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水草水槽の謎

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本記事では管理人がよく分かっていない水草水槽の謎をご紹介します。

私が理解できていないだけで世の中にはすでに情報があるのかもしれませんが「この辺は大事なんだろうけど言語化できない」というところをご紹介します。

「そうそう、私もそう感じてた!」

という事柄もあると思いますので暇つぶしがてらご覧ください。

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この記事の著者
轟元気

プロアクアリスト

轟元気

とどろきげんき

プロフィール

業界歴19年の中堅。現在は有限会社エイチ・ツーに所属し埼玉県坂戸市にあるアクアリウムショップ「e-scape」の店長をしています。本ブログ、Ordinary-Aquariumでは「水草水槽の知識」を中心に今までの経験を基にした実践的な知識、技術を初心者の方にも分かりやすく解説しています。プロフィール詳細リンク、転載、引用について

私の理想の水草水槽

  • 綺麗にレイアウトできていて
  • 多種多様な水草が元気に育ち
  • そこに似合う生体がいる

こちらが私の理想とする水草水槽。

この3つの条件を揃えるのが難して難しくて(水草水槽のトリレンマと呼んでいます)。

正直なところ、1~2個条件を揃えるのは難しくありません。

「レイアウトして水草も綺麗だけど生体は少し」「水草も生体も元気だけど見た目はイマイチ」みたいな水槽は比較的簡単に作れる時代になりました。

ただ、やはりレイアウトとして優れ、水草も繁茂しているところに、ばっちり色の揚がった生体がいる水槽こそ至高だと思います。

そんな水槽が誰でも作れるようなマニュアルができないかと考えてかなりの年月が経ちました。

水草水槽に向き合っていると「この辺に隠しパラメータあるな」「こうすると上手くいく、理由は分からんけどみたいな言語化はまだできないけど、直感的にこの辺に正解がありそうだなという事に出会います。

今回はそんな「解像度が低いから分からんけど大事なんじゃない?」という事柄を紹介します。

元気
元気

実はロマサガの装備には重さの概念があった、、みたいな感じでしょうか。

水草水槽の謎

こちらの5点が私がはっきり分かっていないことです。

雲を掴むようなものもあれば実証実験をしていないものもありますが、どれも解像度が低くて言語化が難しい事柄です。

今後、少しづつ解明できるように頑張りますが今はまだはっきりしていません。

底床内、水草内の菌

  • 腐葉土のようなものを底床に入れると調子が良くなる
  • 腐食の多いソイルの方が水草が良く育つ

水草水槽をやっている方には常識だと思います。

では、どうして調子良く成長するのでしょうか?

私は底床内の微生物の影響だと考えています。

ただ、どのようなメカニズムなのかが分かりません。

  • 同じ人が
  • 同じ設備で
  • 同じようにセットした水草水槽

でも綺麗に育つ時とそうでない時があります。

これは微妙な環境の差によって底床内の微生物層が変わっていることが原因ではないでしょうか。

森の土などでは、1g中に100~1000万程度の微生物がいると言われています。

水槽の底床はもっと貧弱だと思いますが「底床内の生物多様性」と呼ぶべきものがあるのでしょう。

また、植物の中には内生菌がいることが知られています。

内生菌とは、簡単に言うと害を与えずに植物内に生息する菌のことです。

人間でいうところの腸内細菌のようなものでしょうか(腸内は厳密には外なのかな)。

内生菌は1種の共生関係にあり、なんらかの形で植物に利益があります。

水草にも内生菌がいるはずですから、これも大きく成長に関わっていると思われます。

確認したい点

  • そもそも底床内にどの程度の生物多様性があるのか
  • そして生物多様性が無いと水草は育たないのか
  • 生物多様性を担保する方法
  • 失った底床内の生物多様性を取り戻す方法
  • 水草の種類によって底床内の生物多様性が変わるのか
  • 同じ水草だけを育てていると底床内の生物多様性は貧弱になるのか

ほぼほぼ底床内の微生物が大切なのは確定でしょう。

あとは「どうすれば底床内の生物多様性が増すのか」「それを保つためにはどのような工夫が必要なのか」という点ですね。

畑で単一の作物を作り続けると連作障害が出るように、水槽でも同じことが起きるのでしょうか?

1度、水槽を立ち上げると、その後で育てる水草の種類は大きく変わらないですよね。

もしかしたら、水草の種類が単純化することで底床内の生物多様性が減り、それが長期維持を難しくしている1つの要因かもしれません。

水草同士の共生

  • 1種類の水草だけを育てている場合、環境変化に弱い気がする
  • 複数種の水草を育てている場合、お互いが助け合っているような気がする

気のせいかもしれませんが、上記のような感覚があります。

水草の種類が少ないと多い時と比べて、立ち上がりが遅く、なにかと調子がブレる気がします。

植える株数が多いほうが立ち上がりが良いのは広く知られていますが、種類数にも同じことが言える気がします。

厳密には共生では無いのかもしれませんが、1種の社会性のようなものが水草にもあるのかもしれません。

通常であれば枯れてしまうような暗い流木の影まで伸びた株も、回りの水草が茂っていると不思議と耐えます。

ランナーなどで繋がっているのなら理解できるのですが、まったく関係無い他の種類の水草が茂っていても同様のことがあるので、もしかしたら根などを通じて養分のやり取りがあるのでしょうか?

