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【ソイル・砂利を高く盛る】盛土をして奥行感を演出する方法

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本記事は盛土をして奥行感を演出する方法を解説します。

高く石や流木が積んであるレイアウトは立体感があって格好良いですよね。

時に水槽とは思えないような奥行感を感じさせるレイアウトがありますが、そのような素敵な作品はほとんどが「盛土」のテクニックを使っています。

そこで今回は「盛土」を分かりやすく解説するため、例として30キューブ水槽を使って組んでみました。

実際の作業画像を使って「盛土のコツ」「盛土作業例」「土留のポイント」「盛土レイアウトに向く素材」などを丁寧に解説していきます。

立体感、奥行感のあるレイアウトを作りたい方はぜひご覧ください。

ちなみに動画もありますのでこちらもぜひご覧ください。

この記事の著者
轟元気

プロアクアリスト

轟元気

とどろきげんき

プロフィール

業界歴19年の中堅。現在は有限会社エイチ・ツーに所属し埼玉県坂戸市にあるアクアリウムショップ「e-scape」の店長をしています。本ブログ、Ordinary-Aquariumでは「水草水槽の知識」を中心に今までの経験を基にした実践的な知識、技術を初心者の方にも分かりやすく解説しています。プロフィール詳細リンク、転載、引用について

盛土とは

盛土もりつちとは、ソイル・砂利などの底床ていしょうを高く盛ること。

後ろ側を高く盛ることで、より立体感が際立ち、奥行感を強調させます。

一般的に水槽が大きく、広く見えることは「良い水景」の特徴です。

限られた空間をより奥行のあるものとして演出する「盛土」は強力なテクニックです。

盛土の4つのコツ

  • 素材⇒土留⇒底床の順番で入れる
  • 1段づつ作る
  • 土留はしっかりと
  • 「素材の間に底床を入れる」というイメージが大切

素材⇒土留⇒底床の順番で入れる

石・流木などの構図素材を先に入れる ⇒ 隙間ができないようにしっかりと土留をする⇒ソイルや砂利を盛る

これが盛土の基本手順です。

状況にもよりますが、この手順を守ると崩れづらいですよ。

ソイル・砂利などの底床は「後から入れる」ということが大切です。

詳しい盛土の手順は後ほど解説します。

1段づつ作る

1段づつ作る

石・流木などの構図素材を先に入れる ⇒ 隙間ができないようにしっかりと土留をする⇒ソイルや砂利を盛る

こちらの手順を繰り返して高く盛っていきます。

ピラミッドを作る時は上から作りませんよね?

下から徐々に高くすることでしっかり組むことができますよ。

ざっくりとした目安ですが、1段は「10cm程度」をイメージすると良いでしょう。

例えば高さ30cmの水槽なら3段程度盛れるということです。

MEMO

奥行きのある水槽の方が盛り土しやすいです。奥行き10cmにつき10cm盛り土ができると考えるとイメージしやすいですよ!

土留はしっかりと

プラスチック板の土留め
ウールマットで隙間を埋める様子

石・流木は天然素材なので重ね合わせると必ず隙間ができます。

隙間は何かで塞がないと底床が漏れてしまい盛り土を維持できません。

そこで、隙間を埋める土留どどめが必要になります。

土留には様々なものが使えますが、おすすめの土留グッズを後ほどご紹介します。

「素材の間に底床を入れる」というイメージが大切

盛り土をする様子

石・流木など構図素材の「隙間」にソイル・砂利を入れること

これが盛り土最大のコツ。

盛土と呼ばれるため、ついついソイル・砂利を敷くテクニックと思いがちですが実は違います。

いかに隙間なく石・流木を組めるかというのがポイントです。

石や流木で構図を組み、隙間を塞ぎ、そこにソイルなどを入れて高さを作るイメージで作業すると良いでしょう。

盛土の制作例

盛土作業例
  • 水槽: 30cmキューブ
  • 素材:石
  • 底床:ソイル
  • 土留:ウールマット、大磯砂
  • 化粧砂:川砂
  • かさ増し:軽石&洗濯ネット
  • 中央に道を作る

こちらを使ってオーソドックスな盛土レイアウトを作りました。

作業手順を詳しく解説していきますので、参考までにご覧ください。

あると便利なもの

  • 土入れ
  • 砂利を均すもの

こちらがあると作業が楽になります。

予め用意してからレイアウト作成に挑むと良いでしょう。

土入れ

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ソイル・砂利などの底床を入れる際にあると便利です。

たくさん入れる時は大きいもの、細かく入れるときは小さなものと使い分けられるのが良いです。

底床を均すもの

サンドフラッター
ADA サンドフラッター
フレックス 藻類取りスクレーパー
フレックス 藻類取りスクレーパー

こんな感じの底床を均すものがあると便利です。

ある程度固さがあり、真っ直ぐな面があるものは底床を平らに均す作業がやりやすいですよ。

元気
元気

三角定規やカードなどでも代用できますよ!

