どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「お魚の病気の原因と予防法」を解説します。
金魚、メダカ、ベタ、熱帯魚など水槽で飼育するお魚が罹る病気は「外部からの持ち込み」と他の複数の要因が重なりお魚の免疫力が下がったタイミングで発生しやすいです。
今回は「主なお魚の病気」「病気の原因」「各予防法」を解説していきます。
100%病気を防ぐことは事実上不可能なのですが、ご紹介することに注意することで「なるべく病気発生を防ぐこと」はできます。
初心者の方にも分かりやすく丁寧にご説明しますので、ぜひご覧ください。
- 白点病
- コショウ病(ウーディニウム病)
- カラムナリス症
- エロモナス症
- 水カビ病
- 白雲病
- ツリガネムシ病(エピスティリス病)
- ギロダクチルス症、ダクチロギルス症
- イカリムシ
- ウオジラミ(チョウ)
こちら10種類が水槽で飼育するお魚が罹る主な病気です。
細かく分けていくともっとたくさんあるのですが、主に発生するのはこちらの病気でしょうか。
それぞれ簡単に解説していきます。
最も水槽内で発生しやすい病気。
ウオノカイセンチュウが原因で発生する寄生虫症。
体に寄生したウオノカイセンチュウが白い点に見えることからこう呼ばれます。
「ベタ、グラミーなどのアナバスの仲間」「東南アジア原産の小型コイの仲間」に特に発生しやすい病気。
ウーディニウムの寄生により発症し、体中にコショウをまぶしたような点が出るのが特徴。
初期症状を発見するのが難しく、重症化しやすい病気です。
- 尾腐れ病
- 口腐れ病
- 鰓腐れ病
- ヒレ腐れ病
細菌の仲間「フレキシバクター・カラムナリス」の感染によって起きる病気の総称です。
このように感染する箇所によって呼び名が変わりますが、対処法は全て同じです。
- 運動性エロモナス症
- 赤斑病
- 穴あき病
- 松かさ病
細菌の仲間「エロモナス」の感染によって起きる病気の総称です。
・エロモナス サルモニシダ
・エロモナス ハイドロフィラ
などが原因菌として有名です。
こちらの症状はエロモナス菌が原因であることが多いですよ。
水カビの仲間が寄生して起きる症状の総称です。
寄生したところが綿がついたように見えることから「綿かぶり病」とも呼ばれます。
「口」「ヒレ」などお魚の先端部分にできることが多いですが、面積が広い部分に付くこともあります。
鞭毛虫の仲間である「キロドネラ」「イクチオボド」などが寄生しておこる症状の総称です。
体に不定形の白い点のようなものができるのが特徴です。
初期症状では白点病、水カビ病、ツリガネムシ病と間違えやすいので注意が必要です。
繊毛虫の仲間であるツリガネムシが寄生することおこる症状の総称です。
体に0.5~1mm程度の白い点ができるのが特徴です。横からみると盛り上がっています。
初期症状では白点病と見極めるのはとても難しいです。
白点病の治療を続けているけど効果が無いという場合は、もしかしたらこちらかもしれません。
症状の進行が遅く重症化しづらいですが、寄生箇所からの二次感染に注意が必要です。
- ギロダクチルス:・全身に寄生する ・低水温を好む
- ダクチロギルス:・エラに寄生する ・高水温を好む
単生類のギロダクチルス、ダクチロギルスが寄生しておこる症状の総称です。
0.5mm程度の糸状形をした虫なので肉眼で確認するのは困難です。
ギロダクチルスの場合、体中に寄生します。頭の先やヒレ先に寄生している場合は確認しやすいですよ。
ダクチロギルスの場合、エラに寄生するのは確認するのは難しいです。
ギロダクチルス性は金魚、メダカの仲間、コリドラスなどに発生しやすい傾向があります。
カイアシ類の仲間であるイカリムシが寄生しておこる症状の総称です。
長さ5~10mm程度のイカリ状のものが体に刺さっているのが肉眼で確認できるので、それを引き抜くことで取り除きます。
それと同時進行で薬浴をすることで幼生を除去し、治療します。
大きな寄生虫なので、寄生箇所の傷が大きくなりがちです。
高確率で細菌による二次感染を起こすので注意しましょう。
甲殻類の仲間であるウオジラミが寄生しておこる症状の総称です。
