すのではなく「水中に沈める ⇒ フィルターで濾し取る」ことで油膜に対処する感じでしょうか。

簡単に水面を動かすならフィルター排水を水面より上にあげることです。

配管が微調節しやすい「外部式フィルター」や、水位を減らすだけで水面を動かすことができる「外掛け式フィルター」なら簡単に対応可能です。

水槽設置場所によっては水の音が気になります。

あまり水面から離さないようにしましょう。

メリット
  • フィルター排水を利用するので、追加でものを購入しなくて良い
デメリット
  • 水の流れる音が気になるかも
  • フィルターの種類によってはできない

エアレーションをする(海水水槽には不向き)

エアレーション

こんな感じで泡が水面で弾ける際に油膜を沈めて対処しする方法です。

どんな水槽でも簡単に設置できるのが特徴です。

仕組み上、泡が弾ける過程で油膜に対応するので飛沫が飛びます。

そのため、塩ダレがおきる海水水槽には不向きな方法ですよ。

MEMO

水面を動かすと「CO2が逃げてしまう」と言われています。しかし実際はそれほどロスしていません。それよりも油膜がある方が美観上よろしくないと考えているので私は油膜対策を優先しています。

メリット
  • 手軽にどんな水槽にもセットできる
  • CO2中毒の予防になる
  • 酸欠の予防になる
デメリット
  • ブクブクの音がうるさい
  • 泡の飛沫が飛ぶ

ブラックモーリーに食べてもらう(海水水槽には不向き)

ブラックモーリー

水草水槽の油膜退治と言えばコイツと言うくらい有名な淡水魚です(そのため海水水槽では飼育できません)。

小型水槽ならとりあえず1匹入れば油膜を綺麗に食べてくれます。

真っ黒い体色が水槽の中でとっても目立つので好き嫌いが分かれるところ。

グッピーのように雌雄が揃っていると簡単に殖えるので、殖やしたくない方は1匹で飼うか、雌雄どちらかで揃えるようにしましょう。

MEMO

オレンジ、シルバー、グリーンなど他のモーリーも油膜を食べます。ベリフェラ属ならOKということですね。

メリット
  • 1匹で100Lくらいの水量をカバーできる
  • 可愛い
デメリット
  • 効果が体調に左右される
  • 大量に繁殖してしまうことがある

手で取る(キッチンペーパーなどを使う)

