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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では「睡蓮鉢を使ったビオトープの作り方」を解説します。
実は睡蓮鉢を使った小型ビオトープは簡単に作ることができます。
ライトなど育成、制作に必要なものが少ないので水槽を作って管理するよりもずっと簡単です。
しかも、自然の生き物が住み着く可能性もあります!
お庭、玄関先、ベランダなどに自然を模した水辺があったら素敵だと思いませんか?
今回は育てやすいスイレンを使ったビオトープ作りをご紹介していきます。
上手く育てば1~2ヶ月ほどでスイレンの花を楽しむことができますので、ぜひチャレンジしてみてください。
「用意するもの」「作り方」など初心者の方にも分かりやすく丁寧にご説明しますので、小さな水辺作りをお楽しみください。
- 睡蓮鉢、トロ舟などで水辺を作る
- 水辺の植物を植える
- メダカ、貝、エビなどの生物を飼育する
- トンボ、カエルなどの生き物が住み着くことも!
ビオトープとは「睡蓮鉢、トロ舟などで水辺の植物と生き物を楽しむこと」を言います。
難しく言うと「生物が生息する環境の地理的最小単位」を指す言葉なのですが、今では簡単に作れる水辺みたいなものを指すことが多いです。
バイオトープとも呼ばれ、ギリシア語のbio+toposという単語を組み合わせた造語です。
本来の意味で使うなら水槽はすべてビオトープということになりますね!
ややっこしいのですが、アクアリウム業界には「ビオトープアクアリウム」というスタイルの水槽もあります。
こちらは「特定の自然環境の再現」に焦点を当てたレイアウトスタイルのことを指します。
ビオトープアクアリウムについてはこちらの記事で解説していきますのでご覧ください。
- 睡蓮鉢
- 植木鉢
- 鉢底ネット
- 土
- 固形肥料
- 植物(スイレンなど)
睡蓮鉢はプラスチック、発泡スチロールなど様々な材質のものがありますが断然、陶器の睡蓮鉢がおすすめです。
- 見た目がオシャレ
- 水温が上がりづらい
- 大きなサイズがある
こちらの3点がおすすめする理由。
見た目は好みが別れるところですが、水温が上がりづらいのは大きなメリットです。
基本的に日向に設置するので、夏場はかなり水温が上昇してしまいます。
水の中の生き物は高水温が苦手なので水温が上がりづらいとその分飼育しやすくなりますよ。
水量がなるべく多いほうが生き物が飼育しやすいです。
反面、「重い」「比較的高価」というのが睡蓮鉢の欠点ですね。
陶器なので水を吸います(土鍋などと同じです)。
その水が蒸発するときの気化熱で常に容器が冷めます。
設置環境にもよりますが、夏場でも鉢の底の方は水温が低く保たれますよ。
スイレン1株ならこれくらいの「植木鉢に植え付けてから」睡蓮鉢に沈めるのがおすすめ。
植え替えの時期が来たら植物を植えた鉢だけを取り出して作業すれば良いので楽ちんですよ。
安い鉢で十分です。
大きさは5~7号程度のものが使いやすいですね。
植物の大きさに応じて使い分けましょう。
植木鉢は下に穴が空いているのでそのままでは土が漏れてしまいます。
鉢底ネットを敷いて穴から土が漏れないようにしましょう。
フィルター用のマットなどでも代用できますので使えそうなものがあれば無くても大丈夫ですよ。
僕はフィルタースポンジで代用することが多いです!
いわゆる田んぼの土。
スイレンは泥状になっている土を好みます。
赤玉土などを水で練って泥状にしたものなども利用できます。
水槽に使用したソイルなどを流用できますので捨てるソイルを取っておいてスイレン用に使うのもおすすめです。
ビオトープは廃ソイルを有効活用できる方法の1つですので、水草水槽ユーザーは敷居が低いはずです!
私はスイレンを育てる時はいつもこちらの肥料を使っています。
- スイレン1株につき、3~5個程度
これくらい使うとスイレンの花付きが良いですよ。
水槽で使用するよりもかなり多いのですが花を楽しむなら多めに使うようにしましょう。
その他、養分含有量の多い固形肥料は流用できます。
OKOSHIはおすすめの水草用肥料です。
ビオトープ用としてもおすすめですよ。
4月頃になるとホームセンターなどでたくさん売られていると思います。
このようなビニールポットに入っていることが多いので、植木鉢に植え替えて睡蓮鉢に沈めましょう。
スイレンには種類があるのでお気に入りを植えてくださいね!
- ホースリール
- 散水ノズル
- ゴム手袋
- スコップ
- 水を張る
- 鉢を洗う
- 土を洗い流す
などなど、何かと水を使いますので手元までホースが伸ばせると便利です。
安物のホースリールは耐久性、使い勝手がイマイチなのであまりケチらないほうが良いですよ。
ホームセンターに行けば、たくさん展示されているので触って確認すると良いでしょう。
水槽のお掃除の際にもあると便利です!