5mm前後の平たい体をした寄生虫が体表に寄生します。
肉眼で確認できるので、お魚を掬いピンセットなどで取り除きます。
それと同時進行で薬浴をすることで幼生を除去し、治療します。
大きな寄生虫なので、寄生箇所の傷が大きくなりがちです。
高確率で細菌による二次感染を起こすので注意しましょう。
- 外部からの持ち込み
- 水温の変化
- 水質悪化
- 餌の酸化
- 粘膜が荒れている
- 感染
こちらの6つが「主な病気の原因」です。
どの病気も基本的はこちらの要因が元で発生することがほとんどです。
多くの場合、「外部からの持ち込み」と他の5つの要因が重なったときに病気が発生します。
持ち込みにより「寄生虫、菌などの病原の数が増えること」「何らかの要因によってお魚の免疫力が下がること」が重なると病気になりやすいということです。
予防するに越したことは無いので、日頃から注意して管理していきましょう。
- お魚がすでに病気になっていた
- 水の中に寄生虫、菌がたくさんいた
などの理由によりお魚の移動と一緒に病原となる寄生虫、菌も一緒についてきてしまうことがあります。
野生採集のお魚、店舗で購入したお魚などを水槽へ入れる場合は注意が必要です。
- 隔離水槽を用意してトリートメントを行ってから飼育水槽へ導入する
- マラカイトグリーン系のお薬で短期間薬浴
- 水合わせをしっかりと行い、店舗の水を飼育水槽へ入れない
1番確実なのは隔離水槽を使いトリートメントする方法です。
2週間程度を隔離水槽で管理し、病状が出ないか確認してから飼育水槽へ導入する方法です。
病気が出るならそのまま薬浴をして、治療後に飼育水槽へ移動しましょう。

実際のところ、プロの現場では全てのお魚の隔離水槽でトリートメントしているわけではありません。「ヤバそう」なお魚だけを隔離水槽にてトリートメントしていますよ。
- 白点病
- コショウ病
- 水カビ病
- 白雲病
簡単で効果の高い予防方法としては「ヒコサンZ、アグテンなどのマラカイトグリーン系のお薬を入れる方法」があります。
短期間の薬浴であってもこちらの病気の極初期症状なら対応することができます。
お魚を導入した最初の1~2日間程度だけ薬浴するようにすると予防効果が高いですよ。
ヒコサンZ、アグテンの短期間薬浴なら水槽環境に大きなダメージはありませんので、飼育水槽に入れることができます。
すべての病気に対応できる訳ではありませんが、発生率の高い白点病予防をすることができますよ。
【白点病に効く】ヒコサンZとアグテンの使い方 ー効果、用量、投薬例を詳しく解説!ー
水合わせをしっかりと行い、お魚の移動する際の「水」を入れないことで病気の侵入を防ぐことができます。
お魚がすでに寄生、感染している場合はあまり意味がありませんが、水を介する侵入をほぼ防ぐことができますよ。
水合わせはお魚を水質変化から守る意味合いもありますが、「余計なものの侵入を防ぐこと」にとても効果のある方法です。
こちらの記事で最も丁寧な水合わせ方法である「点滴法」について詳しく解説しました。
興味のある方はぜひご覧ください。
負担の少ないお魚の水合わせをマスター! セット方法、水合わせの時間、点滴スピードなどを詳しく解説
1日の中で水温が上下すると体力が落ち、病気に罹りやすくなります。
水温の上下動はお魚への負担が大きいですが、防ぎやすい要因です。
特に「5月~梅雨明け」「9月、10月」など季節の変わり目は気温の上下動が大きいので注意しましょう。
ヒーターを設置して水温の上下を無くしましょう。
寒い時期の対処は簡単です。
ヒーターを設置し「一定の水温でキープ」すればOKですよ。
夏場はちょっと工夫が必要です。
高水温から冷える時に白点病が出やすいので、温度設定が変えられるタイプのヒーターを使い、ちょっと高めの水温をキープするのがコツです(28℃程度)。
水槽用クーラー、水槽用ファン、エアコンなどを使い常に一定の水温が保てるなら、それがベストですね。
ちなみに、複数台の水槽を管理している方はまとめてエアコンで管理したほうが電気代が安くなるかもしれません。
