どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事では水草レイアウトにおける「前景、中景、後景」を解説します。
私は基本的にレイアウトは自由であるべきだと考えています。
石も流木も水草も好きに組み合わせて楽しんで貰えればOKと思っておりますが、それだとなかなかまとまりのある作品になりませんよね。
そこで今回は水草レイアウトの基礎として「前景、中景、後景」についてご説明します。
言葉だけではお伝えしづらい内容ですので、私が作った水槽を例にして進めていきます。
初心者の方にも分かりやすく丁寧に進めていきますので、ぜひご覧ください。
水草レイアウトにおける前景、中景、後景とは「レイヤー(層)」のこと。
レイヤーを重ねることで立体感が生まれ、「奥行き」が生まれます。
そのため、水槽を3つに区切り、手前、中央、背景と視線を誘導するように「石、流木、水草」などを配置していくわけです。
必ずしも水草を使わなければならないものでもありませんし、石や流木を配置しなければならないわけでもありません。
要は、層になっていれば良いのです。

と言っても伝わりづらいですので、実際の水槽を例にして進めていきます!
- 青→ 前景
- オレンジ→ 中景
- ピンク→ 後景
こちらは世界水草レイアウトコンテスト2018に出品した水槽です。
平たい石はやや奇抜かもしれませんが、水草レイアウトとしてはオーソドックスなスタイルです。
この水槽は大きく分けると下記のようなレイヤーに分かれていますよ。
- 前景草
- 白い化粧砂
- 平たい石
- 赤色と白色の小石
- 活着水草(南米ウィローモス、ハイグロフィラ・ピンナティフィダなど)
- 中景草(へランチウム・ラティフォリウス、カルダミネ・リラタなど)
- 茂みになる有茎草(ラージパールグラス、ロタラ・ナンセアン、ロタラ・インジカなど)

- 青→ 前景
- オレンジ→ 中景
- ピンク→ 後景
こちらは世界水草レイアウトコンテスト2015に出品した水槽です。
このように前景、中景、後景とも同じような素材、水草を使ってレイヤーを作ることもできます。
同じものを使う場合、底床を底上げして高さに変化をつけるのがポイントですよ。
- 川石
- 川石
- 水草(ピグミーチェーンサジタリア、ショートヘアーグラス)
- 水草(ヘアーグラス)

- 水景全体の方向を決める
- 横方向の広がりを表現
- 開放感の演出
前景、中景、後景の中で1番広い面積になることが多く、1番先に目につく部分なので水景の印象を大きく左右します。
明るい色の前景草や化粧砂を使えば「明るい雰囲気」になります。
落ち着いた色味の化粧砂、濃いグリーンの前景草なら「重厚な雰囲気」といった具合です。
また、高さを制限することで、横方向の広がりと開放感を表現できますよ。
【前景を砂で演出】化粧砂の効果と使い方 ーソイルとの敷き分け方も詳しく解説ー
- 水景の骨格
- 前景と後景をつなぐ
- ワンポイント
主に石や流木を配置してレイアウトの構図を組むことになるポジションです。
構図はレイアウトの骨組みとなるのでとても重要ですよ。
前景と後景だけでは水景が2分されてしまい不自然なので、上手くつなぐように中景を作るのがポイントです。
特徴的な石や流木、水草を配置することで水景のワンポイントとして機能させることができます。
- レイアウトの背景
- 奥行き感を決める
- 世界観の表現
水景の背景となるので、世界観を表現するように配置するのがポイントです。
前景、中景、後景と連なるように石や流木を配置しても良し、水草で茂みを作っても良いですよ。
ポイントは「細かなもの」を配置すること。
前景→中景→後景と徐々に細かなものにしていくことで奥行き感を表現できます。
実際のところ、前景、中景、後景の境目は曖昧です。
「ここから中景!」のようなはっきりとして境界線はありませんので、あまり厳密に考えなくても大丈夫です。
前景
前景と中景の間
中景
中景と後景の間
後景
このように、さらに細かくレイヤーを重ねることでより深みのある水景を作ることができます。
薄い水槽よりも、奥行きのある水槽の方がレイアウトを作りやすいのはこの辺に理由がありますよ。
レイアウト制作に慣れてきたら、レイヤーの数を増やすことにチャレンジしましょう!

たくさんレイヤーを重ねられることはトップレイアウター達の特徴です!
水草同士を比べた時、背の低いものを前景草、中くらいのものを中景草、背の高くなるものを後景草としています。
そのため、あくまでも「目安」として取らえると良いでしょう。
規則として前景は前景草、中景には中景草を使わなければならないわけではありませんので、柔軟に考えて楽しんでくださいね。

例えばこちらの水槽のように、「盛り土」をして底上げすれば前景草、中景草を後景に使うこともできますよ。
60cm水槽では前景に使いやすい「ショートヘアーグラス」を中景に、中景に使いやすい「ヘアーグラス」を後景に配置しています。
また、本来であれば60cm水槽には大きすぎてしまう「ピグミーチェーンサジタリア」を中景に使っています。
マメにハサミを入れてトリミングすることで、大きくなってしまう水草をあえて使うこともできますよ。

30cm前後の小型水槽は小さいだけに水草のチョイスが難しい面があります。
水草が「大きくなりすぎてしまう」「成長が早すぎてしまう」ようでは持て余してしまいますよね。
そこでこちらの記事で「小型水槽におすすめの水草」をまとめました。
レイアウト制作の際はぜひご覧ください。

「直感で選ぶ水草図鑑」ならレイアウトシーンに合わせて簡単に水草を探すことができます。
見た目の印象や雰囲気から水草を選べるよう工夫してありますので、水草水槽を作る際はぜひご利用ください。

今回の内容も元に「前景、中景、後景」を意識して作品を見ることで新しい気付きがあるはずです。
「世界水草レイアウトコンテスト」のHPでは過去の受賞作品を見ることができます。
いいな!と感じたところはどんどん真似をして、自分の水槽に取り入れましょう。
参考 過去の受賞作品IAPLC今回は水草レイアウトの「前景、中景、後景」を解説しました。
「レイヤーを重ねる」という感覚さえ掴んでしまえば、前景、中景、後景などと意識しなくてもレイアウトを作れるようになります。
それは「より自由に」レイアウトを楽しめるということですので、さらにアクアリウムが楽しくなりますよ。
私の記事がレイアウト技術の向上に役立てたら幸いです。

型を知れば「型破り」もできるようになります!