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どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は「水草についている農薬を除去する方法」を解説します。
水草を入れたらエビが死んじゃった。。。
なんて経験はありませんか?
それはもしかしたら水草の残留農薬が原因かもしれません。
そこで今回は水草に付いている農薬を除去する方法をご紹介します。
農薬によるリスクを完全に0にすることは難しいのですが、ご紹介する方法で大きくリスクを減らすことができます。
初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説していきますのでぜひご覧ください。
流通過程で除去しきれず水草に残っている農薬。
それが「残留農薬」です。
現在流通している多くの水草は東南アジアで栽培されたものです。
植物を海外から輸入する場合、病害虫の侵入を防ぐために「植物検疫」を受ける必要があります。
その際、不備が認められると焼却処分などになってしまうため、病害虫を駆除する目的で水草に農薬を噴霧して輸出されます。
水草に付いた農薬は問屋、店舗と流通するうちに
- 自然と洗い流される
- バクテリアに分解される
- 農薬除去剤で中和作業を行う
このような流れを経て問題の出ないレベルまで少なくなるのですが、中には無害化まで至らずに販売されるものもあります。
僕は入荷した水草は「水草その前に」などの農薬除去剤を使って処理をするのですが、完全に取り切れないこともあるので水槽導入の前にもう一度農薬除去剤を使うようにしています。
エビが死んでしまう。
これが農薬1番の弊害です。
実はその他はあまり大きな害を感じたことは無いのですが、水草を入れたら大事に飼育していたエビが死んでしまったらショックですよね。
特にエビは藻類のお掃除屋さんとして入れている方が多いので、エビが死んでしまった結果「藻類がたくさん増えてしまう」なんてことになったら踏んだり蹴ったりです。
80%程度の換水を2回程度行いましょう。
どの程度の時間農薬の影響を受けていたのかにもよりますが、すぐに換水をすることで助けられるかもしれません。
エビは1日程度ジッと動かなかったり、横たわるような症状を見せることもありますが対応が早ければ助かるかもしれません。
問題の水草は取り除きましょう!
植物検疫を通すために農薬が使われることが多いことから、海外から輸入される水草は基本的に対策をしたほうが良いと言えます。
特に東南アジアから輸入されたものは流通量も多いこともあり被害が多い傾向です。
個人的には同じ輸入物の水草でもヨーロッパファームのものは被害が少ないです。
- トロピカ社
- アクアフルール社
- 東南アジアからの輸入物全般
とはいえ輸入された水草は基本的に「水草その前に」などを使用したほうが良いでしょう!
ポットの中のグラスウールに農薬が残りやすいです。
水草だけでバラ売りされているものよりもポットに入っているタイプのほうが被害例が多いです。
ポットの中にはグラスウールに挟んだ水草が入っているのですが、グラスウールはスポンジのように水を吸うので中に農薬が残りやすいです。
できることならグラスウールを取り除くと良いでしょう。
グラスウールを取り除いてから水槽に入れるとより安全です!
などなど、これらの水草は流通量が多く商品としての回転が早いことから農薬が除去し切れずにお客様の手元に行ってしまう確率が高いです。
特に水槽に沈めずに販売されているものは農薬が残りやすいので水槽に入れる前に「水草その前に」などで下処理してから水槽に入れるとより安全です。
基本的に東南アジアから輸入されてくるものは疑ったほうが良いでしょう!
ポットから取り出し、グラスウールを取り除く。
ポットの中に入っているグラスウールは水を吸いやすいことから中に農薬が残りやすいです。
グラスウールを取り除いてから「水草その前に」などを使用することで農薬が残りずらくなります。
エビのいる水槽に水草を入れ場合はグラスウールを取り除いてから入れましょう。
焼成カルシウムを主成分とした水草の下処理剤です。
「水草その前に」などの焼成カルシウムを主成分とした薬剤を使うことで農薬を中和し除去できます。
水槽に入れる前につけ置き処理するだけなので手軽です。
1袋200円前後なのでいくつかストックしておくと良いでしょう。
バケツなどに水を入れる
水草その前にを入れる
5分程度水草を漬ける
水道水で薬液をよく洗い流す
水槽に入れる
貝の卵の除去、病原菌の殺菌の効果もある
「水草その前に」には農薬を除去する効果の他に
- 貝の卵
- 菌
を除去する効果もあります。
特にアヌビアスなどのサトイモ科の水草が水槽導入直後に溶けてしまう現象の予防にも効果的なので水草を導入する前に使用するようにしましょう。
本水槽とは別のストック水槽でしばらくストックすることで農薬によるリスクをかなり軽減することができます。
場合にもよりますが2~4週間程度養生させることで、ほぼ農薬のリスクを0にすることができます。
この方法を使うには複数台の水槽を管理する必要がありますので、ハードルは高いのですが農薬対策としては最も確実な方法です。
農薬に限らず、貝、病原菌などの本水槽に持ち込みたく無い物の侵入を防ぐことができます。
活性炭を使うなら効果の高いブラックホールがおすすめです。
フィルターや水槽に活性炭を入れることで、有機系の農薬を吸着除去することができます。
即効性が低いこと、除去できないタイプもあることから過信しないほうが良いですが、保険としてセットしておくことで農薬のリスクを少なくすることができます。
- 濁りの除去
- 臭いの除去
をする効果もあるので予めフィルターにセットしておくと良いでしょう。
これらの水草は基本的に無農薬であることが多いです。
特に組織培養水草は農薬のリスクを0にすることができます。
組織培養水草はADA、トロピカ社のものが比較的流通量が多いです。
無農薬の水草をお探しなら確実なのは「組織培養水草」を使うことです。
組織培養水草は無菌状態で栽培されるため農薬を使う必要がありません。
流通経路の関係から水草にある程度力を入れて取り扱っている店舗でないと在庫しづらいです。
お探しの方は水草に強い店舗に問い合わせると良いでしょう。
組織培養水草は無農薬、貝、藻類の混入が0とメリット盛りだくさんです!
