本記事は、現時点での「水草水槽の換水についての考察」をお伝えします。
高頻度、大量換水にて管理すること数年、ほとんど換水をしない管理をするようになって数年が経ち、何となく「水草水槽における換水の真理」みたいなものが見えてきた気がします。
そこで、自分自身の考えをまとめる意味も込めて「今現在、私が水草水槽の換水について思っていること」を書きたいと思います。
結論の出せていないことですので、オチはありません。
それでも興味のある方がいましたら読んでいただけたら嬉しいです。

- 藻類を吸い出す
- 余分な養分の除去
- 底床の掃除
- ミネラル分の補給
- 濁りの除去
水草水槽において換水をする理由はこちらの5つだと私は考えていますよ。
お魚メインの水槽の場合は、溜まった硝酸塩(いわゆる汚れ)を除去するために換水をします。
しかし、ある程度水草が繁茂しているなら硝酸塩を吸収して除去してくれるのでその必要はありません。

藻類掃除をする際は飛び散った藻類の破片を取り除かないと、破片が付着した部分からまた藻類が増殖をすることがあるので吸い出す必要があります。
藻類が水槽に出ているうちはマメに換水したほうが良い理由はここにありますよ。

1部の水草育成用ソイル、底床材などにはたくさんの養分が含まれています。
水草の量が少ないセット初期において養分過多により「藻類の発生」「白濁」などの問題が発生しがちです。
そのため、セット初期にはマメに換水をして余分な養分を除去する対策が必要になります。


- 化粧砂の上にこぼれたソイル
- ソイルの中に溜まった汚泥
などを吸い出すために換水をします。
水と一緒に吸い出したほうが圧倒的に簡単なので結果として換水になるといった感じです。
どちらかと言えば、見た目をキレイにするための換水ですね。
特に盛り土をしたレイアウトはソイルが崩れやすいので何かと頻度の高い作業です。


- カルシウム
- マグネシウム
水草は軟水を好むので過剰にあるカルシウム、マグネシウムは害になってしまうのですが、一方で必須栄養素でもあります。
水道水にはある程度カルシウム、マグネシウムが含まれているので換水をすることでこれらを補うことができますよ。

セット初期など水が濁っているなら換水をして取り除く必要があります。
換水は最も簡単な濁り対策なので、薬剤、活性炭などの濁り取りが無くてもできるのが強みです。

pH、硬度の上昇
これが水草水槽における換水最大の弱点です。
これだけで前述した「換水をする理由」をぶっ飛ばすくらい強いデメリットです。
このデメリットは換水に使う水(=水道水)の硬度が高ければ高いほど強くなってしまいます。
硬度が高いと弱酸性にならず「CO2の吸収効率が下がる」「肥料の吸収効率が下がる」ことから
水草用ソイルには水質を「弱酸性、軟水」にキープする作用がありますが限界があります。
そのため頻繁な換水を続けているとソイルの水質調整能力がすぐに切れてしまい、水草の育ちづらい水になってしまうことがありますよ。

換水は一概にすれば良いというものでは無いということです!


こちらの記事で日本中の浄水場の硬度をまとめました。
日本の75%以上の地域は大丈夫なのですが、硬度の高い地域にお住まいの方は「浄水器」「軟水にするろ材」などを導入して硬度を下げる工夫をすると水草が育ちやすくなりますよ。



水道水の硬度は高い地域にお住まいの方は換水をあまりしない管理を心がけましょう!
- pH降下剤を使う
- 軟水化作用のあるろ材を使う
- 軟水化作用のある浄水器を使う
- 水草にミネラル分を吸収させる
こちらの4つがその対策方法です。
換水をしているのに水草の調子が悪い、、、
水道水の硬度が高い、、、
という方は試してみましょう。



現状、上手く管理できている方はあまり気にしなくても良いと思います!
pH 5.5~6.5
こちらが水草が好む水質なのですが、要するにpHが弱酸性ならOKです。
こちらを目指して水質調整をした水道水で換水をするとよいですよ。


このような手順で水質調整をするのがおすすめです。
pH降下剤を使いpHが下がるならそれだけで十分です。
硬度が高いとpH降下剤を使ってもなかなかpHが下がらないので、その場合は「軟水化作用のあるろ材を使う」「軟水化作用のある浄水器を使う」などの対策をしましょう。
pH、硬度を下げる方法についてはこちらの記事で詳しく解説をしましたので、お困りの方はぜひご覧ください。




硬度分であるカルシウム、マグネシウムは水草の必須栄養素なのである程度吸収されます。
そのため、状態の良い水草がたくさん繁茂している水槽なら水草自身がカルシウム、マグネシウムを吸収するので、すぐに硬度が下がります。
調子の良い水草水槽が水質調整をしなくても、ぜんぜん調子が良いのはこの辺りにも理由がだったりします。
とはいえ、実際のところは「水草の調子が悪い ⇒ 水質を調整する」ということですので、これは逆説的なお話になってしまいますね。
「水草の調子が上がるとあまり水質調整しなくても良くなる」
と覚えておくと良いでしょう。
こちらの記事で、水草水槽の水質について掘り下げて解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。


