今回は「隔離水槽」のセッティング方法について解説します。
隔離水槽とは「何らかの理由によりお魚を退避させておく水槽」のことです。
簡易的なセットで大丈夫ですので、1セット用意しておくと何かあった時にすぐに対応出来るので便利ですよ。
この記事では、分かりやすくするためにメインで飼育している水槽を「飼育水槽」、今回ご紹介するセットを「隔離水槽」と呼ぶことにします。
下記のような場面で「隔離水槽」が活躍します。
- 病気の治療
- 稚魚の飼育
- 弱っているお魚の養生
- トリートメント
・病気の治療
魚病薬は基本的に寄生虫や病原菌を殺す「毒」なので、水草やろ過バクテリア、お魚達にダメージがあります。なるべくなら飼育水槽へは入れたくないので隔離水槽で薬浴させましょう。
また、塩水浴をする場合も、隔離水槽で行ったほうが良いです。
・稚魚の飼育
飼育水槽で他のお魚に食べられてしまうようなら隔離した方が良いでしょう。ある程度の大きさまで育ててから飼育水槽へ戻しましょう。
・弱っているお魚の養生
「ケンカで負けてしまった」「いつもいじめられている」など弱っているお魚がいたら隔離して様子を見たほうが良いかもしれません。
・トリートメント
買ってきたお魚に万が一、寄生虫や病気がついていると飼育水槽へ持ち込んでしまいます。心配な方は隔離水槽でしばらく養生させてから飼育水槽へ移動すると安心です。
隔離水槽を作るの必要なものはこちらの4つです。
後程、それぞれ詳しく解説していきます。
- 水槽
- ヒーター(温度調整が出来るタイプ)
- 水温計
- エアーレーション
水量が5L~15L程度ある水槽が適しています。
サイズで言うと「20cm~30cm程度」の水槽ですね。
薬の種類によっては水槽のシリコン部分などを「染色」してしまうので、汚れてしまいます。美観よりも「使いやすさ」「価格」を優先して選んで良いと思いますよ。
シリコン部分が黒いタイプの水槽は薬で色が付いてしまっても目立たないのでオススメです。
プラスチックケースでも隔離水槽を作ることが出来ますが「すぐに傷が付いてしまうこと」からお魚をよく観察することが出来なくなってしまうのでオススメしません。
元気
上記でご紹介した水量なら30 ~50W程度のヒーターがオススメです。
病気の種類によって「水温を高くキープ」した方が治りが早いものもあるので「温度設定が変えられるタイプ」がオススメです。
ヒーターは専門メーカーである「エヴァリス」のものが精度も良くオススメですよ。
薬浴時には水温を調整することもありますので、なるべく「精度の高い」水温計があると良いです。
大きなサイズの水温計ほど精度が高いです。小型水槽で使用すると目立って美観が悪いのですが、ここは見た目よりも性能を重視した方が良いですよ。
また、デジタル式の水温計はわざわざ水槽を覗き込まなくても「直感」で水温を知ることが出来るので管理の負担を減らすことが出来ますよ。
要するに「ブクブク」です。
「酸素の補給」「水の循環」「水温を均一にする」などの効果があるので設置したほうが良いですよ。調子の悪いお魚に強い水流は逆効果なので、空気の量を調整して泡を少なくすると良いですね。
フィルターは付けなくて良いです。
薬には「ろ過バクテリア」にダメージを与えるものがあり、フィルターを効かせても薬を入れるとあまり機能しなくなります。もし心配なようでしたら「ウールマット」などの物理ろ材のみを使うようにすると良いですよ。

エアーレーションをするために必要な機材類を下記にまとめました。エアーレーションのセットは揃えておくと何かと便利です。隔離水槽に限らず「油膜対策」「酸欠予防」「水合わせの際」など様々なアクアリウムシーンで活躍します。
- エアーポンプ
- シリコンチューブ
- 逆流防止バルブ
- エアーストーン
- キスゴム
・エアーポンプ
空気を送り出すポンプです。
水草水槽用のエアーレーションならパワーの弱いもので十分ですよ。
なるべく「静かな」ものを使いたいですね。
水作 水心SSPP-7S
静かさとパワーを兼ね備えています。
エアーポンプの中ではとても静かなタイプですよ!
ニッソー MUTE S
現状、最も静かなエアーポンプです。
ほとんど音がしません!その代りパワーが弱いです。
強い流れの必要ない隔離水槽にピッタリのポンプです。
「MUTE S」があれば十分ですよ。
・シリコンチューブ
絶対にシリコン100%のチューブをオススメします。
普通のエアーチューブと比べて作業効率、メンテナンス性が段違いです。
エアーチューブを探す際は必ず原材料「シリコン100%」であることを確認してください!
薬を入れると染色されてしまうことがあります。
隔離水槽用として割り切って使いましょう。
参考 シリコンチューブ太平洋セメント 参考 シリコンチューブ(各サイズ)モノタロウ
・逆流防止バルブ
エアーポンプにセットでついている場合は別途揃える必要はありません。
水面より下にエアーポンプを設置する場合、ポンプがストップすると水が逆流してくることがありますので必ず付けましょう。
・エアー調整用コック
エアーポンプに内蔵されている場合は必要ありません。
泡が勢いよく出ていると流れが強くなってしまいますのでこれを使って調整しましょう。泡の量の目安はこちらの動画を御覧ください。ほんのちょっと出す程度で十分ですよ。
泡の量の目安
参考 一方コックチャーム・いぶき エアーストーン 18Φ丸
エアーストーンの中で一番泡が細かいストーンです。
隔離水槽なら小さなサイズで十分機能しますよ。
硬いので寿命が長いのも素敵です。
・キスゴム
チューブを固定するために使用します。
必ず必要なものではありませんが、配管の美観をよくするためにあると便利ですよ。
隔離水槽の設置場所は「暗くて」「静かな場所」が適しています。
また、飼育水槽の近くに設置することで、同時に観察できるなど管理の負担を減らすことが出来ますよ。もし、水槽キャビネットの中にスペースがあるなら、そこがオススメです。
ヒーター、水温計、エアーレーションをセットします。
邪魔にならないように水槽の奥側へ設置すると良いでしょう。水温計は「ぱっと見て」確認出来る方が良いので手前側へ設置しましょう。
アミでそっとお魚を掬って移動させましょう。
大きめのアミを使って「お魚をアミに追い込むように掬う」のがコツです。アミは動かさず手で追い込むようにすると良いですよ。
お水を入れたら機材の電源を入れて完了です!
必要ありません。
お魚を養生させる際は「暗く」することでお魚の負担を少なくすることが出来ます。お魚は周囲が暗いと「休眠」するので、暗い環境下ではずっと寝ているようになります。
底床はあると汚れが溜まってしまうので無いほうが管理が楽ですよ。見た目は味気なくなってしまいますが、ここは管理を優先したほうが良いと思います。
※底床⇒ 砂や砂利、ソイルのこと
元気
- 1週間/1度 50%換水
- 底に溜まった汚れを取り除く
これくらいを目安に行うと良いでしょう。
病気の治療時など急にお魚の調子が悪くなるようなら、その都度調整して追加で換水を行って対応しましょう。
「どれくらいの期間を隔離水槽で過ごすか」は場合によってマチマチなので一概に言えません。
「トリートメント」「薬浴」の場合は一応の目安がありますので、参考までに読んでみてください。
アクアリウムを楽しんでいると一度はお魚が病気になったり、稚魚を隔離したくなるはずです。
隔離水槽は一度セットを揃えてしまえば長く使えます。使う時だけサッと出して使えるようにしておくと便利ですよ。
元気