目安となる金額感をまとめた記事もご用意しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。
【エヴァリス】おすすめの水槽用ヒーター =選び方、種類、設置場所、寿命などを徹底解説!=
【水槽の温度管理】エアコンを使った場合の電気代 ー水槽用ヒーター、クーラーとの比較
お水が汚れていて調子を崩してしまい病気になってしまうケースです。
主に「セット初期の水槽」「過密飼育」「餌の与えすぎ」などで起こります。
水槽セット初期はどうしても水質が不安定なのである程度仕方がない部分もあるので、なるべくタフなお魚を最初に導入し水質の安定を待つのが一番です。
過密飼育、餌の与えすぎは管理技術の問題です。
水槽水量、飼育者の技量にあったお魚の数を飼育することで予防可能ですよ。
給餌量の目安は「お魚の目の大きさ程度」です。
餌が余ると直接水質悪化に繋がるので注意しましょう。
【最初に入れるお魚】パイロットフィッシュを詳しく解説 ーおすすめの熱帯魚5種をご紹介ー
水槽で飼育できる魚の匹数 ー水槽サイズ別に一覧表でまとめました!ー
【お魚に餌を与える方法】与える量、回数、バランスの目安
古くなった餌を与えているとお腹を壊し体力が下がります。
その結果、消化不良や最悪、病気になってしまうケースです。
古い餌は酸化しているため、お魚を弱らせる原因になります。
餌は口を開けたら「3ヶ月程度」で使い切るようにしましょう。
まとめ買い、大きなパッケージの物の方が割安ですが、品質が悪くなってしまっては意味がありません。
餌は使い切りサイズにして、こまめに買い換えた方が良いですよ。
- お魚の移動の際のスレ
- 寄生虫によるダメージ
- 薬浴のダメージ
お魚の粘膜が荒れる原因は主にこちらの3つ。
お魚の体は粘膜によって守っているのですが、何らかの原因によって粘膜の量が少なくなると病原への防御力が下がってしまいます。
どの場合であっても「粘膜保護剤」の使用が効果的ですよ。
※魚病薬と同時に使用できないものもありますのでご注意ください
上手に捕まえることが一番ですね。
なるべくアミに触れないように捕まえるのがコツですよ。
「手」で捕まえた方が傷まないケースも多いです。
- 白点病
- コショウ病
- 水カビ病
- 白雲病
- ツリガネムシ病(エピスティリス病)
- ギロダクチルス症、ダクチロギルス症
- イカリムシ
- ウオジラミ(チョウ)
これらにより体表にダメージがあると、粘膜が減り二次感染のリスクが増します。
寄生虫症が重症化すると、寄生虫対策の魚病薬の他、「グリーンFゴールド顆粒」「エルバージュエース」などによる感染症対策も必要になるのはこのためです。
傷が減る訳ではありませんが「塩水浴」をすることである程度ダメージを軽減することができます。
「エルバージュエース」などの効果の高い薬はお魚の粘膜にダメージがあります。
薬浴は病気を治すために行うものですので、ある程度は仕方がないことです。
「塩水浴」をすることである程度ダメージを軽減することができますよ。
【お魚の調子を整える】塩水浴の方法 ー効果、手順、期間、塩の量、塩の種類など徹底解説!ー
同じ水槽内に病気になったお魚がいると感染しやすくなります。
大量に寄生虫、病原菌がいる場合、元気なお魚にも感染してしまいますよ。
特に「過密飼育」「小型水槽」の場合、感染するリスクが高くなります。
なるべく早く病気に対応しましょう。
「隔離」「魚病薬の投入」をなるべく早く行うことで被害を最小限に抑えられます。
余裕をもった匹数で管理する、なるべく大きな水槽で管理するのも有効ですよ。
もし病気が発生した場合、魚病薬を使い薬浴をしましょう。
こちらの記事で各病気に合わせて私が使っている魚病薬をまとめました。
お魚の病気でお悩みの方はぜひご覧ください。
今回は「お魚の病気の原因と予防法」を解説しました。
正直なところ、かなり注意を払って飼育をしていても病気になる時は病気になります。
予防することに越したことはありませんが、病気になってしまったら魚病薬を使って薬浴をしましょう。
万が一に備えて「隔離水槽」を用意しておくと便利ですよ!

厳密にやりすぎると水槽にお魚を入れられなくなってしまうので、ある程度の思い切りは必要です!