ホースの先につけて使います。
耐圧配管なら手元でオン・オフができるのでとっても便利。
シャワー、ジョロなど水の出方も調整できるので、一度使うと手放せないですね。
ホースリールを買うと付属で付いてくることが多いです。
土が手に付くのに抵抗のある方は使うと良いでしょう。
特にスイレンの植え替えをする際は素手で作業すると手がドブ臭くなります。
なかなか臭いが取れませんのでグローブをして作業しましょう。
土を入れる、微調整するなど何かとあると便利です。
水槽用の「砂利スコップ」などでも十分代用できます。
まずは簡単な流れを見ていきましょう。
後ほど詳しく解説していきます。
睡蓮鉢を平らなところに置きましょう。
スイレンは高光量を好むので日当たり良い場所が良いです。
地面に置く場合は軽く埋めるようにすると安定します。
植木鉢に鉢底ネットをセット
ソイルを半分くらい入れる
固形肥料を入れる
スイレンをビニールポットから出す
スイレンを鉢に入れる
ソイルをさらに入れる
完了!
植木鉢の穴に鉢底ネットをセット。
今回はエーハイムのフィルターマットで代用しました。
スイレンをビニールポットから出します。
土は付いたままでOK。
スイレンを入れ、上からソイルを追加します。
固形肥料を入れる
肥料を入れ忘れたので後から入れました。
私はソイルを入れるタイミングで一緒に入れてしまうことが多いです。
スイレンから新しい葉が展開するくらいのタイミングで入れると良いでしょう。
睡蓮鉢に植木鉢を入れましょう。
深めの睡蓮鉢の場合は、底上げをして植木鉢によく光が当たるようにしましょう。
今回は別の植木鉢をひっくり返して底上げ用の台としました。
レイアウト的に複雑になり生き物の隠れ家にもなるので一石二鳥です。
ソイルを舞い上げないように水を張りましょう。
散水ノズルを使ってシャワーで入れると簡単です。
これで完成です!
株がある程度大きなスイレンなら1~2ヶ月程度すると花を楽しめると思います!
スイレンの根本に光を当てるイメージが大切!
スイレンの育成だけを考えると光のよく当たる水深15cm程度の浅い鉢の方が有利です。
しかし、生き物の飼育もするなら水量が多くとれる深めの鉢の方が良いですよ。
その分、光が当たりづらくなるため上げ底をしてスイレンにたくさん光が当たるようにしましょう。
- 定期的な換水
- 足し水
- 剪定
- 餌やり
こちらの4つが主な日常管理です。
どれも水槽よりもお手軽なので簡単ですよ。
1週間に1回程度、半分くらい水を換えましょう。
簡単な方法は画像のように、散水ノズルを水に沈めて水を出す方法です。
勝手に水が溢れますので、しばらく放っておけば換水終了です。
換水が終わったらカルキ抜き(塩素中和剤)を入れましょう。
水が蒸発して減ってしまうと「水が汚れやすくなる」「高水温になりやすくなる」などの弊害がありますので、水位が下がっていたら足し水をしましょう。
スイレンは葉の新陳代謝が早い植物なので、どんどん新しい葉を出します。
その変わり、古い葉がダメになるのも早いのでマメに取り除きましょう。
「葉が黄色になる」「葉に茶色の穴が空いている」のが古い葉の特徴です。
根本からハサミでカットすればOKですよ。
餌は主にお魚に与えます。
お魚のご飯の量の目安は「片目の大きさ」です。
与えすぎないように注意しましょう。
エビ、貝などは睡蓮鉢に発生する藻類などを食べますので与えなくても大丈夫ですよ。
こちらはずっと維持している私の睡蓮鉢です。
伸び放題ですね(笑)
スイレンの花を毎年楽しむなら「年1回の植え替え」が効果的です。
植え替えることで根詰まりを解消し肥料を追加しましょう。
睡蓮鉢から植木鉢を取り出しましょう。
睡蓮鉢が汚れているなら洗ってもOKです。
植木鉢からスイレンの取り出します。
後ろの穴から突くようにすると簡単に取り出せるはずです。
古い土は処分してください。
サッと水で洗いましょう。
スイレンに古い土が残っていてもOKです。
株が大きい場合は「株分け」をしましょう。
初期セット時と同様に植木鉢をセットします。
今回は株分けをしたので2鉢用意しました。
こちらも同様にソイルを敷きます。
ここでは余っていた「硬質赤玉土」と「プラチナソイル」を使用しました。
固形肥料を入れるのをお忘れなく!