2日毎に50%換水を2週間程度続ける
こちらがセット初期の大量換水の目安です。
「水草水槽のセット初期にはマメに換水をしましょう。」
などと言われていますが、実際のところ全ての水草水槽でこのような換水が必要かというと、そうでもありません。
1部の養分が大量に含まれる底床を使用していないのであれば、ここまで頻繁な換水は必要ありませんのでご安心ください。
こちらの記事で紹介している「吸着系ソイル」「砂・砂利」でしたら、週1回程度の換水で十分に立ち上げることができます。





養分の少ない底床の場合、頻繁な換水はデメリットの方が大きくなってしまいます。。。
週1回/50%程度
こちらが水草水槽の換水目安です。
基本的にこのペースを続けていけばOKですよ。
水槽が安定してきたら2週間に1回程度の換水でも十分にキレイに管理できますので、作業が減り管理が楽になりますよ。
こちらで紹介している水槽は頻繁な換水をせずに管理をしていますので、参考までにご覧ください。


藻類対策に換水はたしかに有効なのですが、決定打ではありません。
あくあでも換水は「藻類対策の補助」程度と思っていたほうが良いでしょう。
しかし、水槽が汚いと換水したくなるのがアクアリストですよね。
毎日換水しているけど藻類が減らない、、
となってしまうと、気持ちが折れてしまいます。
それもそのはず、換水だけで藻類対策するのはかなり難しいので藻類取り生体たちを上手に活用しましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。


今の考えに至るまでには紆余曲折がありました。
ここで私の水草水槽における「換水」の遍歴を参考までにご紹介します。
基本的にADAの管理手法をお手本に行う
「お魚水槽の管理」「販売水槽」など水草レイアウト水槽とは違った管理手法を学ぶ
「毎日全換水」を1ヶ月続けるなどの強行手段に頼るようになる
An aquarium店主志藤さんより「テトラPHKHマイナス」を使った換水方法のヒントを貰う。
ここが1つ目の転機でした。
「ソイル」と「換水」に頼って管理していることを自覚したのを今でも覚えています。
お客様の水槽を維持管理する仕事を始めたことで「月1回」「月2回」などの頻度で水草水槽を管理する技術が必要になる。
低頻度のメンテでキレイな水草水槽が維持できるように「底床」「肥料」「水質」など様々な観点からアプローチをしてみるようになる。
半年程度で水草の調子が急激に悪くなり頓挫する。
無換水では水道水からのミネラル供給が無く「カルシウム、マグネシウム不足」から水草が枯れてしまうことに気がつく。
ここが2つ目の転機でした。
換水に頼った管理を続けていたら絶対に気づかなかったと思います。
自作の「カルシウム、マグネシウム肥料」を使って管理してみる。
1回目とは全然違う水草の調子にビックリする。
この時の経験から「無換水」でもいけるのでは?と考え始める。
一旦、考えをまとめるため本記事を書く
私は様々な観点を盛り込んだ「新しい水草水槽の管理スタイル」を開発したいと考えています。
今よりも「もっと簡便」で「分かりやすいもの」にしていきたいですね。
恐らくですが「水は大切な資源」という考え方が主流になると思うので、低頻度、少量の換水で管理できるような方法論が確立したいです。
水草の必要とする栄養素を補給し続けること
こちらを適切に行えば「無換水でも十分に維持できる」というのが今のところの結論です。
特に補給を換水に依存している「カルシウム、マグネシウム」の添加が特に重要です。
無換水で管理する水草水槽にて、自作のカルシウム、マグネシウム肥料を試したところ、とても有効であることを確認しています。
セット初期は換水をして立ち上げたほうが簡単なので
セット初期は普通に換水をして管理 ⇒ 落ち着いたら無換水にする
というのが無理のない管理と考えて普段の管理に取り入れていますよ。
多すぎず、少なすぎず水草が必要とする栄養素を日々追加する
ということが無換水の場合、さらに重要になります。
無換水の場合、特に「窒素」「カリウム」「カルシウム」「マグネシウム」「ホウ素」に重点を置くと上手くいくことが分かってきました。
今のところ3~7日毎に肥料を添加する方法で管理していますが、不具合は出ていませんよ。


これからの地球環境を考えると「持続可能な社会」という考え方がより重要になっていくでしょう。
キレイで安全な水はかなり貴重な資源ですから、今のように湯水のように使う管理はいずれ無理がくるでしょう(資源的にも考え方的にも)。
日本の場合、水が豊富にあるのでこの分野の技術では1歩遅れをとることになるかもしれません。
なので、今からしっかり知見を身に着け、技術を磨いておきたいですね!



10年後くらい?には世界の中心はアジア地域に移ります。換水に頼らない管理を体系的にまとめることができたなら、水が自由に使えない地域でもアクアリウムを普及させることができるかもしれませんね!
- 水道水の水質に注意する
- 「換水をすればOK」ではない、換水のデメリットも知ろう
- 換水をマメにするなら換水のデメリット対策をする
- 換水は藻類対策の決定打では無い
- 無換水で維持するなら「肥料を使いこなす事」が必要
- 将来は換水に頼らない管理が主流になる?
なんともオチの無い話になってしまいましたが、これが私の今のところの答えです。
アクアリウム管理の基本は換水なのですが、基本だけに奥がとても深いです。
これからも経験を積むにつれ、さらに詳しくシンプルに解説できるように努力していきます!



また何か進展がありましたら書き足すorリライトします!