確認したい点

  • どれくらいの種類数から立ち上がりが良くなるのか
  • 育成面から見た相性の良い水草はあるのか

実践的なところを考えると、どれくらいの種類数を植えると立ち上がりが良くなるのかは気になるところ。

例えば60cm水槽なら10種類など目安になる数が出せると作りやすくなりますね。

レイアウト的な見た目から考えた相性はありますが、育成面から見た相性なども探れるともっと面白くなる気がします。

「この水草を育てるときは隣にこいつを植えると溶けづらいよ」みたいな。

野菜にもあるのですから水草にもあると思うんですよね。

水草のアレロパシー

などはアレロパシーが強く、繁茂すると他の水草を駆逐しがちです。

アレロパシーとは、植物が他の植物の成長を阻害する物質を出したり、菌を防ぐ、あるいは引き寄せる作用のこと。

共生とは相反する面もありますが、一口で語れるほど単純な世界では無いのでしょう。

一方では勢力を争い、一方では共生する。

水草も人間のようなところがあるのでしょうか。

アレロパシーは、藻類なども防ぐ作用なので一概に欠点というわけではありません。

上手く使いこなすことができたなら「悪玉菌などを抑制し底床内の環境を良好に保つ」なんてこともできると思っています。

確認したい点

  • 水草の種類におけるアレロパシーの強弱
  • アレロパシーの活用方法

アレロパシーについては、正直なところよく分かりません。

底床内、水草内の菌」「水草同士の共生」と深く関わっている部分だということは、なんとなく分かります。

というか、アレロパシーと呼ばれる作用そのものが、菌や他の水草との関係性を司っているものということ?

底床内の温度

ホットカーペットのようなもので水槽を下から温めると水草の成長がよくなることが知られています。

ダッチアクアリウムでは定番のテクニックですが、比較的温暖な日本では廃れた技術です。

これは謎というよりは再認識という感じですが、やはり温めると成長が早くなります。

というのもボトルアクアリウムを管理する際にパネルヒーターを使用したのですが驚くほど水草の育ちがよかったのです。

残念ながら大きな水槽用の商品は廃盤になってしまったので手に入りません。

解像度が上がり、底床を温めることの意義が認められれば売れるようになりますから、商品化されるかもしれませんね。

確認したい点

  • 水草の根を温めるのが良いのか、底床を温めることに意義があるのか
  • どれくらい温めるのがよいのか
  • 夏場も温めたほうがよいのか

冬場に底床にズボッと指を入れると驚くほどに冷えていることに気が付きます。

体感ですが15℃程度まで冷めていると思います。

底床内を温めるとそこにいるの活性も高くなるはずです。

水草の根そのものが温まることで成長が良くなるのか、風が吹けば桶屋が儲かる的な感じで底床を温めることが全体のコンディションに寄与するのかは確認が必要ですね(恐らく、後者だと思いますが)。

光の「質」

  • 蛍光灯
  • 水銀灯
  • メタルハライドランプ
  • LED

など、様々な光源を使ってきましたがどれも一長一短でした。

時代の流れを考えるとLED一択なのでしょうが、はたしてLEDは水草育成にとって最適解となるのでしょうか。

それは「どのようなLEDを作り、どのように使うのか」ということなのだと思いますが、現状のLEDライトは100点とは言えませんね。

  • 蛍光灯時代よりも赤みが出なくなった
  • 光が強すぎて葉焼けする
  • アオミドロ出やすくなった気がする

体感ではありますがこのような感覚があります。

波長については様々な意見がありますが、私はフルスペクトルのLEDが1番良いのではないかと考えています。

フルスペクトル光とは、水草の成長に役立つ考えられるすべての波長をカバーする光のこと。

水草の場合、水というフィルターを通して水草に光が当たるので、そこまで波長を気にしていませんでしたが、フルスペクトルのライトを使用したところ、良い結果が出ました。

どうやら「光合成に利用されると言われている波長以外」も水草は利用できるようです。

確認したい点

  • 紫外線と赤外線の効果
  • 水草の成長以外にも良い効果があるのか

紫外線と赤外線はもちろん太陽光には含まれていますから、もしかしたら水草にも好影響があるのかもしれません。

紫外線と赤外線は、ものが劣化したり暑いなど欠点もありますが、水草の成長に効果があるのなら工夫をして取り入れたいものです。

京セラのCERAPHICというフルスペクトルLEDは他のLEDよりもプランクトンの増殖量が多くなるという実験結果が出ているので、フルスペクトルの光には水草の成長以外にも有効な点が多そうです。

まとめ

今回は「水草水槽の謎」をご紹介しました。

分かったからどうなんだ?

という思いも無いわけではないのですが、気になるから調べちゃうんですよね。

結局わからないままのことも多いのですが、判明した瞬間に一気に道が開けるような気持ちになるのがたまらないんですよね。

元気
元気

日々是勉強です!