「直感」で選ぶ水草図鑑を作りました!

水草に必要な栄養素 vol2 元素の事をもっと知る

はじめに
この記事は私がアクアフォレストのブログに書いたものを加筆修正したものです。

今回は前回の続き「元素についてもっと知る」をお送り致します!
前回は水草の成長を決める元素の「機能」「欠乏症状」「過剰症状」を解説しましたね。

今回のブログではさらに元素について詳しく掘り下げたいと思います。
キレイな水草水槽を作るために必ず知らなければならないことではありませんが「水草を育てる」という事をもっと知りたい方は、ぜひ読んでみてください。

ちなみに今回のお話は「水草に必要な栄養素 vol1」の内容前提で進めますので、まずはこちらをお読みください!
水草に必要な栄養素vol1 水草に必要な栄養素 vol1 14の必須栄養素

三要素

窒素

もっとも必要とされる要素で植物の様々な部分で利用されます。
「窒素量=水草の成長」と言い換えることも出来るほど重要です。
水草を元気に育てるには活発に光合成をさせることが重要ですが窒素が十分に無いと光合成量が減ってしまい元気が無くなってしまいます。
窒素は植物の体の中でアミノ酸になってタンパク質に変わっていきます。
ちなみに光合成に絡んでアミノ酸に変わっていくので、光合成が満足に行えない環境だと窒素をあまり消費してくれませんので注意しましょう。

「水槽に過剰にある」とされることが多いですが、水草水槽においては欠乏症状がでることが少なくありません。
基本的に生体が出すアンモニア、ソイルに含まれる窒素分だけでは不十分だと思って頂いて良いですよ!
もちろん入れ過ぎはコケの発生に直結しますから注意が必要ですが、欠乏するとみるみる元気がなくなるので適量を守って施肥してください!

欠乏症状
下葉から現れるのが特徴です。
下葉から黄色くなる→新芽も黄色くなる→下葉が落ちる→葉がほとんど無くなる
これが窒素欠乏の典型的なパターンです。下葉の色が悪くなったら窒素不足を疑いましょう。
過剰症状
水草にはあまりでません。
虫害が出やすくなるので、水上に葉が出ている場合は注意しましょう。
ちなみの窒素肥料には「アンモニア態窒素」と「硝酸態窒素」の2種類の窒素が含まれています。
アンモニア態窒素はソイルに吸着されるので土壌内に長く留まる傾向が強いです。硝酸態窒素はソイルが吸着して留めておけないので換水をすると水槽外へ排出されてしまいます。
植物によって好む窒素態が違います。水草はどちらかと言うとアンモニア態窒素を好むみたいですね。
市販の窒素系肥料にはアンモニア態窒素と硝酸態窒素がバランス良く含まれているのでそこまで気にしなくても良いと思います。

リン

主に開花に関わることが多いためかアクアリウムではぞんざいに扱われています。
黒髭ゴケの発生原因として悪者扱いされていますが、鉄分と強く結びつくため黒いソイル(鉄の含有量が多い)を使っていると低濃度になることが多いです。
また、リン除去剤は化学ろ材の中ではポピュラーなので、コケ対策に入れている方も多いのでは?
リン除去剤を使うとリン濃度をほぼ0に出来ますが、それでも黒髭ゴケは出るので他に原因があるのでは??と考えています。

欠乏症状
代謝の早い部分に出ます。欠乏すると新芽の展開やランナーの伸びが鈍化します。生長点が小さくなり出したらリン不足を疑いましょう。
過剰症状
あまりありません。
あまり気にしなくて良いですが、前述の通り鉄とくっ付くので鉄不足になるかも?

お魚のエサにリンは大量に含まれているので、お魚を飼育している水槽ではリン不足になることはまず無いでしょう。
しかし、生体をほとんで飼育していない水槽ではリン不足症状が出る場合がありますので注意が必要です。
色々な店に聞いてみたり、色々なブログ読んで思いつくことやったぜ!でも育たないぜ。。。という方!
リン不足は疑ってみましたか?もしかしてリン除去剤使っていませんか?ソイルは黒くないですか?案外ありますリン不足。

鉄があるとリンを吸着します。古くから海水魚を飼育している方がリン対策として鉄くぎを水槽に仕込むのはそのためです。

カリウム

上記二つと違い体を構成しているというよりは溶液中に存在し浸透圧調整等の体の調子を整える要素です。
「水道水にはカリウムが少なく換水では補えないから3要素では一番大事」
とされています。
水草水槽を管理していると最も早く欠乏症状になる元素です。

「カリウムを入れたらコケが消えた!」
「白化が治った!」
というような意見が多いのはそのためですね。
カリウム施肥によりバランスが改善され、余っていた要素が減り好結果に繋がったのでしょう。しかし、コケの直接的な要因になりずらいので過剰に施肥されることが多く、最近は欠乏症状でお困りの方よりも過剰症状で悩む方が多い印象を受けます。

欠乏症状
下葉から現れて白化、黄化します。
葉脈の色が薄くなったり、葉にシワがよったり、葉の縁が波打ってきたらカリウム不足を疑いましょう。
過剰症状
鉄、マグネシウム、カルシウムの吸収を阻害します。「カリウムの贅沢吸収」と呼ばれ植物はカリウムがあればあるだけ吸収してしまい、鉄、マグネシウム、カルシウムを吸収する余地が無くなってしまいます。
注意
一度過剰症状が出たら施肥をストップしカリウム切れを待ってから通常管理に戻る必要があります。それまで鉄、マグネシウム、カルシウムの欠乏症状に苦しむことになるのでカリウムの過剰施肥には十分に気を付けてください。