日本で栽培された水草は植物検疫を通す必要が無いことから、無農薬、農薬の使用量が少ないものが多いです。
そのため、輸入物の水草に比べて農薬が残留するリスクが少ないです。
同じ水草でも輸入されたものと国産のものがありますから店舗で確認すると良いでしょう。
見た目で国産かどうかを判断するのは難しいのでスタッフの方に聞いてみましょう!
店舗で長期間在庫している水草は自然と農薬が抜けているものが多いです。
2~4週間程度水槽の中にあるものは、多くの場合で農薬が抜けているはずです。
入荷した水草を長期間水中で綺麗にキープするには育てる設備と管理するスタッフが必要なので、ある程度水草に力を入れている店舗で探すと良いでしょう。
いつ頃入荷したものか確認すると確実です!
- 水道水で洗うと農薬を除去できるの?
- 多少は除去できますが不十分です。
基本的に水道水で洗っただけでは農薬は十分に除去できません。
できることなら「水草その前に」などので下処理することをおすすめします。
- 水道水に長期間つけておくことでも農薬を除去できるのでは?
- はい。一応はできます。しかしおすすめはしません。
最低でも2週間程度はつけ置いたほうが良いのでその期間に水草が傷んでしまうでしょう。そのため現実に即した方法ではないと思います。
- 「水草その前に」のデメリットは?
- 長時間水草をつけておくと水草が痛みます。
特に「水上葉を持たない水草」は痛みやすいので長くても5分程度にすると痛みづらいです。
- 「水草その前に」の代用になるものはある?
- 水草その前にの主成分は焼成カルシウムです。
焼成カルシウムを主成分としたもので代用することが可能です。
また重曹などでも代用できるかもしれません(私は試したことがありません)。
- 農薬のついた水草を水槽にいれてしまいました。もうエビは飼えない?
- いいえ。
水槽に入った農薬は多くの場合、何もしなくても2~4週間程度で分解されて無毒化します。しばらく経てばエビを飼育できるようになります。
- 農薬はお魚にも影響があるの?
- 無害かと聞かれると難しいところですが、今のところ農薬でお魚に大きな問題が起きたことはありません。
金魚、メダカ、アカヒレ、各種熱帯魚など多くのお魚(全てでは無いですが)で確認していますが特に悪影響はありませんでした。
- 農薬はバクテリアにも悪影響があるの?
- ダメージを受けるバクテリアもいるはずです。
ただし、農薬が原因と思われる水質悪化は経験したことはありません。
あまり強く気にする必要はないと思います。
- 農薬を分解するバクテリアがいるって本当?
- はい。本当です。
有機系の農薬はバクテリアのご飯になります。
有機物を分解するバクテリアはフィルターを稼働させている水槽なら大なり小なりいますので、時間が経つと有機系の農薬は無くなります。
- どうして農薬を処理した水草を販売しないの?
- 農薬を処理して販売している店舗もあります。
しかし完全には処理しきれていない可能性もあることから、導入時にお客様自身でも農薬対策をしていただくとより安全です。
また、農薬除去は時間と労力のコストが大きくかかることから安さを武器にしている店舗では実施が難しいのが現状です。
今後、無農薬水草の需要拡大に伴い農薬除去のコストを含めた価格での水草販売ができるだけの市場に育つなどで変化する可能性はあります。
今回は「水草についている農薬を除去する方法」を解説しました。
水草を入れてエビが死んでしまったらガッカリしますよね。
仕事柄、私もエビを死なせてしまった経験がたくさんあります。
本記事で農薬が原因で死んでしまうエビが少なくなったら幸いです。
「水草その前に」は常備しましょう!
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