睡蓮鉢に沈めて完了です。
などなど、色々な植物をビオトープで楽しむことができます。
今回はシンプルにスイレンに焦点を当ててご紹介していますが、水面から葉の水上に伸ばす植物を配置すると立体的なビオトープになります。
より自然感の強い見た目になりますので水辺感が強くなりますよ。
代表的なものをご紹介しました。もっとたくさんの植物をビオトープで育てることができます。
- 温帯スイレン
- 熱帯スイレン
スイレンには主にこちらの2タイプがあります。
それぞれ特徴がありますのでお好みで選ぶと良いでしょう。
温帯スイレン
- 育てやすい
- 手に入れやすい
初心者の方には温帯スイレンがおすすめです。
睡蓮鉢を1年中外に出したままでも越冬できるので、管理が簡単です。
花の色は基本的に「赤」「ピンク」「黄色」「白」の4色です。
熱帯スイレン
- 良い香り
- 花の色が派手
- 葉の色が派手
熱帯地方に生えているスイレン。
外に出したままだと冬に枯れてしまうので室内に移動するなど越冬させる工夫が必要です。
温帯スイレンに比べて大型のものが多いですが、花が咲くとなんとも言えないエキゾチックな良い香りがします。
花の色は「青」「紫」「真っ赤」など温帯スイレンと比べて派手なものが多いです。
葉っぱも迷彩柄のようなものが多いので、色彩豊かなエキゾチック感あふれるビオトープを作りたいならぜひチャレンジしてみてください。
- メダカ
- ミナミヌマエビ
- タニシ
こちらの3種は睡蓮鉢でも育てやすいです。
高水温、止水環境に強いので、小型ビオトープ向きの生き物ですね。
3月~10月
基本的に1年中楽しめるものなのですが、冬場は葉が落ちてしまうので見た目が寂しくなります。
美観という意味で楽しめるのは温かい時期です。
地域によっては2~3月頃にカエルが卵を産みに来るイベントが観察できるかもしれません!
- カエル
- トンボ
- 野鳥
などなど、いろんな生き物が寄ってきたり住み着いたりしますよ。
自然の動物が寄ってきてくれると、ちゃんと「水辺を作れたんだな。。」としみじみ思います。
周辺環境によってやってくる生き物が変わりますがご自宅で自然を感じれるなんて素敵ですよね。
水辺も作ると蚊が卵を産みに来ます。
やがて孵化してボウフラとなり、蚊になりますので「メダカ」を入れて食べてもらいましょう。
基本的にメダカなどお魚を入れておけば増えることはありません。
トンボがやってくるとヤゴが産まれることがあります。ヤゴもボウフラを食べてくれますよ!
- すだれなどで遮光する
- 設置場所を移動する
こちらの2つが主な対策方法です。
設置場所を勘案して都合の良い方法を試してみましょう。
すだれなどを利用して日陰を作ってあげましょう。
午前中だけ光が当たるようにすれば、スイレンの育成には問題がありませんので日の当たり具合を見て設置場所を工夫してみてください。
すだれなどの設置が難しい場合は設置場所を移動してみましょう。
東側の午前中しか光が入らないような場所がおすすめです。
- 外国産の水草
- 外国産のお魚
- 本来その地域には生息していない生き物
- 遺伝子の撹乱
ビオトープを作るなら外来種の拡散に注意しましょう。
外来種とは簡単に言うと「本来の分布域外に持ち込まれた動植物」のこと。
現在ではホームセンターのビオトープコーナーなどで海外原産の水草などが簡単に手に入ります。
これらの中には日本の環境に適応できる種類も多く、自然に放たれてしまうと定着する恐れがあります。
ビオトープを作る際は簡単に自然環境に逃げ出さないような工夫が必要です。
どうしても逃げ出してしまいやすい環境の場合は、その地域に生息している動植物のみを集めてビオトープを作りましょう。
せっかく水辺を作るのですから生物多様性に寄与するものにしましょう!
「自宅に湿地帯を作ろう」というロマンあふれるビオトープ本。
生物多様性を守るために我々一般人ができる最適解の一つがここにあります。
外来種の問題などを一般の方向けに分かりやすく解説しているので、ビオトープを作るなら目を通しておきたい本です。
とても読みやすく勉強になります。全国の学校に置きたいレベルのやつです。
スイレン・ハスに興味があるならぜひおすすめしたい1冊。
花の写真を見ているだけでも楽しいですし、これを読んだら睡蓮鉢の数が増えてしまうことを請け合います。
「こんなに品種があるんだ」とびっくりしますよ。
あ!っと驚くような色の花も載ってますよ!
今回は「睡蓮鉢を使ったビオトープの作り方」を解説しました。
4月頃に植えれば、6~9月くらいまでスイレンの花を楽しむことができます。
上手く育てば次の年には株分けできるくらいに大きくなっているので、毎年のように睡蓮鉢が増えてしまうかもしれません(笑)
水辺がある生活をぜひ手に入れてください!
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