どうも、プロアクアリストの轟元気(@ordinaryaqua)です。
本記事は「水草水槽の藻類の生える原因ベスト5」を解説します。
水草水槽はその名前の通り水草を育てる水槽のため「植物が育ちやすい環境」を作る必要があります。
そのため、同じ植物である藻類もお魚メインの水槽よりも生えやすい傾向がありますよ。
水槽を管理していると必ずと言ってよいほど藻類は生えます。
藻類が増える原因は様々あるのですが今回は、水草水槽に限定して5つご紹介します。
お悩みの方が多い順にご紹介していきます。予防法も一緒に解説しますのでお悩みの方はぜひご覧ください。
具体的な「藻類対策」についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

はじめに
藻類は必ず生える
お掃除屋さんに食べてもらう
こちらが藻類対策の基本です。
藻類は必ず生えてくるものとして捉えて
- 藻類が増える原因を抑える
- お掃除屋さんを適正量入れる
この2点を意識すると失敗しづらいですよ。

基本的にはお掃除屋さんに食べてもらいましょう!
1位「養分がたくさん余っている」
- 肥料分の多いソイルを使っている
- セット初期である
- 肥料の使い方が間違っている
こちらの3つが主な養分過多の原因。
3つを同時に満たしていると地獄。
「ADA アクアソイルアマゾニア」などの肥料分が多く含まれるソイルを使用する場合、肥料が余ってしまうと藻類が増殖する原因になります。
「肥料が多い=水草が良く育つ」ということでもあるのですが諸刃の剣でもあります。
肥料分の多いソイルは水槽セット初期にマメな管理が必要になりますので、あまり初心者向きではありませんよ。
- 有機物を分解するバクテリアがいない⇒ 養分が多くなりがち
- 汚れを分解するバクテリアがいない⇒ お掃除屋さんが元気に働けないかもしれない
このような理由から水槽を作った直後は藻類が生えやすいです。
また、環境が不安定なためお掃除屋さんが本調子にならず十分に働いてくれないかもしれません。
水を綺麗にしてくれるバクテリアが増えるにはどうしても時間がかかるので、ある程度仕方の無い部分でもあります。
そのため「いかに他の要因で藻類を予防できるか」が大切です。


私は水草を育てる上で1番難しいのは肥料を使いこなすことだと考えています。
ソイルを使っているならとりあえず肥料を入れなくても水草は育ちますので、まずは肥料を入れずに育ててみることをおすすめします。
肥料はセット1ヶ月後くらいを目安に始めると良いでしょう。
初心者の方は「カリウム肥料」「微量元素肥料」から始めると失敗が少ないですよ。


セット直後から肥料不足で問題になることはあまりありません。肥料のことは置いておいて、まずは環境を安定させること優先しましょう!
- 扱いやすいソイルを使う
- マメに換水する
- 活性炭を使う
- 肥料を無闇に入れない
吸着系ソイルと呼ばれるものは含まれる養分が少ないため、初心者の方でも扱いやすいものが多いです。
特にセット初期の安定感が違いますので藻類対策に自信の無い方は吸着系ソイルを使うことをおすすめします。

慣れたらより水草が育つ養分の多いソイルにチャレンジしましょう!
- セット初期は2~3日毎に50%換水する
- 期間は水槽セットから2週間くらい
これくらいを目安にマメに換水すると良いでしょう。
一応の目安としてはセット後2週間の間で4~6回くらい換水するイメージですよ。
前述の通り、セット初期はバクテリアの数が少なく環境が不安定なので藻類が増えやすく、お掃除屋さんが働きづらい時期です。
そこで、換水をすることでバクテリアとお掃除屋さんのフォローを人間がするというわけです。

残念ですが換水は藻類対策の決定打にはなりません。あくまでバクテリア、お掃除屋さんのフォローをするものと考えましょう。

藻類が増殖しているなら新しい活性炭をフィルターにセットしましょう。
活性炭に直接藻類を予防する効果はありませんが、藻類の発生原因になる余分な養分(有機物)を吸着する効果があります。
活性炭の量が多いほど効果が期待できますので、用量の3倍程度入れるのがおすすめです。
例えば60cm水槽に1袋入れるものなら「3袋入れる」ような感じにすると効果的ですよ。
活性炭とは炭に特殊な加工をしてたくさん空隙を作ったものです。
表面積がとても大きいので、匂い、濁りの元となる有機物を吸着する効果がありますよ。