水面をアミで掬う様子
  • 油膜をアミで掬う
  • キッチンペーパー、新聞紙、ティッシュなどを水面に浮かべて油膜を取る

など、手を動かして油膜を取ることもできます。

気になるときにサッと処理できるのでお手軽です。

毎度手を動かすのは大変なので基本的には他の除去方法をおすすめしますが「撮影前にちょっと綺麗にしたい!」なんてときに便利ですよ。

メリット
  • 手軽
  • 簡単
デメリット
  • 手間がかかる
  • 効果が限定的

油膜を予防する方法

こちらの3つが油膜予防に有効です。

まったく油膜が発生しなくてなるわけではありませんが、これらを意識することで油膜の出にくい環境を作ることができます。

活性炭を使う

キョーリン ブラックホール

活性炭をフィルターの中にセットすることで有機物を吸着除去できます。

活性炭など有機物を吸着できるろ材は油膜予防に有効です。

活性炭は「水が濁る」「水が臭う」などセット初期に起こりがちなトラブルにも有効なので予めフィルターにセットしておくと良いでしょう。

おすすめの活性炭はこちらです。

養分の少ない底床を使う

JUN プラチナソイル パウダー

養分の少ないソイル「JUN プラチナソイル」

底床ていしょうとは水槽の底に敷く砂利や砂、ソイルのことです。

養分の含有量の少ない底床ほど油膜が発生しづらいです。

養分が多い=バクテリアが繁殖しやすい、水草の栄養が多いとも言えますので一概にデメリットだけでは無いのですが、油膜だけに焦点を当てるなら少ないほうが良いです。

  • 養分の多いソイル⇒ 油膜多い
  • 養分の少ないソイル ⇒油膜少ない
  • 砂利、砂⇒ 油膜とても少ない

このように含まれている養分量に応じて発生する油膜の量に差が出ますので「どうしても油膜はヤダ!」という方は養分のなるべく少ない底床を選ぶと良いでしょう。

こちらの記事で私がおすすめする底床をご紹介しています。

水草水槽向きですがお魚メインの水槽でも使えるものばかりですので、お探しの方はぜひご覧ください。

バクテリア剤を使う

Prodibio スタートアップ

強力に有機物を分解するタイプのバクテリアは油膜対策に有効です。

有機物の量など環境により効果がマチマチなのが欠点ですが、セット初期などに入れておくと大量に発生する油膜を予防することができます。

バクテリア剤はピンキリなので効果のしっかりとある商品を使うことが重要です。

こちらの記事でおすすめのバクテリア剤や使い方などを詳しく解説していますので、購入前にぜひご覧ください。

油膜対策を続ける期間

基本的に常時続けても良いです。

長期間維持している調子の良い水槽でも油膜が出る時は出ますから、ずっとなんらかの対策をし続けても良いでしょう。

常時、対策をする場合はこちらの方法がおすすめです。

よくある質問

おすすめの油膜取りを教えてください。
「エーハイム スキマー350」「ADA ブッパⅡ」がおすすめです。
どちらも水槽にセットして電源を入れれば数分で油膜を除去できます。
活性炭は油膜に効果がありますか?
油膜を除去することはできませんが予防に効果があります。
活性炭には有機物を除去する効果があり、有機物を除去することで油膜の少ない環境にすることができます。
油膜を食べるお魚はいますか?
ブラックモーリーなどモーリーの仲間がよく食べます。
詳しくは本文をご覧ください。
PHの低い水草水槽にはブラックモーリーは不向きと聞きますが大丈夫なんですか?
大丈夫です。
私の経験上、ブラックモーリーはPH4~8程度の水質で飼育したことがありますが特にPHがどの値でも問題無く飼育できています。
ただしPH値の急変はよくありありませんのでご注意ください。
メダカを飼育している鉢に油膜が出ました。
水槽の油膜対策と同様に対応できます。
詳しくは本文をご覧ください。
油膜にバクテリア剤は効果がありますか?
有機物を分解するバクテリアは油膜予防に効果があります。
詳しくは本文をご覧ください。
キッチンペーパーで油膜を取ることはできますか?
できます。
キッチンペーパーを水面に浮かべてから取ることで油膜を除去できます。
新聞紙などでも代用可能です。
浮草がある水槽は油膜が出やすいって本当?
「浮草がある=水面が動きづらい」と言えますので通常よりも油膜が出やすくなるのは事実です。浮草に油膜の原因があるわけではありませんので、そこはご安心ください。
油膜の出やすい餌はあるの?
極端に油膜の出やすい餌というものは今のところ無いと思います。
残り餌がある水槽は有機物量が多いということですので、残り餌が出ないように工夫して餌を与えましょう。
コケが水面に生えているみたいになったんだけどこれも油膜?
油膜が厚くなるとそこに藻類が発生することもあります。
そのような状況になるとたしかに水面にコケが生えているように見えます。
油膜は何色ですか?
「白っぽい灰色」であることが多いです。
藻類が同時に発生している場合は「茶色」「緑色」をしていることもあります。
油膜がなくならない、、
そんなときもありますよ。
とても調子の良い水槽であってもちょっとしたバランスから油膜は出るものです。
本文を参考に常時油膜対策をすれば気にならなくなりますよ。
肉食魚を飼っていますが油膜で悩んでいます。
油分の多い生き物を餌として与えていると油が水面に浮かぶことがあります。
餌の都合もあるでしょうから本文を参考に油膜対策を常時続けるのがおすすめです。
油膜が出ると水槽が臭くなるの?
油膜が特別臭うわけではありませんが、油膜が出る環境は臭いが出やすい環境とも言えます。
油膜が出ると光量が少なくなって水草にダメージがあると聞きました。
よほど暗いライトを使っていない限り問題ありません。
水草育成用のライトを使っているなら油膜が出ていたとしても育成に影響が出ることは稀です。
油膜対策に換水は有効ですか?
一時的な対策としてなら有効です。
油膜が出るごとに換水するのは大変ですから本文を参考に油膜に対応するのがおすすめです。

まとめ

今回は「油膜対策」を解説しました。

私の自宅水槽は「エーハイムスキマー350」を常時稼働させています。

また、「エアーレーション」を組み込んでしまうことも多いですね。

油膜は対策法を知っていれば簡単に対処できますので、本記事を参考にぜひ美しい水面を手に入れてください!

元気
元気

アクアリウムを趣味とするなら油膜とはずっと付き合っていくことになりますので、早めに対策法を知っておくと悩まずにすみますよ!