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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は「水草水槽でTDS(総溶解固形物)を活用する方法」を解説します。
TDSとは、水の中にどれだけのものが溶けているのか、という指標です。
水槽管理に良いものも悪いものもカウントしてしまうので、TDSが高い=悪い水などと一概に言い切ることができません。
そのため、使いこなすには他の指標と組み合わせて使う必要があるので上級者向けです。
今回はそんなTDSを簡単に活用する方法をご紹介します。
水草水槽の管理がちょっと簡単になりますので、ぜひ取り入れてみてください!
TDSとは、総溶解固形物のことです。
「ティーディーエス」と呼びます。
ざっくりというと、「水に溶けているものがどれだけあるか」ということです。
TDSとは、主に水に溶けているモノの濃度の総計です。
主にミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)と有機物(良いものも悪いものも)のことを指します。
基本的にはppm(ピーピーエム)、µS(マイクロジーメンス)という数値で表記します。
水に溶けているものは良いものも悪いものも一様に検出してしまうので、一概にTDSが高い=悪い水というわけでもありません。
そこがTDSの難しいところなんですが「水槽に入れる水道水」のTDSを測ることで、その水が水草育成に向いているのかどうかを探ることができます。
ちなみにアクアリウムにはTDSのほかにも様々な水質の指標があります。
アクアリウムで登場する水質の詳しい解説はこちらの記事で行っています。
興味のある方はぜひご覧ください。
上記の画像はどちらもTDS100なのですが内容が全然違うことがわかりますよね?
実際にはもっと複雑なのですが、分かりやすくするために簡略化しました。
TDSは「水中に溶けているモノ」を数値で表したものなので、同じ数値であっても内容はまったく異なります。
そこがTDSをややっこしくしている点なのですが、水道水など年間を通じて大きく水質が変わらないものを測ることで分かりやすく活用することができます。
多くがミネラル分(カルシウム、マグネシウム等)です。
水道水には40種を超える様々な物質が溶け込んでいますが、そのほとんどは微量です。
ですが、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分はそれなりに含まれています。
そのため、水道水のTDSを測ることは「≒水道水の中のミネラル分を測ること」と言えます。
ミネラル分の多い水=硬度の高い水です。
硬度の高い水は水草の育成が難しいことが多いので、水道水のTDSを測ることでざっくりと「水草の育てやすさを知ることができる」というわけです。
≒ ←この記号はニアリーイコールと読みます。意味はほとんど同じみたいな感じです。
TDSを確認するにはそのままですが「TDSメーター」を使います。
TDSメーターとは体温計のような要領で水のTDSを簡単に測ることができ機器。
高価なアイテムでしたが安価なものも登場して入手しやすくなりました。
家では昔からマーフィード エコ・TDSメーターを使用しています。仕事ではウォーターエンジニアリング TDSめーたーを使っています。どっちも使いやすいですよ!
電源を入れて数値を確認するだけ!
10~20秒くらいで確認できます。
水草水槽ユーザーなら1つ用意しておくと何かと便利です。
TDSの数値 | 水草育成の目安 |
---|---|
~30 | |
30~50 | |
50~80 | |
80~100 | |
100~ |
ご自宅の水道水を測って数値を確認してみましょう。
水草の育てやすさは上記の表の通り。
TDSが低いほど水草が育てやすいです。
80以下なら「水草水槽に向いている水道水」と言えます。
80以上は残念ながら水草育成には不向きです。
TDSの低い地域の方は水草水槽であまり悩んだことがないのではないでしょうか。
なにか問題が起きたとしても、TDSの低い水道水で換水をすれば大抵のことは解決できるはずです。
TDSの高い地域の方は、水草が育たない、藻類が少なくならないなどの悩みが多いですよね。
しかも換水をしても解決しないことがほとんど。
TDSが高い地域の方はTDSを下げる方法をお試しください。
1部の業界人はTDSの低い地域のことを「水草の神に祝福された土地」と呼んでいます。
こちらの県の水道水は一般的にTDSが低いです。
=硬度が低い地域ですので、水草育成に悩むケースはあまり無いかもしれません。
換水だけで多くのことが解決可能なので水質調整用品に頼るケースは少ないのではないでしょうか。
水道水ガチャの勝ち組ですね!
こちらの県の水道水は一般的にTDSが高いです。
=水草育成に不向きな地域と言えますので、水草水槽で何かと悩む方が多いのではないでしょうか。
硬度を下げる方法などを試しながら対応していくのがおすすめです。
僕は埼玉県民なので同じ苦しみが分かりますよ。
- パールグラス
- スリランカ原産のクリプトコリネの仲間
- エキノドルスの仲間
などなど、水道水のTDSが低い地域では上手く育たないことがあります。
上記はミネラル分を好む傾向が強い水草です。
「セット初期+底床にソイルをしている」など、特にミネラルが不足しやすい状況では症状が顕著になることがあります。
たとえばパールグラスが溶けてしまう、エキノドルスの新芽が出ないなどですね。
一般的には時間の経過とともに落ち着いてくるので、TDSの低い地域の方は水槽セットから1ヶ月後に導入するなどで対応するのが吉です。
逆に水道水のTDSが高い地域では育てやすいですよ!