水草が根付き生長を始めるまでは肥料を入れなくても大丈夫です。
水草が生長をするには肥料が必要不可欠なのですが、無闇に入れることは藻類の発生に繋がりやすいですよ。
肥料を入れる際は詳しい方のアドバイスを受けた上で入れると良いでしょう。
ソイルを使っているなら、セット後1ヶ月程度は肥料は必要ありません。

藻類が出ているタイミングで水草が育たない原因が「肥料不足」であることは稀です。他の要因を疑いましょう!
2位「お掃除屋さんが足りない」
これはもう単純です。
藻類の増殖力にお掃除屋さんの食べる量が負けていると、いつまで経っても綺麗にはなりません。
ウチのお掃除屋さんは働かないんだよね。。
十分に入っていると思うけど藻類が減らない。。
という方はもう一度お掃除屋さんの数と種類を見直しましょう。
藻類に合った元気なお掃除屋さんが十分にいるなら藻類は少なくなります。
減らないということは
- 数が足りない
- 嫌いな藻類
- 元気が無い
このうちのどれかです。
- 追加、種類を見直す
- 換水をする
- 元気な子を手に入れる
- 水槽サイズ
- 藻類の発生量
- 藻類の種類
こちらに合わせてお掃除屋さんを調整しましょう。
基本的に藻類が減らないのであればお掃除屋さんを追加して藻類の量を減らすことが大切です。
藻類が増えればそれだけたくさんのお掃除屋さんが必要になりますので、なるべく藻類が少ないうちに追加した方が良いですよ。
「藻類の種類」と「お掃除屋さん」については別記事にて詳しく解説しています。
お困りの方はぜひこちらもご覧ください。

水槽セット初期は環境が不安定なため、お掃除屋さんが元気に働かないかもしれません。
そんな時はこちらと同様にマメに換水をして乗り切りましょう。
[fish title=”MEMO”]ヤマトヌマエビなどのエビが一箇所に集まってじっとしている症状があるなら換水をして落ち着くのを待ちましょう。[/fish]そもそもお掃除屋さんの調子が悪くては藻類を食べてくれません。
なるべく調子の良い子を手に入れるに越したとこはありませんよ。
ヤマトヌマエビなど日本で採取できるものは漁師さんからの直送物が安く出回っています。
しかし水槽環境に慣れていないため本調子になるには時間がかかりますよ。
急いで藻類対策をしたいなら、ちゃんと水槽に馴染んでいる子を手に入れましょう。

産直のヤマトヌマエビは立ち上げが難しいので単純に死にやすいです。初心者の方は信頼できる店舗で購入することをおすすめします。
3位「CO2不足」
高光量のライトを使っている方はCO2不足から藻類が増殖することがあります。
高光量下では光量に見合うだけのCO2添加をしないと水草が調子を崩します。
そのため
水草の調子が悪い⇒ 藻類に負ける
という悪循環に陥ってしまうことが多いですよ。
意外と藻類の原因にはなりません。
ただし、CO2無添加の場合はあまり高光量のライトを使わないほうが無難です。
高光量があってもCO2が足りないことが原因で無駄になってしまうからです。
こちらの記事ので水草水槽におすすめのライトをご紹介していますで、興味のある方はぜひご覧ください。

- CO2添加量を見直す
水槽のサイズに合わせて添加量を調整しましょう。
水量 | 添加量(陰性水草メイン) | 添加量(陽性水草メイン) |
---|---|---|
15L | 3秒/1滴 | 2秒/1滴 |
30L | 2秒/1滴 | 1秒/1滴 |
60L | 1秒/1滴 | 1秒/ 1滴 ~ 2滴 |
100L | 1秒/2滴 | 1秒/ 2滴 ~ 3滴 |
150L | 1秒/3滴 | 1秒/ 3滴 ~ 4滴 |
300L | 1秒/4滴 | 1秒/ 5滴 ~ 7滴 |
650L | 1秒/8滴 | 1秒/ 9滴 ~ 15滴 |
※概算です。状況により異なるので目安としてお使いください
こちらはざっくりと水量別にCO2添加量をまとめた表です。
まずはこちらの表を頼りに添加量を調整してみてください。
CO2添加量についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
水草育成にとって大切なお話ですので、お時間のある際にぜひご覧ください。


