本記事は「水草水槽の底床選び」を解説します。
底床とは水槽に敷く土や砂利のこと。
一体、管理のしやすい底床とはどのようなものなのでしょうか。
実は、ソイルを使っても、砂利、砂を使ってもキレイな水草水槽を作ることができます。
スタイルに合わせて底床を選べるようになると、レイアウトの幅が広がり管理も楽になりますのでもっとアクアリウムが楽しくなりますよ。
そこで今回は「初心者の方におすすめの底床」「底床の敷き方」「化粧砂」「盛土」などを丁寧に解説していきます。
また、上級者向けに「環境に合わせて底床を選ぶ方法」「環境が安定するまでの時間」などもご紹介しますよ。
初心者の方にも分かりやすく進めていきますので、ぜひご覧ください。
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水槽にソイルを入れる様子。
底床とは、水槽における「土壌」のことです。
- ソイル(水草用の土)
- 砂利
- 砂
こちらの3つが主に底床材と呼ばれます。
水草を植えるいわば「大地」ですから水草水槽の中でも重要なポジションです。
底床は大きく分けると土である「ソイル」と、「砂利(砂)」の2種類に分類できます。
それぞれメリット、デメリットがありますが、どちらのタイプを使用したとしても「キレイな水草水槽」を作ることができますよ。
それぞれ詳しく掘り下げた記事がありますので、興味のある方はこちらをご覧ください。


私が初心者の方におすすめしている底床材は「吸着系ソイル」と呼ばれるタイプです。
吸着系ソイルは含まれる養分が少ないことから、水草の成長が劇的に良いわけではありませんが、「藻類の大量発生」「白濁」などのトラブルが少ないのがメリットです。
そのため、初心者の方でも使いやすいですよ。





初心者の方には「吸着系ソイル」をおすすめしています!


手前はできるだけ薄く、後ろはなるべく高く盛るのが格好良く底床を敷くコツです。
底床の厚みはレイアウトによって微妙に異なりますが、どのような場合でも「手前をなるべく薄く敷くこと」を心がけると見栄えが良いですよ。
実際の敷き方については、30cm水槽にソイルを敷く過程を動画でご紹介したものがありますので、お時間のある際にぜひご確認ください。
また、別記事では底床の厚みについて掘り下げて解説しているものや、実際のレイアウト制作過程を紹介しているものもあります。
こちらも興味のある方はぜひご覧ください。






このように、水景の一部に使用する砂(砂利)のことを「化粧砂」と呼びます。
- 道の表現
- 自然感を強める効果
- 水景を明るくする
などなど、様々な効果があるのでレイアウトに取り入れることで表現の幅が広がりますよ。
化粧砂には、砂や砂利が利用されることが多いので底床の1部といえます。




石組みと盛り土で作る「山岳系レイアウト」。
背面の底床を高く盛ることを「盛土」と呼びます。
盛土には、立体感を表現し、強い奥行き感を表現する効果があります。
作業にちょっとコツが入りますが、格好良いレイアウトを作るには必須技術ですので、ぜひ習得してください!


ご自分の水槽が「どれだけ養分を必要としているか」ということを意識して底床選びができるようになると、さらにレベルの高い管理ができるようになります。
ある程度水草水槽の管理に慣れている方は、ぜひチャレンジしてみてください!
番号 | 水槽スペック | 栄養系ソイル | 吸着系ソイル | 砂利、砂系底床 |
---|---|---|---|---|
① | ・高光量 ・CO2有 ・陽性水草メイン | ◎ | ◎ | ◯ |
② | ・高光量 ・CO2有 ・陰性水草メイン | △ | ◎ | ◯ |
③ | ・低光量 ・CO2有 | △ | ◎ | ◯ |
④ | ・低光量 ・CO2無し | △ | ◯ | ◯ |
こちらの表は4タイプの環境例に合う底床を表にしたものです。
環境は細かく分けると無数にあるのですが、大きく分ければ上記の4タイプに収まるはずです。
ざっくりとご自分の水槽が何番に当たるのか把握しましょう。
それでは、①から順に解説していきます。


- ◎:栄養系ソイル
- ◎:吸着系ソイル
- ◯:砂利、砂系底床
高光量ライト、CO2添加キットなどの水草育成用器材が揃っている環境では、水草の代謝が高くなるため養分要求量が高くなります。
このような環境で、成長が早く養分をたくさん必要とする陽性水草を育てるなら、「栄養系ソイル」がおすすめです。
栄養系ソイルを使用するとセット後しばらくは追肥を行わなくても水草がある程度は成長するので、一番難しい肥料の使用を抑えられます。
立ち上げはやや不安定ですが、一度安定すると長期間にわたり調子を維持しやすいため慣れると手放せなくなりますよ。
初めて水草水槽にチャレンジする方は「吸着系ソイル、砂利、砂系底床」から始めると失敗が少ないです。
水草水槽を管理する上で一番難しい時期は「セット初期」です。
栄養系ソイルと比べ、吸着系ソイル、砂利、砂系底床は含まれる養分が少ないため「養分過多」からくるトラブルが起きづらいですよ。


「立ち上げのスムーズさ」「水草に必要な養分をある程度含んでいる」この2点を併せ持つ吸着系ソイルは初心者の味方です!