多量二次要素

カルシウム

栄養素の運搬や細胞内の情報伝達を助けるのが主な役割です。人間の骨格のように細胞同士を結び付けている要素ですが、重力に逆らって生えなければいけない陸上植物と比べ、浮力で漂っている水草にとってはそれほど多く必要としないのでは??と考えています。
ソイルを使用している場合、カルシウムをソイルが強く吸着して蓄えるのであまり欠乏症状にはならないと思います。水道水にもある程度含まれているので、換水毎に施肥しているようなもんですし。

欠乏症状
生長点の白化と根の調子が悪くなります。

カルシウムは体の中をほとんど移動しないので代謝の早い部位に症状が現れます。

過剰症状
あまりありません。
しいて言うなら、ソイルのイオン交換能力以上に水中にあるとアルカリ性に傾けて水草が育ちづらくなるので注意が必要です。

マグネシウム

葉緑素を構成し酵素の活性剤としての機能もあります。生きる為に必要な酵素はマグネシウムが不足すると上手に働けなくなるので地味ながら大切な元素です。

欠乏症状
下葉から黄色くなっていきやがて全体の葉が黄色くなります。
カリウム不足や鉄不足と間違えやすいですが、マグネシウム欠乏は葉脈は緑色のままなのが特徴です。
過剰症状
あまりありません。あえてマグネシウムのみの自作肥料を使用している猛者の方以外はあんまり気にしなくても良いかもです。

硫黄

ソイルにはもともとたくさん含まれているので、不足することはまずないでしょう。
砂系の底床を使用しても、止水域が出来ると硫化水素(ヘドロの匂いのもと)が発生するのでたくさんあるのでしょう。不足するのかな?
水槽中で過不足症状が出たことは今までありません。

微量要素

マグネシウム同様葉緑素に関わり、酵素の活性剤として機能しています。
カリウムと共に水槽中で不足しがちな元素です。

定期的にまとめて施肥することが難しい元素のため、まめな施肥を心掛けましょう。赤くするには鉄が大事!とよく言われますが光やCO2濃度等ほかにも気にする点があります。まずは肥料以外の部分から対処した方が良いですよ。あくまで鉄不足は赤くならない要因の内の1つなので。

植物は二価鉄(Fe++)の状態でしか吸収できません。鉄はすぐに安定した三価鉄(Fe+++)になってしまうため頻繁に二価鉄を施肥する必要があります。
ちなみに二価鉄はpH7.0以上だとほとんどの活性を失ってしまうので、カリウム肥料等のpHの高い肥料(pHの低いカリウム肥料もありますが)と同時に水槽内に入れると効果を失ってしまうので注意しましょう!
施肥場所を変えるか時間をずらすかして調整したほうが無難です。
(高いpHでも二価鉄のまま安定しているものもあります)
ちなみに三価鉄はソイルのなかにたくさんあります。植物は根っこから酸を出して土壌内の三価鉄を二価鉄にして吸収する機能を持っていたりします。
欠乏症状
生長点の白化、黄化です。
生長点にのみ症状がでる場合は鉄不足を疑いましょう。
過剰症状
リン、カリウム、銅、亜鉛、モリブデン、マンガン等の吸収を阻害することです。
相当量を入れなければ鉄過剰にはなりませんが、一応注意した方が良いでしょう。

鉄以外の微量元素

それぞれ大切な元素なのは分かるのですが、水草の調子が落ちてもいまいちどの欠乏症状なのかということがはっきりしません。幸い、微量元素系肥料にはバランス良く各微量元素が含まれているので、定期的に施肥していれば不足症状がでるようなことはないでしょう。
原因不明の成長不良みたいな症状がでている場合は、微量元素の何かが不足しているかもしれません。
微量元素系肥料は「効いてる感」が無いのでついついサボりがちですがきっちり入れといた方が無難です。

欠乏症状早見表

欠乏症状早見表


「白化したら肥料不足です!」

と言われますが、同じ白化でもどの元素が欠乏しているかで微妙に違うんです。
「白化=鉄を入れろ!」
みたいな風潮もありますが鉄分以外にも白化する原因がありますので注意しましょう。
そこで簡単にチェック出来る欠乏症状早見表を作ってみました。

水草の種類によっても肥料不足の症状が違うので(葉の色が黄色になったり赤くなるのもあります)なかなかコレだ!と断定出来ないのですが、↑の表を使うとなんとなく足りない元素が見えてきます。
症状が複合している場合も多いので一番疑わしいところからクリアにしていくのが良いかと思います。

MEMO
ちなみに生長点とは新芽が出てくる場所のことを指します。
下葉とは「古い葉っぱ」という認識で良いです。有茎草なら下側の葉、ロゼット型なら外側の葉っぱですね。

まとめ

水草水槽で一番難しいのは「肥料を使いこなす事」だと私は考えています。
しかし肥料不足じゃなくて「CO2が少なかった」「点灯時間が短かった」みたいなケースも多いので、肥料のことを気にするのは一番最後で良いと思いますよ。

肥料を使いこなせるようになると、グッと水草のコンディションが上がりますので、肥料に興味のある方はぜひこの記事を読んでみてください。
一段上のクオリティーの水槽が作れるようになると思いますよ。

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