作業手順

空の水槽を用意
空の水槽
かさ増し用の軽石をセット
かさ増し用の軽石

全部ソイルで盛るとたくさんのソイルが必要になるため、ここでは軽石を洗濯ネットに入れたものでかさ増ししました。

  • 底床の使用量を節約
  • 素材を固定する

軽石を使ったかさ増しにはこのような効果が期待できます。

石を入れる
石を入れる
上から

まずは大きな石から入れていきます。

中央に作る道に沿っておおまかに入れてます。

土留を入れる
ウールマット
大磯砂

続いて土留を入れます。

大きな隙間は石の裏側からウールマットを詰めていきます。

見切れてしまう部分、小さな隙間には大磯砂を詰めます。

ソイルを入れる
ソイルを入れる

土留をしたらソイルを入れます。

少しづつ入れて漏れるようなら土留を追加します。

石を入れる
石を入れる
上から

更に石を追加します。

なるべく素材は「素材の上に配置」すると崩れづらくなります。

土留を入れる
土留
土留

先程と同様に土留を入れていきます。

土留ができたらソイルを追加します。

同様の手順でさらに盛る
さらに盛る
さらに盛る

同様の手順でさらに石を追加します。

本レイアウトでは3回に分けて石を積みました。

土留を入れる(道部分)
土留

石組みができたら道部分を作っていきます。

奥側は大磯砂でかさ増しをして、前面の石の隙間にも足します。

化粧砂を入れる
化粧砂

化粧砂を入れていきます。

前面はなるべく薄くすることで見栄えが良くなりますよ。

石を入れる(小さめ)
小石を追加

道の奥側に小さめの石を追加します。

手前の大きな石と対比させることで奥行感を演出できます。

さらに化粧砂を追加
さらに化粧砂を追加

仕上げとしてSTEP11で追加した小石の周りに大磯砂・化粧砂を追加して馴染ませます。

完成!
完成

注意!

今回ご紹介した方法は一例です。

盛土方法はレイアウトによって微妙に異なります。

元気
元気

初心者の方は慣れてきたら色々な方法にチャレンジして引き出しを増やしてください!