- ◎:吸着系ソイル
- ◯:砂利、砂系底床
高スペックの水槽で成長の緩やかな陰性水草を中心としたレイアウトを作る際は「吸着系ソイル」がおすすめです。
養分が多く含まれる底床の場合、養分を上手に処理しないと藻類が出てしまいますが、立ち上がりの早い吸着系ソイルなら安心して陰性水草を育てることができます。
また、「砂利、砂系底床」もおすすめです。
シダの仲間やコケの仲間だけでレイアウトしている場合など、養分をほとんど必要としないような水槽ならソイルでは無く「砂利、砂系底床」を使うことでメンテの手間を少なくできます。
- ◎:吸着系ソイル
- ◯:砂利、砂系底床
「今まで熱帯魚メインで楽しんでいたけど、CO2を添加を始めてみた」なんて方はこの状態であることが多いですね。
CO2を添加していても低光量なら、そこまで水草の代謝は上がらないので「栄養系ソイル」は使わない方が良いでしょう。養分過多から藻類に悩まされてしまいますよ。
使うなら「吸着系ソイル」「砂利、砂系底床」がおすすめです。
- ◯:吸着系ソイル
- ◯:砂利、砂系底床
低スペックの場合、水草の代謝が低いままなのでたとえ成長の早い水草であっても、あまり養分を必要としません。
なるべく「養分の少ない底床」を使うことでトラブルを未然に防ぐことができますよ。
そのため、「吸着系ソイル」「砂利、砂系底床」がおすすめです。
サイズ | 低光量 | 高光量 |
---|---|---|
30cm | 350lm程度 | 700lm程度 |
45cm | 1000lm程度 | 2000lm程度 |
60cm | 1500lm程度 | 3000lm程度 |
90cm | 3000lm程度 | 6000lm程度 |
120cm | 4000lm程度 | 8000lm程度 |
180cm | 6000lm程度 | 12000lm程度 |
こちらが水草水槽の光量の目安です。
丈夫な水草なら低光量程度の光を当てれば十分に育てることができます。
「絨毯になる前景草を育てる」「真っ赤に育てる」「大きな茂みを作る」など本格的な水草水槽を作るなら高光量を目安にライトを選ぶ必要がありますよ。
水草に養分吸収は光量にも左右されるので
- 低光量の環境⇒ 養分の少ない底床
- 高光量の環境⇒ 養分の多い底床
と使い分けるのがポイントです。
こちらの記事で、水草水槽におすすめのライトをご紹介しています。
照明をお探しの方はぜひご覧ください。






環境が安定するとは、「有益なろ過バクテリアがしっかりと水槽内に繁殖した状態」といえます。
バクテリアのご飯は有機物なので、より養分の多い底床を使用した方が早くバクテリアが増えるます。
ということは、養分がたくさん含まれている「栄養系ソイル」はバクテリアの増殖量が多く、より早く安定すると言えますよ。
とはいえ、養分が多ということはセット初期にその養分の多さから環境が不安定になるというリスクも抱えているため、一概に良いとも言えません。
別記事でろ過バクテリアについては詳しく解説しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。


底床選びに「これがベストだ!」というものはありません(ココまで書いてきてなんですが)。
本格的水草水槽は砂利系底床でもできますし、水草の代謝に低い環境でも栄養系ソイルで綺麗な水槽を維持している方はたくさんいます。
管理次第でどうにでもなるのです!
- コンテスト用だから栄養系ソイルで頑張るか
- 藻類が怖いから吸着系ソイルにしよう
- この砂の色がイイ
- 今回のレイアウトは砂利で作ろ~
こんな感じで私は割と軽いノリで底床を決めてしまいます。
後のことは肥料添加であったり、換水であったり、各水質調整剤で割とどうにかなっちゃうので「見た目優先」ですね。
なので皆様も自由な感覚で底床を選んで頂けるともっとアクアリウムが楽しくなるんじゃないかなと思っています。




色々と勉強しなきゃいけないこともありますが、簡単すぎるよりは難しいほうが歯応えがあって楽しいでしょ(笑)
今回は「水草水槽の底床選び」を解説しました。
水槽のスタイルに合わない底床を選んでしまうと、その後の管理が大変です。
また、場合によっては水草が育ちづらくなってしまいますよ。
水槽環境、底床の特徴を掴めば、自由に底床を選べるようになりますが、慣れるまでは「養分の少ない底床」の方が管理が簡単です。
初心者の方はまずは吸着系ソイルを使って水草を育ててみましょう!


初心者の方は養分の少ないソイルが使いやすいと思いますよ!