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【水草レイアウトの基礎】前景、中景、後景とは? ー作品例から分かりやすく解説ー

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本記事では水草レイアウトにおける前景、中景、後景について解説します。

私は基本的にレイアウトは自由であるべきだと考えています。

石も流木も水草も好きに組み合わせて楽しんで貰えればOKと思っておりますが、それだとなかなかまとまりのある作品になりませんよね。

そこで今回は水草レイアウトの基礎として「前景、中景、後景」についてご説明します。

言葉だけではお伝えしづらい内容ですので、私が作った水槽を例にして進めていきます。

初心者の方にも分かりやすく丁寧に進めていきますのでぜひご覧ください。

MEMO

解説していく内容はあくまで目安ですので、慣れてきたら自由にアレンジして水草レイアウトを楽しんでくださいね!

この記事の著者
轟元気

プロアクアリスト

轟元気

とどろきげんき

プロフィール

業界歴19年の中堅。現在は有限会社エイチ・ツーに所属し埼玉県坂戸市にあるアクアリウムショップ「e-scape」の店長をしています。本ブログ、Ordinary-Aquariumでは「水草水槽の知識」を中心に今までの経験を基にした実践的な知識、技術を初心者の方にも分かりやすく解説しています。プロフィール詳細リンク、転載、引用について

前景、中景、後景とは

水草レイアウトにおける前景、中景、後景とは「レイヤー(層)」のことです。

レイヤーを重ねることで立体感が生まれ、「奥行き」が生まれます。

ざっくりと水槽を3つに区切り、手前、中央、背景と視線を誘導するように「石、流木、水草」などを配置していくわけです。

必ずしも水草を使わなければならないものでもありませんし石や流木を配置しなければならないわけでもありません。

要は層になっていれば良いのです。

元気
元気

と言っても伝わりづらいですので、実際の水槽を例にして進めていきます!

作品例① IAPLC2018出品水槽

120cmレイアウト
例
  • 青→ 前景
  • オレンジ→ 中景
  • ピンク→ 後景

こちらは世界水草レイアウトコンテスト2018に出品した水槽です。

平たい石はやや奇抜かもしれませんが、左右にボリュームを作り中央に空間を作る凹型構図と呼ばれるデザイン。

水草レイアウトとしてはオーソドックスなスタイルです。

この水槽は大きく分けると下記のようなレイヤーに分かれています。

作品例② IAPLC2015出品水槽

60cmレイアウト
例
  • 青→ 前景
  • オレンジ→ 中景
  • ピンク→ 後景

こちらは世界水草レイアウトコンテスト2015に出品した水槽です。

このように前景、中景、後景とも同じような素材、水草を使ってレイヤーを作ることもできます。

同じものを使う場合、底床を底上げして高さに変化をつけるのがポイントです。

  • 川砂
  • 川石

前景、中景、後景の役割

前景、中景、後景の役割はレイアウトの作り手によって様々な解釈があり、作品ごとに違いがあるものです。

それでは分かりづらいですからここでは私が考える役割をご紹介します。

一例としてご覧ください。

前景の役割

  • 水景全体の方向を決める
  • 横方向の広がりを表現
  • 開放感の演出

前景、中景、後景の中で1番広い面積になることが多く、1番先に目につく部分なので水景の印象を大きく左右します。

明るい色の前景草や化粧砂を使えば「明るい雰囲気」になります。

落ち着いた色味の化粧砂、濃いグリーンの前景草なら「重厚な雰囲気」といった具合です。

また、高さを制限することで、横方向の広がりと開放感を表現できますよ。

60cmレイアウト

前景には部分的に葉の大きな水草や大きめの石などを配置することで奥行き感を強調できます。

中景の役割

  • 水景の骨格
  • 前景と後景をつなぐ
  • ワンポイント

主に石や流木を配置してレイアウトの構図を組むことになるポジションです。

構図はレイアウトの骨組みとなるのでとても重要ですよ。

前景と後景だけでは水景が2分されてしまい不自然なので、上手くつなぐように中景を作るのがポイントです。

特徴的な石や流木、水草を配置することで水景のワンポイントとして機能させることができます。

石や流木などの構図素材にはコケやシダなどの活着水草を配置すると効果的です。

後景の役割

  • レイアウトの背景
  • 奥行き感を決める
  • 世界観の表現

水景の背景となるので世界観を表現するようなものを配置するのがポイントです。

前景、中景、後景と連なるように石や流木を配置しても良し、水草で茂みを作っても良いですよ。

ポイントは「細かなもの」を配置すること。

前景→中景→後景と徐々に細かなものにしていくことで奥行き感を表現できます。

120cm

背景には細かなもの(この水槽は水草)を配置することで奥行き感アップ!