意外とこのパターンにハマっている方が多いです!
4位「水質が合っていない」
水草用の機材全部揃えたよ!
本に書いてある通りやってるよ!
でも藻類がでちゃう。。。。
なんて場合は水質が合っていないのかもしれません。
水草の好む水質は「pH6.5程度」の弱酸性です。
特に水質がアルカリ性になっていると
- CO2が有効活用できない
- 肥料を効率良く吸収できない
という大きなデメリットが発生してしまいますよ。
「CO2を十分に添加している」「肥料をしっかりいれている」のに水草がイマイチ育たない時は水質を疑うようにしましょう。
水質も水草育成において大切な要素なので、お時間のある際のこちらの記事をぜひご覧ください。

- pHを下げる
- 硬度を下げる
- 硬度を上げる素材を使わない
ソイル、pH降下剤などを使いpHを下げましょう。
水槽の中に「硬度を上げるもの」が無い場合、簡単にpHを下げることができますのでそこまで大きな問題にはならないでしょう。
実際の方法についてはこちらをご覧ください。
もし、上記のpHを下げる方法でも下がらない場合は硬度が高いのかもしれません。
硬度が高いとpHが下がりづらくなるため、「硬度を下げるろ材の使用」「浄水器の使用」などで硬度を調整しましょう。
詳しくはこちらをご覧ください。
硬度とは水中の「カルシウム分」と「マグネシウム分」のことです。
GH、THなどで表記されます。
詳しい説明は省きますが、これらが多くある水はアルカリ性になりやすく、pHが下がりづらい傾向があります。

- 龍王石
- 青龍石
- 昇龍石
- 青華石
- サンゴ石
- カキ殻
- 1部のろ材
など、これらが水槽内にたくさんあると硬度を上げてしまいます。
量にもよるのですが、管理に慣れないうちは他の素材を使うと失敗が少ないですよ。
こちらの記事で「レイアウト用の石」について詳しく解説しています。
水質変化などデータを取って比べてありますので、石組みレイアウトを作る際はぜひご覧ください。


「龍王石、青龍石、昇龍石、青華石」はすべて同じタイプの石です。販売元によって名前が違います。
5位「藻類の持ち込み」
- 水草に藻類が付いている
というケースが割とあります。
水中葉で管理されている水草は残念ながら藻類を0にしてキープすることがほぼ不可能です。
しっかり観察して藻類が見えないレベルでしたらそこまで大きな問題にはならないのですが、最初からたくさん藻類の付いている水草は水槽に入れないほうが良いでしょう。
- 水上葉で管理されている水草を使う
- 組織培養水草を使う


同じ種類の水草でも水中で管理されているものよりも、水上で管理されている方が藻類のリスクが少ないです。
水草は水中で管理しないとなかなか売れないので水上葉で管理することは少ないのですが、入荷直後のタイミングを狙うと手に入れやすいですよ。
水中葉と水上葉の違いについてはこちらの記事をご覧ください。

- 藻類の混入が無い
- 貝の混入が無い
- 無農薬
藻類の混入だけで無く「貝の混入が無い」「無農薬」という大きなメリットがあります。
初心者の方は組織培養の水草をメインに使ってレイアウトすると失敗が少ないですよ。
組織培養水草についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

私が普段から行なっている藻類対策をこちらの記事で解説しました。
「藻類対策の心構え5か条」「水槽サイズ別お掃除屋さんリスト」「藻類一覧」など藻類対策に必要な情報をまとめてあります。
藻類でお困りの方はぜひご覧ください。

今回ご紹介した1~5位は複合している場合も多いのでご注意ください。
複合していると原因が分かりづらいので、1位から順にチェックしていくと良いでしょう。
藻類が出ている時は肥料を入れるのを止めましょう。
肥料不足から水草の調子が悪くなり藻類が出ているということもありますが、肥料が原因で無いとすると
肥料過多⇒ 藻類がたくさん増える
という悪循環が発生します。
肥料不足が原因で藻類が生えることは稀なので、まずは肥料添加をストップして藻類を減らすことに集中しましょう。
今回は「水草水槽の藻類の生える原因ベスト5」を解説しました。
ご紹介した5つの要因を特に意識すれば藻類の生えづらい水草水槽をキープできます。
藻類は必ず生えるものですから、増える原因を抑えてお掃除屋さんに食べてもらいましょう!

初心者の方はお掃除屋さんをちょっと多めに入れて対応しましょう!