素材配置のポイント

  • 素材は素材の上に配置する
  • 動いてしまうなら接着する

こちらが盛り土をする際の素材配置のポイント。

石・流木などの素材は、底床の上に直接配置するよりも素材の上に配置するほうがより崩れづらいです。

組み合わせて配置する際に「動いてしまう」「倒れてしまう」ようなら接着剤で固定しましょう。

こちらの記事で素材の加工方法、水槽で使える接着剤をご紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

道を作るポイント

120cm水槽

道は最後に作る

これがポイント。

盛土をする際はどうしても高い部分から底床が崩れてきて、手前や道部分が厚くなってしまいます。

厚くなってしまうと、どうしても見苦しい印象になってしまうので必ず最後に作り込むようにしましょう。

素材を組む過程で、手前側、道部分に盛った底床が崩れてくるなら「素材を積み直す」「土留をもっとしっかり組む」などをして崩れてこないように調整しましょう。

元気
元気

最初から崩れてしまうようなら、水を張ったらもっと崩れてしまうので手直しをする必要があります。

土留のポイント

今回制作したものを横から撮影しました。

最終的に見えなくなる後ろ側はウールマット、手前側は見えても良いように大磯砂で土留をしてあります。

要するに盛った底床が素材の隙間から漏れないようにすればOKです。

完成時に見えなくなる部分にはウールマットなどを使い、見切れる部分には小石、砂利などの見栄えの良いものを使うのがおすすめです。

おすすめの土留グッズ

  • ウールマット
  • DOOA 佗び草マット プレーン
  • 農業用ヤシマット
  • 小石
  • 砂利
  • 塩ビ板

こちらの6つが私がよく使う土留アイテムです。

これらがあればほとんどのレイアウトに対応できるはず。

それぞれ特徴があるのでレイアウトに合わせて使い分けましょう。

ウールマット

ウールマット

本来はフィルターに入れるろ材。

大きなゴミを濾し取るために使われるウールマットです。

ちぎって加工しやすく安価なため最も活用する土留ですね。

大きくカットすれば大きな隙間を埋めることもできるので便利です。

見えるととってもダサいので見切れない位置に使いましょう。

DOOA 佗び草マット プレーン

本来はコケを活着させるためのマットですが土留に使いやすいです。

色が黒っぽいので目立たず、絶妙な硬さなので作業しやすいです。

やや高価なので大型水槽用にたくさん用意するのは難しいですが、60cm以下の水槽ならこれが1箱あれば十分かも。

割くようにして薄くすると隙間にはめ込みやすくなります。

農業用ヤシマット

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ウールマットよりも硬くしっかりしているマット。

硬くゴワゴワしているので加工しづらいですが、その分しっかりした土留になります。

平たい形を活かして水槽サイドのガラス面の境などの土留として有用です。

あまり小回りは効かないので、大型水槽向け。

水中で長時間使用するとバクテリアに分解されてボロボロになるので、水草が根付くまでの時間を稼ぎたい場所などに使用するのがおすすめ。

小石

溶岩石
溶岩石
黄虎石系の石
黄虎石系の石

基本的に使った素材と同じタイプの石を使いましょう。

見えない部分なら違うタイプの石でも違和感が出ないのでOKです。

何かと必要になるので石をハンマーで叩いて細かく加工するなどして用意しておきましょう。

【割る、接着、切る、縛る】石、流木の加工方法まとめ

砂利

トロピカルリバーサンド

やや大きめの粒の砂利は土留としても活用できます。

細かな部分の調整をするのに便利なのでウールマットと合わせて良く使います。

石の際に砂利があるとそれだけで自然な雰囲気になりますので、「飾り」としての効果もあります。

水草の植え込むこともできるので、土留として機能しながら水草を植えるスペースも作ることができますよ。

MEMO

他のレイアウト素材と相性の良いものにすると自然感が出て素敵な雰囲気になります。

元気
元気

「化粧砂の川砂に合わせて大磯砂を選ぶ」など周りと質感や色味を合わせるのがコツ!

塩ビ板

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光(Hikari)
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他の土留と違い「底床に刺して」使います。

土留をするには広いスペースが必要になりますが、水草を植えるスペースをしっかり確保できる点がポイント。

オスカー
オスカー

盛土をしたいけど水草もたっぷり植えたいよ!

という場面で重宝します。

かさ増しするのがおすすめ

  • 軽石
  • レンガ

盛土をするならこちらを使って「かさ増し」しましょう。

使う底床を節約でき、かつより高く盛りやすくなります。

軽石・レンガを使ったかさ増し方法はこちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

盛土に向いている素材

  • 流木
  • 黄虎石系
  • 万天石
  • 山谷石
  • 木化石
  • 赤木化石
  • 溶岩石
  • 川石
  • 乱形石

などなど、これらの素材は盛土レイアウトに向いています。

大量に素材を使うレイアウトスタイルなので「水草に適さない水質」にしてしまう素材は不向きです。

流木は水草育成に悪影響はありませんが、石の中には水質を変えてしまい水草が育ちづらくなってしまうものがあります。

こちらの記事でアクアリウムでよく使われる石を詳しく解説しています。

水質変化などもデータを取って比較してありますので、興味のある方はぜひご覧ください。

元気
元気

青龍石系の石を大量に使う場合は水草が育ちづらくなりますので注意が必要です!

作品例

よくある失敗Q&A

どうしても石が崩れちゃう
接着しましょう。
石・流木などの素材を組む過程で崩れてしまうようなら接着して固定しちゃいましょう。
瞬間接着剤とティッシュを使う方法なら「素早く」「簡単」に接着することができます。
とても有効な方法なのでレイアウトが上手になりたい方はぜひマスターしてください!
底床がポロポロと手前に出てきちゃう
土留がしっかりできてないのかもしれません
どこかに隙間があると底床が崩れて出てきてしまいます。
高く盛ってから下部の方を手直しするのはとても大変なので、逐一隙間が無いか確認しながら盛っていきましょう。
水草が根を張ることでも土留めとして機能しますのでミスト式で立ち上げてから注水するのがおすすめですよ。
素材が足りない
形よりも量が大切です。
盛土をする山岳レイアウト・ジオラマレイアウトなどは素材の形よりも「量」が大切です。
盛土を行うレイアウトスタイルの場合、素材の形を活かすよりも、複数の素材を組み合わせて「自分の理想の形」を作るという意識を持つと良いでしょう。
「この石を使う・この流木を使う」と決めたら、多めに準備することをおすすめします。

まとめ

今回は「盛土をして奥行感を演出する方法」を解説しました。

厳密に言うと盛土方法はレイアウトに合わせて毎回微妙に調整が必要な作業です。

今回ご紹介した方法は一例ですので、レイアウトに慣れてきたら色々な方法を試してみてくださいね。

元気
元気

知識・技術も大切ですが、自由な発想を大事にしてください!