前景、中景、後景の境界は曖昧

実際のところ、前景、中景、後景の境目は曖昧です。

「ここから中景!」のようなはっきりとして境界線はありませんので、あまり厳密に考えなくても大丈夫です。

レイヤーを重ねる

前景

前景と中景の間

中景

中景と後景の間

後景

このように、さらに細かくレイヤーを重ねることでより深みのある水景を作ることができます。

薄い水槽よりも、奥行きのある水槽の方がレイアウトを作りやすいのはこの辺に理由があります。

レイアウト制作に慣れてきたら、レイヤーの数を増やすことにチャレンジしましょう!

元気
元気

たくさんレイヤーを重ねられることはトップレイアウター達の特徴です!

前景草、中景草、後景草を探す

水草同士を比べた時、背の低いものを前景草、中くらいのものを中景草、背の高くなるものを後景草としています。

あくまでも「目安」ですので使い方を限定するものではありません。

柔軟に考えて楽しんでくださいね。

当ブログでは「直感で選ぶ水草図鑑」をご用意していますので、ぜひお気に入りの水草を探してみてください!

水草の配置のコツ

  • コントラスト
  • 水草の種類数
  • 丸葉と細葉の組み合わせ

などなど、水草の配置のコツをつかめばさらにレイアウトが楽しくなるはずです!

こちらの記事で水草配置のポイントをまとめてご紹介していますので興味のある方はぜひご覧ください!

小型水槽におすすめの水草

30cm前後の小型水槽は小さいだけに水草のチョイスが難しい面があります。

水草が「大きくなりすぎてしまう」「成長が早すぎてしまう」ようでは持て余してしまいますよね。

そこでこちらの記事で「小型水槽におすすめの水草」をまとめました。

小型水槽レイアウトの際はぜひご覧ください。

30cm水草水槽の作り方

こちらのカテゴリーでは私が毎日(ほぼ)SNSでご紹介している30cm水槽の作り方を解説しています。

水草水槽に必要な機材の紹介、機材のセッティング方法、水草の植え方などを順を追って解説しています。

初心者の方でも管理しやすく、失敗の少ない内容ですのでレイアウト水槽の作り方に興味のある方はぜひご覧ください。

レイアウトを学ぶ

今回の内容も元に「前景、中景、後景」を意識して作品を見ることで新しい気付きがあるはずです。

「世界水草レイアウトコンテスト」のHPでは過去の受賞作品を見ることができます。

いいな!と感じたところはどんどん真似をして、自分の水槽に取り入れましょう。

よくある質問

前景草と下草の違いは?
水草レイアウトにおいては大きな違いはありません。
前景や石や流木の根本付近に植える背の低い水草を「下草」と呼ぶことがあります。
前景草を後景に配置しても良い?
ダメ!というルールはありません。
後景に前景草を配置するなら盛り土をして高さを出すと立体感が生まれます。
後景草を前景に配置しても良い?
ダメ!というルールはありません。
後景草を前景に配置する場合はマメにトリミングをして高さを調整すると良いでしょう。
成長の緩やかな種類を選ぶことも重要です。
前景、中景、後景って意識してレイアウトしないとダメなの?
基本的には気にせず好きにレイアウトをお楽しみくださいというのが私のスタンスです。
ですが人から評価をされるような作品を作りたいなら意識して作りましょう。

まとめ

今回は水草レイアウトの「前景、中景、後景」を解説しました。

「レイヤーを重ねる」という感覚さえ掴んでしまえば、前景、中景、後景などと意識しなくてもレイアウトを作れるようになります。

それは「より自由に」レイアウトを楽しめるということですので、さらにアクアリウムが楽しくなりますよ。

私の記事がレイアウト技術の向上に役立てたら幸いです。

元気
元気

レイアウトの型を知れば「型破り」もできるようになります!