当ブログでは日本中の硬度データをまとめたページもご用意しています。
住んでいる地域の水道水がどれくらい水草水槽に向いているのかを知ると、1歩進んだ管理ができるようになります。
単純にデータを見比べるだけでも楽しいですからぜひご覧ください。
- 特殊なろ材を使う
- TDSの低い水で換水をする
こちらの2つが主な方法です。
厳密にいうと水槽のTDSを下げるのはちょっと大変。
TDSを下げるよりも硬度を下げることで水草の育ちやすい水質を作るほうが、現実的かもしれません。
TDSを下げれるなら下げるに越したことはありませんので、ご予算に余裕があるならぜひとも純水などを導入することをおすすめします。
ウォーターエンジニアリング リバース・グレイン ソフトなどの特殊なろ材はTDSを下げることができます。
とはいえ、水草の育成を考えるならTDSを下げるというよりは硬度を下げる方向で調整するほうが現実的です。
硬度を下げるおすすめのろ材は別記事で詳しくご紹介していますのでお困りの方はご覧ください。
- 純水
- RO水
- 雨水
などを利用することで水槽のTDSを下げることができます。
要はTDSの低い水に交換してしまうということですね。
純水を作る浄水器やRO水を作る浄水器などを利用するのが一般的です。
高価なので導入ハードルは高いですが水草水槽における水質関連の問題を一気に解決できるので予算に余裕があるならおすすめですよ。
TDSを本当に0にしてしまうとミネラル不足になりやすいので、水道水と混ぜてTDS20~30程度にして使うと良いでしょう。
- 餌を投入
- 肥料を添加
- 何らかの添加剤を入れる
- 塩を入れる
などなど、基本的に水槽に何かを入れたらTDSが上がると考えてOKです。
有益なもの、無益なもの、有害なものなど水に溶けるものなら基本的にTDSが上がります。
そのため、基本的にはTDSだけを追っても意味が無いことが多いのでご注意ください。
水質関連の指標に慣れないとTDSを使いこなすのは難しいかもしれません。
- 流木メインのレイアウト
- 水草多数
- 月に1度50%程度をTDS100の水道水で換水
上記の条件で管理している水槽のTDSです。
大体150前後で安定しています。
- 石組みレイアウト
- 水草は少ない
- 月に1度50%程度をTDS100の水道水で換水
上記の条件で管理している水槽のTDSです。
換水後は200前後まで下がりますが、3日程度で400程度まで上がりそこで安定しています。
硬度の上がりやすい石を多用している水槽はTDSが高くなりやすい傾向があります。
このように水槽によって大きく異なるので、各水槽の数値を比べる意味はあまりありません。
高いから、低いからといってTDSだけを比べてもあまり有益なことはないでしょう。
餌の投入量、肥料の種類、添加量、換水ペース、底床、レイアウト素材などで大きくTDSは変わりますから、単純に数値だけ見ても意味がないことがほとんどです。
水槽管理でTDSを活用するなら継続して「同じ水槽」のTDSを測るのがおすすめです。
例えば3日毎、1週間毎に測るなどするとその水槽での変化を知ることができます。
1週目:TDS80
2週目:TDS100
3週目:TDS120
50%換水後:TDS80
このように継続して測ることで換水のタイミングを知ることができます。
基本的に水槽のTDSは時間に比例して増加します。
餌を上げる、肥料を添加するなど「水槽に何かを追加する行動」はTDSを上昇させます。
ちょっと乱暴な考え方ではありますが、汚れが溜まることでもTDSが上昇しますので「汚れの溜まり具合の確認」に利用することができます。
上記の場合だと「3週間毎に50%替えればTDSが元通りになる」という目安ですね。
添加前のTDS:TDS47、添加後:TDS50
3日後:TDS49
1週間後:TDS48
添加後:TDS51
こちらは肥料添加のタイミング目安をTDSで測る場合です。
添加した肥料分が水草に吸収されることで微妙にTDSが下がります。
肥料添加後にTDSを継続して測ることでどれくらい水草が吸収したのかを確認することができます。
基本的に0に近づける。
理想論で言えばこちら。
TDS0の水は養分も0ですから、そのままでは水草は育ちません。
毎日適正量の養分を添加するか、底床からゆっくりと養分が染み出してくるような状況が必要です。
そして毎日(毎分でもいいです)TDS0に近い水で全換水をするのが最高だと思います。
ただし、水槽環境で実現するのは難しいのでTDS10~30程度で管理するというのが現実的なところでしょう。
水槽も湧水池のように最高の水で毎分全換水できれば簡単なんですけどね笑
- TDSが低い≒ミネラル分が少ない
- TDSが低い≒養分が少ない
と言えますので藻類も増えづらいです。
特にミネラル豊富な水を好む黒髭苔やサンゴ苔は硬いのでやっかいです。
それらが増えづらくなりますから、水槽の美観の観点からもTDSの低い水は有益ということですね。
水槽で増える藻類対策は別記事で詳しくご紹介していますのでお困りの方はぜひご覧ください。
- 水道水を軟水にする浄水器を使って換水しています。原水よりも浄水器を通した水のTDSが高いです。どうして?
- 一般的に軟水にする浄水器はTDSを少し上昇させます。
水道水からカルシウム、マグネシウムを取り除く代わりにナトリウムを放出するのでTDS的にはちょっと上がります。
- 水道水にPHを下げる薬を入れて換水に利用しています。PHを下げる薬を入れるとTDSが上がりますがどうしてですか?
- PH降下剤は基本的になんらかの酸です。
酸を水に追加するわけですからTDSが上昇します。
今回は「水草水槽でTDSを活用する方法」を解説しました。
TDSは応用範囲の広い指標だけに使いこなすのがちょっと大変です。
まずは簡単に水道水の指標として使って慣れてから応用するのがおすすめです!
TDSを使いこなすと水槽管理の幅が広がりますよ!
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